笑い方を忘れた彼女が願い抗い続ける物語 作:生理痛がくると毎回朝起きれなくなる
だいぶ遅れた投稿です
「はい、これを」
『…タグ?』
グゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ…バタンッ!
「だ、大丈夫ですか!?」
受付嬢が心配して駆け寄る。ゴブスレは動じずその場に立っている。そういや、最後に食べたのいつだっけ。
『…ひとまず、ご飯、ぐだざい…』
「は?」
絞り出した声を聞き、2人は固まる。もしかしてと思い聞き返した。そのもしかしては当たってしまうのだ。
「もしかしてご飯食べてないんですか?」
無言でうなづく彼女。それも『一週間と一日』と言ったらその場の人達は荒れていた。
「朝方に出していただいた情報をもとに作らせていただきました。身分証になりますので無くさないようにお願いします」
彼女はもぐもぐしながら聞いていた。一週間ぶりのご飯はとても美味しかった。そりゃ、食べてなかったから余計美味しいに決まっている。そんな中、彼女が説明してもいい、と受付嬢に頼みギルドやタグ、その他のことを話している。
白磁という色のタグで文字が書いてあった。身分証にもなるという。
冒険者のタグは色で分かれていて白磁・黒曜・鋼鉄・青玉・翠玉・紅玉・銅・銀・金・白金の十段階等級があるらしく、白金等級は「伝説の英雄」として語られる存在であるため歴史上で数える程度しかいないらしい。金も余りいないらしく、銀から数が多くて、ゴブリンスレイヤーもその一人だってことを知った。
クエストを受ける時は声を掛けてくだされば、と受付嬢は言った。
ただギルドに来ていない依頼の報酬は困っている人たちがこちらに尋ねてこない限り含まれないらしい。
手を合わせて、ご馳走様でしたと唱えた。
「あ、そういえば、職は空白だったので…」
『…あー…レゲネラトーアで』
「レゲネ?」
『レゲネラトーア』
刻印してくれたやつを貰い、導蟲の隣につけることにした。
みんな首から下げていたが私は首元に何かあると違和感があるため腰ベルトにつけることにした。導蟲の傍につけて取れないか確認した。
『私が倒れてた場所にいた人は?』
「神殿に行ったものと既にの方々は埋葬の方に…」
『合計何人いた』
「知らん」
「あ、それなら報告がありましたよ」
受付に戻り、数枚の紙で纏められていた。
その紙を見せてくれた。小声で数え始める。紙を見て言っていると思ったら、目をつぶって数えていた。まるでその場所にいて数えるかのように。
すると彼女はありがとう、と答えて紙を返す。
「案内ご苦労様でした。ゴブリンスレイヤーくん」
『どうもです』
「ああ」
食べ終わった後は、ちゃんと皿の片付けをしてハイリアのところに向かった。
お互いの導蟲はそばに置いており、導蟲が行き来している。ハイリアは大人しく待っており、レゲネラトーアがすることに関して何も思っていない。慣れているからでもある。
手綱が壊れていないか、くらがやられてないか、足掛け部分はどうだ、と点検していく。全て外して一つ一つ確認していく。このやり方を知っておいてよかったと思う。
「何をしている」
『点検。今度走っている途中で壊れても困るから』
「そうか」
『そこにある部品取って』
「これか?」
そう言い渡すゴブリンスレイヤー。意味もなく来たらしい。
ありがとう、と短く返事をして作業を続けて1時間ちょっと。
何気にゴブリンスレイヤーも一緒に手伝っていた。彼も自分の防具が壊れた時直せれる範囲で治すことを聞いた。カチッカチッとつけて、後ろに下がる。
『修復完了…』
ーすごーい!
「新しいのと取り換えはしないんだな」
『…うん、新しいのにするとなれるのに時間がかかるし、やはり慣れてないのはちょっと』
「そうか」
ドアを開けて、ハイリアを出す。少し歩き大丈夫だと見せた。導蟲を再びお互いに付けて開けたドアを閉めた。懐から小袋を出して導蟲に近づけた。
すると緑色をしたまま動き出す。ある程度行くとそこで踏みとどまる。待っているようだ。
「ゴブリンか」
この方はなんでもかんでもゴブリンに繋げる。どうしてゴブリンに対してそんなに執着しているのか。不思議でしょうがなかった。レゲネラトーア少し黙り込むがなんとか声を出す。
『…多分。もしかすると、回収したかもしれない。でもなぜ二人だけなのか。どう思いますか、ゴブリンスレイヤーくん』
「強姦目的又は人質…いやそれはありえんな。となると…」
『答えは現場にある。ちょうど彼らにとって油断するタイミングだと思う』
時間はおやつの時間を過ぎていた。でもそれが丁度いい。ゴブリン退治をするには絶好のチャンスでもある。
彼が近づき、レゲネラトーアの前に立つ。彼女は小柄なため見上げた。
「俺も行く」
『ゴブリン退治を?』
「ああ、ゴブリンが出る以上いかないという選択肢はない」
『そう』
レゲネラトーアはぶっきらぼうに答える。彼女もまた彼に似ているのだろう。ゴブリンスレイヤーを前に乗せて、後ろにレゲネラトーアが乗るようにした。
彼が手綱で合図をすると、ハイリアは一声上げて走り出した。
他の人から見れば、おかしな風景に見えたのだろう。
あれから走り出してそんな時間が経ってなかった。
特に話すこともなく、彼、彼女は静かに風景が変わっていくのを見つめている。
レゲネラトーアは彼の腰につかまりながら、前方を見る。襲撃された村が見える。
するとお互いの導蟲が動き出す。それはゆらゆらしながら方向を決めていた。レゲネラトーアも降りて、あとをついて行く。後ろからゴブリンスレイヤーも来る。ハイリアに手で指示するとその場を離れていった。
『…これだ』
しばらく痕跡を探しているとようやく見つけた。
そこは彼女が倒れていた人々をひとりずつ運んだところだった。そこから森にずられた跡があり、後ろからゴブリンスレイヤーが来る。
武器を出し、瓶をセットしておいた。ゴブリンスレイヤーはその様子を静かに見つめて、先に進む。それに続いて彼女も歩き出した。
やはり奴らはいた。木を盾に入口にいるゴブリンを見つめる二つの影。
ゴブリンスレイヤーとレゲネラトーアだ。どう入るのか話していた。
ゴブリンたちは欠伸をしたり、ゴブリン同士と喋っている。
正直人に似ていると思った。
「見張りは二。左右に分かれて一気に叩く。」
レゲネラトーアは無言で頷き、合図で一気に走り出す。ゴブリンたちはなんだと凝視した。先に姿を現したのは、右側から出てきたレゲネラトーアだった。彼女は一気に駆け抜け、ゴブリンが叫ぼうとしたら剣モードで頭から胴まで真っ二つに切った。返り血が飛び交い服につく。その様子を見たもう一体のゴブリンがこちらに向かおうとしたが、何が起こったのかわからずに切られ倒れた。後ろからゴブリンスレイヤーが切ったのだ。
彼の鎧にも返り血がついた。でも気にしていない。流石銀等級と褒め称えた、心の中で。
その後は彼の指示に従ってゴブリンを倒していった。二桁は余裕で行っていた。気にせず前に進む二人。
最後の方でシャーマンが出てきたが、なんも苦難もなく倒すことが出来た。
やはりゴブリンがする事だから分かっていた。こんな世界の片隅で酷い目にあっているのに神様はどうして助けてくれないのか。いずれ私もそうなるのか。それとも私が壊れているのか。
「どうした」
『…なんでもない』
無表情で答える。それぞれ別行動で作業をした。ゴブリンスレイヤーに毛布を持ってきてもらい、誘導してもらった。私は肝心のことを探す。
「た…す、て…」
かすれて声が聞こえて、見つけた。多分夫婦だろう男と女を見つけて近づいた。そばにいた男の体はボロボロで無惨な姿になっていた。骨は折れ、体中は蜂の巣のように穴だらけだった。
女の方は服を破られており、体に打撲跡が広がっている。
それもお腹を中心として。脈を測るが弱くてわかりにくかった。それに下腹部の出血。女の人の目には光が宿っていない。
「…わ、たし…っ、の…あ、…か…ちゃん…は…」
もしかしてと周りを見渡す。
遅かった。残骸がほとんど残ってなかった。彼らの側に寄せれば、母のほうはもうなくなっていた。お互いの目を閉じて、赤ん坊だったものを傍に寄せた。するとゴブリンスレイヤーが来た。
『…燃やすものない?』
「燃える水ならあるがいるか?」
無言で頷く。ゴブリンスレイヤーのポーチから出てきて一本貰い、自分のポーチから布を取り出す。それも何枚か出して燃える水を浸透させた。
残りは遺体にかけて、マッチで火をつけて燃やした。
火葬した。
私が唯一出来ることはこれぐらいだった。
追加
【再生者】(レゲネラトーア)
臓器が潰れたり、骨が砕けたり致命傷を受けた時や即死級の攻撃を受けた時に死なない程度に急速に回復する。
不死身という訳ではなく、歳もとる
そういうシーンを入れようと思って先につけておこうと、血界戦線のギルベルトさんの特異体質を持ってきた
物の追加で懐中時計を入れます(個人的にあれ好きなのでお守り的な感じで)
年齢彼の方が上だけど、あえて君付けで呼ばせてください(苦笑)
あとキャラ追加したいので後ほど載せます