寝オチしたらサウザーになっていたが 何か? 作:コトナガレ ガク
「つまり、貴方の傘下に入れと」
居並ぶ邑の主なメンバーがずらりと俺を囲んでいる。
よしよし、マミヤさんもいるな。
「そうだ。だがそう悪い話でもあるまい、税金を取られる代わりにもう盗賊に怯える必要はなくなるのだぞ」
ここで思いっきり悪人顔を作って威圧するように言う。
これで支配下とは名ばかりの奴隷にでもされるんじゃないかと危惧するはずだ。
「くっく、あっリンちゃん火傷しないようにちゃんとふーふーしてから飲むんだよ、」
「うん」
俺は隣でスープを飲もうとしたリンちゃんに注意する。
「力なき者は力ある者に従う、乱世だよ」
正直、限界なのである。
南斗帝国本国からリンちゃんの邑からトキの邑と直線上に領土を伸ばして、さらにはここ。夜盗みたいに襲うだけなら問題は無いが、しっかりと邑を守ると成ると南斗の戦士が足りない。
108派もあっても南斗帝国本国を守るだけで精一杯の人数。トキの邑の護衛の戦士とかかなりシュウに無理を言って割いて貰っている。
南斗帝国の正規兵の条件は南斗の拳士であることとしたのが足を引っ張っている。だがその根底を崩せば南斗帝国の根幹が揺らぐ。
いっそ南斗の新しい流派でも作って兵士を増やすか、南斗藻火漢流とか。
まあそれはそれとして今は人手不足。
マミヤさんの邑にまで兵を割こうとしたら、シュウにいい加減怒られる。
そういうわけで考えたのが今回の演技。
圧迫面接の如くマミヤさんの父親にプレッシャーをかけ続ければ、優しく正義感の強いマミヤさんが切れる。
この無礼者がと俺も切れる。そしてなんやかんやして傘下の話を流して、許す代わりにマミヤさんを邑から追放とする。
ちょっと可哀想だが、ユダに襲われるよりはいいだろうしマミヤさんなら荒野でも生きていける。
「それで、返事はどうなのだ、んっんっん」
オールバックの悪人面で親父さんを睨み付ける。
親父さんはすっかり怯えている。
「リンちゃん、どうスープおいしい」
「うん」
スープを飲んで笑顔になるリンちゃんが視界に入ってしまったら話し掛けずに入られるものか。
「そろそろ色よい返事を聞きたいものだな」
緩んだ顔を引き締めて。
「それで税率はどのような・・・」
ここで九割とか言えば脅しは十分か。まあこれでも日本の戦国時代なら当たり前なんだけどな、恐るべし戦国日本世紀末を凌駕する。
「あっリンちゃん、大丈夫?」
「うん」
リンちゃんがスープを零してしまったようだが、幸い火傷には到らなかったようだ。
良かった。
しかし汚れてしまったな。女の子だし、これは良くない。
「そうだ、ここは水が豊富だ、後で水浴びでもしよう」
俺は原作を読んでいるから知っている。ここはこのご時世水浴びが出来るほど水があるのだ。
くっく、リンちゃんも女の子喜ぶぞと見れば、リンちゃんはちょっと嫌な顔。
へっ?
どうしてと問うより先に叱責される。
「あなた、女の子と一緒に入るなんて何考えているの」
烈火の如く怒っているマミヤさん。
「いや俺は父親代わりとしてだな・・・」
「デリカシーがない」
ばっさり切られた。
「この娘は私が面倒を見ます。小難しい話は父さんとどうぞ」
マミヤさんが有無を言わさずリンちゃんを連れて行く。
ああっリンちゃんが、マイエンジェルが。
「あの~それで傘下の件なのですが4割くらいでいいでしょうか」
「あっどうでもいいよ」
はっしまった。リンちゃんを連れて行かれたショックで生返事をしてしまった。
訂正しようとするより早く親父さんが喝采を上げる。
「みんな聞け、これからはサウザー様が守ってくれるぞ。もう盗賊に怯えなくて済むんだ」
「サウザー様、ありがとうございます」
「ありがとう」
邑の面々は喜色一色、もう訂正できない。
はあ~シュウに怒られるのか?
それとマミヤさんどうしよう? これじゃ俺が怒られるだけじゃん。