寝オチしたらサウザーになっていたが 何か? 作:コトナガレ ガク
ジャギを残し隣に部屋に入るとベットから上半身を起こすユリアがいた。
「本当に私にそっくり」
付いてきていたマミヤがユリアを見て驚いている。
「サウザー」
愁いを帯びた顔で俺の名を呟く。
本当はケンシロウに来て欲しかったのだろうか、それともケンシロウにこんな姿を見られなくてほっとしたのであろうか。
こうなったのはユダの裏切りのタイミングを見抜けなかった俺にも責任はある。
妖星である以上いつか裏切ることは明白だったが、まさかこんな序盤でカマしてくれるとは予想外で油断していた。
済まないとは思うが俺は南斗の帝王、帝王の役目を果たさなくてはならない。
多少心は痛むが言うべき事は言う。
「分かっているなユリア、今までは自由にさせていたが、こうなった以上南斗宗家の勤め果たし、いてっ」
「何デリカシー無い事言っているの」
後ろからマミヤに頭を叩かれた。
「いや、ちょっとまて。今俺南斗の帝王として真面目な話を・・・いてっ」
今度は臑を蹴られた。
いい加減にしないと帝王怒っちゃうよ。
「あなたは黙ってなさいっ。
大丈夫ユリアさん」
マミヤはユリアに近寄ると気遣うようにその手を取りながら言う。
「ありがとう」
「話は聞いているわ。あなたの恋人も無事であなたを待っているわ。帰りましょ」
「それは無理だ」
「あなたはまだそんなことを」
マミヤが俺を睨んでくるが、別に俺だって意地悪で言っているわけじゃない。
「まてまて暴力反対。
現実問題他ならぬユリアを狙ってラオウ軍が迫っているんだぞ」
ユダは知らないが、ラオウの目的は俺では無くユリア。こうなった以上ラオウはユリアを手に入れなければ収まらない。
「マミヤ、今ならまだ逃げられるぞ」
ラオウも一人逃げる女を追うほど暇じゃ無いだろ。
この女を偽物として差し出す案も無いことは無いが、偽物とばれれば何をされるか分かったもんじゃ無い。こんな暴力女でもラオウ軍に捕まって陵辱されるのは心が痛む。
「馬鹿にしないでっ。
女だって、こんな世紀末が終わってみんなが笑って過ごせる時代が来るというなら命を懸けて戦うわ」
ふ~んマミヤさんはそんなこと願っているのか、まあ概ね原作のイメージ通りだな。
「だから頼むわよ、サウザー期待しているんだから」
マミヤが可愛くウィンクして俺の胸を軽く叩く。
「へっ」
「何よ。カレンちゃんに聞いたわよ。この乱世を統一して平和な時代を築く為に戦っているんでしょ」
カレンちゃん、いつの間に仲良くなった?
俺はどちらかというと統一までのビジョンはあるが統一後の明確なビジョンを持ったことはない。せいぜい統一後は美女でも侍らせて酒池肉林でも楽しもうかと。最近ではリンちゃんをきゃっきゃうふふと甘やかしたいというビジョンもあるが。
そのビジョン、シュウだろ。シュウの奴自分のビジョンを俺のビジョンと偽って仲間達に刷り込んでいるな。
「あなた馬鹿で傲慢で残酷な自分勝手なスケベ男だと思っていたけど、演技だったのね。
誤解していたわ」
マミヤが俺に微笑んでくれるのは嬉しいが、それこそ誤解です。
基本あなたが初対面で感じた通りの男です。
「だから私は逃げない。あなたの傍にいるわ」
「・・・そうですか」
勝手に膨らむ期待というものほど重いものは無い。
「だから安心してユリアさん、ラオウなんてサウザーが追っ払うから」
だから勝手に株上げないでバブル弾けちゃうから。
「いえ、私がラオウの元に行きましょう。それで戦いは止められます。
南斗の女として勤めを果たします」
あのユリアが覚悟を決めたようにいうが、俺はそういう意味で言ったんじゃない。
「駄目よ、そんなの。
ユリアさん自分をもっと大事にして」
いやいや、その女恋人とずっといちゃいちゃして自分を誰より大事にしていたぞ。
「恋人が待っているのよ、帰らなきゃ」
「でも、あなたにまで危険が及ぶのは。やはり私が・・・」
「駄目だ」
そろそろ茶番を終わらせようと俺は明確に拒否する。
その言葉にユリアは意外そうにマミヤは顔を輝かせる。
「ラオウ如き俺が倒す。
お前達はここで旨い料理でも作って待っていればいい」
そう言うとバサッとマントを翻して部屋を出て行く。
別にマミヤに言われて格好付けたわけじゃ無い。
彼女は南斗宗家の女で南斗の将。
これを南斗の帝王である俺が北斗に引き渡すということは、北斗に南斗が屈服したことになる。ユダは裏切らなければユダではないから裏切って当然なので誰もが裏切っても動揺しないが、ユリアを引き渡せば南斗の結束は崩壊する。
そうなれば対北斗用の技、南斗108派総掛かりが出来なくなる。でもよく考えたらここでラオウと戦うなら、南斗の結束が崩壊しようがすまいが使えない。意味が無い。
まああれだな。サウザーになって多少俺にも南斗の帝王に目覚めてきたということか。
言い直そう。
南斗の帝王として、南斗崩壊は避ける。
こうなれば対北斗用の一度きりの奥義を使うときが来たか。