寝オチしたらサウザーになっていたが 何か? 作:コトナガレ ガク
ひらりひらりとゆらゆらと夢に羽ばたく蝶の如く漂えば、ラオウがついに膝を付いた。
「ぐはっ」
夜襲による寝不足に加え空腹不意打ちの一撃、そしてラオウの体中に走る千の傷から流れる失血で天の覇王がついに力尽きる。
結局最初の不意打ち以外ラオウに致命の一撃は入れられなかった。軽いと言ってもサウザーの手刀は鋼鉄すら切り裂くんだけどな~北斗の世界ではそれでも威力が足りないというのか。オーラ万能過ぎ。
偽装ということも考えられる俺は警戒しつつラオウに近付く。
「覇王ラオウ、何か言い残すことはあるか?」
多少卑怯な気もするが元々一対一の決闘では無いし、策略を用いて仕掛けられた軍対軍の総力戦だ文句はあるまい。
南斗軍が原作と違う固い結束で勝った、・・・。
ユダは裏切ったし、この場にいる味方の南斗六聖拳はユリアのみと不満もあるが、それでも南斗が仲良しだったからこそカレンやアミバが味方に成ったと前向きに考えよう。
そう言えばあの二人は無事なのだろうか? ユダに俺とラオウの戦いに乱入してこられたら危なかったがしてこないところを見ると少なくとも負けてはいないと思う。
急いで様子を見に行った方がいいかもしれないな。
「我が野望もここまでか、あんな男の甘言に乗ったのが間違いであった。
だが勝負自体に不満は無い。俺の剛拳はついにサウザーお前を捉えることは出来なかった。拳法家として敗れたのだ悔いは無い」
言い切ったラオウの顔は清々しくあった。
結構汚い手を使ったと思うが無しにしてくれるらしい。
「うっうわーー」
「ラオウが負けた」
「お終いだ~処刑されるぞ逃げろ~」
原作通りラオウが負ければラオウ軍の兵士はちりぢりに逃げていく。
驕るもの久しからず強者必衰の理ありか。
俺もこのラオウの姿を心に止めて置かないとな。慢心し傲慢になれば六聖拳やケンシロウに討たれることになる。
「後は任せて心安らかにいけ」
俺はラオウの首を切り落とそうと手刀を掲げた。
覇気を失えばラオウの肉体も肉に過ぎない、簡単に切り落とせるだろう。
そしてラオウの首筋目指して振り下ろそうとして止めた。
「女!?」
俺とラオウの間に割って入ってきたのはレイナだった。逃げていくラオウ軍の中女であるレイナだけがラオウを助ける為に俺の前に立ちはだかったのだ。
「男の勝負に水を差すか。
どけ」
サウザーの女に全くもてない悪投面で睨み付ける。
くそが、同じ悪役のラオウは女にモテモテなのに、なんで俺は転生してまでそういう話が湧いてこない。異世界転生転移と言えばオレツエーのハーレムだろうが。
「どきません」
「レイナよせ、俺に恥を搔かせる気か」
「ならばその双剣で俺に挑むか。無駄に死ぬだけだぞ」
出来れば女は切りたくないが、挑んでくるなら仕方ない。ここは世紀末だ、マミヤも五月蠅く言わないだろ。
「挑みません」
レイナは双剣を投げ捨てた。
「なに」
「サウザー様。これから私は貴方様に身を捧げ愛して見せます。
だからラオウ様をお助けください」
何これ全く嬉しくないもてかただ。
俺が望むもてかたはこうじゃ無い、シンと違って俺にこういう属性は無いんだ。
それにしてもどうすればいいだ?
レイナは美人だ、愛して貰えれば男心のスケベが騒いで楽しいかも知れないがサウザーの株がユリアやマミヤ、何よりリンちゃんの中で大暴落する。一時の快楽と引き替えに出来るものじゃ無い。ならばと非情に徹して無抵抗の女を切り裂くのは後味悪すぎて、折角覚醒した軽気孔が使えなくなるかも。それにこれもサウザー株大暴落。
かといってラオウをこのまま逃がすなんて出来るわけ無いし。正直二度目に勝てる保証は無い。ラオウだって何かの拍子に哀しみを知って無想転生に目覚めるかも。寧ろここでレイナを目の前で斬り殺したら哀しみを知るんじゃね?
あっ危なかった~うっかり罠に嵌まるところだったぜ。
「ラオウよ、野望に未練は無いと言った言葉に嘘は無いな」
「ない。だからレイナは殺すな」
「ラオウ様私はいいのです」
くそが、見せ付けていちゃいちゃしやがって。
「ならばラオウよ。今から野望の為で無く使命の為に生きよ。
お前には野望で無く果たさなくては成らない使命があるはずだ」
「うっ、それはまさか兄のことか。なぜお前がそれを知っている」
「さあな。
強敵(トモ)として一度だけ問う。野望を捨て使命に生きるか?」