寝オチしたらサウザーになっていたが 何か? 作:コトナガレ ガク
「お前の部下になぞならん」
「そうか」
ラオウの言葉にレイラは諦めたように目を瞑る、せめて一緒にということか。
女は殺したくないが、これも情けか。
「だが、俺は今より使命の為に生きよう」
「ラオウ様、それは」
レイラに喜色が浮かぶ。
「ユリアも天下も野望は全て諦める。
今よりは、ただのラオウとして宿命を果たす」
「ならば今は傷を癒やすがいい。
舟は此方で用意しよう、傷が治った暁には故郷まで送ってやろう」
素晴らしいぞ俺。これでいつまた野望に火が付くか分からないラオウを自然な流れで遠くに追いやりつつ、これまたおっかない国への押さえにもなる。
出来れば一生兄弟喧嘩をしていて欲しい。
策士、策士だぜ俺。
えっ汚い?
何を言う、綺麗事だけでは政はできないのさ。
これも俺とリンちゃんの幸せな未来の為だ。
「言葉に甘える」
ラオウがこの言葉を発した瞬間戦いは終わった。
「「「うおーーーーーーーーーーーーーーサウザー様の勝利だーーーーーーーーー」」」
一斉に雄叫びを上げる南斗軍の兵士達。
「サ・ウ・ザ、ビクトリー」
ユリア率いる南斗チアガール隊が勝利の踊りを舞い。
「やったわね、サウザー」
マミヤは目に涙を浮かべて喜んでいる。
「サウザー」
リンちゃんも俺に手を振って喜んでいる。
本来なら南斗108派総掛かりで始めるつもりだった対拳王軍戦は行き当たりばったりでユダの罠に嵌まったことで始まり、どうなるかと思ったが乗り越えた。
ただのサラリーマンだった俺頑張った。
これからは、ほんのちょっとくらいならいい思いしてもいいよね?
勿論リンちゃんは幸せにする。きっとリンちゃんが将来彼氏を家に連れてきた日にはお父さん許しませんって連れてきた男を真っ二つにしちゃうんだろうが、立派に育ててみせる。
父性の愛を見せてやる。
だがそれはそれ。男とは悲しい生き物なのだよ。
ほんとちょっとだけだから。
ユダほどのハーレムを築こうなんてしないよ。
でも、なんてたって帝王だもんな~ぐへぐっぐぐへ。
「サウザー様、おめでとうございます」
「うひっ」
いつの間にかカレンが背後にいた。
「アミバもユダ軍を退けました。我が軍の完全勝利です」
いつのまにか背後にいたカレンが祝辞を述べてくる。
今のスケベな顔見られた?
「はえっおっお、おう。
カレンもご苦労だったな。
強敵北斗は下した、終わったな」
トキは医者になったし、ジャギは聖者になったし、ケンシロウはストーカーになった。そして強敵ラオウは国外に出て行く。
思えば生き残る為全て対北斗戦の為に頑張ってきた。それが今終わったのだ。
苦労が全て報われ、これからは楽になる。
俺は万感の思いを込めて決め顔で言った。
「何を言っているんですかっ」
「えっ」
万感の思いを込めた言葉をカレンに一蹴された。
「何、終わった感を出しているんですか。言っておきますが大変なのはこれからなんですよ」
「えっ?」
「南斗領だけでもシュウ様パンパンなのに、サウザー様が気まぐれ領土にしたマミヤさんの邑とか拳王領をこれからは面倒見ないと行けないんですよ。
それ全部シュウ様に投げる気じゃ無いでしょうね。そんなことしたら今度こそシュウ様倒れてしまいます。サウザー様には聖都に戻って真面目に政務をして貰います」
「まっまて」
普通そういうの悪の帝王的に部下に丸投げじゃ無いの? 書類整理に終われる悪の帝王なんて聞いたことが無い。
だがよく考えれば今の俺は悪の帝王じゃ無い。いい人サウザーだった。
「待ちません」
「頑張ってねサウザー」
これまたいつの間にか近くにいたマミヤが人ごとのように言う。
「何を言うんですか、マミヤさんも来るんです」
「えっなんで?」
「今の時代組織運営できる人材は貴重なんです。マミヤさんにも辺境治安隊の編成とかやって貰うことが一杯あります」
「でっでも私は邑に帰らないと・・・」
「マミヤさんも南斗帝国の臣民になった以上働いて貰います。
勿論ユリア様も連れ帰りますし、アミバも当然。今回サウザー様が確保した人材は全て聖都にこのカレンが連れ帰ります。
さあ皆さん世紀末を終わらせる為頑張りましょう~」
カレンは夕日に拳を振り上げ、その背を見る皆はげんなりしているのであった。
こうして一つの戦いが終わり、新たな戦いが始まったのであった。