寝オチしたらサウザーになっていたが 何か? 作:コトナガレ ガク
「雑魚が」
紫に輝く手刀がガードごと男を切り裂く。
「つっ強い。
我等南斗帝国国境警備隊が全滅するとは、がはっ」
南斗帝国国境警備隊最後の拳士が倒れた。これで百八派の内何派が消滅したのか、ユダの裏切りから南斗帝国では百八派の減少が止まらない。深刻な少派化であり、サウザーはこんなに派はいらないと思っているが、まじめなシュウは伝統を守ろうと頭を悩ませている。
「歴史を紡ぐは元斗のみ、南斗北斗を語る者は全て消す」
元斗皇拳紫光のソリアが宣言するのであった。
ファルコに忠誠を誓う元斗の武将である。二部においてケンシロウに手傷を負わせていたので、かなり強いと思われている。
ぶっちゃけファルコがラオウと互角なら、ファルコとソリアの二人掛かりで襲えば余裕勝ちだったのではと思わなくも無い。元斗は多対一は禁じられているのか?
邑は燃え、大地には戦い敗れた南斗の拳士達の骸が転がっている。
「ぎゃははは、何が南斗帝国だ。お前達はこれから天帝様に逆らった罪で奴隷として連行する」
天帝軍の兵士達が盗賊達と何が違うのか逃げ惑う邑人達を捕まえ連行していく。
その地獄の光景に踏み込む男がいた。
「てめらの血は何色だ」
怒りの叫びを上げたのは義星の男レイである。
南斗の邑が襲撃されていると報告を受けて帝都に戻らずそのままここに直行したのである。
レイは義星の男。人の為に尽くしてこそ輝く星。
レイは言葉にならずとも感じていた。
妹のアイリは好きな男と結ばれて幸せに暮らしている。それが世紀末の世に合ってどれだけの奇蹟であるか。サウザーのことを最初こそいきなり性格が豹変し何かの策略かと疑っていた。だが奇蹟をもたらしたサウザーを今は変なオジサンだと思いながらも感謝していた。
義を尽くすと決めた。
帝都に戻ればサウザーのことだから自分達を温存し自分が向かうのは目に見えていた。
だから直接きた。自分もサウザーの力に成れることを示す為に。
「なんだ、この色男は?」
「優男か、連れて帰って男妾にでもしてやろうか」
「死ね」
帝都の兵達が台詞を言い切ったときにはレイは背後に駆け抜けていた。
「えっ」
兵士達は死んだことすら気付かないうちにバラバラになって地面に転がっていく。
「その拳。南斗六聖拳の一つ南斗水鳥拳か」
「そうだ。俺は南斗水鳥拳のレイ。俺の拳の死出の手向けにしろ」
レイは向かってくる兵士を切り刻みつつソリアに一歩一歩近付いていく。
「笑止。
南斗聖拳などオーラも使えぬ下等な拳」
達人で無ければ身に付けられないのがオーラであり、そのオーラが使えなければ使えないのが元斗皇拳。つまり元斗皇拳の使い手はすべからく達人なのである。
対して南斗はオーラが使えなければ武器を持てばいいというくらい柔軟で万人向けの拳法である。
「試してみろ」
「いいだろう」
「南斗伝衝烈波」
レイが初手でいきなり南斗紅鶴拳の伝衝烈波改め南斗聖拳伝衝烈波を放った。
これぞサウザーが来たるべく元斗皇拳の戦いに備えてレイやシンに身に付けさせた技。元斗のビーム攻撃対策として飛び技が一つくらいあれば対応の幅が拡がる。
「小細工」
伝衝烈波の衝撃波をソリアはオーラの力で相殺する。だがレイにとってはそれは予想内のことその隙に間合いに入り込んでいた。
「ひょう」
「くっ」
ソリアの手刀を躱しレイの手刀がソニアの浅いが胸を切り裂く。
オーラを纏った拳は強い。漫画の描写的にもオーラを持っている方が格上感が出る。
だがどうしてもオーラを込める分だけタメがある。
対して南斗水鳥拳はスピードを極めた拳で大気に真空を産み素手で全てを切り裂く拳。
素質が同じなら、そうしても一手元斗の方が遅くなる。
「この程度の拳痛くも無いわ。
多少速いようだが見切った。次に我が間合いに這ったときが貴様が消滅する時」
「試してみろ」
両者一撃必殺の拳。次の一手が両者の死力を尽くした最後の拳となる。
ギリッ
互いに睨み、間合いを計る。
ジリッ
互いに睨み、呼吸を計る。
「はあっ」
間合いを読み呼吸を読み。レイが天高く跳んだ。
人間の弱点頭上から水鳥の如く襲い掛かる南斗系のセオリー技。だがソリアは笑う。
「笑止。迂闊に跳ぶなど愚かなり。我がプレッシャーに痺れを切らしたか」
ソリアがオーラを溜めタイミングを読み、放つ。
「元斗流輪光斬」
空に飛翔し軌道を変えられない南斗など元斗にとっては鴨に等しい。それ故に伝書烈波を身に付けさせたのだが、レイには荷が重かったか。
「南斗水鳥拳 飛翔白麗」
ソリアのオーラがレイに襲い掛かる瞬間レイは空に手を突き更に舞い上がった。
「なっ」
オーラを放ち無防備になったソリア、天空よりレイの手刀が牙を剥き両肩を切り裂いた。
「この俺が一瞬心を奪われただとっ!?」
ソリアは崩れ去っていく。
レイはラオウと相打ちに持ち込める実力はある男、決して弱くはない。その強さが今徐々に輝きだしている。
「よしっ」
レイは確かな手応えを感じ笑みを浮かべるのであった。