寝オチしたらサウザーになっていたが 何か? 作:コトナガレ ガク
南斗軍はよくやっている。
己の流派の威信を懸けて挑んでいる。
それでも修羅軍に勝つのは難しいだろう。
地形を利用してはいるが、いずれ質で匹敵し数で勝る修羅軍に押し潰されるだろう。せめてここに南斗六聖拳の一人でもいればまた違ったのだろうが・・・。
だが怒濤の修羅軍の勢いを一人の男が止めた。
雲のジュウザ、ラオウに匹敵する天賦の才を持つ男。
ジュウザにより今暫くは南斗軍は保つだろう。
山の中腹に隠れ戦場を見下ろす俺は少しほっとした。
「サウザー様、敵本陣の位置が分かりました」
偵察隊として放っていた部下が戻ってきたようだ。
「そうか、してどこだ」
「あそこです」
部下が指し示した位置を双眼鏡で見れば、羅将ハンが美女に酒を注がせているのが目に入った。
クソがダンディーを気取りやがって、戦場に女を連れてくるんじゃねえよ。こちとら帝王になったのにマミヤとカレンの目が厳しくて、そういう事一切出来ないんだぞ。
思わず別の意味で殺意が溢れ、思わず貴重な双眼鏡を握り潰すところであった。
「サウザー様、今なら主力部隊が前に出すぎて本陣の周りは手薄です」
「うむ」
自分の腕を過信したなハン。普通ならそれで問題ないだろうが、ここにお前に匹敵する拳士がいたのが運の尽きだったな。
それでもだ。ここからハンの本陣の間には相当の距離があり、間には修羅の後詰めの部隊が待機しているのが見える。あれらの部隊全ての目を掻い潜ってハンの本陣に迫るのは神業、それこそ闇夜のカーネルでも無ければ難しい。
「ガレッキー」
「ここに」
「お前の出番だ」
「了解しました。
距離観測」
ガレッキーの部下が何やら道具を使ってハンの本陣とここの間の正確な距離を測る。
「距離よーし」
「風速観測」
ガレッキーの部下が戦場のあちこちの木々のてっぺんに仕掛けておいた、棚引く布を観測する。
「風速観測よーし」
「計算」
ガレッキーの部下の頭の良さそうなものが貴重な紙を使って計算する。
「計算よーし」
「全てよーし。
サウザー様準備万端です」
「ガレッキー本当に頼むぞ」
「お任せください」
ガレッキーは自信満々に答え、もはやそれを信じるしか無い俺だった。
「ふっ、つまらぬな。圧倒的では無いか、我が軍は。所詮島国の拳法など、この程度か」
ハンは飲み干したワイングラスを美女に差し出す。
「はい」
美女はグラスにワインを注ぎ、そのワイングラスに影が走る。
「なにッ!?」
ハンがばっと見上げれば遙か頭上より舞い降りる不死鳥の影。
「南斗人間砲弾」
南斗の真骨頂頭上よりの強襲。手をはためかせ落下地位を調整しつつハンに迫る俺、それも重力加速度限界近くまで加速し、俺の体は分解寸前。正直激突するだけでハンを吹き飛ばせる。
「ぬん」
ハンは咄嗟に飛び退いて、俺はハンが元いた位置を通過して落下した。
うぬおおおおおおおおおおおおお、ここからだ不死身の帝王の見せ所。
これぞ南斗空挺拳五点着地。
あた、いて、うげ、ごは。ごろごろごろ、どかん。
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「はあはあ、帝王の不死身の肉体を見たか」
俺は立ち上がりハンを睨む。
「いや俺なにもしてないんだが」
ハンは勝負の前から傷だらけのボロボロとなった俺を憐れみの目で見るのであった。