寝オチしたらサウザーになっていたが 何か? 作:コトナガレ ガク
「カイオウ様、ハン様がサウザーと交戦状態になったようです」
「何!? もうか」
修羅軍第三陣本陣。
こんな時代の船での上陸作戦の為第一陣が上陸してからカイオウ率いる第三陣が上陸するまで随分と間が空いてしまった。
第一陣どころか第二陣すら進軍が進んでしまっている。それでも用心深いカイオウは上陸すると同時に斥候を放った。
状況が掴むまでの本陣として取り敢えずカイオウは無人となっていた屋敷を接収すると悪の親玉の様式美に乗っ取り部屋の中で独り椅子に座りワインを呑んでいたところ、部下が飛び込んで来たのである。
今回の第一目的は最大の脅威ラオウの怪我が治らないうちに確実に止めを刺し修羅の国の憂いを確実に絶つこと。その際に障害になると目されるのがサウザー。報告では怪しげな術でラオウを倒し、殺してくれればいいものをこもあろうか巧みな話術で修羅の国へ帰るように翻意させたとある。
南斗如きと思っていたがラオウを倒しその後ろ盾になるというなら、もはや放置は出来ない。確実に潰したいがラオウを倒した怪しげな術が気掛かりだった。出来ればハンかヒョウを先にぶつけて直に見極めたいと思っていた。
だが予想以上に大軍での上陸は手間が掛かりその間にハンは快進撃を続けてしまい、既に南斗帝国の喉元まで迫ってしまっていた。こうなれば仕方が無い、倒せれば良し倒せなくてもせめてサウザーに手傷を負わせることを祈るしか無い。
しかし同じ失態を二度するわけにはいかない。カイオウは軍をいて自分一人でも先行してヒョウの軍に追い付こうか思案を初め気付いた。
「まだいたのか、下がれ」
「それともう一つ重要な報告が」
カイオウが命令するが伝令の修羅は下がらず悲愴な顔で言う。
「どうした?」
「他の者に聞かれたまずい為、もう少し近付いていいでしょうか?」
伝令の修羅は重々しい雰囲気でカイオウに告げる。
「よかろう」
「はっ」
伝令の修羅はゆっくりとカイオウの方に近寄り。
「死ねーーーーーーーーーーーーーーーカイオウ」
間合いに入るやいなや必殺の奥義を繰り出した。
「甘いわっ」
カイオウの魔闘気が伝令の修羅の動きを拘束し必殺の拳が伝令の修羅を砕く。
「どういうことだ?」
肉塊となって床にぶちまけられた伝令の修羅を見下ろしながらカイオウは訝しげに思う。
それなりに忠誠心の厚い修羅を使ったつもりだったが演技だったというのか? それがこの遠征でチャンスと思い牙を剥いた? だが叶わぬことなど重々承知しているはず。
ラオウに止めを刺そうと意気揚々と上陸したが早くも暗雲が立ちこめだした。
「カイオウ様、急信、急信です」
また一人修羅が飛び込んできた。
「どうした?」
「大変です、直ぐ傍まで・・・」
慌てた修羅は焦りながらカイオウに近付いていき。
「死ねーーーーーーーーーーーーーーーカイオウ」
「ふん」
カウンターが修羅を砕く。
「急信急信」
「大変です」
「重要な報告がーー」
その後も修羅は飛び込んで来ては肉塊になった。
「一体何が!?
そこだっ」
思案していたカイオウは突如背後に魔闘気を放った。
そして蝋燭に伸びるカイオウの影からケンシロウがにゅーと表れた。
「北斗神拳は二千年の歴史を誇る暗殺拳、よくぞ気配を掴んだ」
ケンシロウは騙し討ちをしようとしたことを一切悪びれるどころか誇らしげに言う。
原作の一騎討ち主義と違い、ユリアを奪われたショックで暗殺拳の使い手として目覚めたケンシロウだが、性根は同じ。人々を苦しめる修羅を放っておけないと、ジャギを近くの民家で眠らせて一人カイオウの暗殺に赴いたのである。
「貴様、この修羅を操ったのは貴様か」
「北斗神拳は二千年の暗殺拳、秘孔を突いて心の奥に秘めた憎悪を解き放つなど造作も無いこと」
信用していた配下が突然裏切る、これ以上に恐ろしいことは為政者にとってない。
「貴様も北斗神拳の伝道者なら正面から来い」
「ふっ笑止。北斗神拳は暗殺拳。敵は闇に葬るのみ。
だが対等の者が表れたというなら真正面から打ち砕くしかあるまい。
こい」
ケンシロウは掌をカイオウに向けてクイックイッと曲げて挑発する。
「ならば喰らえ、北斗琉拳暗琉天・・・」
「死ねーーカイオウ」
背を向けていたカイオウに新たな修羅が部屋に飛び込み襲い掛かる。
カイオウは咄嗟に振り返って暗琉天破を修羅に放ち、飛び込んできた修羅は空中に浮いてしまう。
「ぬんっ」
空に浮いて身動きの出来ない修羅をカイオウの拳が砕く。
その隙を狙いケンシロウがすっすっすーーーと音も無く迫る。
「暗琉霏破」
「北斗七星点心」
人体の死角を突く見えない拳と剛拳が交差する。
「ぐふっ、やるな」
吐血するケンシロウ、カイオウの死角を突いたケンシロウだったがカイオウの剛拳が擦ったようである。
「今だ、暗琉天破」
迫り来る暗黒闘気に対してケンシロウは、反転し全速力で逃げた。
「なにっ」
「暗琉天破、向かってくる敵には無敵でも逃げる敵にはそうでもないな」
ケンシロウはもはやカイオウの手の届かない間合いの外まで退避していた。
「カイオウ、お前はこれから誰も信用できず暗殺に怯える日々を過ごすがいい」
暗殺拳の敗北は己が死にターゲットが生き残ったとき。己が生きている限り暗殺拳に敗北は無いのである。
死の宣告をしてケンシロウの姿は闇に溶けてしまう。
「おのれっ」
カイオウは虚空を睨み付け、ラオウ以上の強敵の出現におののくのであった。