寝オチしたらサウザーになっていたが 何か? 作:コトナガレ ガク
大平原を舞台に南斗軍と修羅第二軍が対峙した。
互いに鍛え上げた男達の大軍、吹き荒れる風に男達の殺気と熱気が混じる熱風となって吹き荒れ、両軍の先頭に立つヒョウとサウザーを煽り立てる。
正直ヒョウはチョロかった。
中途半端な洗脳で修羅だけど人格者。ヒョウ率いる修羅の第二軍は邑を占拠するが邑人には手を出さないという。善人かと言えばそれでも修羅なので帝都陥落を目指してやってくるという非常に中途半端だった。
本命であるカイオウとの決戦を前に部下の損耗を押さえたかった俺は、その微妙に人格者であることを利用して、ハンを倒した男サウザーの名で民を巻き込まないようにこの平原で決着を付けようと使者を出したら簡単に応じてくれた。
「無駄に血を流す必要もあるまい。このサウザーが相手をしてやろう」
「望むところだ。貴様がサウザーかハンの仇討たせて貰う」
修羅でありながら修行仲間のハンへの仲間意識は本物のようでヒョウから膨れ上がる殺気が吹き付ける風を撥ね除ける。
「つくづくピエロだな」
「どういう意味だっ」
「己を見失った男に勝利など無い。
まずは第一形態で相手をしてやろう。
いきなり天翔十字鳳」
天高く飛び上がった鳳凰がヒョウに襲い掛かる。
「その程度のスピード、初見で見切れるぞ」
俺の動きを見切ったヒョウが拳を突き出すが、拳は俺の体をすり抜けていく。
「!?」
すれ違いざま俺の手刀がヒョウの体を切り裂く。
「馬鹿な、確かに俺の拳は捕らえたはず」
「ふっ色即是空。邪念に塗れた拳では俺を捕らえることは出来ない。いい加減目を覚ませっ」
「さっきから何を言っている?」
「お前のその姿に父は泣いているぞ」
「気持ち悪いぞお前」
ヒョウから間合いを詰めて来るが、いち早く俺の天空に舞う。
くっく、天空に舞う俺を捕らえることなぞ、ケンシロウかカイオウかハンくらいしか出来ない。
「舐めるなっ俺も北斗琉拳の使い手。
ぬうううううううううううううんっ」
ヒョウが両手を前に突き出し旋回させると暗黒闘気によって、またしても鳳凰の羽ばたきは封じられた。
くそっこれだから北斗の拳 後半のインフレバトルは嫌なんだ。これじゃ拳法じゃ無くて超能力じゃ無いか。
「ふんっ」
「がはっ」
胸を突かれ俺は吹き飛んだ。
「「「サウザー」」」
後方に控えていた南斗軍 親衛隊 ユリア、マミヤ、アイリ達の悲鳴がある。
「ふんっ、秘孔を突いたお前の命は後数秒。せめて愛した女達に看取られていくがいい」
ヒョウは俺の秘孔を突き勝利を確信した笑みを浮かべる。
「こうなったら行くわよ」
格好付けた台詞を吐くヒョウを無視して親衛隊は円陣を組む。
「はい」
バサッと親衛隊のみんながマントを脱ぎ捨てると、中からは世紀末には似合わないチアガールコスに身を包んだ女体が現れる。
生足、生腹を晒し、ピッチピッチの胸、男達の夢が凝縮したような美女達のチアガール姿に両軍の男達から歓声が上がる。
「ゴーゴーレッツゴー、立ち上がれサウザー」
チアガールとなったマミヤ達がボンボンを振って声援を送る。
「ふんっ。
サウザー、愛によって復活」
女達の黄色い声援に答え俺は立ち上がった。
「馬鹿な確かに秘孔を突いたはず」
「いいぞっいいぞっサウザー。
やったちぇえ、やっちゃえ、サウザー」
三人は乱れること無く揃って切れ味鋭くその生足を惜しみなく上げて声援を飛ばしてくる。惜しい、戦前だったらチアガール大会で優勝出来たであろう。
「はっ」
俺は神速でヒョウの間合いに潜り込む。
「速いっ」
「これぞサウザー第二形態」
ヒョウは後方に飛んで間合いを取ろうとするが、それより早く俺の拳が繰り出される。
「ぐはっ」
俺の拳はヒョウの顔面にヒット。
「この化け物が」
だがヒョウも負けじと拳を俺に繰り出してくる。
「ぐへっ。だが負けるか」
「ぐはっ。くそっ」
「ぐへっ。まだまだ」
「ぐほっ。こっちこそ」
俺とヒョウは足を止め避けること無く、交互に拳を繰り出していく。最初こそ必殺の秘孔を狙っていたヒョウも何時しか無心に力を込めた拳を返すのみ。
まるで昭和の河原の番長同士の闘い、延々と繰り出される拳と拳。
「やるじゃ無いか」
「お前こそ」
そして友情が芽生えていく。
「お前ほどの男がなぜカイオウなんかに従う」
「それは」
「目を覚ませ、お前はそんな男じゃ無い。共にカイオウを倒しこの世を平定しよう」
「ううっそれはそれは」
ヒョウは頭を抱えて悩み出している。
いいぞ、これぞ愛の拳「タイマン張ったらダチ」これでヒョウも目覚めて仲間に成る。
「俺は俺はっ」
「さあ、目覚めろ。本当の自分を思い出すんだ」
「俺はっーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
ヒョウの雄叫びと共に目の前が暗黒に染まり、俺は吹っ飛ばされるのであった。