寝オチしたらサウザーになっていたが 何か? 作:コトナガレ ガク
「ぐおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」
暗黒闘気に吹っ飛ばされ地面に倒れる俺の目の前でヒョウの全身から暗黒闘気が噴き出し魔人化している。
原作にもあったカイオウの細工か。記憶を取り戻したわけじゃ無くても発動するとは誤算だった。
くそっ。
暗黒闘気の圧で体が重い。
俺は何とか後ろを振り向き、マミヤと目が合う。
愛を下さい。
「サウザー立って、立つのよ。立ったらご褒美上げちゃうわよ」
俺のアイコンタクトを受けマミヤが声援と共に投げキッスをしてくれる。
「ふんっ」
マミヤの愛を受けて俺は吹き付けてくる暗黒闘気の嵐の中立ち上がった。
やはり愛は偉大だ。愛は偉大で立ったはいいが、このままでは駄目だ。ケンシロウと殴り合っていたら目覚めたからいけると思っていたが甘かった。
魔人と化したヒョウをどうやったら目覚めさせられる?
女達の愛を受けた俺なら負けないまでも、殺してしまうだろう。ケンシロウのこともあるから、出来れば仲間に引き入れたかったが仕方ないか。
幸い俺かカイオウかラオウかトキが言わなければ、ヒョウが実の兄であることをケンシロウは知らない。
・・・
意外と多いな。
だが
引かぬ 媚びぬ 省みぬ
帝王は進むのみ。
倒した後で上手く立ち回れば、ケンシロウの恨みを買うことは無いだろう。いざとなればユリアに口添えして貰って・・・。
進んで覚悟を決めねば愛する女達が不幸になる。
「つくづく哀れな。せめて愛の拳でお前を送ってやろう。
フンッフンッフンッフンッフンッ」
愛を纏った手刀で暗黒闘気の流れを切り裂き俺は前に進んでいく。
「小癪な」
ヒョウは狂気に染まった顔で俺に向かって突撃してくる。
暗黒闘気の圧が増し、切り裂くのが困難になっていく。
「ならば見よ。これぞ愛を知った帝王の拳」
俺は暗黒闘気の流れに乗り天に舞った。
「その技は見切ったわ、ぬうううううん」
ヒョウは前に手を突き出し旋回させることで暗黒闘気を操り俺を先程のように翻弄しようとする。
「馬鹿め。
これは空を知り
愛を知り
羽ばたく、真・天翔十字鳳。
もはや闘気といえど俺を捕らえることは出来ぬわっ」
俺は暗黒闘気の流れを見切りサーファーの如く暗黒闘気の流れに乗った。
もはや拳も闘気すらも俺を捕らえることは出来ない。
優雅に天空から滑空しヒョウに迫る。
「哀れなピエロよ、今解放してやろう」
「抜かせ」
ヒョウの迎撃の拳が俺の体をすり抜け、俺の手刀がヒョウの体を貫こうとしたとき。
止まった。
ヒョウを貫くはずだった拳は止まり。
女達の声援も大地を埋め尽くす兵士達の歓声も止まる。
「ばっ馬鹿な」
「お前は誰だ」
「兄より優れた弟はいねえ。
この勝負俺が預かった」
俺とヒョウの間に立ち、両者の拳を受け止めたジャギがいた。
やだ、何か格好いい。
「どういうつもりだジャギ?」
此奴はケンシロウを苦しめるため一生聖者に成り済まして世直しの旅に出ていたはず。それがなぜ俺とヒョウの勝負を邪魔する。どちらかと言えば俺の味方をして修羅共を倒していくのが筋じゃ無いのか?
「どういうつもりだと聞かれちゃあ、答えるしかねえ。
兄より優れた弟はいねえ」
何を言っているんだ此奴、聖人を気取りすぎて狂ったのか?
「修羅退治をしているときに小汚え爺から、此奴が実はケンシロウの兄貴だと聞いちゃあ黙ってられねえ」
しまったったーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー、もう一人ヒョウの正体を知る奴がいたわ。
「ケンシロウ誰だそれは?」
ヒョウも見知らぬ男の乱入に呆気に取られていたが、兄と聞いてジャギに尋ねる。
「陰キャのコミュ障の癖して美味しいところを掻っ攫っていく愚弟よ。
ヒョウ、分かる分かるぞお前も悲しき兄の宿命を背負った男。
だが、だが違うぞ。俺達は弟の踏み台じゃねえ」
ジャギの魂の叫びが大地に木霊する。
そう言えば、此奴もケンシロウの兄だったな。
「もう一度言う。
兄より優れた弟なんかいねえ」
見開きドアップで描かれたくらい迫力ある。
「下がれサウザー、ここは俺の出番だ」
「分かった。任せよう」
実力的にジャギじゃヒョウの相手には成らないがジャギの兄への執念は本物、ある人も執念こそ強さの原動力といっていたし、もしかしたらと賭けてみる気になった。
それにだ。負けても俺に損は無く、殺してしまってもケンシロウの恨みはジャギに向かうし、上手くいけば万々歳とノーリスクでもある。
「すまねえな。
ヒョウ、俺が同じ兄としてお前を救ってやるぜ」