寝オチしたらサウザーになっていたが 何か?   作:コトナガレ ガク

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第56話 覚醒

「羅漢擊」

「ふんっ蠅が止まっておるわ」

 ジャギ必殺の羅漢擊をヒョウは余裕で躱していく。もはや暗黒闘気すら使わない舐めっぷり。

「兄とか言っていたので興味を持ったが、とんだ道化だな。

 ふんっ」

 ヒョウの拳の影すら捕らえることすら出来ずジャギの胸がボコッと凹む。

「がはっ」

 血反吐を吐いてジャギが膝を付く。

「秘孔は外しておいた。俺の弟とか言う奴について知っていることを言え、そうすれば楽に殺してやろう」

 完全に勝った気でいるヒョウだが、ジャギも最後まで残った伝承者候補、加減された一撃とはいえ立ち上がった。

「無駄だ」

「いいだろう、教えてやろう。そして俺と同じ兄の宿命を背負えっ。

 喰らえ、ケンシロウは陰険羅漢擊」

 にやっと不敵に口元で笑ったジャギが繰り出すは、やはり羅漢擊。

「ふんっ」

 ジャギの気合いが乗った羅漢擊だがヒョウは先程同様軽く躱す。

「ケンシロウは眉毛が太い羅漢擊」

「えっそうなの」

「ケンシロウは陰キャラ羅漢擊」

「その程度」

「ケンシロウは極度のコミュ障羅漢擊」

「会話出来るの?」

「ケンシロウはそのくせ美味しいところを持っていく羅漢擊」

「寧ろどれでどうやって?」

 ジャギの拳一撃一撃にケンシロウへの悪口、いやケンシロウへの憎悪が乗って拳の切れが増していく。

「信じられるか、あれで美人の恋人がいるんだぞ羅漢擊」

「もはや嫉妬では?」

 躱しはするがヒョウに段々と余裕が無くなっていく。

「どうだ、こんな弟を持った俺の苦しみが分かるか」

「なんか俺の弟が迷惑を掛けたようだな」

「そうだっお前の所為だ。兄のくせに弟に伝承者候補取られてヘラヘラしてんじゃねえっ」

「なにっ!?」

 くどいようだがジャギも最後までの残った伝承者候補。その才は天才には及ばないが秀才くらいはある。それが証拠に彼は南斗聖拳も身に付けている。

 吹き矢を使い卑怯な印象もあるが、別の見方をすれば強さに貪欲で新しいものを受け入れる柔軟性と応用力があるとも言える。

 北斗神拳の神髄は、実戦で磨かれていく進化にある。

 今ジャギの北斗神拳伝承者の才の片鱗が開花する。

 暗黒闘気は殺意憎しみや嫉妬などの負の感情の発露。嫉妬の塊であるジャギには元々下地は誰よりもあった。

 見取り稽古というものがあり、技は見て盗めが古来よりの基本。

 そして道場の稽古より一度の実戦で人は成長する。

 暗黒闘気の使い手との命を賭けた実戦はジャギを一皮剥けさせた。

「魔拳羅漢擊」

 ジャギの拳に暗黒闘気が宿った。

 嫉妬憎しみが宿った無数の拳の奔流は、相手の思考を惑わし狂気に誘う。

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ」

 実力はヒョウの方が完全に上。本気だったら魔拳羅漢擊といえばヒョウの暗黒闘気を破れなかっただろう。

 だが舐めプで暗黒闘気を遣ってなかったヒョウは相手を狂気に誘う拳をまともに受けてしまった。

 吹っ飛ばれ地面に転がっていく。

 嫉妬の暗黒闘気で喰らった相手を狂気の世界に引き釣り込む恐るべき魔拳。

 ヒョウもジャギ同様ケンシロウへの憎しみに囚われるのか?

 

 立ち上がったヒョウ、その顔は晴れ渡り爽やかな顔であった。

「目が覚めた」

 相手を狂気に誘う魔拳、その相手が既に狂っていたら。

 -×-=+

 つまりそういうことで、元々カイオウに狂わされていたヒョウは正気を取り戻すのであった。

 

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