寝オチしたらサウザーになっていたが 何か? 作:コトナガレ ガク
「あれか」
ジープを自ら運転していると見えてきた邑。
外の荒野を動き回るなら機動性は大事、よって聖帝様専用バイクは帝都に置いてきた。
「サウザー様、どうしますか?」
並走していた南斗聖拳108派の中より厳しい条件をクリアした選りすぐりの精鋭の一人が聞いてくる。
条件は三つ。
①モヒカンじゃ無い
②顔が怖くない
③会話が出来る
「そのまま直進だ」
「はっ」
俺達が邑の入口まで来ると手に手に武器を持った男達が出迎えてきた。このまま轢き殺すなんてマネはせず車を止めて下車する。
「何の用ですか?」
邑の長老が俺に問い糾してくる。
待ってましたとばかりにマントを翻し俺は名乗る。
「俺は聖帝サウザー。
喜ぶがいい、今よりこの邑は南斗の支配地にしてやろう」
「なっなんだと」
「巫山戯るな」
男達が一斉に激怒する。
なぜだ?
此方は相手を刺激しないようにモヒカンはいない。
モヒカンはいないんだぞ。
「聖帝軍に入れば格好いい聖帝軍ユニフォームも貰えるぞ」
隣に立つ精鋭がポージングを決める。
「「「「だから巫山戯るなっ!!!!!!!!!!」」」」
武器を振り上げ襲ってくる邑人達。
ちっ流石世紀末、邑人といえど血の気が多い。
仕方が無い、俺はさっと部下を制して前に出る。
怒っちゃ駄目だ。
殺さない、殺さない。
レイを手本にして。
「前進、制圧」
無防備に前に出る俺と男達がすれ違った瞬間。
「「「いや~ん」」」
男達の服がちりぢりに切り刻まれ素っ裸になる。
股間を隠して蹲る男達、うん醜い。
「俺がその気だったらどうなっていたか分かるな?」
「うう、くっ殺せ」
だから男がその台詞言っても嬉しくない。
しかし、意外と根性があるな邑人。やりたくは無いがやるしか無いのか。
俺が一歩前に出るとさっと長老が俺の前に立ち塞がる。
「受け入れます。聖帝様」
邑の長老は平伏する。
「分かればいい、俺も余計な血は流したくない。
それにお前達にとっても悪い話じゃ無いはずだ。この邑の治安と秩序は南斗が責任を持って守る。もう夜盗に怯えることはないぞ。
うわははっはっはっははははははははははははははーーーーーーーーーーーー」
「ははーーーーーーーーーーー」
邑人達は平伏するのであった。
だがこんな光景が見たかったわけじゃ無い、こんな光景を見る為にこんな邑に来たわけじゃない。
その夜はサウザー様歓迎会となった。
廃墟に囲まれた邑の広場でささやかな宴会。
酒も肴も現代日本を知っている身からすれば粗末な物。シンはいい時代になったとか言っていたが、どう考えても平和な時代の方が俺はいい。
「ふっふ」
まあそれでも酒は酒、飲めば酔える。
それにしても華が無い、野郎ばかりだ。妙齢の女性達は怖がってみんな家に引き籠もっている。
そんなに性欲魔人に見えるのか? ちゃんとモヒカンは外してきたというのに。面白くないが、ここはイメージを保つ為にも文句は言わず黙って飲んでいると、空になった杯に酒を注ぐ健気な少女が現れた。
誰であろうリンである。
リンちゃん来たーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ。
俺がこんな辺鄙な邑に来た理由はただ一つリンちゃんを手に入れる為。
リンちゃんこそ北斗の拳における最重要人物。ケンシロウが強くなった要因の一つでありながらまさかの天帝様。こんな重要人物を野放しにしておけるわけが無い。
かといって真正面からリンちゃんを要求してみろ、聖帝様ロリコン疑惑が世紀末に駆け抜けてしまう。
聖帝様のイメージが急降下だ。だから出来るだけ自然にさり気なく手に入れる為こんな回りくどいことをしたのだ。
来たぞ来たぞ、興奮するな鼻息荒くするな。ロリコン認定されてしまう。
帝王らしく鷹揚に。
「ほう、気が利くな。少女よ名は?」
「・・・・」
「すいません、この娘はしゃべれないのです」
傍で控えていた長老が取り直してくる。多分此奴が俺がぶすっとしていたので気を利かせて、村の厄介者でもあるリンに酌をさせたのであろう。
小物めと言いたいが今はいい仕事した。
「そうか、可哀想に。
良し」
俺はさり気なく事案にならないように爽やかに父のようにリンを抱え上げる。
「いい医者を知っている。俺と共に来い、またしゃべれるようにしてやろう」
リンは俺を見て長老を見て俺を見て長老を見て、ある意味イヤイヤしているようでありながらも空気読めの長老の圧力に負けて首を縦に振るのであった。
よっしゃーー、心の中喝采を上げてしまった。
一応無理矢理でなく承諾を得てリンちゃんを手中に収めたことになった。
ふっふ、俺の世紀末聖帝様伝説は好調に滑り出したぜ。
だが俺は知らなかった。俺のリンちゃんへの態度を見て早くも部下の間では聖帝様ロリコン疑惑が芽生えているのであった。