寝オチしたらサウザーになっていたが 何か? 作:コトナガレ ガク
大軍で邑を包囲する南斗軍を前にして一人堂々と立ちはだかる男がいた。
トキである。
北斗の世界に数は意味は無く、どれだけの大軍で囲もうが意味は無い。
俺さえ倒せば、あとのユダ率いる南斗軍など余裕でトキ一人で粉砕できる。
だがそれが通用するのはトキが本当に一人の場合。
だがまだ秘策は使わない。
まずはサウザー俺一人でトキと勝負する。
別に拳士の誇りでも何でも無い、この後に控えるラスボス「ラオウ」との戦いに備え強くなる為である。強くなる為には北斗の世界では強敵と書いてトモと呼ぶ男との戦いが不可避。
「久しいなトキ、少しやつれたか」
ジープから立ち上がると腕を組みマントを靡かせながら言う。社会人の挨拶としては失格レベルだが世紀末だから問題ないというか、世紀末ではこれこそマナー。
「サウザー、何の用だ?」
此方を見るトキの眼光は湖水の如く怯む様子は全くない。
「スカウトに来た。我が軍に入れトキ。
悪いようにはしないぞ」
「断る」
にべもなく断られる。
「いやいや、まずは待遇を聞いてからでもいいのではないか?」
「覇権争いに興味は無い。私は忙しい」
取り付く島も無い、けんもほろろで断られる。だが前世でもここで引くほどヤワな営業活動をして鍛えていない。
「これだけの大軍に勝てるとでも、何より帝王である俺に勝てるとでも思うか。
俺に北斗神拳は通用しない」
引いて駄目なら押してみる。
「驕るなサウザー、お前の躰の秘密は知っているぞ」
名台詞頂きました。
うん、お前が知っていることは知っていたし、この台詞やはりラオウが言うよりトキが言った方がしっくりくるな。
「ならば拳士らしく拳で屈服させてやろう。
っとそれはそれとして、トキ勝負の前に頼みがある」
「なんだ?」
一転いきなりお願いする俺にトキは初めて戸惑いを見せる。
「リンちゃんしゃべれないんだが、治してくれないか?」
俺は隣に座っていたリンちゃんを抱え上げるとジープを降りて無防備にトキの下に連れて行く。
訝しむトキだが患者を前にしては医者、トキはリンちゃんの触診を始める。
そわそわ、リンちゃん治るかな。
原作ではケンシロウが治せたんだから本業のトキなら問題ないはず。
なのにドキドキが止まらない。
これが父性?
「ふん」
触診が終わりトキは秘孔を押す。
「後は本人の意思次第だ」
トキは患者を安心させる名医のように静かに告げる。
「先生、ありがとうございました」
ふかぶか~と頭を下げる。
「まっそれはそれとして。
リンちゃんは危ないから離れていなさい」
こくんと頷くとリンは俺の後ろに駆けていく。
「ついでに言うと俺にもしものことがあったらリンちゃんを頼む」
「・・・・・・。
分かった」
「よしっ。
これでもう憂いはなし。勝負だトキ」
再び帝王モードに戻って俺は宣言するのであった。