時刻は3時前。
場所は1階校舎奥の階段へ向かう廊下。
「ところで、『幽霊階段と無限教室』はどういう話なの?」
「うん。
夜中の3時33分に幽霊階段を上って3階校舎に行くと、そこには無限に教室が広がっているんだって。
その教室は全て存在しない幻想の教室だから、部屋の物を壊そうが燃やそうが何をやってもいいんだけど。
帰るときには必ず、上ってきた階段から下りないといけない。
別の階段から下りてしまうと、無限教室から抜け出すことはできない……だったかな」
そんな事を話していると、幽霊階段の前についていました。
「……なんだァ? シャッター?」
階段はシャッターが下ろされており、シャッターには『時間外立ち入り禁止!』の張り紙が貼られています。
「……夜はシャッターが下ろされているのか。
侵入防止対策かなあ」
3人が携帯を見ながら話をしていると。
“第42日目”が始まり、4人の電話が一斉にメール受信をします。
内容は、以下の通りでした。
『口だと3階まで上ります。
目だと4階まで上ります。
鼻だと9階まで上ります。
じゃあ、耳だと何階まで上りますか?』
随分あっさりした内容です。
そして、例の文字を確認します。
『ただし、間違った答えをすると、死にます』
顔を上げると、先ほどの張り紙は白紙になっていて、横にボールペンがぶら下がっています。
「答えを書いて……その階層分、上るってことなんだろうなァ」
「うあ……あたし、5階以上とか上れる気がしないんですけど」
「クソ猫ォ……あんまし、俺らの士気、くじくなや……」
「あ、ごめん……えっと、なるべく少ない階層だと、良いねえ」
猫の少女が素直に謝ります。
しかし実際は犬の少年自身も、正直あまり高い階層を上れる気はしていませんでした。
先ほどの貴婦人による手足への攻撃は、かなりのダメージになっているみたいです。
「……ちょっと待って。
みんな、時計を確認してみて」
驢馬の少女が驚きの顔で携帯電話を見つめています。
『3時05分13秒 “第42日目”
残り 54:47』
「時間が……止まって、いない?」
そうです。
今までは、どういう理屈か知りませんがXX時00分ジャストで時間が止まって、その横の残り時間だけがカウントダウンしている形でした。
今回は、50分以上の時間が割り当てられている代わりに、通常の時間も進んでいるようです。
「このミッションを解いたら、ほとんど休む暇もなく最後のミッションに移行すると思う。
連続にする意味を考えると……多分、49日目のミッションは、無限教室がらみかな」
「とにかく、急いで解こう。
早ければ早いほど、次のアドバンテージになるし」
3匹は頭を捻って考えます。
「目が4で、口が3……」
3匹とも頭を捻っています。
多分、今回も、気づき一発系だと思うのですが、
「……え?あ、わかった!
わ、わかったけど、え? え? え??」
猫の少女が正解が解った喜びの声を上げた後に、すかさず困惑の声を上げました。
せっかく答えが解ったと言うのに、なんだか絶望した表情をしています。
……上る階数が、多かったのでしょうか?
「ホント?
教えて、猫屋敷さん!
答えは?」
「その顔だと、かなり上らないとダメらしいな。
いくつだ、5か、10か?」
「……ちょう」
「「……は?」」
猫の少女は突然、ペンを握るとガレージの張り紙に答えを書き込みます。
紙の左端に『1』と記載すると。
……そこから『000000……』とゼロを無数に書き始めました。
0の多さにぽかんとする他2匹。
そして、答えを書き終えた猫の少女が呟きます。
「口は
目は
鼻は
そして……
耳は……
10
シャッターが正解であると告げるように、ガラガラと上にあがって行きます。
絶望する3匹の目の前には。
全く先が見えない、永遠に続くと思われる階段が、姿を現したのでした。