ブレーメンの屠殺場   作:NiOさん

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3人目と4人目

 時刻は4時00分00秒、制限時間は残り3分を切ったところ。

 場所は中学校の4年3組、放送室、その、窓辺。

 

 

 2匹は手を繋いで、外を見ています。

 

 時間は止まっているはずなのに、雲が動いて木々がざわめいています。

 生ぬるい風が2人を包みました。

 もうすぐ、夜明けです。

 

「大丈夫。

 小犬丸くん、これは、『※』の中。

 だから、窓から地面に落ちても、大丈夫」

 

 驢馬の少女が、確かめるように、呟きます。

 

「おう。

 ここは、『※』の中。

 窓から地面に落ちても、大丈夫だ」

 

 犬の少年も、一緒になって呟きます。

 

「……本当に、窓から出ていくんですか。

 あっちの……校門からじゃなくて、良いんですか?」

 

 私が2匹に向かって話しかけると。

 驢馬の少女がなぞなぞノートに書かれたなぞなぞの一説を復唱します。

 

「『部屋の中に入ると、その奥にニッケルさんの小部屋がありますので。

ドアからではなく(・・・・・・・・)窓から入ってください(・・・・・・・・・・)』」

 

「間違いなく……こっちが正解……のはずだ」

 

「……本当の、本当に、良いんですか?

 なぞは、まだ、残っていると思うんですが?」

 

 私は再度考え直すように話しかけましたが、それ以上は会話は不要と判断したのか、2匹は無言で窓から広がる階下の景色を見つめています。

 

「一応、3階だと思い切りがつかないかもしれないので、13階の高さにしておきましたよ?」

 

 2匹が見る風景は、13階建ての建物からのそれと同じ……しかも、地面はコンクリート。

 間違いなく即死の状況です。

 

「……わざわざ、どうも、ありがと。

 それじゃあ、永遠に、バイバイ」

 

 驢馬の少女がその言葉を発すると同時に。

 

 2匹は窓からダイブしました。

 

 

「……やれやれ、本当に、落ちちゃいましたかぁ……

 

 

 

 

 

 

 

 最後のなぞを(・・・・・・)解きもせず(・・・・・)

 

 

 誰もいなくなった放送室で、私は独り言ちます。

 

 

 

「うーん。

 デスゲーム、ですか、デスゲームですよね……。

 

 

 

 さすがに、4匹全員(・・・・)ってのは(・・・・)やり過ぎだったかなぁ(・・・・・・・・・・)

 

 

 深く椅子に腰かけながら、私は今回の一連の流れについて、反省をしてみます。

 

 ですが、覆水盆に返らず。

 

 もう4匹は、私の手の届かないところに行ってしまったのです。

 

 悲しい気持ちで窓辺から階下を見下ろすと。

 

 ……2匹が。

 

……頭から脳みそを出した(・・・・・・・・・・)状態でコンクリートの(・・・・・・・・・・)地面の上に横たわって(・・・・・・・・・・)いました(・・・・)

 

 

「……。

 これで、4匹全員。

 

 

 

……他界してしまいました(・・・・・・・・・・)()

 

 

 ……残念です(・・・・)

 

 私は寂しげに、放送室の椅子をキイ、と鳴らすのでした。

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