よろしくお願いします。
「またあの子一人ぼっちよ。」
「駄目よ。あんな変な子に関わったらこっちも変な目で見られるわよ。
「やだねー、関わらないようにしよー。」
……そういうことを笑いながら話すお前らもどうかと思うがな。
俺の名前は
そう、イジメだ。
対象となっているのは今年福島から東京に越してきた、星輝子という子だった。
イジメというのは大体喋るのが下手、地味な子、趣味が変わった子というのが多いと思うが、残念なことに彼女には全てが当てはまっていた。彼女がクラスでの自己紹介を行ったときのセリフが、
『え、えっと……星輝子、です。趣味は、キノコの、栽培、です。えっと……ヨロシクオネガイシマス。』
もごもごとして聞き取りにくいしゃべり方、キノコの栽培というマニアックな趣味、暗くて誰とも話さない、イジメられる要素の役満だな。
まだ4月だが、当然のようにイジメは起きた。主犯は
俺が知っているだけでもノートに落書きをしたり、靴を隠されたりしているようだった。昼飯も今では屋上で食べていた。
(部活行こ……)
放課後ということもあり、廊下にまばらになった生徒を抜けて体育館に向かう。件の星は早々に教室を出たようで席にはいなかった。
「そういえば今日は部活ないんだった……。」
体育館に向かったはいいが、着いたら一面バスケ部が使っており、自分が所属するバレー部の部員は誰一人いなかった。
「まあいいや。帰って漫画でも読も……。」
少し遅くなったが、自転車に乗って帰る。本当だったら原付に乗りたいが、年齢がな……。その時、自分の前に誰かが自転車で走っていることに気づいた。
(誰だ……?)
よく見てみると、特徴的な長い灰色の髪をなびかせた星の姿だった。
「♪~」
(鼻歌?鼻歌とか歌うんだな……)
星は俺に気付いている様子はなく、明るい声音で鼻歌を歌っていた。
(……意外と可愛い声してるな……てかこの歌……)
「く~れない~にそまった~こ~のお~れ~を~……」
(紅かよ!!)
ジャリッ
「ヒッ!?」
(!気付かれた!?)
星が勢いよくこちらへ振り替える。
(いや別に気付かれたからってなんかある訳じゃないけど、声可愛かったとか思ってたのが恥ずかしいわけじゃないけど!?)
誰に言い訳するわけでもなく慌てていた俺だったが、こちらを振り返った星と目が合う。
「ぇ……ぁ……」
「え」
「うぁぁ……ひゃあーーーー!!!!」
え、なに、今の。
え?今のが星?いつも下向いてばっかりであんなにはっきりと顔見たことなかったけど、あんなに可愛いの?嘘だろ?鼻歌聞かれたの恥ずかしくて、顔赤らめてたの、可愛すぎないか?てか声、あんなに可愛かったのか?歌もうまいし……自己紹介のときと全然違うじゃん!あれ本当にあの星なのか!?
「何だ、あいつ……」
俺がフリーズしている間に星は凄い勢いで帰ってしまった。だが、星がさっきまでいた場所に、星のものであろうハンカチが落ちていた。
反射的にそれを拾い上げると、ハンカチ全体が種類が分からないキノコで埋め尽くされていた。
「何だあいつ!?」
これは俺が、ボッチでキノコな星輝子に、一目惚れをした物語だ。
仕事しながらなので更新は不定期になるところは了承願います。