長年お待たせしました。出来るだけ再開していきます。
「お、おはよう……」
「……おはよう。」
いや、友達になるとは言ったけどさ……校門の前で挙動不審に待ち構えて、俺を見るなり駆け寄ってくるのはどうかと思うんだが……
「挨拶、友達に……フヒヒ。」
……まあいいか。ここは友達として乗っかってやるところだろう。
「じゃあ、私はこれで……」
「へ?あ、うん……」
星は挨拶だけかわすとそそくさと1人で玄関へと向かっていってしまった。一緒に行こうと思ったのに……だが、挨拶だけであんなに嬉しそうにされると、こっちも少し照れるな……
少しの感慨深さを感じながら俺もクラスへ向かうことにする。
「あれは………星さんと………」
そんな俺と星のやり取りを、校門の影から誰かが見ていることには俺は最後まで気づかなかった。
クラスに着けば、星は先についていたようで自分の席に座っている。俺と星の席は少し離れているので、自発的に近づかなければ話すようなこともないだろう。
「おーはよ、月宮!」
「おう友田、おはよう。」
「今日は調子大丈夫か?昨日のお前酷かったからなー。」
「大丈夫だ、問題ない。……多分。」
「多分てw」
そんな下らない話をしていると、大きな音を鳴らせてクラスの戸が開かれ、1人の女子が入ってきた。そちらを見てみると、どこかで見たことことがあるような女子が、誰かを探してているようにキョロキョロとクラスを見回していた。
そう考えているうちに少女やがて目標を見つけたように歩きだし、俺の方へと向かってきた。……て、俺?
「あなた、ちょっと付いてきてもらっていい?」
そう言うと女子は俺の腕を掴み強制的に立たせ、引きずりながらクラスから引っ張り出された。もちろん抵抗はしたが、この女、武道かなにかやってるのか、筋肉量が俺とは違う。
「え、ちょ、まっ……」
有無を言わさぬ行動に俺含め誰も動けず、俺は女子に連れていかれた。
連れてこられた先は屋上だった。女子は俺と扉の間に道を塞ぐように仁王立ちをしていた。え、なにこれ、喧嘩するの?先ほどは突然のことでよく見ていなかったが、その女子をよく見ると、長い黒髪に整った容姿、有り体に言って美少女だった。
「……朝のこと、見てたわ。あの子に先に目をつけたのは私なの。だから手を出さないでもらっていいかしら?」
「……は?」
状況が飲み込めない。まず朝のことってなんだ?
「とぼけないで!今日の朝、校門で、ほ、星さんと挨拶してたでしょ!!」
「……うん。」
「何よその軽い反応は!!……とにかく!あの子には手を出さないで!いいわね!!」
「……はいそうですか、とはならないだろ。お前、思い出したぞ。星のことを苛めてるっていう、校倉要だろ。」
「うっ……いや、あれは、その……」
「苛めてるやつに友達ができるのも気にくわないってか。最低だな。」
そう反論すると、校倉は開き直ったかのように堂々と話し始めた。
「ええ、私は彼女を苛めているわ、あの子の安寧のためにね。」
「……は?どういうことだ?」
校倉が何をいってるのか全く分からなかったが、校倉は熱がこもったかのように話を進めた。
「だって星さん、あんなに可愛らしいのに、周りから笑われてるんですよ!クラスの中では星さんを悪く言う声も上がっています、これでは星さんに悪の手が迫るのも時間の問題……そこで私は考えたのです。私が星さんを苛めてる
「……はあ?」
「嫌な子がいても自分の手は汚したくないもの……そこで私が対応することで、苛めの不穏分子達の鬱憤を解消させるというわけです。第一、他の誰かが何かして、星さんのキレイな顔に傷でもつけたら世界の損失です!!星さんへはその、ポーズですが、苛めてるふりだけしていますが……」
……つまりこういうことか?
星が気に入らなく、苛めたい奴等がいる。
↓
そいつらが星に危害を加える前に校倉が代わりに苛めることで鬱憤をはらさせる。
「……話を聞くと、星のノートに落書きしたり、上履きを隠したりしているそうだが?」
「まあ……気付かれないように星さんのノートに少し自分の言葉を書いたりしましたね。上履きに関しては迷惑にならない時間にしか動かしてません。用を済ませたらすぐに返してますし。」
「他には?」
「星さんの迷惑になるようなことはしていませんよ!」
………こいつ、本当に苛めっ子じゃないのか?
「……じゃあ星が、いつも1人で屋上で昼飯を食べているのは?」
そう言うと校倉は少し困り顔になり、呟きぎみに言った。
「それは……私はなにもしていないわ。星さんは最初から屋上で食べてたみたい。」
「そうか……まあ、屋上はじめじめしてるから、星が好きなだけかもしれないけどな。」
ちゃかすように言うと、校倉の態度が急変した。
「星さんの好みを知ってるからって調子に乗らないでいただけますか?大体私の方が詳しく知ってます。星さん好みのキノコだって、最近アイドルになったことだって。」
「え!!マジか!!」
「当然です。まああなたは星さんの隣にいたと言ってもここ数日の話。そんなことなんて知らないでしょうが、星さんは近々アイドルデビューを……」
「や、それは星から聞いた。校倉がそれを知っていることに驚いてる。」
「な……!本人の口から…!なんて羨ましい……!じゃなくて……」
……段々と分かってきた。校倉は、純粋に星のことが好きなだけのようだ。
「……あなたが星さんと友達になったことは想定外でした。星さんの魅力に籠絡された悪い虫が付いたと思いましたが……ある程度は!星さんに信用されてるようですね……ですが!私はあなたのことを認めたわけではないので!!そこのところは忘れないようにしてください!!」
「……お前、正直に星に言った方がいいんじゃないか?」
「え?」
「友達になってくださいって。」
そう言うと、校倉は気持ち悪いにやけ顔をしたと思えば、萎んだ悲しそうな顔をした。
「それは無理よ。……どんな形でも、私は星さんを苛めてるのよ?どんな顔して『友達になって』なんて言えるのよ……。私はクラスの人から星さんを守るわ。私の手が汚れても。」
……星が、クラスの中でも浮いてるのは知っている。影口を聞くのもしょっちゅうだ。だが、
「それなら影からじゃなく、星の横で守ってやれよ。星に向かう悪意から。」
「……でも……。」
……煮えきらないな。こうなったら……
「校倉、お前……」
キーンコーンカーンコーン
「……昼休み時間あるか?あればまた屋上来てくれ。早く戻らないと先生に怒られるぞ。」
「……分かったわ。」
「おう、どうだった、月宮?あれ、校倉さんだろ?学年でもトップの美人って噂の。」
「あー……何でもなかった。」
「……まさか、告白か!?」
「それはないな。あの筋肉女はないわ。」
「は!?文武両道、才色兼備を地で行く校倉さんだぞ!?あの子に告白されたら絶対OKするな~♪」
キーンコーンカーンコーン……
俺は弁当を持って屋上へ行く。扉を開けた先、朝と同じく、校倉が仁王立ちして待っていた。
「……話の続きをしましょうか。それで、何が言いたいの?」
「もう一度聞くが、星の友達になるつもりはないのか?」
「……朝言ったとおりよ。私は星さんの友達になる資格はないわ。……私自身が許さないのよ。」
「そうか……本人を前にしてもか?」
「え?」
「…………ドウモ。」
「………………え?」
俺の後ろから星が出てくる。星には休み時間のうちに会ってほしい人がいる、とだけ伝えて来てもらった。
「ほ、ほほほほほ、星さん!?」
「月宮くん……この人は……?」
「星のファンだ。星と友達になりたいんだってよ。」
「はっ!?月宮くん、何を……」
「えっ……そうなのか!?」
星がキラキラした目で校倉を見る。こいつが星のことを好きなのは分かっている。ならば、本人から言われればどうだろうか。効果はてきめんなようだ。
「えっ、いや、その、ちょっと待ってね!?」
「……?」
(は!?星さんが私に話しかけてる!?ちょっと待って!?待って、私!!私は星さんのことを思ってとはいえ、星さんを苛めてきたのよ……そんな私が星さんの友達になんて……)
「……待たせたわね。星さん。その男が言ったことは出鱈目よ。何故なら私はあなたを苛めている主犯よ?そんな私が友達なんて……」
「……いじめ?私、転校してからはいじめられたことなんてないけど……」
「……え?」
「だそうだぞ、校倉。」
さっき星に聞いたら、どうやら苛められているという自覚がなかったようだ。校倉が徹底的に星の迷惑にならないことを意識してやった結果、当の星にすら気付かれていなかった。
「星に苛められていた自覚はない。お前は気兼ねなく星と仲良くすればいいだろ。」
「いや、だけど……」
「あ、校倉さん……?で、いいのか?」
「あ、は、はい!校倉です!」
「よく分かってないんだけど、わ、私は、友達になれたら、嬉しいな……」
「なります!!!!!これからよろしくね、星さん!!!!!!」
キャラ紹介
月宮佑
主人公
バレーボール部員。コミュ障。星の鼻歌を聞き一耳惚れ。星輝子の友達。責任感が強く、面倒見がいい。
校倉要
星さんのことが大好きだが好きの方向が狂ってる文武両道才色兼備のお金持ちスーパーヒロイン。スタイルを保つため運動は欠かさない。そのため筋肉がその辺の男よりも強い。
友田祐也
月宮の友達。バレーボール部員。色々なキャラのことを教えてくれるぞ。