順番や時系列は無視して出来たものから投稿していきたいと思います。
「妖怪が鍛えたこの楼観剣に、斬れぬものなど、あんまり無い!」
白玉楼の庭師、魂魄妖夢が叫ぶと共に戦闘が開始される。
相手は――
――そうです私こと鍵山雛です。
本来なら『原作のセリフを聴けたよやったね』なんて考えるところだが、今の私にそんな余裕はない。
ねぇ、なんで?
なんで私は異変解決に駆り出されてるの?
なんで妖夢と1対1で対峙してんの?
なんで自機組がこの場に誰もいないの?
いやホント、誰でもいいから早く代わって!?
開幕から突っ込んでくる妖夢に対し心の中で絶叫しつつ、私は仕方なく弾幕で迎え撃った。
――――――――――
事の始まりは妖夢とぶつかる2時間前に遡る。
マーガトロイド邸でアリスと共にくつろいでいた私は、唐突に鳴ったチャイムに意識が現実に引き戻されるのを感じた。アリスが多少めんどくさそうにしながら玄関に向かうのを見ながら、私自身はどうするかを決めかねていると…………
「魔理沙に霊夢に……咲夜?」
困惑と少しの驚きを含んだアリスの声が聴こえてきた。この時期に魔理沙、霊夢、咲夜の組み合わせで行動するなら思いあたるものはひとつしかない。
――そっか。もう少しで異変が解決されるのか。そういえばアリスは妖々夢の3ボスだったっけ。まあ、私は巻き込まれることもないだろうし、後で挨拶だけでもしておくかな。
この時、のんきにそんな事を考えていた私を殴りたい。どうあれ、私が思考している間にも自機組対アリスの弾幕ごっこが始まったようだった。私は弾幕ごっこが終わったのを見計らって3人の前に姿を現す。おもいっきり異変に巻き込まれるなどとはつゆ程も考えずに。とりあえずボロボロのアリスには肩を貸しておこうか。
「あれ、雛?なんでお前がここに?」
私を見て、まず話しかけてきたのは魔理沙だった。その声音には驚きと疑問が半分ずつ含まれているような気がした。声にこそ出さないものの、霊夢と咲夜も心情的には同じだろう。
ところで、私はこの時自機組…………いや、正確には霊夢に関して、あることを思い出していた。
――博麗霊夢は異変解決に際して、
自分の顔が徐々にひきつっていくのを感じる。私の表情の変化を敏感に感じ取ったのか、魔理沙からの視線が容疑者に対する疑惑の視線に変わっていく。
「ははーん?さては、お前が異変の主犯…………なわけないよな!雛がこんなことするわけないもんな!!」
感じた疑惑のままに魔理沙が発言しようとしていきなり撤回した。いったいどうしたのだろうか?友人とはいえ怪しいと思った以上、気を使って言い止めるような性格ではないと思うのだが。よく見ると若干顔が青ざめている気がする。なにかあったのかな?
そんなことを考えている間に魔理沙が会話を再開させた。
「でもなんでそんなにひきつった顔して…………まさか、霊夢。お前のせいか?」
「……なんでそうなるのよ」
「イヤ、お前異変の度に通りがかるヤツ片っ端から倒していくじゃねぇか。雛はお前に退治されると思ってんじゃないのか?」
――その通りです。とはさすがに言えなかった。
「……………………別に雛が異変を起こすとは思わないわよ…………」
うん。霊夢。その信頼は嬉しい。嬉しいけど、その前の間はなんなの!?わたし、すっごくきになる!!
「まあ、それはそれとして。雛、貴女ホントになんで此処にいるの?」
今まで傍観していた咲夜が話を進めようと話しかけてきた。情けない話なのであまり言いたくないのだが、異変の容疑者にされても困るので私は正直にことの経緯を話した。
霊夢と魔理沙の視線が少しずつ同情を含んだものになっていったのは見なかったことにしたい。一方で咲夜は「どうせなら紅魔館に住み込めば良かったのに……」と残念そうにしている。
――いや、あの、ご、ごめんね?一応最初に思いついたのは紅魔館だったんだよ?
話が逸れたが異変の原因の春度についてアリスから説明を受け、魔理沙と咲夜は春を探しに再び空へ飛び立とうとし、アリスは怪我の手当てとボロボロになった自身の服の修繕のため家の中へ引っ込んでいく。
――その最中。
これ以上は私には関係ないだろうし、と思い。アリスと共に家の中へ入ろうとした私を引き留めたのは、霊夢が何気なく言った呼び掛けだった。
「雛、行くわよ」
なに他人事のように考えているんだ、とばかりに名指しされた。
「……………………へ?」
驚きのあまり変な声が漏れた。
「そうするといいって、私の勘が囁いているの」
なんでもないように霊夢が補足する。
――え?私も連れてく?ドコに?
――…………異変解決?お願いだからやめて?(切実
――――――――――
百歩譲って異変解決について行くのはいい。自機組の後ろをついて行くだけなら戦闘をする必要もないだろうし。だからプリズムリバー三姉妹との戦闘が私抜きの3対3で行われるのも納得している。ただ、「弾幕ごっこを見ているのは危険だから」と私だけが先に冥界に踏み込むというのには納得するべきではなかったのだ。
冥界に入った直後の場所で自機組を待っていた私は、ものの見事に妖夢に見つかり、一方的に敵対されるに至っているのだから。
「妙な気配を感じて来てみれば…………あなたは誰ですか?」
「んと、私の名前は……」
「あなたの目的はなんです?花見ですか?」
「いや、あの……」
「花見に来たのであるなら、本来であれば歓迎したいところ……」
「ねえ聞いて!?私は……」
「ですが!あいにくとこの先は死者の領域。生者は力尽くでも、お帰り願います!」
「…………」
妖夢が話を聞いてくれない。
………………あれかな?ゲームのイベントシーンか何かかな?それとも突っ込み待ちとか?
「私の名前は魂魄妖夢。妖怪が鍛えたこの楼観剣に、斬れぬものなど、あんまり無い!」
そんなこんなで冒頭に繋がるのだった。
――――――――――
妖夢との弾幕ごっこが始まって3分。
逃げの一手。
私の行動はそれに尽きる。
牽制の弾幕をばらまきながら、突っ込んでくる妖夢に対して逃げ回っているのである。
勝利への道筋は全く見えていないが、それもそのはず。弾幕の密度が濃いわけでもなければ、飛ばしている弾の大きさも霊夢や魔理沙が飛ばす通常弾の半分程度しかないのだから。
――昔はもうちょっと大きくて黒っぽい
しかし、強力な弾幕が飛ばせないこと以上に私の行動を制限しているものがある。
――人としての心だ。
結局、いくら私が鍵山雛となり空を飛べるようになれど、弾幕が撃てるようになれど。所詮、私は転生前に持っていた人の心を捨てきれていないのだ。すなわち、相手を傷付けることを嫌悪する倫理観と、死や怪我に対する恐怖心。弾幕ごっこが如何に相手の命を奪わないための決闘であろうと、実際に
劣勢な中でさらに考え事をしていた私は――
「……修羅剣『現世妄執』!!」
――自分でも驚くほどあっさりと光の奔流に呑み込まれていった。
3月になっていきなり残業が増える罠に引っ掛かりました。
さて、次はいつになるかな(遠い目
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びっくりするのでしなくていいです。