(なぜか)人里の守り神になりました   作:sukei

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エイプリルフール用になにかいいネタがないかなーと探すうちに4月1日を過ぎてしまった。

まあいっか!来年で!!(てきとー

そして、小説内で説明しきれなかった部分の注釈や今後出てこないであろう裏設定を纏めて活動報告にあげるか思案中。蛇足にしかならんだろうけど、見たい人おる?



ナイフの下にて春死なむ

紅霧異変で人里に霧が効かなかったのは鍵山雛が要因だと、普通の魔法使い、霧雨魔理沙が知ったのは去年の秋頃だったか。異変以降、図書館の書物を目的に度々紅魔館に訪れている彼女は必然、雛が紅魔館に入り浸っていることも知っている。時に館の前ですれ違い、時にフランを交えて共に遊んだりした。そんな中で、紅魔館の住人と雛に関する話題で盛り上がることは珍しくなかったし、話の流れで紅霧異変が話題に上がったのもおかしいことではなかった。

 

話し相手だったのはレミリアと咲夜。

 

雛の調査を行った咲夜に聞けば、人里での聞き取り調査で一発だったという。

 

――いくら人里は居心地が悪かったとしても、やはり聞き取り調査ぐらいはしておくべきだったか。

 

当時、怪しいモノを探すのに必死で聞き取り調査など最初から選択肢の外に追いやった魔理沙は、そんなことを頭の片隅で考えながらも雛について思い出していた。

 

雛のことなら前々から知っている。そこらの妖怪や神とは対極にいるような穏やかな性格をしている厄神様だ。香霖堂でたまに見かけるから面識もあったし、博麗神社で霊夢と一緒に雛が作ったご飯を食べたこともある。だが、あのいつも穏やかでニコニコしている雛が、霧を消すなどという大胆な行動に出るとは思わなかったのだ。尤も、レミリアによれば能力の無意識的な発動だろうということだったが。

 

ともかく、(なぜ祭りを開いていたのかは謎だが)人里の人間が霧を対処していたわけではないと知り、あの時の人間に対する恐怖は勘違いだったと安堵していた魔理沙は――

 

『…………それにしても、あの雛を軟禁できるって、人里はどうなってるのかしらね?』

 

――レミリアの発言によって、上げて落とされる気持ちを身をもって体感した。

 

雛に霧が効かなかった要因はともかく、人里に対する認識が余計ヤバいものになったのは確かだった。

 

 

 

 

 

 

「雛?なんでお前がここに?」

 

そんな雛が、成り行きで霊夢と咲夜を交えて異変解決に向かっていた最中にアリスの家から出てきたときは大分驚いた。

雛は私達を見るといつも通りにこやかに挨拶しようとして…………唐突にフリーズした。心なしか笑顔が引きつっている気がする。

 

「ははーん?さては、お前が異変の主犯…………なわけないよな!雛がこんなことするわけないもんな!!」

 

思いついた疑念を口にしようとして私はすぐさま撤回した。雛からは見えてないだろうが、雛の後ろ側に立つアリスと私の真後ろにいる咲夜からの圧力が怖かった。

 

「でもなんでそんなにひきつった顔して…………まさか、霊夢。お前のせいか?」

 

不穏な空気を払拭するために私は慌てて霊夢へと矛先を向ける。思いつきを声にしただけだったが、言ってみて割とあり得そうだと思った。なんたってこいつには前科が多すぎる。

 

「……なんでそうなるのよ」

 

「イヤ、お前異変の度に通りがかるヤツ片っ端から倒していくじゃねぇか。雛はお前に退治されると思ってんじゃないのか?」

 

「……………………別に雛が異変を起こすとは思わないわよ…………」

 

答えまでの間が霊夢の心情を如実に表している気がした。

 

その後、雛が此処にいる理由とこの異変の原因を教えてもらった私達は早々に出発しようとしたのだが……

 

 

「雛、行くわよ」

 

 

 

 

「……………………へ?」

 

 

なぜか雛も一緒に行くことになっていた。

 

「そうするといいって、私の勘が囁いているの」

 

決定事項だと言わんばかりに霊夢が飛び立ち、雛が玄関先にあったコートを手にとって慌てて追いかける。

 

理解が追い付かず出遅れた私と咲夜は一足遅れて二人を追いかけるはめになる。長い付き合いゆえに今さら霊夢の勘を疑うことはないが、懸念はあった。

 

 

――別に雛を連れていくのは構わないが………………

 

 

 

 

…………ただ、アイツ弾幕ごっこは弱くなかったか?

 

 

 

 

――――――――――

 

 

霊夢、魔理沙と共にプリズムリバー三姉妹との3対3の勝負を制し、冥界へと踏み込んだ咲夜の目に飛び込んできたのは――

 

 

 

――目を回している雛と、傍らに立つ抜き身の刀を持った白髪の人影と人魂だった。

 

その光景を目にした瞬間、咲夜は自身があの人影を倒すことを決めた。が、一先ずは時間を止めて雛を抱き上げ、霊夢と魔理沙の傍に寝かせた。能力を解除すると、理解が追い付かず固まっている下手人の少女を気にすることなく二人がよってくる。

 

「ひ、雛?大丈夫か?」

 

「別に、そのくらいで倒れるようなヤツじゃないでしょ」

 

「イヤ霊夢。お前が連れて来といてそれはかわいそうだろ」

 

一見雛を蔑ろに扱っているように見える霊夢であるが、その目には確かな信頼が見て取れた。そんな会話をしている間にフリーズから復帰したのか、少女が警戒気味に声をかけてきた。

 

「彼女に続いて、今度は生きた人間が3人も…………ここは冥界。生者がいて良い場所ではないんですが」

 

少女が刀を構えると同時、霊夢と魔理沙もお祓い棒とミニ八卦炉を構えるが、咲夜はそれを手で制して発言した。

 

「霊夢、魔理沙。ここは私が受け持つから、貴女達は先に行きなさい」

 

「ん、分かったわ」

 

「いや、そんなわざわざ時間稼ぎみたいなことしなくても三人で…………」

 

「行きなさい」

 

「ッ!……わ、分かったぜ」

 

咲夜の言葉を受け、迷わず飛び出した霊夢をやや顔を青ざめさせた魔理沙が追っていく。

 

「あ、待ちなさ……ッ!!」

 

慌てて追い縋ろうとする少女に咲夜はナイフを投げて牽制し、霊夢と魔理沙を先に行かせる。

 

――さて……この相手とどうやって決着を付けるか…………

 

咲夜は頭の中で思考する。

 

 

 

 

――弾幕ごっこの結果なのだし怒るのは理不尽じゃないの?

 

理性が私に待ったをかける。

 

――あなたは友人を傷つけられて不問にするの?

 

感情が私に仕返せと囁く。

 

 

――重傷と言えるほど傷つけられたわけでもないし、抑えて抑えて。

 

理性が行動を抑えようとする。

 

――弾幕ごっこの中でなら報復ぐらいしてもいいじゃない。

 

感情が免罪符を持って背中を押す。

 

 

 

 

気絶しているとはいえ、傍にいる雛に対して悪い印象を与えたくないのもあり、咲夜はすぐには決断出来ずにいた。

 

そんな状況で、彼女の頭の中には唐突に彼女の主とその妹である吸血鬼の姉妹が現れた。

 

『私の友人が傷つけられたのよ?咲夜、やってしまいなさい』

 

『おねーちゃんがヤられたんだから仇は討たないと。ね?』

 

 

そして、咲夜は相手への対応を決めた。

 

 

 

 

――――――――――

 

 

「………………ん、んん?」

 

「あら、気がついた?」

 

頭に柔らかい感触を感じて私は目を覚ました。視界いっぱいに広がっていたのは咲夜の顔。起きたばかりでボーッとする頭をゆるゆると動かし、なんとか周りの状況を把握しようとする。私はどうやら石畳の上に寝っ転がり、咲夜に膝枕されているらしい。記憶を辿ると妖夢との弾幕ごっこで記憶が途切れている。

 

――ああ、妖夢に負けたのか。

 

特に悔しさがこみ上げてくることもなく、すんなりとその事実を受け入れられた。むしろ負けたお蔭で咲夜に膝枕してもらえていると思えば役得ですらある。そんなことを働かない頭でぼんやりと考えていた私であるが、さすがに咲夜の顔を見つめ続けるのはなんとなく気恥ずかしくて、顔を横に向けた。

 

横に向けた視界の先の方に見えるのは、おそらくは白玉楼に続く階段と、その手前で倒れているハリネズミと――

 

 

 

 

 

 

――()()()()()』?

 

 

 

 

「え、…………え!?」

 

 

寝ぼけたままだった意識が一瞬ではっきりした。

 

 

白玉楼に続く階段は別にいい。問題は、その手前に倒れているナイフまみれの『妖夢(ハリネズミ)』である。私は、微笑みながら私の頭を撫でている咲夜に、恐る恐る話を聞くことにした。

 

「あ、あの…………咲夜?」

 

「どうかしたの?雛」

 

咲夜は笑顔である。

 

「あれ…………なに?」

 

「……ナイフの山ですわ」

 

――確かに!確かにナイフの山だけれども!!

 

私は再度咲夜に問いかける。

 

「咲夜、あれなに?」

 

「…………ハリネズミですわ」

 

――言っちゃった!ハリネズミで確定しちゃったよ!!そしてなぜに敬語!!?

 

再三、咲夜に問いかける。

 

「咲夜、あれ…………なに?」

 

「…………………………………………門番?」

 

頬に人差し指を当てて考えてる仕草はかわいい。かわいいんだけど…………門番って、妖夢が偶々白玉楼の前にいたから門番だと思ったの?

…………それとも、昼寝が仕事になってきてる美鈴の代わりにナイフでハリネズミにして八つ当たりして、日頃のストレスを発散したとか!?

 

ともかく、そのままにしておく訳にもいかないので妖夢からナイフを抜いて介抱してあげる。全身にナイフが刺さった見た目はバイオレンスな光景でも、元が弾幕ごっこの弾幕用のナイフだからか深い傷は全くなく、逆になんでナイフが刺さったままだったのか不思議なぐらいに傷は浅かった。

 

咲夜は何も言わずに私の手伝いをしてくれた。自分がやったこととはいえ、先ほどの私からの質問にも答えるまでに微妙な間があったりと、やり過ぎたとは思っているらしい。

 

「……………………ぅん?あ、あなたたちは……」

 

幸い、ものの数分で妖夢は目を覚ました。起きたばかりで自分が置かれている状況が理解できていないらしく、その表情からは困惑がありありと伝わってきた。

 

 

 

 

――ちょうどその時だった。

 

 

 

 

――白玉楼から盛大な爆音が聞こえてきたのは。

 

 

「っ!幽々子様!?」

 

一瞬で意識を覚醒させた妖夢が私達に構わず白玉楼に向かって飛び出し、突然のことに目を白黒させていた私と咲夜が少し遅れてそれに続く。

 

白玉楼に到達した私たちの視界に入ってきたものは――

 

 

 

 

 

 

――不穏な空気を醸し出す、巨大な桜だった。

 

 




『咲夜のナイフ』
実は弾幕用のナイフは安全を考慮し刃が潰されている。相手に全く刃が刺さらないわけではないが、通常のものより遥かに安全である。また、咲夜は身の安全を考慮し、弾幕用とは別に常時数本は実戦用のナイフも持ち歩いている様子。



はい、咲夜さんプッツンの回でした。
いいなー!咲夜さんの膝枕とかいいなぁー!!

それと――


――まだか…………物語の進行はまだなのか…………

はやく……はやくカッコいいみょんと可愛いみょんを書きたいのに!!!

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