(なぜか)人里の守り神になりました   作:sukei

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第3話として書いてたけど第2話として入れたほうがいい気がするので第2話として挿入投稿。
プロット?なにそれおいしくの?な状況だからね。仕方ないね。



紅の中の日常?

博麗の巫女、博麗霊夢は自由人である。何者にも縛られず、自分の興味のないものには全く意に介さない。そんな性格である。そんな性格であるのでちょっとした事件が起きても自分に害が及ばないのであれば、すぐ解決に動くことはあまりない。

 

――言い換えればただのめんどくさがりである。

 

 

なので――

 

「そろそろ、行きましょうか……」

 

――紅の霧が発生し始めてから霊夢が動くまでで、2日がたっていた。

 

この2日間に霊夢の周りで起こったことを挙げるならば、せいぜい親友である白黒魔法使いの少女が異変を解決すると宣言して飛び立っていったことぐらいだ。

 

 

己の直感を信じ、博麗の巫女は霧の濃い方角へ飛んでいく。

 

 

――――――――――

 

 

普通の魔法使い――霧雨魔理沙は戸惑っていた。

 

 

魔法の森上空を飛んでいた魔理沙は急激に広がっていく紅の霧を目撃し、しばらく様子を見た後、これを異変と判断。博麗の巫女である霊夢に異変だと伝えた後にすぐさま異変の調査を開始した。

 

 

そして、すぐに彼女は気づくこととなる。

 

『人里だけ霧に覆われていない』

 

正確には人里の中心からおよそ3キロほどが覆われていないだけで、端のほうは普通に霧が存在するのだが、人里が何らかの方法でこの霧を防いでいることは明確だった。

 

魔理沙は魔法使いになるために人里の家を飛び出してきた身である。実家のこともあるのであまり人里には近づきたくはなかったが、異変解決の手掛かりになるのならば、とやむなく人里に入ってみたのだが…………

 

 

 

 

 

 

 

 

人里ではお祭りが始まっていた。

 

 

 

 

「………………は?」

 

呆然としてしばらくその場で固まっていたのは仕方ないと思う。しかし、そうとしか表現できなかったのだ。人里では異変の真っ最中であるのに、霧を何らかの手段で防いでいるとはいえ、まるで縁日の様相を呈している。大通りの道端には屋台がところ狭しと並べられ、広場ではなにやら演目が始まろうとしている。霧が広まる前まではなんの準備もされていなかったことから急遽始まった祭りであるはずなのに、人々の半数以上は浴衣を着ているという徹底ぶり。

 

「…………いやいや、待て待て、なにをどうしたらこんなことになるんだ?」

 

まだ霧が出始めてから確実に半日は経ってない。

なのにこの状況。

 

(まさかお祭り騒ぎで霧が吹き飛んだとか?)

 

そんな馬鹿な考えが一瞬頭に浮かんだが次の瞬間には否定した。

 

――多分河童に霧を無効化する装置でも貰ってそれがうまく機能しているからこそのお祭り騒ぎなんだ。妖怪の干渉を妨げることができたんだから。きっとそうだ、そうに違いない。

 

(絶対にその装置を見つけてやるんだぜ……)

 

その考えが、異変なのにお祭り騒ぎな人里からの現実逃避だと気づくのに、魔理沙は1日要することとなる。

 

 

――――――――――

 

 

霊夢は現在、妖怪の山と人里の丁度中間あたりを飛んでいる。此処までで既に、道中邪魔になった宵闇の妖怪を撃墜している。

 

途中、人里方面だけやけに明るいのが気になったが…………

 

「ま、どうせ雛がなにかしてるんでしょ」

 

――あの厄神は周囲に危害を加えるどころか様々な不幸から守ってくれると人里を中心に評判だ。人里に雛がいるなら人里の心配はしなくていい。

 

自分がすぐに動かなかったことを棚にあげ、霊夢は異変の主犯を探すことに集中する。

 

「………………向こう……かしら?」

 

よく見ると、霧の湖の向こうに真っ赤な色の洋館が見える。いかにも目に悪そうな見た目をした洋館に向かう道すがら、霊夢の頭に浮かんできたのは先ほどの厄神のことだった。

 

 

鍵山雛。

 

 

種族は厄神様。

能力は『厄をため込む程度の能力』。

二つ名は『秘神流し雛』や『悲劇の流し雛軍団の長』など。また此処数年では『人里の守り神』などと呼ばれるようにもなった。

 

種族的には神と呼ばれるものの、妖怪の性質も持つ為に信仰がなくても問題ないとは本人の談である。

 

…………が、此処のところ雛自身が『人里の守り神』と呼ばれ始めたからか、人里での雛の人気ゆえか、明らかに雛を信仰する人が増え始めているのである。本人にその気がないのに信仰心まで持っていかれるのは正直少しではなく困っているが、かといって霊夢に打てる手はない。雛を排除しようとすれば、もれなく博麗側の信仰心のガタ落ちが付いてくるのだから。

さらにいえば、雛は『人里の守り神』と呼ばれていようとも、人里に住んでいるわけではない。むしろ妖怪の山周辺を根城にしているのである。そして彼女の性格を考えれば、妖怪の山に限らず様々な場所に友人知人がいてもおかしくないのである。そんな中で彼女が害されたと知れわたればどうなるか、想像したくもない。

そんなわけで、現状で彼女を害そうとするヤツは(知能が発達していないヤツらを除いて)よほどのバカか、状況の読めない無能だけだ。

 

 

――それに、霊夢自身、雛と敵対することは望んでいない。

信仰以外で困っていることがないのもあるし、会う度にニコニコ微笑みながら声をかけてくる彼女に対して少なからず友情を感じていることもある。

 

それに何より――

 

(…………よく食べ物持ってきてくれるし)

 

 

――……………………食べ物で簡単に絆されてしまう、なんともチョロい巫女さんなのだった。

 

 

――――――――――

 

 

「…………此処ね」

 

「………………ああ、霊夢か」

 

紅の洋館――紅魔館を前に、奇しくも霊夢と魔理沙は再会を果たした。片方は戦闘があったにも関わらず出発前と変わらず、もう片方は戦闘がなかったにも関わらず目からハイライトが消えかかっている。

 

「魔理沙?…………あんたになにがあったの?」

 

「…………ははっ……………………聞くな、霊夢。強いて言うならあの人里が少しおかしいってことを実感しただけだ………………」

 

「はぁ?」

 

薄ら笑いでどこか遠くを見るように明後日の方角を向いた魔法使いの胸中を知ることは、残念ながら霊夢にはできなかった。

 

「……………………結局人里ではなにが起きてたんだよ」ボソッ

 

「……なにか言った?」

 

「イヤ、なんでもない…………」

 

 

 

 

洋館に堂々と真正面から入った二人は門番、魔女、メイドを撃破し、霊夢は無傷で、魔理沙は満身創痍で、館の主がいるであろう部屋の前に立っていた。

 

「」

 

既に魔理沙は口から魂が抜けかけている。なお、原因の8割以上は人里が占めている。図書館で若干息を吹きかえしたものの、『メイド(にんげん)』が時間を操っている様を見て人里を思い出してしまったらしい。戦闘後、死んだ目をするようになった魔理沙を見て、メイド――十六夜咲夜は敗者であるにも関わらず魔理沙の心のケアに奮闘することとなった。

 

 

「全く、しっかりしなさい。いくわよ」

 

魔理沙のことはあまり心配せず、そう言って霊夢は部屋の扉を開けた。

 

扉を開けた先にあったのは広大な空間。王との謁見に使われるような内装。部屋の真ん中には王の威厳を放つかのように存在している椅子。しかし、その椅子の上に主はおらず、部屋の主は窓際に立って外を見ていた。

 

小声ではあるが、主らしき少女の独り言が聞こえてくる。

 

 

 

 

 

 

「~~~っ!なんで?なんでどれだけ霧を濃くしても人里は覆われないの!?これまで私がどれだけの妖力を使ったと思ってるの!?このままじゃ巫女が来ても妖力不足で話にならな………うーーー!!!」

 

 

此処の主であろう少女は、なにやら頭を抱えながら唸っていた。

 

 

 

「「…………………………」」

 

 

霊夢と魔理沙の間になんともいえない空気が漂った……………………

 

 

 

 

…………と、感じたのは霊夢だけらしい。

 

 

「そうだよな…………人里ワケわかんねぇよな……」

 

「いや、魔理沙?あんたなに言って――」

 

「そうよね!人間が妖怪の術を無効化するとか普通は無理だもの!」

 

件の少女が振り返りすぐさま魔理沙に同意を返した。

 

「ところで貴方たちはいつ入ってきたの?」

 

「…………たった今よ」

 

「ふーん。それで?何しにきたの?」

 

「……………………異変の解決をしにきたのよ」

 

異変の主犯とは思えないチグハグな会話に霊夢が疲れを感じてきたのは仕方のないことだった。

 

 

 

 

 

 

「博麗の巫女……か、まあいいわ。名乗りましょう」

 

そうして、やっと、館の主が名を名乗る。

 

「私の名はレミリア・スカーレット。誇り高き吸血鬼」

 

本来であれば吸血鬼についてや異変を起こした理由など聞きたいことは山ほど出てくるのだろうが、霊夢がまず疑問に思ったことは……………………

 

 

「………………………………誇り…………高き?」

 

「なんで名乗って一番最初のセリフがそれなのよ!?」

 

今までのやり取りから疑問に感じた霊夢に罪はないが、レミリアの反論はもっともだった。

 

 

 

「さ、さて、相手は二人だしこちらも同数で迎え撃ちましょうか。咲夜ー!さーくーやーーー!!」

 

「はい、お嬢様。なんのご用でしょう?」

 

気を取り直して勝負を始めようとレミリアが呼べば、すぐ横に咲夜が音もなく一瞬で現れる。

 

「いくわよ咲夜!あの二人をボッコボコにするんだから!」

 

「……2対2、ね。くるわよ魔理沙…………………

 

 

 

 

 

 

……………魔理沙?」

 

「」チーン

 

反応がない相棒に霊夢が振り返ると、突如として出現した咲夜を見た魔理沙が再び口から魂を放出していた。

 

「……………………申し訳ありませんがお嬢様、私はあの白黒の看病をしていますので、思う存分巫女とやりあってくださいませ」

 

「さくや~!?」

 

咲夜が間を置かず不参加を表明する。

 

「なによ咲夜!私と一緒に戦ってくれないの?」

 

「ですがお嬢様?2対1は少々卑怯かと」

 

「…………それもそうね」

 

咲夜に簡単に丸め込まれたレミリアに対して、霊夢は今までのレミリアの言動もあり大分呆れた表情を隠せなくなってきている。

 

 

 

 

「……………………ゴホン。いくわよ博麗の巫女。こんなに月も紅いから、…………楽しい夜になりそうね」

 

 

 

 

 

 

 

「……………………決めゼリフを言うならもっとマシな空気を作ってから言ったら?」

 

「それは言わない約束でしょー!!!」

 

なんとも言えないグダグダした空気の中で、ようやくラスボスとの戦いが始まった。

 

 

 

 

 

 

「……う、うう。に、にんげんがわからない。にんげんこわい…………」

 

「魔法使いをここまで追い詰める人里も相当ですわね」

 

 

 

 

 

 

ちなみに霊夢とレミリアの勝負は特になにかあったわけでもなく普通に霊夢が勝利した。

 

 

 

 

 

 

――蛇足ではあるが、後の異変解決の宴会において、レミリアと魔理沙は意気投合したのかよく話していた。

 

あのプライドが高く気難しい面のある親友が珍しい、と紅魔館の魔女であるパチュリー・ノーレッジが冗談混じりに何を話しているのか問いかけると、二人は揃ってこう答えた。

 

 

 

 

「人里怖い」と。

 

 

 

 

 

 

ついでに「人里は妖怪の力を無力化できるようになったらしい」という噂が妖怪の間で囁かれるようになった。

 

 

 

 




果たしてここの人里はどこへ向かっていくのか……


ちなみに魔理沙が振り回されているのは彼女が常識人枠だからです(たぶん
なので時間を操る規格外な咲夜は受け入れがたいのです。


……そして慣れてきた頃に出てくる早苗とかいう鬼札。

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