日間ランキング入り!?
な、なにが起きてるんです?(ガクブル
それはそうとちょくちょく感想欄で際どいところを当ててくる人達がいてビビる。そんなに分かりやすいですかね?
私達が起こした異変が終わってから、私はどうしても確認しておかなければならないことがあった。あの異変の際、なぜ人里だけは被害を逃れることができたのか?ということだ。霧自体は人の心身に直接影響がでるものではなかったとはいえ、あれだけの
人里の守り神『鍵山雛』
どうやらこの厄神が、霧を防いだことに一枚噛んでいるらしい。私の霧を防いだことからそんじょそこらの妖怪なわけないと想定していた。だからこそ、いざとなれば時間を止めて逃げることのできる咲夜を偵察に行かせ、紅魔館に招き、お茶会には美鈴も同席させた。
応接室で彼女と相対したとき、まず私は驚愕した。
なぜなら彼女の妖力や神力、また、厄神なら普通はまとっているだろう厄の類をほとんど感じられなかったからだ。
ここから推測できる可能性は2つある。一つは私の想定が間違いで、鍵山雛はそこらの妖怪よりも実力が低い、あるいはそのレベルまで弱体化している可能性。もう一つは己の力を外部にほとんど放出させることがないぐらいに自分の力を操れる…………幻想郷でもほんの一握りしかいない強者の一人である可能性。
私の霧を防いだことを考えれば、どう見たって後者だった。笑顔の裏でなにを考えているか解らず不気味に感じられた。まるで、あの胡散臭い隙間妖怪のようだった。しかし、お茶会が始まり会話を重ねることで、私はこの印象をすぐに撤回することとなる。
理由は…………
…………彼女が笑っていたからだ。
初めて会う私たちとのお茶会の間、いつだって彼女は素直に感情を表に出して、いつだって楽しそうに笑っていた。「ニコニコと笑う」という表現がこれほど似合う表情を私は他に知らない。口元は微笑をつくり、瞳はキラキラと輝いている。今の状況を心の底から喜んでいるかのような、まるでほんの少し疑うだけでも途方もない罪悪感が襲ってくるかのような、そんな笑顔。あの隙間妖怪と比べること自体がおこがましいことだったのだと、私はすぐに理解させられた。周りを確認すれば、美鈴は楽しそうに笑っているし、咲夜も一見澄ました顔をしているが、よく見れば口角が少し上がっている。かく言う私も既にこのお茶会を楽しみつつある。何かあるたびに本当に嬉しそうに笑う雛を見ているとこっちまで穏やかな気持ちになってくる。
――って!いけないいけない。友好を築くのは結構だけど、最初の目的も果たしておかないと。
話の流れでなぜ霧が消せたのかを聞いてみたら、特に言い渋ることもなく話してくれた。霧が消せたのはどうやら能力の無意識的な発動らしい。それならば納得できるというものだ。能力の無意識的な発動とはいわば防衛本能だ。実際に害になるかは別として、害になりそうなものをシャットアウトしたのだろう。
ついでになぜ人里を守っていたのかも聞いたのだが……
「いやー、私異変のときは人里で半ば軟禁状態だったんだよね」
という答えがかえってきた。
困った困った。と笑いながら軽く話す雛を見て思わず和んでしまいそうに――
――いや、待て。流されるな。
かなりの実力を持っているだろう雛が?仮に私の見立てが間違ってて雛に実力があまりないと仮定しても、そもそも人間と妖怪・神の間には基本的には絶対的な地力の差があるはずで………………
………………まってまって、本当に待ってほしい!
この子を軟禁できるって、
――どんな魔境よ!?人里は!?!?
当初は人間に友好的な妖怪や神が人里を守護しているのだと思っていた。実際、雛の性格を考えれば人間に友好的というのは間違ってはないだろう。しかし、霧を消せた経緯から導きだされた答えは、そんな生易しいものではなかった。
(なに!?人里はこの子の弱みでも握ってるの!?ていうか咲夜は!?朝から人里に行ってた咲夜は大丈夫だったの!?)
慌てて咲夜のほうを振り替えるも特におかしな反応はなし。
(もしかして人間だから?人間だから見逃されたとか!?)
もし咲夜ではなく美鈴を偵察に出していたらどうなっていたか、考えたくもなかった。
その後、咲夜の様子が気になった私は、雛とのお茶会でなにを話していたかも満足に覚えていない。かろうじて覚えているのは妹と魔女の親友がいると話したぐらいだろうか。結局、私のその状態はパチェを紹介するために図書館に着くまで続いたのだった。
――――――――――
暗い暗い、紅魔館の地下の底。図書館よりもさらに深い地下の一室で、宝石のような羽を持つ少女は閉じこもっていた。
家族じゃない存在が館にやって来ているのは感じ取っていた。みんなが楽しそうにしているのも、感じ取れた。
だからこそ、なおのこと。少女は閉じこもる選択をする。
他の誰かを傷つけないために。
新しい友人を作れそうな、他でもない、家族のために。
少女の中には狂気が宿っている。
――頭の中で、私じゃない『ワタシ』の声が響く。
――みんなタノシソウ。
――混ザッテ来ヨウヨ。
――壊シチャエ。壊シチャエ。
頭の中で響く声は、徐々に少女の思考を侵食し、徐々に徐々に少女の理性を奪っていく。
少女が部屋を飛び出すまであと…………1分。
少女が救われるまで、あと…………
――――――――――
図書館に到着した雛達はパチュリー、小悪魔との自己紹介も程々に、本日二回目のお茶会を開催していた。が、お茶会を始めてからたったの5分で、和やかな雰囲気は壊されることとなる。
なぜなら――
――館全体に響いていくような、そんな轟音が鳴り響いたから。
「「「「「「ッ!!!」」」」」」
その場の誰もが息を呑み破壊された扉を見る。そこには、金髪に宝石のような羽をした少女が、瞳に剣呑な光を宿しながらこちらを見つめていた。
「ネェ、ワタシもマゼテくれないノ?」
「…………………………フラン…………」
扉を破壊し現れた少女――フランドール・スカーレットの問いかけに、姉であるレミリアはただ名前を呼ぶことしかできなかった。その頬には冷や汗が一筋つたっている。
「フフ、アハ、アハハハハハハハハハははは……はは…………………………、………………?」
「……………………、…………?…………フラン?」
「……………………」
なにが楽しいのか笑いだしたフランに紅魔館の面々は警戒の色を強くしていくが、突如としてフランは沈黙した。不審に思ったレミリアが声をかけるも、返事はない。が、さっきまでのような不穏な雰囲気は消えている。よく見れば、フランの瞳にさっきまで宿っていた剣呑な光がなくなっている。フランはしきりに首を傾げていたが、ふと思い立ったようにある人物の顔を見た。
「…………あなたが、
「フラン何を言って…………雛?」
フランの視線の先には雛がいた。雛以外の全員が一斉に雛に視線を向ける。
「?」
見つめられた雛自身は疑問符を浮かべ、なにが起きているのか分かっていない。が、そうこうしているうちにフランは自身で結論を出したらしい。
「……………………ふふふ、ま、いっか!私はフラン。フランドール・スカーレット!あなたは?」
「え?えっと、鍵山雛…………だけど」
状況がよく分かっていない雛はとりあえず名乗り返し……
「ヒナ…………うん!これからよろしく!おねーちゃん!!」
――空気が、凍った。
「「「…………『おねーちゃん』!?!?」」」
雛、美鈴、小悪魔の3人が驚愕のあまり声をあげた。声にこそ出さないものの、咲夜とパチュリーも呆然としている。
「」
……………………そして、実の姉は完全にフリーズしていた。
そんな周囲の状況など関係ないといわんばかりに、フランは雛に対してコミュニケーションを取り始める。
「ねーねーおねーちゃん、フランと遊んでくれないかな?」
「え、まあ、かまわないけど、なにして遊ぶの?」
「うーんとね~弾幕ごっこ!」
「…………えと、私すっごく弱いよ?他にはなにかない?」
「他?じゃーね~……あ、おねーちゃん絵本読んで!」
「絵本?いいよ。で、絵本はこの図書館のどこにあるの?」
「うーんとねー、こっち!」
「…………………………………………ハッ!ちょっと待ちなさいフラン!!あなたのお姉ちゃんはこの私よ!!!」
周囲を置き去りにして会話を続け、そのまま駆け出していきそうな2人に対し、ここでようやく待ったが入る。が、ようやくフリーズから復帰した本物の姉は、ちょっとズレたことを指摘し始めた。空気が一気に弛緩したことで、周りも状況を理解し始める。同時に――
「…………レミィ?貴女はこんな時になにを言ってるの?」
――あんまりな会話の流れに、親友の魔女からは呆れるようなツッコミが入り…………
「…………???お姉さまはお姉さまだよ?」
…………妹からは純粋に返された。
――――――――――
結局、そのままフランは雛と疲れはてるまで遊び倒し、日も越えようかという時間になって雛を巻き込んでベッドにダイブした。遊び倒したフランは勿論のこと、紅魔館に招待されてからそのまま付き合わされた雛も、横になるなり即効で寝入ってしまった。正直、雛には悪いことをしたと思っている。
ただ、それでも。今日会ったばかりだがかなりの好感が持てている友人に迷惑をかけるとしても。レミリアにとって、この結末は言葉では言い表せない程に嬉しいものだった。
「あの子のあんな笑顔は……いったいいつ以来なのかしらね」
もしかしたら初めてなのかもしれない。そう思えてくるほどに、今日のフランの笑顔は眩しかった。まるで狂気など初めからなかったかのように。
『おねーちゃんを見たとき、心の中のモヤモヤがスッとなくなっていったの』
遊びの途中で少しだけ体の具合について聞いたとき、フランからはこう返ってきた。やはりフランからみても、狂気が消えた要因は雛にあるらしい。
(雛がなにかした?でも雛自身はなにが起きているのか理解していないみたいだったし…………あ)
ふと、レミリアには思い当たることがあった。
――能力の無意識的な発動?フランの中の狂気を厄として吸い取った?
『厄をため込む程度の能力』。それが、厄神である雛の能力だと聞いている。ため込むというのだから言い方を変えれば周囲から吸い取るということであり、必然、雛の周囲からは(範囲がどれ程かは分からないが)厄が雛に引き寄せられることになる。そして、先日の異変で霧を消せた(吸い取った?)ことから、自分にとって害になりそうなものを厄に変換することが可能だと思われる。それならフランの中の狂気が消えたことにも説明がつく。
尤も、アレコレ考えたところで推測でしかないし、しかも雛自身は無意識で行っているのだから本人に聞いても具体的な答えが返って来ないのだが。
ただ、それでもいいと、レミリアは思った。このまま雛に任せてみようと思った。普段なら今回のような不確定要素の多い事柄に任せることなどありはしないし、こと妹のことに関しては今まで慎重に慎重を重ねて行動してきた。だが、今回だけは、新しい友人がくれた奇跡にすがってみようと思えた。
東の空がうっすらと明るくなり始めた頃。レミリアは自室のベッドで横になる。目蓋を閉じた暗闇に浮かぶのは、愛しい妹とできたばかりの友人が、揃って見せてくれた穏やかな寝顔。
(明日は、たぶんもっといい日になるわね……)
二人の寝顔と同じような穏やかな表情を自覚することなく、レミリアは眠りに落ちていった。
一応これにて紅霧編は終了です。
次の話はどうしようか、常にネタ切れ気味で焦ってます。
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返信あれば嬉しいです!
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びっくりするのでしなくていいです。