ギャグを書こうとするとシリアスに引っ張られ、シリアスを書こうとするとギャグに引っ張られる。
結果的にできるものはどちらでもない文章のみ。
この場合どうすればいいんです?
あと言うまでもないかもしれませんが、このお話は基本ギャグです。
それはそうと幕間の話が全く思い浮かばないので先に春雪に入ります。
活動報告でのネタ募集に踏み切るか悩みどころ。
――…………
――……………………
――………………………………寒い。……………………すごく寒い。
外はもれなく雪景色。暦は5月に入ったところ。
――春雪異変ですね!知ってた!!
実際紅霧異変が起きたことで原作が始まったのはわかってたし、春雪が起こることも予想してた。けど…………それにしても寒い!!霊夢ちゃんが凍え死んでいないか心配になるレベルだ。
そんな私は現在人形使い、アリス・マーガトロイドの家にお邪魔している。というか、半ば居候している。………………暖をとるために。なんとも情けない理由だが、背に腹はかえられない。私の自宅には、既に暖房に使う燃料がないのだから。
――イヤ、春を奪われることは分かっていても、ここまで寒くなるとは思わなかった。私は今回の冬を完全に舐めていた。
そんな私が避難先にまず思いついたのは紅魔館。あそこならどんな要望にも完璧に応えてくれるメイドさんと、魔法でなんでも可能にしそうな魔女さんが住んでいる。が、ここで私の理性がストップをかけた。問題は『あれだけ広い館を暖めるのにどれだけの燃料がいるのか?』ということと、『常日頃からお邪魔しているのにこれ以上迷惑をかけていいのか?』ということだ。そこで、私は紅魔館にお世話になることを最終手段とすることにした。
――…………何故か既に紅魔館に私の部屋が用意されていることもあって、そのまま永住してしまいそうだし。
博麗神社は論外だ。前述の通り、むしろこっちが霊夢の心配をするレベルである。
その点アリスの家はいいね!いい感じに気心しれた仲だし、どんな魔法か知らないけれど、エアコンがついているかと錯覚するほどの暖かさを保っている。むしろこれからの冬は、毎年此処に居候できないかと考えるほどだ。
――なんで人里じゃないのかって?ダメダメ。人里なんかで泊まったら薪なんかの備蓄を空にする勢いで私に献上してくるか、またお祭りが始まるに決まってる!!(確信)
そんなわけで、2ヶ月ほど前から私はアリスの家に住んでいるというわけだ。アリスは今お昼を作っていて、私は上海を始めとした人形たちと遊んでいる。
――さすがアリス!人形たちみんなかわいい!
「雛ー。ご飯できたわよー」
そうこうしているうちにお昼ができたらしい。私のいる部屋に入ってきたアリスは、人形まみれになっている私を見るなりこう呟いた。
「いつも思うけど、そうやって雛が人形たちと一緒にいると、ひとつだけ大きな人形が混ざっているように見えるわね」
「そんなことないと思うけどなあ。それに、アリスだって人のこと言えないと思うよ」
――そういうことはまず鏡を見てから言ってください!!人里の子供たちから『お人形さんみたい!』とか言われてるの知ってるんだから!やってる人形劇が大人気なのも知ってるんだからね!私?もちろん見かけた場合は全部見てるわ!
―
「なんかごめんね?いつもご飯作ってもらっちゃって」
「これぐらい別になんでもないわ。それに、材料はいつも雛持ちじゃない」
「でもあれは人里の人たちがタダ同然でくれたものだし」
「相変わらず愛されてるわね。いいことじゃないの」
他愛もない話をしながら食事が進む。ここ2ヶ月ですっかり日常となった風景だ。アリスが作るご飯はおいしいし、目の前には微笑んでるアリスの姿。
――あー、良いわあ。私を見るなり抱きついてくるフランちゃんもかわいいけど、こういう目の前で原作キャラが微笑んでくれてる日常もいいよね!私はいますっごく幸せです。
これで異変が無ければ最高…………いや、違うな。異変が起きないと交流できるキャラが増えない。そうだな。異変は起きるけど私に被害がなく解決されるのが一番いい。幸い私は鍵山雛だ。唯一異変に関わるであろう風神録にしても、相手は顔見知りの霊夢ちゃんと魔理沙ちゃんだけ。場合によっては戦闘なしで終われるだろう。…………あれ?……これって現状が最高の状況なんじゃ?
~~ッ!!雛に転生したときは原作の情報少なめだしどうなるかと思ったけど転生したのが雛で良かった!!!
――やったね!雛ちゃん大勝利!!
そんなことを考えながら食後のデザートを堪能する雛は、アリスが妖々夢のボスとして登場していたことなどすっかり抜け落ちていたのだった。
――――――――――
人形使い、アリス・マーガトロイドにとって、鍵山雛との出会いは本当に偶然だった。人里で定期的に行う人形劇の準備をしていたところ、たまたま雛を連れた里の子どもたちが通りかかり、そのまま子どもたちと劇を見ていったのが始まり。そこからたびたび劇を見に来てもらえるようになり、いつしか友人としての付き合いに変わっていった。
そんな、いつ友人になったかを明確には決められない相手ではあるが、アリス自身は初めて会った時から彼女のことを覚えていた。理由としては、彼女の見た目――服装も勿論ある。基本的に和服が圧倒的に多い人里では彼女のような洋服、それもゴスロリに近いような服は当然目立つ。生地が赤色なのもあり、遠目でも一発で分かるほどだ。しかし、それよりもアリスの印象に残っているのは、彼女の笑顔だった。
――子どもたちに手を引っ張られて。
――私の人形劇を見て。
――上海たちと触れあって。
微笑む、笑う、破顔する。
アリスから見た雛は、まるで、どんな小さなことにも幸福を感じているかのような、そんな少女だった。
そんな少女が珍しく顔色を悪くして訪ねてきたときは何事かと慌てたものだ。話を聞いてみれば暖房の燃料がきれたから避難させてほしいという。確かに冬が長引いているが、避難までするほどかと呆れたものだ。同時に、私の心配を返してほしいとも思った。
そして、雛がマーガトロイド邸に居着いてから2ヶ月。
「もう2ヶ月…………なのよねぇ」
そう呟くアリスの視線の先で、雛はソファで横になり静かに寝息を立てている。穏やかな表情で雛に毛布をかけながら、アリスはことの経緯を回想していた。別に迷惑に思っているわけではない。単純に友人として迷惑だと思わないぐらいに好意を持っていることもあるし、衣服に関して数少ない相談相手であることもあるし、魔法使いとして厄を纏わない厄神が興味深いのもあるが、何より楽しいのだ。彼女と過ごすのは。
アリスは雛とは反対側のソファに座り、紅茶が入ったカップを片手に思考を続ける。というのも、アリスはこの頃雛についてよく考えることがある。
――珍しい。
それは、雛が居着いて割とすぐに考えついたことだった。
そもそも彼女が――出かけることはあれど――一ヶ所に留まっている今の状況こそが珍しいのだ。彼女はあれで意外と気まぐれなところがある。放浪癖、と言うと言い過ぎかもしれないが、彼女はいつも(定期的に顔を出す人里と博麗神社を除いて)あっちにふらふらこっちにふらふら、幻想郷中を渡り歩いているのである。
紅霧異変以降、顔を出す先に紅魔館が追加されたものの、彼女の気性はこれといって変わっていない。それを考えれば、2ヶ月に渡って此処に定住していることが、どれだけ珍しいかが分かるというものだ。あるいは、彼女にそうさせるこの異変の主がすごいのか。
「…………まあ、異変については今はいっか」
――なんにせよ、普段すぐには捕まえられない友人と、もう少しの間ゆっくり暮らせるのならそれも悪くない。
そんな考えが浮かぶぐらいには、人形使いの少女は雛に対して好意を抱いているのだった。
1時間後、雛と同じようにソファで寝息を立て始めたアリスに毛布をかける小さな影がいたが、その光景を知る人はいない。
やったね!雛ちゃん大勝利!!(盛大なフラグ)
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返信あれば嬉しいです!
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びっくりするのでしなくていいです。