ありふれた錬成士は最期のマスターと共に   作:見た目は子供、素顔は厨二

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この二つの作品にどハマりしていますので書かせていただきました。
何人かこれと同じクロスオーバーをしている方を見かけましたが別ルートですのでお許しを。
大概なんでもありな方には楽しめてもらえると思います。
お願いいたしますね!


第一部 序章 暗黒魔獣巣窟オルクス 《副題》 〜邂逅〜
プロローグ/立香編


「あ〜、平和だなぁ〜。ここ最近」

「先輩、それは黒髭さんで言う『ふらぐで御座るぞ〜』というものでしょうか?」

「うん、そうとも言うよね。けど後で黒髭の野郎シメる」

「? 訳は分かりませんが、そう言うことなら私も助力しますね! 先輩!」

 

ここは『人理継続保証機関 カルデア』。文字通り人理の乱れを修正する組織だ。魔法協会の中でも異端の組織であり、解析などの魔術のプロフェッショナルが集う化け物の巣窟でもある。

 

『人理継続保証機関 カルデア』は今まで多くの功績を残してきている。一度壊滅に追い込まれた歴史の修復に『ビースト』と呼ばれる生命体の討伐、世界樹に支配された世界の破壊、他にも様々な世界の危機を救ってきたのがこの組織だ。

 

そんな様々な輝かしい功績を残している組織の中で椅子に座り、微笑ましい談笑を交わせる少年と少女。一見場違いな印象を与える二人ではあるが侮ること無かれ、彼らこそその輝かしい功績を生み出してきたのだ。

 

少女の名はマシュ・キリエライト。薄紫色の髪を持ち、一見大人しそうで可愛らしい少女。しかしその実、カルデアの持つ『召喚システム』を支える幹部にして最強の守護者。

 

そして少年は藤丸 立香(ふじまる りっか)。魔術の才能のないただのマスター候補、というのは最早昔の話。今ではマシュとともにこのカルデアを支える幹部となっている。様々な英霊(サーヴァント)、すなわち過去、現在、未来の英雄を模した特殊な霊体との縁を持ち合わせており、彼らをノーリスクで召喚、そして英霊に認められているマスターだ。

 

だからこそ周囲の職員は彼らを見ると老若男女問うことなく、二人に畏怖と敬意をもった挨拶を忘れない。それほどまでに彼ら二人の存在はこの場では非常に大きい。

 

ただマシュと立香はそこで偉そうにするような人間ではない。むしろ職員に挨拶されるたび、少しこそばゆい感じを覚えながらも挨拶を返す。

 

立香は職員が通り過ぎて行くと、困ったように眉を寄せる。マシュも同様の感情を覚えたようだった。

 

「なんというか…ちょっとどうしたらいいか分からないよね」

「そう、ですね。『幹部』という大それた称号は元々ダヴィンチちゃんの悪ふざけによって生まれた物ですからね。ダヴィンチちゃんもおふざけが過ぎますね」

「本当にそれだよね」

 

そして引き続き当たり障りのない話をしていると、急に警報アラームが鳴り始めた。

 

『緊急事態発生、緊急事態発生。直ちにマシュ・キリエライト、藤丸 立香は司令室に直行したください』

「「!!?」」

 

二人は一瞬動揺する。この世界における危機は出来る限り潰したのだ。特異点が現れたところで小さな物ですしか無いはずであり、緊急性を帯びるものではない。

 

だが流石は『幹部』と呼ばれる二人。次の瞬間には立ち上がり、走り始める。

 

「行こう、マシュ!」

「はいっ! 先輩!」

 

彼らが向かうのは司令室。残りの『幹部』がいる場所へと進む。

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

「ダヴィンチちゃん! さっきのアラームどういうこと!」

「ダヴィンチちゃん! もしや新たなビーストが現れたのですか!」

「あー、二人ともとりあえず落ち着いて! …全く、『幹部』とあろうものがそれほどまでに動揺しちゃいけないぜ」

 

レオナルド・ダヴィンチ、通称ダヴィンチちゃん。カルデアが呼び寄せた英霊の一人であり、カルデアの技術顧問でもある彼女は立香、マシュにとってかけがえのない仲間である。ちなみに見た目はモナリザである。性別? んなもの芸術の前ではどうでもいい。

 

「「あれはダヴィンチちゃんが勝手に…」」

「はいはい、話を進めるよ〜。二人とも。心の準備はできたかい? 今回の話は正直『チェイテピラミッド姫路城』とか『ぐたぐた事件』とかそんなレベルじゃないぜ」

「あ〜、二つとも楽しかったよね」

「先輩…むしろあれに動揺せず、笑ってしまえるのは少なからず先輩だけだと思いますが…」

 

どちらの特異点も普通の魔術士であればクトゥルフ並みのSAN値直葬案件なのだが、精神力チートたる立香にとってはただの面白い話にしか過ぎないらしい。…元一般人とはとても思えない図太さ、もしくは能天気さである。

 

思い出しながら口を開けて笑っていた立香。そう言えばと話の内容を思い出し、改めてダヴィンチに何が起きているのかと問いただす。

 

「今回ばかりは流石に立香君でも笑ってスルーするのは無理だよ。なんだって…『異世界召喚』がホントに起きちゃったんだからさ」

「異世界…」

「召喚…ですか? ダウィンチちゃん?」

 

何故か自慢するようにそう言い放つダヴィンチ。その言葉に呆気に取られる立香とマシュ。目は点だ。

 

だがダヴィンチちゃんは止まらないっ!

 

「そうさ、異世界召喚だとも。いやー、ホントにテンプレートって奴に沿っていたよ。ある学校の教室で異常なほどの空間の歪みが発生したのさ。最初は『あー、また特異点? よし、新しいマスター候補の子に行ってもらうか』といった具合だったよ。けれど正直空間の歪みが神代レベルにまで変動していたのさ。それでホームズに頼んで解析して貰ったらまさかの地球にあるはずのない場所を一瞬だけれど見つけてしまった。しかも空間の歪みが起きてからというもののその教室に生命反応は見かけられなかった。一瞬解析できた限りでは向こうの世界では神代レベルの力がある。その上レイシフトができるかもわからない場所だ。新しいマスター候補の子たちでは対処しきれない。そんなわけで君達に後は任せた〜、というわけさ」

 

ダヴィンチの長々とした説明が終わると、その場はまさしく静まり返っていた。笑い声どころか周りの音が全て遠慮したような静まり。そして立香の目は死んでいた。

 

「…何というか、凄いね。異世界召喚なんて幻だと思ってたのになぁ〜」

「流石の君も容量オーバーだね。私も最初理解した時、こめかみをぐりぐりとしたものさ」

 

二人の目がやけに遠い所を見ている。立香は今までの経験よりもエゲツない非常識ぶりに。ダヴィンチもまた発見当初の驚愕を思い返したらしい。二人の口からは何かが漏れていた。

 

「と、ところでダヴィンチちゃん。…異世界と言っていましたよね。レイシフトはそんなところまで可能なのですか?」

「うむ、いい質問だ。だが相手はこの天才、ダヴィンチちゃんだぜ! 修正に修正を重ねて完成させたのさ」

「「さ、流石ダヴィンチちゃん! 天才だ!(ですね)」」

「ふふ〜ん。いいよ、もっと褒めてくれたまえ」

 

流石にここまで来れば天才と言わざるを得ない。何と言っても異世界召喚に近い現象を解析し、それを再現したと言うのだ。二人はいつも以上にダヴィンチに『天才コール』を送る。ダヴィンチもまんざらでない様子だった。その証拠にコールが来る度にポージングを変えている。ある時はジョジ◯的な、またある時は仮面◯イダー的な。あ、荒ぶる鷹のポーズまで!

 

「お前たち! 遊ぶのも大概にしたまえ。今は特異点があるのだぞ! 何を呑気にしている!」

「「あ、局長いたんですか」」

「…貴様等、最低限のマナーと言うものをしらんのかねっ!?」

 

ゴドルフ・ムジーク。元々は立香達を追い出し、カルデアの利益を我が物としようとしていた男だった。しかし立香とマシュに危機を助けられ、ボーダーで旅をしていく間にカルデアに愛着を持ち始め、成長した男だ。利益にがめつく、ハニートラップなどには非常に弱いが善悪の認識はきちんとついている。今でも局長として働き、幹部としての見合う功績を上げるぐらいには。

 

「…まあ、たしかにミスタームジークは中々にキャラは薄く、影もまた薄いが声に出してはいけないよ。君もミズキリエライトも」

「ホームズさん! ダヴィンチちゃんが言っていましたが、本当に今回の解析はホームズさんが…」

「ああ、私だね。あの様なもの私からすれば朝飯前だよ」

「流石です、ホームズさん! 凄いです!」

「ちょっと待ちたまえ、ホームズ! さりげなく私をディスらなかったか!!?」

 

シャーロック・ホームズ。カルデアが召喚したサーヴァントの一人。元々は仮想の人物であったが『座』によって霊基を固定され、召喚された。彼もまたカルデアの幹部の一人である。答えのある謎ならば彼は必ず解き明かす。解析部門においての最高顧問でもある。

 

彼等彼女等こそがこのカルデアにおける幹部メンバーである。あとシオンと呼ばれる少女がいたりするが、今この場にはいないようだ。

 

「まあまあ、そろそろレイシフトするとしようぜ。というか最近立香君たちがレイシフトしない所為で英霊からクレームが溜まりに溜まってるんだ。『安珍様安珍様安珍様安珍様安珍様安珍様安珍様安珍様』とか『立香はどこ!? あいつ一回デュへってやるわ!』とか『この未熟マスターどもをぶっ飛ばせばマスターが出てくるか!?』とか『マスターったら悪い子だったのね。いけないわ、いけないわ』と言った感じだね。正直」

「皆んなに愛されてるな〜」

「先輩先輩。少なからず一回は絶対死にそうなのですが!!? どうして平然と感動してるんですか!?」

 

立香は最近、現れた特異点を担当していない。というのもマスターの後継者を作るためだ。立香の形跡は非常に大きく、正直サーヴァント達の多くが立香に依存している所がある。また立香以外の言葉は受け付けない、と言った英霊が殆どだ。今こそいいが後に立香が死んだり、活動不可能になった時に英霊達がどうなるか。…最悪の未来しか見えてこない。

 

結果、サーヴァントの立香への異常な執着を無くす為にも他にもマスターをカルデアは取り込み、小さな特異点を担当させている。

 

しかしこれが何とも効果が無く、むしろ悪化。サーヴァント達は『マスターを戻せ』派と『この未熟者殺せばマスター帰ってくる?』派、『私たちの世話しないマスター死すべしナウ』派と分かれている。恐るべきなのは一番最初の派閥のサーヴァントが一番少ない点だろう。ちなみ最後の派閥は立香と関係(・・)を持ってしまった者達が大概だったりする。

 

閑話休題

 

「ま、そんなわけだ。しかし今回のレイシフトではこちらとあちらの通信を繋げる事自体が難しいかもしれない。さらに地球から離れるということはサーヴァントの知名度降下による弱体化が起こる可能性が非常に高い。我々が予知もしないトラブルの発生もありうる。流石に召喚自体ができなくなる、なんて事態は立香君の魔術回路(・・・・・・・・)がある限りないだろうがね。それほど危険度が高く、それこそゲーティアが作った特異点や異聞帯並みだ。しかもあちらには無力な一般人までいる。彼らを守り、かつ帰す方法を考えなければならない。マシュ、立香君。覚悟は…あるかい?」

「もちろん、大丈夫!」

「マシュ・キリエライト。準備オッケーです!」

「よろしい! それでは局長、最後に一言宜しく頼むよ」

「ふん…。いつもの如く貴様等ならやり遂げてくるだろう。期待している。」

「オッケー。それでは二人ともレイシフトといこうか。長旅にもなる、是非とも今回のエクストラオーダー、気をつけてくれたまえ」

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

『アンサモンプログラム、スタート。 霊子変換、開始。ーーーー全工程、完了。エクストラオーダー、実証を、開始、します』

 

遥か彼方の世界へと向かうその最中。

 

「絶対に帰って来よう、マシュ」

「はい、勿論です。先輩」

 

二人はいつものように、しかし勇気を持って言葉を交わせる。

 

そして向こうの世界で待つ運命は今すぐそこに…

 

 

ーー第一部 序章 暗黒魔獣巣窟オルクス

副題 〜邂逅〜

攻略難易度 E

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