ありふれた錬成士は最期のマスターと共に   作:見た目は子供、素顔は厨二

2 / 80
2話目です。今回はちょっと少なめ、かな?
それはともかく今回は相当原作の序盤を略してオリジナル要素をいくつか加えたものになっております。
是非ともどうぞ!

ヘブンズフィール続編楽しみです!


プロローグ/ハジメ編

 ハイヒリ王国と呼ばれる国の王立図書館。世界でも最大級の本の数を所蔵するこの図書館には一人の少年の陰があった。

 

 彼は本を読んでいる。その内容は『北大陸魔物図鑑』という題名だけで内容が分かってしまう面白みのない物。だが彼の側にはそういった本がいくつも並んでいた。

 

 少年の名前は南雲(なぐも) ハジメ。この世界、トータスに地球から召喚されたクラスメイトの一人であり、唯一戦力外のレッテルを貼られた『神の使徒』である。彼は並みのステータスしか持ち合わせておらず、また職業も【錬成士】というこの世界では十人に一人が持つありふれたもの。他のクラスメイトがこの国の団長を驚かせた中、ハジメに対してだけ微妙な顔をされたのは今でも嫌な思い出だ。

 

 二週間に及ぶ訓練を得てもその値は一切伸び代を見せない。その伸びなさ具合と言えば…下の通りである。

 

 ==================================

 南雲ハジメ 17歳 男 レベル:2

 天職:錬成師

 筋力:12

 体力:12

 耐性:12

 敏捷:12

 魔力:12

 魔耐:12

 技能:錬成、言語理解

 ==================================

 

 一応、比較すると通常(・・)の人族の限界が100から200、天職持ちで300から400、魔人族や亜人族は種族特性から一部のステータスで300から600辺りが限度である。こうして比較するとこと尚更ハジメのステータスの低さが伺える。ハジメは最悪そこにいる子供にすら負けるのだ。最初の頃の『異世界召喚ですか? まじですか?』といった希望など水泡の如く潰れ去った。

 

 そうして本当に訓練をしていても結局の所、戦力外ということを悟ったハジメは訓練を最低限行い、代わりに知識と彼唯一の武器である“錬成”の腕を磨いている。

 

 そういった経緯でハジメは図書館に来ていたわけだが、他にも理由が無い訳では無い。まずこの王国の人々の目がハジメに対して攻めるように酷いことだ。あまり人の悪意などは気にしないハジメだが王城の人々は誰しもがハジメにそういった眼を向けるのだ。流石のハジメにも無理がある。

 

 またハジメはクラスメイトにも味方という味方がいない。それは地球にいた頃から変わらない。それは一つの要因としてハジメが重度のオタクであることもあるだろう。事実、ハジメは『趣味の合間に人生』という人生の格言を持ち合わせている。その言葉に沿うかのように学校では登校は遅刻ギリギリ、過ごす時間の大半が居眠り、昼飯は10秒チャージ、そして学校が終わった瞬間即時帰宅!といったライフワークを営んでいる。

 

 しかしハジメの身嗜みは一般的なもので不衛生ではない。またテストもいつも平均点は取っているため問題はない。しかも話を始めればオタク話以外の話題でも十分に話せ、むしろ聞き上手なくらい。周りには迷惑をかけるような人間ではなく、自身に与えられた役目はキチンと果たすぐらい。あまり批判されるような人間ではない。

 

 それにも関わらずハジメに対する当たりが必要以上に酷い。ならば何が理由なのか。その理由は…

 

「南雲くん、南雲くん。この本とかどうかな? 『見習い錬成士でも作れる! らくらく簡単! 武器一覧!』だって! どうかな?」

「あ、ありがとう。白崎さん。でも僕なんかに構ってて大丈夫?」

「うん? …ああ〜! ホントだ! 訓練に遅れちゃう! ゴメンね、南雲くん! また後でね〜!!」

 

 ーーただ今城の訓練所へと走って行った少女、白崎 香織(しらさき かおり)である。元々ハジメがいた学校で二大女神と言われ男女問わず絶大な人気を誇る途轍もない美少女だ。腰まで届く長く艶やかな黒髪、少し垂れ気味の大きな瞳はひどく優しげだ。スッと通った鼻梁に小ぶりの鼻、そして薄い桜色の唇が完璧な配置で並んでいる。

 

 そんなスクールカーストでも上位に立つ香織はあろうかとかカーストから出ているハジメに必要以上に構うのだ。ハジメはあくまでも香織のそれは優しさから来るものだと知っているものの、人生の生き方を譲歩する気は無かった。

 

 だからこそその結果、周りの人間は面白く思わない。よってクラスメイトはハジメに男なら嫉妬を、女なら『白崎さんにああまで言われてるのに態度を直そうとしないのはどういう事なの!?』という感情を含んだ視線を叩きつける。特に檜山(ひやま)を中心とする四人組はハジメに対し、嫉妬を隠す事無く悪意をぶつける。学校にいた頃は罵詈雑言を並べ、見下す事しかしなかった。だがこちらに来てからはそれはエスカレートしていった。

 

(まだ…お腹痛いな)

 

 ハジメは思わず己の脇腹をさする。その服の裏には青い痣ができていた。また顔には擦り切れ傷。足にも立つ度に痛むほど怪我がたしかにある。

 

 これはつい先日、檜山達四人組が『訓練』と表してハジメを痛めつけたためだ。陰湿なのはこれを隠れた裏路地で行なっていた事だろう。お陰で彼らのなされるがままに魔法や蹴りをお見舞いされ、地面を転がる目にあった。彼らの気分が晴れる頃にはハジメは体の一部の感覚が麻痺するまでに至っていた。その後ハジメは香織に発見され、その場で治療を受けた。

 

 ちなみに香織はこの一件の真相を知らない。ハジメはあくまでも『魔物が出てきて、痛めつけられた』と説明してある。もし香織が真相を知れば、檜山達に何らかの注意を行うだろう。そうなれば更に彼らの嫉妬は増幅する。最悪死に至るかも知れない。だからこそハジメのその判断は正しいと言えるだろう。

 

 二週間後にはオルクス迷宮と呼ばれる魔物の巣窟へと向かうことになる。正直に言って前途多難もいい所だ。ハジメは思わず溜息を吐いた。

 

 するとやけに視界の端の方が目に入った。ハジメをしても何故かはわからない。しかしハジメはその端の方へと少しずつ、少しずつ目を向けていく。

 

 そこにいたのは一人の少年と一人の少女だった。彼らは本棚から書物を取り出しては、ページをパラパラとめくるということを繰り返している。

 

 男の方はイケメンというわけではないが顔は整っていた。彼の傍らにある少女に関しては優しい印象の香織や彼女の親友であり、学校の二大女神たる八重樫 雫(やえがし しずく)のクールさとはまた違う美人だ。それこそ保護欲を擽るというか、そんな感じの。

 

 だが注目するべきなのはそこではない。彼らの服装、そして男の髪色だ。女子の方の髪色は薄紫色でこの世界の人々と大差無いのだが、男の方は黒髪だ。今の所黒髪はこの世界ではそれこそクラスメイトぐらいしか見ていない。

 

 また服装も丁寧な作りでこの世界の服よりも何世代も上を行っている。また素材に関しては地球でも見たことが無いほどに立派なものが使われており、ハジメの素人目で見てもただの服とは思えない一品だ。

 

 ハジメは結局彼らにこの日声を掛けることは無かったが、それでも記憶に確かに残していた。もしかしたら、という希望も残して。

 

 迷宮へと足を運ぶまでの期間は少ない。それまでに悔いの無いようにできることをしよう。ハジメは新たに決意を確かにした。

 

 ハジメはまだ知らない。この後に待ち受ける悲惨な運命も。その果てに生まれる本来ない出会いも。




ちょっとしたアレンジ一覧とその理由。
・檜山達のイジメを香織達にバラさない。(この後に檜山に奈落に落とされるけど、あの現場を香織が見てたら少しは違和感待つんじゃね?という違和感から)

・オルクスまで残り二週間(一つとしては香織をユエと並ばせるための処置。この作品はユエと香織がメインヒロインです。二つ目は立香との友好関係を結ばせるため。少なからず立香が助けたい、と積極的に思うぐらいには。(まあ、立香ならそんなことせんでも行きそうだけど。))

・最後の二人(言わずとも立香とマシュ。ここにいる理由は後々説明。)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。