ありふれた錬成士は最期のマスターと共に 作:見た目は子供、素顔は厨二
バトルむず過ぎじゃ。
皆さん、ド下手な小説ですが文句を言わず読んでいただければありがたいです。
…この後『アサシン』もあるのに…大丈夫だろうか?
ともかく始まりますよ!
ーー立香side
「がっ!!?」
立香は呆気なくハジメの蹴りに吹き飛ばされた。立香は空中で輪を描き、着地するがハジメは空を蹴って追随する。
立香には一切、安らぎの時は存在しなかった。
「ーーッ!!」
腹にある傷は少しずつ癒えているもののまるで雀の涙。ほんの気休めでしかなかった。今も出血は止まっておらず、だくだくと血を流しては霞む視界で状況を理解する。
立香が“英霊憑依”をしてから場の戦況は一切の変化を起こしていない。せいぜい立香の手札が増えたということだけだ。
マシュや少女の復活は見込まなければ、二騎のサーヴァントの復帰も難しい。もっともこの場において彼女達の乱入は無粋と言わざるを得ないが。
『キャスター』は乱入することなく、ただマシュ達の近くで…紅茶を飲んでいた。立香がもしそれに気がついていたならば流石にイラッとしただろう。しかしそんな事に気を割く余裕は全くない。
紅の光が立香へと飛来する。ハジメの弾丸だ。
しかし立香が純白の魔力を帯びると直ぐに紅の軌跡は曲がり、壁だけを抉り取った。
クー・フーリンの持つ“矢避けの加護”。立香は“英霊憑依”によってその力の恩恵を一部得ていた。だからこそここまで死なずに生き延びている。
しかしこの力には弱点も存在する。もっともそれは立香の“英霊憑依”の不完全さが引き起こした弱みなのだが。
というのも基本クー・フーリンはこれを性質として気に止めることもなく、常なるものとして使用している。そのためクー・フーリンは接近戦だけに集中できるのだ。それはとんでもない強みである。立香もそれが目的でクー・フーリンを憑依したのだ。
しかし立香の場合、“矢避けの加護”を受ける際に少し意識を発動に向けねばならない。とはいえそれはほんの些細な意識のブレ。本来ならば大きな損害とまで言えるようなものではない。
しかしハジメは違う。遠距離だけが武器なのではなく、あくまでもその『銃』でさえも道具の一部。蹴りや風の斬撃、雷、更には“錬成”と“投影”による予想外の戦術を用いる。全てが平均以上の馬鹿げた威力でだ。
そしてハジメはきっと“矢避けの加護”の難点を理解している。でなければわざわざ弾丸を無駄に使い捨てるような真似はしない。
ここで立香は確信する。南雲ハジメは最早、パラメーターや技能だけでなく、読み合いなどにも長けた
また立香の体から命の血潮が一滴一滴と零れ落ちた。あと満足に戦える時間ももう短い。立香の敗北は紙一重の場所までジリジリと近づいている。
そして敗北が決まった瞬間、立香の命はここで潰える。
立香はその状況に青ざめながらも…笑ってみせた。不敵に。追い詰められたことすらも忘れさせるほどに。
何故ここまでボロボロになってでも戦うのかなどという疑問は、立香には一切浮かばない。
ーーー貴方達は…誰ですか?
警戒心が酷く露わになっている少年が尋ねてきた、立香にとっての最初の言葉。脳裏に浮かぶと立香はフッと小さく微笑む。そして槍を弧を描かせるように薙ぎ、爛々と己の宿す光を燃え上がらせる。
「必ず…お前を救ってやる!!」
神意すらも振り払う人類の英雄が覇道は今、灼熱の一途を走った。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
ーーハジメside
(意味が…分からないっ!!)
暗闇の中を三条の光が駆けた。光は純白を放つ男、立香の周辺で歪む。そしていつのまにか後ろへと飛んでいくということを繰り返していた。
■■■の絶対必殺、銃という反則兵器を無効化にする技。その名を“矢避けの加護”。確かに■■■からすれば罵倒したいほどに訳の分からない技だろう。
しかし■■■が悪態を吐くのはそこではない。仕留められるはずなのだ。今の手負いの立香ならば。
事実、今放った三つの弾丸は全てブラフ。その後に“風爪”を纏わせた“豪脚”を持って立香の命を確実に奪う。そう思い描き、事実それは実現できる、そのはずだった。
だが“縮地”を持って立香へと接近し、いざその一撃を叩き込もうとすると一瞬己の体が神経を途絶えさせる。言うことを聞かなくなる。
(またっ!!?)
その間にもちろん立香は槍で突きを放つ。甘いことに四肢ばかりを狙ってくる。
そんなもの“心眼(真)”には容易く予想可能だ。四肢を狙う槍を“強化”を施した銃身で逸らす。そして“風爪”で再び立香を攻撃しようとして…また硬直する。
こんな事を繰り返してばかりで■■■は決定打に持ち込めるものの、そこから何故か踏み込めずにいた。
一方で目の前の男には限界が差し迫っているはずだ。“風爪”による負傷からは血が溢れ、生命を脅かしている。いつ、立香が死んでもおかしくはない。
(だっていうのにーー!!!?)
それでも立香は一切妥協していない。未だに■■■を取り戻そうと戦っている。満身創痍であろうと脚に力を込める。
立香が倒れる、その光景を■■■には捉えきれないでいる。
「ふざっ…けろぉおおお!!」
悪夢を拭うように■■■は紅の魔力を迸らせ、雷が立香を襲う。立香はそれをまともに喰らうものの、気を失うことなく猪突猛進に突き進む。
その姿に■■■は歯を軋ませ、吠えた。
「ふざけろ!! テメェの夢なんざ…せいぜい御伽噺だ! 俺はそんな夢…とうに諦めたんだよ!!」
■■■の頰に汗が伝った。それは体のヒートアップによるものではない。恐れているのだ。
ーーたす…けて
ーー置いて…行かないで…
ーー嫌だ…待って。待ってよ…
ただ一人であることを。孤独であることを。
だから■■■は全ての感情を排除する。友愛の情も、憎悪の衝動も全て投げ捨てて、過去を清算するために。
故に■■■は必ず認めてはならない。立香の、まるでファンタジーのような明るき理想を。いずれ必ずその手から大事な何かを取りこぼすには違いないのだから。
「俺に、その思想を…押し付けるなぁっ!!!」
“豪脚”が唸りを上げ、立香の腹を捉えた。
立香の傷口からは血が溢れる。同時に立香の体が宙を泳いだ。
その脚に■■■の指がそっと触れる。
「“
紅が発光、それと共に顕現する魔術師にとっての枷。
もはや立香の姿をこれ以上、見たくはない。故に自主的に封じていた一手に■■■に頼った。
立香にあった青の英雄の力が霧散する。されど赤の槍を手放すことが無い。獲物だけは残っているのは封印石の質の甘さか、英雄の力を塞ぎ込めきれなかった故か。
だが、力を失った立香を支える者はいない。空中で動きを止めさせられた立香に単なる蹴りが見舞われる。血が噴き出したかと思えば、嘘のように地面に叩きつけられる。
立香と■■■の間に開いた距離は5メートル。はたしてそれは二人の心の距離を表したものか。近づくことは出来ても、困難な距離。
立香は無様にも地面で這い蹲るのに対して、■■■の体には埃一つも無い。
この構図だけで子供でも分かる。立香の敗北を。
■■■はその結果を知り、再び立香を嘲笑って弾丸を立香の足元に放った。
「見ろ! これが感情に全てを任せたお前の成れの果てだ!」
弾丸の余波で立香は吹き飛んだ。盛大な土埃が辺りを舞う。立香の脚は焼け、最早立つことすらも有り得ない。
地面に流れる血の量は致死にいたるまでの量。少なからずもう動くことなど…できる訳がない。
今度こそ、■■■は勝利を確信した。ここまで命の危機に晒せば折れる、そう思ったからだ。踵を返し、今度こそこの洞穴を出ようとする。
だがふと■■■の耳にある呟きが風に乗って聞こえた。
「…甘いですね」
「…あ?」
声の在り処はマシュだった。檻の中で未だにもがきながらもその目は立香と同じように一途。■■■にとって悍ましいまでの愚直な信頼がそこにあった。
マシュは続ける。
「確かに貴方は先輩の事をよく知っていると思います。ですが…それは友人として」
ーーザスッ!
何かが地面を突き刺す音さえ鳴らなければ。
■■■は静止した。
体は飽くなきまでに砕いた。
魔術は封印石で無意味と化した。
脚など使い物にしなくした。
無力さを骨の髄まで理解させた。
そこまですれば普通、誰もが折れる筈だと…そう思った上で。
しかし■■■■■は知らない。
己が屈服させようとする男が、一体どれほど険しい道を突き進んできたのかを。これほどの傷など、幾度となく引きずってなお前に進んだ事を。
そして何よりも…
ーー先輩の、人としての強さを
振り返って、その男の姿を改めて見た。やはり立てる身などでは無い。こんなもので立ち上がるのはせいぜいゾンビか何かだろう。
「…テメェは…何なんだ?」
知っている筈だ。しかし、そこに宿る決意は■■■が知らないほどの人の身を超えたもの。だからこそ思わず尋ねた。
偶然、初めて出会った日と同じ質問を。
目の前の男は笑って、赤の矛先を■■■に突き立てて答えてみせた。
「俺は『人理継続保証機関 カルデア』の幹部。そしてお前、南雲ハジメの唯一無二の大親友…藤丸立香だ!!」
■■■はこの言葉に名状し難い感情を覚えた。とうに捨てたはずの感情が■■■の中に溢れ出る。涙が、嗚咽が吹き出す。
ーー否定する。
それらの感情は認めてはならないもの。『過去』として捨てねばならないもの。
■■■は必ず、そのような感情を認めてはならないのだから。
溢れる全てを歯を食いしばることで堪える。鎖を巻いた鉄の感情で、引き金を引く。
「ーーー消えろ!!」
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
ーー立香side
「ーーー消えろ!!」
紅の猛威が吹き荒れる。その数6。立香の全てを否定するがために、全ての弾丸を用いてハジメは咆哮を上げた。
紅の光が立香へと飛来する。その未来は当然、死のみ。脳髄や心臓をブチまけて、今度こそ永遠に地面へと倒れる。
その…はずだった。
流麗に、無駄のない歩行が弾丸を紙一重で避ける。その度に凄まじい熱気が立香の肌を焼く。だが死ぬことはない。立香は気にするまでもなく、歩を進めた。
「ーーッ!! “
創り出されるのは六つの弾丸。空中でそれらを装填すると再度射撃する。
だが結果は同じ。すり抜けるように極自然と歩いていく。
きっと、この世界の『ステータスプレート』を立香が手に入れていたとするならば…このような技能が載っていたことだろう。
ーー“瞬光”と。
立香の目には今、世界が色あせて見えていた。モノクロームの世界で、全てのモノがゆっくり動く。その中で、ハジメだけは普段通り動けるのだ。
本来ならば“天歩”や“縮地”などの技能を持たなければ手をかけられないはずの場所。立香は意地と覚悟だけで辿り着いてみせたのだ。もはやその生き足掻く様は、人としての可能性を芽生えさせる。
(勝ってやる…お前に、必ず)
負けられないと思った。『大切』を二度と失わないためにも。今度こそ…『大切』を守り抜くためにも!!
紅い流星が吹き荒れる中、立香はまるで舞を踊るかのように足をスライドさせて移動していく。そして槍に純白の魔力が纏われ始める。
封印石の枷すらも、立香は無視する。この一撃に…立香は全てを賭ける!
「今我はここに。我が唯一にして無限の宝具は我が絆。来た覇道よ、今呼び起こせ。我が道は今我等が覇道となる。
枷が徐々にヒビ割れていく。立香の光の元、崩壊を起こして消えていく。純白の魔力が今、紅の世界を押し上げた。
やがて二人の間は二メートルを切る。そこが二人の土壇場。互いの切り札がついに切られる。
ハジメは背中に背負っていた真の必殺技、対物ライフルを。
立香は赤い槍に隠された回避不可たる絶対の、対人宝具を。
「ーーー死ね」
「ーー『
互いの宣言と共に、紅と赤の極光が解放された。どちらもが宝具の名に違わぬ程の威力。
弾丸と槍が嫌な音を立て、崩壊を始める。
先にヒビが入り始めたのは…『
この光景にハジメは一瞬、眉をひそめたがすぐに不敵な笑みを作り上げた。
だが人理の英雄は、笑っていた。全ての逆境を乗り越えてきたように。今回もまた突き進もうと、誇り高く笑う。
そしてそれに呼応するように、彼を愛する人は
ーー負けないでください
魔術回路が、今燃え上がった。まさしく灼熱。立香を燃やし尽くすほどの想いの丈。それらも目の前の決闘への力として、立香へと還元される。
「…負けるかよ」
唸るように声を上げる。まだこんな道半端では止まれない。藤丸立香の覇道は、まだ終われない。
まだ何も果たせてもいない。死に至った人々に、何も示せてはいない!
「負けて…たまるか!!」
赤い槍が純白で包まれていく。その光は一秒でも、一分でも相手に勝とうとする立香の覚悟。
骨が軋みを上げる。肉が負担に耐えかね破断する。血などもはやありはしない。
それでも前へ。この負けられない戦いに勝つために。
意地を張ってでも前へ。
恐れてでも、前へ。
「ぁあああああああああああああああああああああ!!!!!」
咆哮が轟く。みっともない雄の叫び。されど生き抜く人の強さがそこにはある。
赤い光が純白を呑み込んで伸長する。初めてこの時、紅が劣勢へと回る。
弾丸の光の尾が縮小する。そしてついに砕けた。
そして不可避の刃が対象を貫く。
勝利の凱旋とでも言うのか、槍が対物ライフルを砕く音が甲高く一面に響いた。
砕いた勢いのまま槍はハジメの喉元へと突き立てられる。あと少しでも立香が手を動かせばハジメの命はない。
即ち、立香は告げた。
「…俺の勝利だ。ハジメ」
これにハジメも応えた。
「…ああ。俺の敗北だ。立香」
この時、ようやく奈落での二人の戦いは終わりを迎えた。
というわけでハジメVS立香は立香の勝ちでエンドマークです。
…やっぱりエミヤVS士郎に似てる感が凄いな、この戦い…
次回からは『アサシン』VSモードレッド&スカサハとなります。
…本気で大丈夫かね、私。