ありふれた錬成士は最期のマスターと共に   作:見た目は子供、素顔は厨二

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今日二度目の投稿でーす!
いや、テンション上がったせいかスラスラと…自分でも驚愕ものですわ。
とはいえ原作トレースのところも一部ございます。ご注意ください。


だから俺は戦い続ける

 ーー立香side

 

「改めて自己紹介を。俺は藤丸 立香。好きなものは美味しいものなら何でも。嫌いなものは絶望と人の死。地球のある組織、カルデアでマスターをしてる魔術師さ。どうぞよろしくね、二人とも」

「…(白目)」

「南雲くん南雲くん南雲くん南雲くん南雲くん南雲くん南雲くん南雲くん南雲くん南雲くん南雲くん南雲くん南雲くん南雲くん南雲くん南雲くん南雲くん南雲くん南雲くん南雲くん南雲くん南雲くん南雲くん南雲くん南雲くん南雲くん南雲くん南雲くん南雲くん南雲くん南雲くん南雲くんーーー」

「先輩! まずこの状態で話を進めようとしないでください! まだ色々問題があります!」

 

 ここは王立図書館の屋根上。ここならば誰にも邪魔されまいと立香がセレクトした場所だ。…ガンドで行動不能にした二人を背負いながらクライミングしてきたのだが。「チェイテピラミッド姫路城サクラダファミリア万里の長城に比べればまだマシだなぁ」と言った元ただの一般人。何が彼をここまで変えたのか。きっとカルデアを代表する筋肉マン・ウーマンのせいである。

 

 しかし場所は変わっても状況は変わっていない。未だにハジメは般若スタ◯ドに気絶しているし、香織もまた般若スタンドを進化させていっている。もはやカルナ並みに目で殺そうとしている!

 

 そこで立香はある種の強行突破を行う。右手を突き出して、左手を右腕に添える。口ずさむは詠唱。

 

「今我はここに。我が唯一にして無限の宝具は我が絆ーー」

 

 それは立香が他ならぬ『座』に与えられた力。生きたまま抑止として生き続けることを代償に手に入れた彼だけに許された絶対の魔法。そしてそれは彼の生きる道を指し示したもの。

 

「ーー来たれ覇道よ、今呼び起こせ。我が道は今我等が覇道となる。来たれ(聞け)来たれ(聞け)。汝は救う者、万人に癒しを与える者。杯の巫女は抑止の輪より今ここにっ!!」

 

 立香は右手を空高く天へと掲げる。収束する白き光玉の数々。天衣を着飾る頼れるサーヴァントの力が今ここで解放される!

 

「顕現せよ!『白き聖杯よ、謳え(ソング・オブ・グレイル)』!」

 

 やがて光は形を作り、完全な形で形成される。杯の形だ。そして空に溶けるかのようにふわっと広がり、ハジメと香織を包んだ。白い光が晴れる頃には二人の顔からは恐怖や怒りが消えていた。それを見て立香は上手くいったと頷く。

 

「やっぱりアイリスフィールさんの宝具は喧嘩の仲裁には便利だなぁ」

「先輩先輩。宝具ってそんなに軽い扱いをしていいものでしたっけ? もっとしっかりと状況と場所を考えた上で使うべきだと思うのですが?」

「でも使わなきゃ止まらなそうだったしね。仕方がないよ」

「そうなんでしょうか? なんだか自分の魔力で宝具を使えるようになってから軽く扱い過ぎだと思われるのですが…」

「大丈夫、俺が使うのは模造品(レプリカ)だから。本物じゃないから」

 

 そう、これが立香の魔術回路に刻まれた力の一つ。己の魔力から擬似的な宝具を作り出し、その力を再現する。エミヤよりもランクが落ちるとはいえチートも過ぎる能力だ。しかも今の立香の魔力は一般的に見ても膨大。その上これでも力の片鱗(・・)なのだから余計にタチが悪い。

 

 この魔術を覚えてからというものの、立香は何だかんだで使用することが多い。それこそ英雄の矜持を踏みにじるような行為には至ってはいない。しかしそれでも風を仰ぐのにわざわざドラ◯もんに頼むレベルで乱用している。流石のサーヴァントもこめかみをぐりぐりするのは仕方がないことだろう。

 

 閑話休題

 

「ねえ、南雲くん。そういえばこの人達は誰なの? 恋人では、無いんだよね?」

「うん、ついさっき図書館で話しかけただけだよ。この二人日本人ぽかったから」

「日本人…あ、そういえばこの二人日本語使ってるね。本当に日本人なんだね!」

 

 ーー今気がついたんですか、白崎さん

 

 この言葉を三者三様に思い、口を閉じた。これを口に出しも別に現れることはないだろう。しかし三人とも、特に恋愛沙汰にネガティブなハジメは地雷原が何処か分からないため下手に話せない。

 

 だが香織の方は合点がいった模様でポワポワと「なるほど〜」と何度も何度も頷いている。ハジメは未だに混乱しているが。

 

 この一方で立香とマシュは「これって…アレだよね?」、「はい、間違いなくアレかと」と端の方で話している。二人は香織の心境を悟ったようだ。

 

 そしてそれから般若さんが現れることもなく互いの情報交換はトントン拍子に進んでいった。終わる頃にはハジメと立香も互いを「立香くん」、「ハジメ」と呼び合うようになった。同年代かつ立香のコミュ力チートと持ち前の優しさがハジメの琴線に触れたようだ。この間香織は立香のコミュ力チートぶりに戦慄した。この時だけ般若さんの陰がウニャウニャと出てきていた。

 

「聖杯に英霊に人理焼却に特異点…地球ってマジでファンタジーだったんだ…」

「本当だよね。まさか藤丸くんがソーシャルゲームの主人公みたいな人生歩んでるんだもんね」

 

 ハジメが遥か遠くにあるはずの地球を眺めるが如く遠くを眺める。それに香織も香織らしかぬセリフで賛同。何故そんなことを知っているのか、聞ける人はこの場にはいなかった。

 

「異世界召喚後にはどんな仕組みかは分からないがステータスが付与されて? そしてクラスメイトの大概が即戦力レベル?」

「しかも魔人族という種族と戦うために迷宮に入る、ですか」

 

 また知らされた事実に立香とマシュは怒りを露わにする。

 

 この世界、トータスには大きく分けて三つの種族がある。人間族、魔人族、亜人族である。人間族は北一帯、魔人族は南一帯を支配しており、亜人族は東の巨大な樹海の中でひっそりと生きているらしい。

 

 この内、人間族と魔人族が何百年も戦争を続けている。

 

 魔人族は、数は人間に及ばないものの個人の持つ力が大きいらしく、その力の差に人間族は数で対抗していたそうだ。戦力は拮抗し大規模な戦争はここ数十年起きていないらしいが、最近、異常事態が多発しているという。

 

 その内の一つが魔人族による魔物の使役。

 

 魔物とは、通常の野生動物が魔力を取り入れ変質した異形、と言われている。この世界の人々も正確な魔物の生態は分かっていないらしいが、それぞれ強力な種族固有の魔法が使えるらしく強力で凶悪な害獣とのことだ。

 

 本来、魔物は本能のままに行動しており、使役は基本不可能。使役できても、せいぜい一、二匹程度だという。その常識が覆されたのである。

 

 これの意味するところは、人間族側の“数”というアドバンテージが崩れ、均衡が破れるということ。つまり、人間族は滅びの危機を迎えている。

 

 この危機を知った人間族の守護神エヒトは異世界からハジメ達を召喚し、類い稀な力を持つ彼らを『使徒』とした。そして彼らにより戦力の拮抗、可能ならば魔人族の滅亡を『使徒』に使命として課せている。

 

 そして今は訓練を受けており、二週間足らずで迷宮へと足を踏み込むことを強いられている。

 

 ーー以上がハジメから知らされた情報だ。立香はこの聞かされた事実に歯噛みする。

 

「ーー巫山戯るなよ。何が神だ! 何が使徒だ! そんなものが神だと!? 俺は認めない! 己の人の子を信じないなんて…神とは認めない!」

 

 立香は知っている。神は人を好む者もいれば、人を嫌う者もいると。

 

 立香は知っている。神は人を救おうとする者もいれば、滅びを与えようとする者もいると。

 

 立香は知っている。神はそれでも、決して理不尽な存在ではないと。なお考えて、己の意思の果てに子供達をどうするか“愛”を持って決定すると。その“愛”がどれだけ吹き飛んだものでもそれは神が子供を知り、見て、そして下した結果であると。そう立香は知っている。

 

 だがエヒトという神は違う。己の子に与えるべき試練を、義務を、責任を全て己の知らぬ別世界の子供(他人)に任せている。

 

 それが立香にとってはどうしても、許し難いことだった。

 

 己が知り、尊敬し、中には愛する者がいる神霊を馬鹿にされたような錯覚に陥り、憤慨する。

 

「先輩、一先ず落ち着きましょう。その神が一体どんな者であるか、知るべきです」

「ああ…ごめん、マシュ。ちょっと頭に血が回っちゃったよ」

「いえ、私も十分に怒髪天に至っています。イシュタルさんは兎も角、エレシュキガルさんやケツァルコアトルさん、ゴルゴーンさん達の顔にまで泥を塗ったのは許し難いです」

「うん、イシュタルは兎も角、ね」

 

 どこかで金星の女神の絶叫が聞こえてきたような気がするが…気にしないことにする。

 

「状況はわかった。とりあえず俺たちカルデアは君たち神の使徒を監視する。ダヴィンチちゃんと連絡が取れてからはここにサーヴァントを置いて、帰還方法を模索するよ」

「その、立香くん。一つ聞いていい?」

「いいよ、ハジメ。どんなこと?」

 

 ハジメは一瞬遠慮したように見えたが、決意を新たに立香を見て尋ねる。

 

「なんで立香くん達は俺達を守ろうとするの?」

「ーーーぷっ」

「ッ!? なんで笑うの!?」

「いや、ごめんごめん。ハジメ」

 

 それはかつて立香が己とともに戦ってくれるサーヴァント達に聞いた質問とほぼ同じだった。

 

 ある英雄は言った。「正義のヒーローになりたかったのだ」と。

 

 ある英雄は言った。「戦いがあってこその俺だからだ」と。

 

 ある騎士は言った。「オレはお前の騎士だ。これ以上言わすな、バカヤロウ!」と。

 

 あるロクデナシは言った。「殺される前の人の顔が酷くおかしいのだ」と。

 

 その後も様々な英霊は立香に答えた。彼らは全員、似てはいても同じ答えを出すことはなかった。しかし彼らは誰一人として迷う者はいなかった。ここで立香は悟った。

 

 サーヴァントは決して英雄だけではない。むしろ英雄というのは極一部で他にもロクデナシや狂人、犯罪者まで存在している。

 

 しかし彼らは迷わない。

 決意を踏み間違えたりしない。

 己の道を突き進む。

 

 それを立香が知った時、どうしようもなく憧れた。

 

 あの日から立香は思ったのだ。

 

(そうだ俺はーー)

 

 ハジメは立香の応えを待っている。

 香織は立香を見ている。

 マシュは立香に微笑んだ。

 

 そして立香は応える。

 

「俺は、まだ答えを見つけていない。まだ英霊(あの人達)のような意思がない。ただ俺は英霊(あの人達)を否定されたくないから戦ってる」

 

 そう、立香は英霊(あの人達)を侮辱することを許さない。だから立香の知らない、英霊(あの人達)のいない世界を踏みにじった。

 

「だから俺はまだ道に立ってる途中だ」

 

 そう、まだ立香は英霊(あの人達)のように辿り着いていない。そしてまだ死んでいない。

 

「そしていつか…英霊(あの人達)のように答えを出せるために俺は戦い続ける。俺は求め続ける。英霊(あの人達)に追いつくために」

 

 だから少年(立香)は戦う。答えを求めて。求め続けた先にある答えを手に入れるために。

 

 理想を形にするために。

 

 その決意を立香は恥じるこもまなく言い切った。言い切ってみせる。そしてその想いはハジメにはとても眩しく思えた。

 

 空はもう夕暮れを告げる頃だ。青い空はやがて赤くなり、紫がかってやがて紺色へと変わるだろう。

 

 そんな空にさえもハジメは何かを思って、でも強く胸を打たれる。

 

 ハジメと立香はここで別れた。しかしきっと彼らはまた、己が目標のために交わることになるだろう。




ここで立香の戦う理由を一先ず作りました。
彼は道の途中だからこそ迷い、戸惑い、苦しむ。
でも後悔をしない理由を求めて戦い続ける。

矛盾しているようですが、これが立香です。
それぐらいじゃないと異聞帯を破壊するなんて思考にはいかないと思ってます。

次回は正直ノープランです。どの話で行こうか検討中です。学校もあるのできっと投稿遅めです。
ご容赦あれ♡
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