ありふれた錬成士は最期のマスターと共に   作:見た目は子供、素顔は厨二

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ティ…ティオが、カッコイイ…だと!!?(漫画本編の感想)
嘘だ!? 俺が知ってるティオはあんな感じじゃ無くもっと残念感が溢れる…
ーーーハッ!! 分かった! お前偽物か!!
俺は騙されないぞぅ!!

ああ、あと今回は結局スカサハ&マシュの戦いです!
前回の次回予告とは大幅にズレてますが…どうぞ!


黄金の獅子

 ーーマシュside

 

 ネメアーの獅子は四肢を踏み込んだ。マシュは次に来るであろう突撃に備えて盾をかざした。

 

 しかしネメアーの獅子はそのありふれた未来予知を易々と裏切った。その踏み込みで己の体を空へと吹き飛ばしたのだ。

 

 予想外の行動に気をとられるマシュとスカサハ。その間にネメアーの獅子は体を四、五回ほど縦に回転。そのままその鉤爪を地面へと振り下ろした。

 

 それがネメアーの獅子の初手。数十メートルも離れたマシュ達には届かないはずの一撃。

 

 だがマシュは濃密な戦闘経験からの勘により危険を察知した。そして盾を構えるのでも、その場から逃げるのでもなく、足を踏み込んでしっかりと体の軸を固定する。

 

 そしてすぐにその行動は正しかったと証明される。地震の発生(・・・・・)という形で。

 

 凄まじい振動。日本で発生したものならば震度7は優に超える規模の揺れ。辺りの鉱石のマグマが飛び散り、津波を発生させる。それだけでこのネメアーの獅子の固有魔法が発生させた力の一部が垣間見える。

 

 同時にマシュとスカサハの動きも一瞬静止する。戦士としての観察眼から体の軸はぶらさずに済んだものの予想外の規模。むしろ咄嗟であろうと対応できた二人も凄まじいのだが。

 

 同時に地面へと着地したネメアーの獅子。するとまた黄金の腕に魔力が収斂する。

 

(まさか、また!?)

 

 ただえさえ深い振動、だというのに更に振動が増すとあればたまったものではない。

 

 だがその前に赤い流星がネメアーの獅子の額へと飛ぶ。

 

 もう一度空へと飛び、地面を揺らそうとしていたネメアーの獅子はそれには対応できない。槍の一撃をもろに食らい、体ごと後ろへと飛ばされる。

 

 吹き飛んだネメアーの獅子、しかし空中で不規則な歪みを空間に生み出して地面へと着地する。その動きはハジメと同じく空中を飛ぶ動き。“天歩”の固有魔法を持っていることが容易に想像できた。

 

 凄まじい勢いの投擲であったにも関わらず、ネメアーの獅子の額は槍が突き刺さるどころか刺さった気配すらもないことだ。ニヤリとネメアーの獅子が嗤った気がした。己の力を鼓舞し、敵の戦意を挫けさせるように。

 

 一方でそれを投擲したスカサハはネメアーの獅子の無傷を一瞥すると、少し不満気に呟いた。

 

「…硬いな。ならばこれでどうだ?」

 

 スカサハの手に更に槍が生み出される。それどころか彼女の指示に従うように槍が宙に召喚される。これこそがとある青髪の弟子が立つ瀬を無くしたスカサハの多槍流。本来ならばあり得ない数十という槍が同時にネメアーの獅子へと矛先を向ける。

 

 ネメアーの獅子が瞠目する。まるで「え? え? ちょっと待ってーな、キツすぎませんがな? さっきのだけでも痛かったんやで? アンタ頭おかしいんちゃうん?」という感じで素っ頓狂に呆けた。

 

 だがもちろん、スカサハに容赦と言った言葉は無い。右手の槍を指揮棒(タクト)のようにネメアーの獅子を切っ先で指す。

 

 そして影の国の冷徹なる女王の命令は告げられる。

 

「行け…耐えてみせるが良い」

 

 ーーーガガガガガガガガガガッッッ!!!!

 

 数十に及ぶ槍は放射される。ネメアーの獅子は黄金の光を強靭に輝かせる。宝具級の槍の数々が弾き飛ばされては虚空へと消えていく。恐らくは防御系の固有魔法。それもハジメの“金剛”よりも硬い防御。

 

 正面から己の槍の総射に耐えてみせるネメアーの獅子。その様子にスカサハは笑みをこぼす。だがそれは悪魔の笑顔にも似ていて…

 

「ふふっ。ならばこれはどうだ?」

 

 続いて第二射、第三射の槍が乱れ飛ぶ。ネメアーの獅子はまたもや黄金の鎧でその身を纏う。今度も正面から受ける気らしい。

 

 だが新たに生み出された槍が残り数コンマ秒で接触するというところで、ネメアーの獅子は凄まじい反応を見せる。己の足元を爆砕させ、後ろに飛ぶと同時に、“天歩”と同等の技能であろうもので空をかけ、槍の強襲から逃げる。

 

 ネメアーの獅子がいた場所へ、いくつもの槍が剣山のように突き刺さる。それに応じ、槍に描かれた謎の文様(・・・・)が光を放った。

 

 その光は力を顕現させる。音と熱を辺り一面に散らし、ネメアーの獅子がいた場所を跡形も無く吹き飛ばした。ネメアーの獅子の背後にあった鉱石のマグマの滝もその衝撃により跡形も無く破壊される。

 

 その原因は何か。それはスカサハ本人の口から嫌でも分かった。

 

「ほぅ。ルーン文字にも反応するか。野生の勘とやらはアテになるようだな。見事だ」

 

 ーールーン文字、スカサハが扱う文字を刻むことで万能の効果を発揮させる地球の神代の魔術。その一種である。なおキャスターとしてのスカサハの方が扱いは上手いが、ランサーのスカサハでも使用には問題ない。

 

 今回使われた文字は『アンサス』。炎を意味する魔術だ。並大抵の炎の威力では無く、壁に刻んだものならばその壁を瞬く間に全焼させてしまうほどのものだ。

 

 スカサハは召喚した槍の数々に『アンサス』を刻み、その上で解き放ったのだ。ネメアーの獅子が気がつくのが遅ければ、今頃は爆撃に血肉をばら撒き、死んでいたことだろう。まさしく間一髪の回避。

 

 ここからが攻守交代だ、そう言わんばかりにネメアーの獅子はスカサハの方に顔を向ける。

 

 一方でスカサハは何もすることなくネメアーの獅子を眺めている。

 

「ーーだが、その手は悪手だぞ?」

 

 否、スカサハが見つめていたのはネメアーの獅子の頭上。天井で止まっていた白百合の輝き。

 

「はあっ!!」

 

 気合の篭った声と共にネメアーの獅子の後頭部に巨大な盾が振り落とされた。ネメアーの獅子の黄金の膜は回避に夢中で破れていたため、為すすべなく、地面へと堕とされる。

 

 だが天井を蹴り、空中を飛ぶマシュの更なる追撃の手がネメアーの獅子に迫った。

 

 盾を振り回し、回転することで遠心力をつけた盾。それでネメアーの獅子を叩きつけ、地面に減り込ませた。普通の耐久度の人間ならば地面に新しいシミを作り出す慈悲のない一撃。

 

 だがネメアーの獅子の耐久は常識など逸している。故に次の瞬間にはネメアーの獅子は攻撃に出た。

 

「グァアアアアアアアアアア!!!!!!」

 

 辺り一面に響き渡る咆哮。それが空間ごと揺るがし、平衡感覚さえも狂わせる。恐ろしいほどの音の爆発。

 

 遠くに離れていたスカサハは耳を塞ぐだけで耐えれたが、盾でネメアーの獅子を抑え込んでいるマシュは違う。宝具の盾を通して、振動がマシュの体を通し、耳に爆発する。

 

 同時に、マシュの体の血管がいくつも決壊し始めた。

 

「あっ…」

「マシュ!!?」

 

 これがネメアーの獅子、『レグルス』の固有魔法“震撼”。その体に宿る多大な魔力を振動へと変換する攻撃的な魔法。当初の地鳴りも今の音爆弾も全てこの魔法による攻撃。厄介なのはその攻撃範囲とその性質。

 

 振動はどれほど硬質な肌を持っていようと人の内部にまで伝わる。また振動を伝える媒体などこの世には山ほどある。空気も武器も地面も、全てが振動を伝えるものである。

 

 何をされたのかも分からず、マシュは鮮血を辺りに散らす。レグルスの“震撼”を間近で受けたものならば本来ならば四肢が裂けるように内部から爆発を起こすのだが、そこはマシュが誇る防御力で何とか耐えきった。

 

 マシュは完全なサーヴァントではない分、他のサーヴァントよりも肉体的なダメージに弱い。それでもマシュを傷つけるなど本来ならば神話の類のサーヴァント、もしくはこの世の摂理を離れた何かでなければ不可能。恐らくはこのような一撃であっても少し不快感がある程度。耐久EXは伊達ではない。

 

 しかしこの世界では話が違う。マシュはこちらに来てしまったことで本来の力もなく、宝具も真名を解放できない。更にレグルスの“震撼”も合わさり、マシュにダメージが入ったのだ。

 

「…“時に煙る白亜の壁”っ」

 

 何とかこの後入るであろう“震撼”による追撃に備え、マシュは己に防御付与を行う。そしてそのまま地面から離脱しようとするレグルスを盾で再び抑えた。

 

 レグルスは“震撼”により、マシュを今度こそ壊そうとするが“時に煙る白亜の壁”まではかき飛ばせない。マシュの真髄は敵意ある攻撃を弾く防御壁。獣の殺意であろうとそれは変わりない。故に振動さえも今のマシュには届きはしない。

 

 そしてスカサハにも、その振動は届かない。マシュより後の空気は淀むことなく、凪いでいる。

 

「スカサハさん! ルーンで…トドメを!!」

「承知した! …『ソウェーーー」

 

 スカサハは一単体のみを発火させるルーン文字『ソウェル』でレグルスを焼こうとする。『アンサス』では巻き込みかねない。そう判断した故だろう。

 

 しかし時は満ちた。

 

 階層そのものが、再び“震撼”し始める。

 

 地面を媒体にした振動、故に軋み始める天井。天井からはマグマがチロリと溢れ始める。

 

 マシュに捕らえられたはずの魔物。それが何を起こそうとしているのか。すぐにスカサハは悟った。

 

「マシュ!! 今すぐ其奴にトドメをーーー」

『グォオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!』

 

 スカサハの声は虚しく獣の最期の唸り声の中、霧散する。今までとは段違いの振動にマシュも反発により吹き飛ばされた。

 

 スカサハはその力無く倒れそうになったマシュの元へ駆け走り、横抱きに抱える。そしてそのまま上の瓦解に巻き込まれないように逃げようとしたが…

 

『ガァアッ!!!』

 

 その前に獣が吠えた。それと同時にスカサハの片脚が搔き消える。

 

「ッーーーー!!」

 

 内部から足が破裂するという前代未聞の感覚にスカサハが歯を食い縛り、倒れる。マシュを守るように己の体をクッションとし、何とかマシュに追い打ちをかけないようにしたが…それ故に、仰向けになったが故に彼女は見てしまった。

 

 ーーーーズガァアアアアアンッ!!!

 

 天井から雪崩れ込む鉱石のマグマを。

 

 一方でレグルスは身を黄金の鎧で固める。マグマの中、生きるにはそれしかないだろう。

 

 先ほどまでのスカサハならば壁にひっつくことで何とか回避できた。しかし足が破裂した今、頼れるのはマシュしかいない。そしてとうのマシュは今血塗れとなり、意識を混雑させている。

 

 そしてスカサハが判断に迷ったその挙句、二人の姿はマグマに呑み込まれた。

 

 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 ーーレグルスside

 

 結局はいつもの如くだ。

 

 敵は確かにいつもよりも強者であった。

 

 今まで痛みなど感じたことが無かった私には新鮮な感覚であった。だが、とても煩わしい感覚であった。

 

 故にいつもの如く殺した。

 

 基本どいつもこいつも揺らせば死ぬのだがこの敵は違った。特にあの薄紫髪のあの女は間近で受けながら私を捕縛してきた。正直守護者(同類)か御主人様かと考えた。

 

 だがそんなわけは無く守護者(同類)はほぼ全員人型では無い。人型の奴らもいるにはいるが乙女座と射手座の形態は確認している。あと御主人様はほんの数日前に出会った。

 

 つまり仲間でもなく、主人でもない。ならば手加減する気はない。

 

 故に第二プランとして考えていた天井崩しを行った。

 

 結果は目の前の通り。全てがマグマに呑み込まれている。敵の死体がと呑み込まれているはずーー

 

 しかし次の瞬間私の中から火種が起こる。間違いない、敵の一味の技だ。魔法でその刻印を揺るがし、消し去る。己にも損傷は入るが惜しくはない。

 

 だが何故ーー何故貴様らは生きている!!?

 

 万全を喫した上で殺した筈だ!

 

 あの盾使いは使い物にならない!

 

 あの槍の女も逃れる術はない!

 

 ならば…何故!!?

 

 やがてマグマの中から何かが起伏し、姿を現わす。

 

 そこにいるのは傷があるまま(・・・・・・)盾使いの敵。そして敵二人を覆い囲むようにして輝く白百合の眩き輝き。その輝きがマグマを退け、マグマの害を拒んでいる。

 

「すまんが…卑怯な手を使わせて貰うぞ?」

 

 レグルスが驚愕で目を剥く中、槍使いは私に再び槍を向ける。私はそれを何とか回避しようとする。先程のような例もある。あの槍使いが何かを仕込んでいないはずがない。

 

 だが赤い光が鮮烈に光り出し、私のその思考は脆く崩れ去る。同時に全身が警鐘を鳴らす。

 

 ーーアレはダメだ

 

 叫ぶのだ。そのように。私に叫ぶのだ。

 

 槍使いは私に告げる。

 

「貫き穿つ死翔の槍《ゲイボルグ・オルタナティブ》…受けてみせよ」

 

 だが槍使いは負傷を負っている。脚は片方掻き消している。ならば投擲したところで速度は出ない。ならば攻撃は当たらない。すぐに避けられる。

 

 しかしその見積もりは、恐ろしく甘かった。私はもう一人の化け物の存在を忘れていたのだから。

 

「“バンカーボルト”、リロード!!」

 

 槍使いが片足で宙に舞う。そして次に盾使いの盾が槍使いの脚へとぶつけられる。本来ならばそのまま空中でミンチになるような所業。されど相手はかの槍使い。片脚であろうとそれを足場にするなど動作もない。

 

 次の瞬間、槍使いはその勢いのまま私の元へと距離を詰めてくる。槍の光はなお赤く輝き、私に食いつかんと私を追う。

 

 だが私には絶対の攻撃がある。この揺るがす力が。

 

「ガァアアッ!!!」

 

 私はいつもの如く槍使いを爆散させようと振動を放った。槍使いには先ほど一切抵抗させずに脚を吹き飛ばせた。あの盾使いのようなことはないだろう。

 

 だがその一撃は白百合色(・・・・)の盾で弾き飛ばされる。既視感があった。私をかつて地面へと押し付けた盾の色、そのものだ。

 

 振動できない、それを悟った私はすぐに逃げようとした。しかしその前に、地面から何かが噴き出した。光の弾丸だ。

 

「グァアアアア!!!?」

 

 ルーン文字、『光弾』。夥しいほどの光の弾丸を作り出す刻印だ。それらがレグルスのいく先を阻んだ。

 

 そして光の弾丸の(カーテン)が降りると、次には眼前に赤の光が差し込んだ。

 

「終わりだ。貴様は」

 

 そして全身を駆け抜けた壮絶な痛み。赤の光が眼を貫いたと同時にそれらが私の痛覚を蹂躙する。

 

 私の意識はそこで途絶えた。

 

 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 ーースカサハside

 

 レグルスの瞳を穿ち、全身を貫いた。

 

 赤の流星はそのまま壁へと衝突。そのままマグマだらけの地面へと落ちそうになる。

 

 だが同時に地面に敷き詰められていたマグマがあっという間に消える。それと同時に天井が修復された。恐らくは試練が終わったという迷宮の意思表示。恐らくはマシュとスカサハは合格だろう。

 

 故にもう立ち上がる余力は無かった。全身血だらけのマシュもそうだがスカサハも流石に脚を思いっきり盾で殴打され、ノーダメージというわけではない。というかむしろ折れている。

 

 そのため体の休めという叱咤に従い、スカサハは倒れ込んだ。

 

「…多少、無理が過ぎたな」

「です…ね。南雲さんからいただいた神水を早速飲ませていただきましょう。流石にこのままでは血が足りなくなってしまいます」

 

 マシュはどうやらスカサハの元まで歩いてきたらしい。体の髄まで乱されているというのに歩けるとは、彼女のガッツはよほどらしい。スカサハは少し呆れた。

 

「そうだな…私にも一本寄越せ、マシュ」

「どうぞ。…しばらく休んでから、奥の扉をくぐりましょう」

「…ああ。もうここであの妙なライオンが現れることはないだろうからな」

「ついでにあの死体も回収しておきましょう。南雲さんはきっと喜びます」

「そうだなぁ。…あの小僧やマスターは今頃どうしていることやら…」

「ええ。ですのですぐに回復して進みましょう。もしかしたら先輩や南雲さんの力になれるかもしれませんし」

『お前らー! ボロボロじゃねぇか!! あんなライオンに思うツボにやられちまってんじゃん』

「「モードレッド(さん)は黙っていてください(おれ)!!」」

 

 こうして赤銅の部屋の試練は終わりを迎えた。




前回ご感想がメガネ過ぎて笑いました。
何でかとあるメガネ掛け器様もおられましたし(笑笑)

というかレグルス強いなぁ〜。
固有魔法“震撼”は応用性高そうですし、ハジメ喜びますね!!

さて、次回こそは立香&ユエのタッグ戦です!
大丈夫、ハジメはラストだから!
今度こそ予定がズレることはない!!
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