ありふれた錬成士は最期のマスターと共に   作:見た目は子供、素顔は厨二

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遅くなりました!
文化祭でやることがあるので…申し訳ないです。

それはともかく原作のアビスゲートがやばすぎる!(何重もの意味で)
やはり白米様は神様か!?(今更)


不穏×覚悟=???

 ーー立香side

 

「さて。それじゃあ、お前ら。俺たちの現状をまとめるぞ?」

 

 と言って、ハジメがソファーで仰け反りながら話を始める。隣ではユエが眼鏡をかけ、教棒を振る。女教師的な服装だ。割とユエさんは茶目っ気が抜群だ。なおマシュがこっそりと「…あの様なコスプレもあるのですね」と目を光らせていたりする。正妻様は立香の琴線に触れるのが大得意なのだ。

 

 なお今立香達はアルフレリックが用意した、三階建ての木造建築の一軒家を擬似的に拠点としている。とは言え十日間の話であるため、本当に(仮)ではあるが。それでもオスカー(+ミレディ)効果により、地下あり、庭ありと豪勢な感じの所だ。シア達ハウリアが入っても問題ないほどの豪邸だ。正直に言ってありがたい。

 

 そして今、リビングで立香、マシュ、ハジメ、ユエ、オスカー、ミレディ(ゴーレム)、シア。後はハウリアを代表してカムが集まっている。英霊組は庭で訓練をしている。二人とも脳をあまり使うのが得意ではないのだ。頼光なんてバーサーカーだし。

 

「俺たちが面している問題は多くある。【ライセン大迷宮】と【ハルツィナ大迷宮】の攻略、その中でも【ライセン大迷宮】の支配者であるミレディが追い出されたという異変、巨大ゴーレムの正体、亜人族に対する『解放者』信仰されすぎぃ〜、『立香テメェイチャコラし過ぎだオラ事件』、『オスカーの眼鏡眩しすぎんだろ。微調整しろ事件』、ミレディがひたすらにウザい件、シアがひたすらに残念な件、ハウリア族の今後といった所だ。何か意見は?」

 

 凄まじく私情が入っている。何割かは私情が入っている。ミレディとシアが抗議の声を上げる。取り敢えずスピーレンの魔力弾で黙らせる。

 

「はい! あります! ハジメ議長!」

「藤丸立香! 発言を許可する!」

「ありがとうございます!」

 

 立香が勢いよく挙手。それに乗っかるハジメ。やはり二人とも仲が非常にいい。割と二人に温かい視線が向けられた。

 

「えー、正直に申しますと、『意見しか無いんだけど!? 俺そこまでイチャコラしてねぇよ!!』と言う意見が私の中で吹き荒れております」

「えー、藤丸立香。こちらの言い分と申しましては『無自覚でやってるってなら余計タチが悪りぃぞ』です。それでは他の方は意見がありますでしょうか?」

 

 温かい視線がジト目にチェンジした。ドングリの背比べって知ってるだろうか…的な視線だ。二人はご自慢のスルースキルで無視する。

 

 なおオスカーは只今リューティリスに対する恨みを蓄積中であり、議論どころでは無かったりする。なので眼鏡の光の出力を下げるなどと言う意見も全く聞いていない。

 

「さて、それじゃあまず【ライセン大迷宮】に関してだ。…ミレディ。説明を頼む」

「了解だよ〜! でも、知ってることしか言えないからヨロシクね!」

「ああ。さっさと進めろ」

「アイアイさー!」

 

 ゴーレムさんがピョコンとソファーの上で跳ねて、それは手振り身振りで説明を始める。その仕草が度々ウザいのは彼女のアイデンティティ。そう『ミレディ取り扱い・特級』のオスカーから教えられている。なので立香は“ガンド”をしそうな手を我慢する。

 

「まずあのオーくん特製の巨大ゴーレムの中にいるのはもう一人の私(・・・・・・)。これは断言できるよ」

「何でだ?」

「何百年…ううん、何千年も生身から離れて魂を知覚してきたんだもん。それぐらい分かるよ」

「…なるほどな」

 

 オスカーの話から聞いていたが、ミレディはラウスという『解放者』の一員にゴーレムに魂を定着してもらっているらしい。それにより自然と己の魂の形には自然と気が付いているのだろう。

 

 同時にユエは戦慄していた。ミレディが持っている心の頑丈さ、意思の強さに。ユエも何百年と奈落の底で孤独を過ごしたが、その間に多くの感情を摩擦した。しかしミレディはオスカーが違和感を持つこともなく、通常の状態を貫いている。まるで人間の為せる業ではない。

 

「ただ…私がもう一人いるのは分かるんだけど…こう…」

「ミレディらしくは無かったね。ウザいというアイデンティティを失っているくらいには」

「オーくん? ミレディさんは天才美少女魔法使いだよ?」

「うん。このミレディは本物だね。間違いない」

「どういう意味だ、オーくん。潰すよ?」

 

 それだけ凄いのにハジメ達があまりミレディを素直に尊敬できないのはこの性格のせいだろう。色々台無しである。

 

『考察ではあるが、意見させていただこう』

「ホームズさん!」

 

 そこで映像から指を合わせて現れるホームズ。まだ見ぬ技術にミレディとハウリアズはギョッとする。だが流石は英国紳士。すぐに「これはいけない」と自己紹介を始めた。

 

『失礼、ミス・ミレディ、ミス・シア、ミスター・カム。私の名はホームズ。カルデアで解析班顧問を務めている英霊だ。…英霊については私達のマスターから話は聞いている前提で進めてもよろしいだろうか?』

「あ、はい」

「は、はいですぅ」

「それなりには…ですが」

 

 ホームズから吹き出す紳士オーラにやられる。特にミレディは深刻だ。オスカーの方をチラリチラリ。そして満足げに頷くと生唾を飲んだ。

 

「…オーくんの何百倍も紳士だよ」

「はっはっはっ。まるで僕が紳士じゃ無いみたいじゃないか、ミレディ?」

「え、そうでしょ? 中身ヤクーーって、オーくん!? こっちに錬鎖を伸ばさないで! まさかこのゴーレムボディのミレディさんを蹂躙する気なの!? このスケベ!」

「安心するといい。すぐに奇形に変えてあげるよ、ミレディ」

「わーん! オーくんが虐めるぅ〜〜〜!!」

 

 どうやら日頃からエサ紳士を見ていたばかりに、本場の紳士を見るとギャップが凄かったらしい。確かにオスカーは下町の出身であり、素となるとどうしても粗野な部分がある。偶にハジメも「殺すぞテメェ」と言われることがあるので、それはよく分かる。

 

 メッキが剥がれるのは非常に早いのだ!

 

 それは兎も角、このままでは話が進まないので、オスカーをスピーレンでピチュンピチュン。魔力体なので効果は抜群だ。出来た僅かな隙に立香が『五百羅漢補陀落渡海(ごひゃくらかんふだらくとかい)』を発動する。仏教パワーにはオスカーも抗えない。あっという間に縛られる。

 

「さて、改めて話を再開ヨロシク」

「あ、うん。…オーくんは無事かな?」

「大丈夫だよ。仏教パワーは凄まじいから」

「何なのかな、その謎の信頼?」

 

 仕方ないもの、仏教だもの。そんな立香の理論に突っ込まずにはいられないミレディさん。割と根は真面目なの…か?

 

『さて、英霊のことが分かっているならば話は早い。十中八九、あのミレディ・ライセンは英霊だ。しかもこの人類史とはまた違う可能性の、ね』

「つまりはオルタですね! ホームズさん!」

that's right(その通りだとも)、ミス・キリエライト。その理由は言わずもがな、だろう?』

 

 言葉遣いも『解放者』に対する思いも違う。巨大ゴーレムはここのミレディとは完全な別の何か。ならば考えられるのは別の可能性の『ミレディ・ライセン』だ。

 

 そして当然、そんな存在が出現した理由も分かる。

 

『聖杯、これが彼女を捻じ曲げた状態で召喚した。そう考えられる』

 

 各迷宮には聖杯が存在している。カルデアのセンサーでは【ライセン大迷宮】のそれも未だ健在だ。

 

 聖杯は特異点でも異聞帯でも本来あるべき人理を捻じ曲げ、本来無き人理を存在させる。抑止力の力さえも無視するとあれば、今回もそれが適用されていると考えられる。

 

 そこでホームズは『さて』と本題を告げる。

 

『つまり聖杯の役割は今までと変わらず『本来無い人理』を生み出すことにある。これは今までの戦いを通して理解できる。そしてそうとなると存在するのは聖杯を扱い、迷宮を変質させる者の存在。即ち『アンチ・カルデア』だ』

「ーーっ!」

 

『アンチ・カルデア』、それはかつて立香達が相対したであろう謎の敵。立香達を迷宮へと誘導しようとする思惑も想定できない異質な何か。

 

【オルクス大迷宮】ではその姿を一片たりとも掴む事は出来なかった。しかし、次もそうとは限らない。それを理解してか、立香の顔に険しい影が入った。

 

『前回の戦い、【オルクス大迷宮】では何ら変わった部分は無かった。あくまでも英霊が呼ばれた、それだけだ。しかも人理を捻じ曲げたものでも何でもない。つまりは未完成の特異点と言っても支えないだろうね。ーーしかし今度は違う。しっかりとした異点が存在する』

「それが…もう一人のミレディの存在ということかい?」

『そうと考えるのが合理的だろうね。つまり.次からが本当の戦い、本物の特異点だ』

 

【オルクス大迷宮】さえも序の口ということだ。本来ならば【オルクス大迷宮】こそが最後の試練場だというのに。

 

 全くもって変な話である。しかしその証拠がかの巨大ゴーレム。その中に存在する別のミレディの存在。あのミレディが保有していた力を見るとそれも納得せざるを得ない。

 

「…相手は全力のミレディか。ある種最悪の敵だね。彼女は『解放者』の中でも随一の魔法の実力持ち、かつ【ライセン大峡谷】の分解に抗える力を持っている。そこの辺りを考えると難易度は相当だ」

「伊達にリーダーは名乗ってねぇってことか」

 

 ミレディがこれ見よがしに胸を張り、「ミレディちゃんを敬え〜!」と調子に乗っている。カムが「流石です!」と言っちゃうので更に増長する。とりあえずスピーレン、ズバンズバン。立香も手をゴキゴキ鳴らす。それだけで静まった。

 

「…ま、兎も角だ。奴の使っていた魔法は神代魔法だな? なら、そこのゴーレムなら対応策が出来るってことだろう?」

「うーん。それが残念ながらこのミレディちゃんじゃ全力出せないので無理です。自分たちで頑張ってね!」

「…チッ。まあ、【ライセン大迷宮】に関しては後回しだ。今考えても無駄だろうしな」

 

 そして【ライセン大迷宮】の話を逸らし、今度はシアとカムの方に向く。

 

「さて、次にハウリアの今後だ。…どうしたい?」

「どうしたい…とは?」

 

 ハジメにしては珍しく他人に気を配る発言だ。基本的にハジメはデレを表に出さない主義なので、割と甘くされているユエは兎も角、周りがザワッとする。思わずハジメの額に青筋がピクリとする。

 

 それでもハジメさんは気にしない。今は議題の方が大切だし。

 

「お前達は現在、オスカーの鶴の一声でこうやって無事にフェアベルゲンで暮らせている。今後もそうしてオスカーの権威によって、暮らしていくのも良いだろう。事実、オスカーの庇護にあると言えば、これまで通りの生活がーー」

「ストップです、ハジメさん」

 

 シアとカムに向けられた言葉。しかしそれは他でもないシアに遮られる。シアの声には僅かに怒りが滲んでいる。シアのウサミミもピーンッと逆立っていた。

 

「今回で分かったんです。私がいれば多くのものを失うって。それはこれからも変わりません。守られてばかりなんか…死んでもごめんです!」

 

 ついでに「ユエさんに鍛えて貰うって約束してもらいましたし!」とも言った。…僅かにユエが気まずげに目を背けたのは気にしないでおこう。そう思ったハジメである。

 

 だがシアはそんなことに気がついた様子もなく、ハジメに言う。

 

「ですから、私はハジメさんに追いつけるぐらいに強くなります。今度こそ、何も奪わせません!」

 

 ピースサインを作り、ハジメに突き出した。「舐めんなよ!」という意思表示らしい。

 

 ハジメ達と出会って僅かな合間。しかしそれでも泣き虫なだけの、彼女はいない。強かさを兼ね備え、真っ直ぐに己の道を突き進んでいる。

 

 思わずハジメも関心の声を出さずにはいられなかった。

 

「へぇ…言うようになったじゃねぇか」

「ふふっ。ハジメさんほどじゃないですぅ!」

「おいこら。どういう意味だ、コラ」

 

 ハジメとシアがある意味コントみたいになっている遣り取りをしている合間にも、カムもまたハジメに視線を向けた。その眼には、眩い光が宿っている。

 

 そしてその宿っている光をそのままに、カムは…土下座をした。なおハジメ的には「まあまあだな」レベルの土下座である。南雲家基準なのでシビアである。

 

「ハジメ殿。私、噛むもまたシアと同じく、守る為の力を手に入れたいと思っております。…恥を重ねるようですが、ハジメ殿に御指導を頼めませんでしょうか!」

 

 カムが決死の思いで叫ぶ。確かカムにとっては今後の道を決める重大な決心だ。

 

 そしてハジメが何かを言おうと口を開け…玄関側のドアから大量のウサミミさん達が雪崩れ込んできた。つまりはハウリアの皆さんである。

 

「皆さん!?」

「お前達!?」

 

 めちゃくちゃ予想外! と目を剥くお二人さん。しかしハウリアはそれらを意に返すことなく、カムと同様に土下座を決める。地面にいっぱいウサミミが…何かシュールな光景だが、努めてハジメはその感想を喉に押さえつけた。

 

 真面目な雰囲気を壊さずに済んだハジメ。ハウリアはそんなハジメに、カム同様決死の思いを叫んだ。

 

「俺たちも同じです!」

「これ以上、何も奪われたく無いんです!」

「他人に甘えて生きていくなんて…出来ません!」

 

 全員が瞳に宿す不退転の決意。従来のハウリアには無かった闘争の末に掴み取るという覚悟。たとえ無力であろうと、足掻こうとしている。

 

 立ち上がる者の中には子供も女性もいる。元々、戦いを苦手とするのに全員が本気の思いだ。シアに影響されたのだろう。このままではいられるか、と。

 

 ハジメは不敵に笑った。かつての己を彼らに重ねたから。『無能』と蔑まれ、それでもなお努力した己の姿に。立香もそうだったのか、微笑んでいる。

 

「よし…ならばいいだろう。シアはユエがやってくれるんだな?」

「……ん!」

「なら、すまねぇが頼むぞ? それとオスカー、立香。力を貸してくれ。コイツらを徹底的にこの10日間で鍛え上げる。…多少人格が変わってでも」

「ああ、僕も力を貸そう。…多少、人格が変わるかもしれないがね」

「了解! メッタメタのギッタギタにするね! たとえ造形と性格が歪んでも!」

「待ってください! 私の家族に何をするつもりなんですか!?」

「……そこのツッコミウサギ、早く付いて来い」

「また○○ウサギ、増えました!? というか痛いです! 自分で歩けますからぁああーーーー!」

 

 男子三人、漏れなく危険な言葉がチラホラと。特に立香が無邪気に物騒な事を言っている。スパルタクストレーニングの弊害だろうか? 割と傷つけることに容赦がない。

 

 シアがすぐさまにツッコミを入れたが、ユエにズルズルと引きずられて消えていく。最後の辺りが少し断末魔じみていたが気にしてはならない。

 

 そして残されたハウリア達。扉の彼方に消えていったシアにハラハラとしていたが…すぐにその余裕は消え去った。というか強制キャンセルされた。

 

「さて…それじゃあ覚悟はいいな? 『ピー』共?」

「「「「「!!?」」」」」

 

 ハジメさんがいきなり規制が入るような事を言い始めたからだ。顔も鬼軍曹みたいな顔に変わった。ついでに“威圧”もオン。否応無く、ランドセル無く、ハウリアの背筋ピーンである。

 

 他の二人も同様だ。立香からは「筋肉こそ全てですぞーー!!」と頭が燃えた感じの人が幻視され、オスカーからは眼鏡から瘴気みたいな何かが漂い始める。

 

 ハウリアのガクブルが止まらない。というか何が目の前で起こっているか理解さえ不可能である。

 

 そんなことも三人的にはどうでも良し。アイコンタクトで各々が務める訓練に合わせ、人数を三等分する。こっから俺だって、いやここまでは僕だよ、といった様子だ。

 

 そして班分けが無言の合間に終了。同時に始まるのは…

 

「何ノコノコとしてやがる! 今からテメェらの『ピー』な性根を叩き折ってやる! 三十秒で支度しな!」

「さて、みんな。取り敢えず樹海一周、腕立て百回、腹筋百回しよっか。初日にあまり無理はダメだからね」

「僕の班では座学だよ? 安心するといい。君たちが知らないことを教えて差し上げよう」

 

 一切不明だけど絶対にやばい(アンノウン&デンジャラス)な地獄の再現である。




さあ、そろそろバーサーク開始です!
ハイブリッドなバーサークとなります。
お楽しみに!

なおタイトルの答えは…皆さまで考えて?(作者適当)
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