ありふれた錬成士は最期のマスターと共に   作:見た目は子供、素顔は厨二

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これから更にペースが落ちます。
…主に受験やらの影響で。
勘弁を!


迷宮突入前のお話

 ーー立香side

 

 今、ライセン大峡谷は夜でありながら凄まじいまでの光に照らされていた。続いて轟く崩壊の音。峡谷の壁がガラガラと音を立てて、崩落していった。

 

 その壁には峡谷の中でも強力とされるヴァジリアスと呼ばれる一種の竜種が腹部に大きな風穴を開け、その後ろの壁さえも吹き飛んでいるという異様なもの。帝国兵などの一般的な感覚の持ち主ならばそれを見て、驚愕をすることは間違いない。何故ならばこの峡谷において、魔法という力が使えない以上、本来ならばこのような惨状を引き起こすなど、ひっくり返っても不可能であるからだ。

 

 しかしそれを実行したのも、その仲間も非常識の塊が服を着たかのような連中。

 

 この惨状を引き起こした男の服装は何とも不可思議なもの。トータスでは見ないような長袖長ズボンの白い服装。彼特注の物であるそれは純白の光が弾けると共に、現れた。

 

 男の名は藤丸立香。『人理保証機関カルデア』の幹部の一人にして、人類最高のマスター。英霊と結んだ縁の数は数知れず。経験した特異点の数も多岐にわたる。今では英霊召喚特化型の魔術回路を持つ、少々特殊な魔術師でもある。

 

「先輩、こちらア○エリアス風に仕上げた飲料水です。どうぞ」

「ありがとう、マシュ」

 

 一方で、立香の横に座り、ごく自然な様で飲み物を渡したのは同じくカルデアの幹部であるマシュ・キリエライト。立香の英霊(サーヴァント)の一騎にして、同時に十三人いる立香の嫁の正妻である。こうしてサラッと気遣いができる点がもう正妻感満載である。

 

 そうして立香は魔物の駆除と同時に行なっていた検証を終了する。口にマシュ特製の飲料水を含み、喉を潤していく。程よい塩分が身に染みる。思わず「生きてるぅ〜」とサラリーマン的な感じで言いたくなるぐらいだ。

 

 その衝動を堪え、立香はあるものを懐から取り出して確認する。それは一枚の板。所謂、ステータスプレートと呼ばれる品物である。ハジメが複製したものを立香も受け取ったのだ。

 

「それで先輩、こちらの魔法の使用感覚は如何でしたか?」

「結構、凄まじいよ。特に“神威”だったけ? アレスゴイ。決闘の時に勇者君にやられてたらヤバかったかもしんない」

 

 この惨状を作り出した原因も、そのステータスプレートにあるわけである。その表示が以下の通り。

 

 ====================================

 藤丸立香 17歳 男 レベル:56

 天職:救世主

 筋力:80

 体力:100

 耐性:100

 敏捷:100

 魔力:10000

 魔耐:140

 技能:英霊召喚[+令呪][+簡易召喚][+召喚指定][+効率上昇][+令呪作成][+英霊憑依][+擬似宝具解放][+擬似空間解放][+英霊強化][+十三の花の盟約]・降霊術[+使い魔召喚]・光属性適正・闇属性適正[+効率上昇]・全武器適正・拳術[+伝播]・強化魔術[+効率上昇][+強化持続][+複数箇所使用][+強化上昇]・魔術回路[+魔力操作][+擬似魔術回路転換]・会話順応[+効果上昇]・瞬光・■■■・獣の加護・生成魔法

 ====================================

 

 チートである。

 

 天職に関してはツッコミどころしかなかったが、それ以上に技能の数々。その中でも三種の魔法を立香は無意識に獲得していたらしい。

 

 “光魔法”、“闇魔法”、“降霊術”。これら三つである。

 

 おそらく“光魔法”以外は元々立香が行なっていた“認識阻害”や“英霊召喚”の影響で派生したと考えられる。試してみると今まで魔術として使っていた技が割と効果割増で使うことができた。また“降霊術”ではスケルトンやらスペルブックの召喚を可能となった。

 

 だがその中でも一線を画するのは“光魔法”だ。支援系統、防御系統、そして攻撃系統の全てをマルチに使用できるようになっていた。ヴァジリアスを打ち倒したのは“神威”。トータスの魔法の中ではトップクラスの破壊力を持つ魔法だ。立香ならば“英霊憑依”や“擬似宝具解放”により、それ以上の破壊力は出せる。ただしコスパのことを考えると“神威”はジャブ的な感じで扱える。…あくまでもジャブである。

 

 そんなわけで試し打ちをしていたのだ。なお武器はアイゼンにより両手剣を再現し、それから放っている。一度、勇者たる光輝が使っていたのを見た立香はそれを再現したのだ。魔力量が多い分、立香の方が威力は出ていたが。

 

「立香、キリエライト。調子はどうだ?」

「順調、順調。思った以上に威力出るよ。阻害もあまり効いてない。このブレスレット中々だぞ?」

「霊基に想定外の支障も御座いません。万全とは言えませんが、それでもありがたいです」

「だろうな。俺が作ったんだ。それぐらいじゃなきゃ困るってもんだ」

 

 オスカーと共に“錬成”による擬似一軒家を作り上げ終わったらしいハジメは、立香に新たなアーティファクトの使い心地を聞く。

 

 立香やマシュの腕にはめられているブレスレットは銀色をメインとし、精密に掘られた溝でグランツ鉱石が輝き、終いには神結晶まで装飾に付け足している。ファッションとしても非常に見栄えがいい。だがその正体は対ライセン大迷宮用の切り札の一つ。

 

 このアーティファクトは“魔力操作”を付与している。そして各々が持っている“魔力操作”と合わせて、一定範囲内ならば分解効果をある程度まで無視することができる。力技ではあるが、簡易的故に全員がすぐにそのアーティファクトの扱いを覚えた。英霊組もこのアーティファクトにより、本来の八割ではあるが全力を出せるようになった。ユエやマシュも一定範囲ならばお得意の魔法やシールドを出せるようになる。

 

 またそれだけでなく、ミレディ・オルタが使用した“重力魔法”に対する対策も練ってある。というのも“重力魔法”を直接かけられれば、ハジメ達は重力に抗えず、すぐに負ける。つまりは本気のミレディ・オルタがあまりにもバランスブレイカーな為、ミレディが少し手を貸してくれたのだ。

 

 そうして完成したのは装着者に掛けられる“重力魔法”の効果の半減。完全なる無効はハジメの力では足りなかったが、それでも十分。少なくとも開幕エンドは避けられた。

 

 なお、このアーティファクトが完成した際、オスカーとミレディが遙か彼方を見つめながら「あれ? 迷宮のコンセプト思いっきり無視されてるんだけど? オーくんの弟子、やり過ぎじゃない?」とか「…僕は悪くない」という少し悲痛さが込められた言葉がポツポツと。

 

 自重を知らないハジメさんは、解放者の話などまるっきり無視。むしろ「全部の武器に…」などと言い始めていた。本気でそれを行なったのかは知らないが、大丈夫か。

 

 すると立香はニヤニヤしながら、ハジメを見つめた。後ろからは多少黒いヒゲの人がデュフフフしている。ハジメはそれを敏感に察したのだろう。逃げようとしたが、立香からは逃げられない!

 

「で? シアさん用のこのアーティファクトは結局指輪にしたのか?」

「先輩の如く、指輪を大量生産なされるんですか?」

「バカ言え。俺の特別はユエと白崎だけだ。ま、折衷案って事でチョーカーてやったよ」

 

 なお殆どのメンバーは立香同様にブレスレットではあるのだが、ハジメはマフラーに編み込んでいる金属糸に、ユエに関しては神結晶シリーズの指輪に付与したのだ。

 

 ユエも香織も満足し、一件落着としたハジメ。しかしシアがここで猛抗議を申し立てたのだ。即ち「私だけハジメさんから特別な物、貰ってませ〜ん!」と。

 

 シアには武器として戦鎚と籠手、ブーツのアーティファクトを渡していたのだが、乙女ティックなものは何一つない。故にシアがウサミミを荒ぶらせ、キレにキレたのだ。

 

 なおその際、ハジメはシアを『特別』としては認めていない為、他と同じくブレスレットで済ませようとしたのだが…

 

『……ハジメ?』

『(ブンブン)』

『あ、はい。すみません』

 

 シアのあまりものぞんざいな扱いに二人がキレた。マフラーからは「ハジメくん。それは流石に無いよ?」と異様な気配が。割と尻に敷かれがちなハジメに抗う術は無かった。

 

 だがユエのように指輪を渡す気にはならない。そんなものを渡せばシアが残念なまでにテンションを上げ上げにすることは間違いない。ついでにミレディがからかってくるのも間違いない。

 

 そこで妥協としてチョーカーを提案、実際に制作した。なお物作りが本業たるハジメに容赦はない。何と神結晶まで用いて、加工を施したのだ。

 

 結果、黒の生地に白と青の装飾が幾何学的に入っており、かつ、正面には神結晶の欠片を加工した僅かに淡青色に発光する小さなクロスが取り付けられた神秘的な首輪…というより地球でも売っていそうなファッション的なチョーカーが出来上がったというわけだ。

 

 しかも先程の二つだけでなく、“念話”やGPSのような特定効果、更には魔力貯蓄庫にもなるという割と国宝級のものが仕上がった。尤もハジメが製作しているアーティファクトはどれも国宝級なので、今更ではあるのだが。

 

 そうやって作り上げられたチョーカーを小一時間、そして未だに鏡で見ながら、ニマニマしているシア。それを傍目に立香がこれまたニヤニヤする。

 

「なるほど、『シアは俺のモノ』ってか?」

「…お前って、俺をタラシに仕上げようとしてるよな?」

「先輩が仕上げようとしているのではなく、天性のものかと思われます」

「キリエライト、言うな。最近少しだけ自覚しそうで怖いんだ」

 

 マシュの一言にこめかみを抑えるハジメ。とはいえハジメも嬉しそうにウサミミをピョコピョコしているシアを見つめながら、少し顔を緩めている。何だかんだでシアを認めている証拠である。

 

 だがここで気になるのは一つ。

 

「ハジメ、最近神結晶多様し過ぎじゃね? 在庫あんの?」

「そう言えば…何処かで見つけられたのですか?」

 

 これである。バスケットサイズの神結晶とはいえ、限りはある。しかもその希少性は言わずもがな。オルクス大迷宮でもハジメが見つけたものだけしか見つかることはなかった。

 

 なのでブレスレットといい、シアのチョーカーといい装飾にそれだけ使って大丈夫なのか、と二人が心配するのも無理はない。

 

 だが当の本人はシアの方を見つめながらそれほど気にもしていない様子。

 

「ああ、大丈夫だ。最近投影できるようになった(・・・・・・・・・・・)んだ。在庫は幾らでもあるさ」

 

 などとサラッと仰った。

 

「……………は?」

「……………え?」

『……………母の聞き間違いでしょうか?』

『……………意味がわからぬ』

 

 立香もマシュもこれには硬直せざるを得ない。更には立香の念話を通して頼光や獅子王にも困惑が伝播した。

 

 何故ならば可笑しいのだ。神結晶は素材的に言えば聖杯にも届き得るほどの遺物。簡単に作り出せるようなものではない。かつてオスカーが創り出したという例外はあれこそ、それでも大量生産など馬鹿げた話は無い。

 

 だがハジメはシアの方を暖かい視線で見詰めながら続ける。

 

「つーか、ハウリア達に渡したアーティファクトにも神結晶は使ってある。…とはいえ俺の技術じゃ粗悪品で、貯蓄庫にしかならねぇような品物だがな。それでも“魔力操作”を使って周囲の魔力を掻き集めりゃ、電池みてぇになるからな。ハウリアからすりゃあいい武器だろうさ」

 

 そう、カム達が所持していた武器は全てハジメ印のアーティファクト。しかもリモコンのボタンで魔力を操作するため、獣人のような魔法を扱えない種族であろうが使用は可能。しかも仕掛けてある能力も毒ガスや音の遮断、切断の強化などと暗殺に特化したものばかり。正直に言ってオーバーテクノロジーである。

 

 ここまで来ると立香達もこめかみをグリグリ。ついでに溜息も放った。

 

「マジでハジメが敵じゃなくて良かったよ…」

「ええ。宝具ではないとはいえ、擬似宝具並みの物を量産している時点で、余程のキャスターの方よりも厄介かと」

「あん? 褒めても何も出ねぇぞ? つーか、早く組み立てた一軒家に行こうぜ。一応、改善点とかも言ってくれたら助かる」

「…俺たち旅してんだよね? こんな便利でいいのかな?」

 

 立香の頭に思い浮かぶのは、徒歩で大陸を渡ったり、空腹で発狂しそうになったり、メシが全然無いボーダーの旅など。

 

 だが、ここには“投影”を扱うハジメがおり、“錬成”の最高峰たるオスカーもいる。更にはご飯は立香が宝具発動により(食材は限定的だが)たらふく食べることが可能。旅=大変な物という概念はこの一行では死滅しつつある。

 

 そしてその風潮の原因であるハジメを見詰めながら、立香は思わざるを得ない。

 

(…もうハジメ無しで旅できないような気がするな〜)

 

 一家に一人は欲しいハジメ、それを改めて実感する立香である。

 

 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 ーーハジメside

 

「さて、改めて全員の戦力をまとめるぞ?」

 

 ハジメはそう言いながら、スプーンでミネストローネもどきを掬い、己の膝に座っているユエの口元へ運ぶ。所謂所の「あ〜ん」の仕草である。マフラーさんとシアが非常に羨ましそうに見ている。

 

 ちなみに一行のお食事係はマシュ、シア、オスカー、頼光、立香といった感じでループしている。本日はオスカーの日だ。ハジメの場合は男飯に、ユエの場合は血だらけの独創的な何かに、ミレディは極一般的な何とも言えない感じに仕上がるので食べる専門だ。獅子王? 食べる専門である。

 

 オスカーが『燃えてきたぞ…Ⅲ世(オスカー命名)』でウインナーをジュージュー焼く一方で、一行は己のステータスプレートを見せ合う。なお英霊組にはステータスプレートは扱えず、ミレディも無駄だったのでノーカウントだ。

 

 表示できる中で未だに記せていないメンバーのステータスプレートの表示は以下の通りである。

 

 ====================================

 

 ユエ 323歳 女 レベル:79

 天職:神子

 筋力:220

 体力:450

 耐性:100

 敏捷:220

 魔力:9200

 魔耐:9390

 技能:自動再生[+痛覚操作][+再生操作]・全属性適性・複合魔法・魔力操作[+魔力放射][+魔力圧縮][+遠隔操作][+効率上昇][+魔素吸収][+身体強化]・想像構成[+イメージ補強力上昇][+複数同時構成][+遅延発動]・血力変換[+身体強化][+魔力変換][+体力変換][+血盟契約]・高速魔力回復・生成魔法

 

 マシュ・キリエライト 17歳 女 レベル:78

 天職:守護者

 筋力:150

 体力:800

 耐性:9800

 敏捷:780

 魔力:2000

 魔耐:11000

 技能:全属性耐性[+適応][+耐性強化]・強化魔術[+耐性付与強化][+宝具強化]・半英霊化[+■■■][+十三の花の盟約][+■■■の■■]・獣の加護・■■■■■・生成魔法

 

 ====================================

 

 これらを見ると一見、マシュが衰えているように感じるが、これでも知名度補正の減少中だ。しかも防御が完全なるチートである。技能“適応”はあらゆる状況でも長期に渡ればすぐに耐性を獲得できる技能。しかもこれらの獲得した耐性を全て他人に付与できる。

 

 まさしくアシスト型のマシュに、相も変わらず固定砲台のユエ。更にオール型のハジメ、立香に接近型のシアが加わる。英霊組は見れないが、今の所オスカーは宝具の数がチートだし、頼光は武器を扱うことが非常に一級、獅子王も聖槍の一点突破力はこの一行の中でも最高峰だ。全員にブレスレットは配ってあるがために、戦力低下はあまり気にはならない。

 

 それ故に戦力を考え、対ミレディ・オルタの戦いの対策もスムーズに行くというもの。

 

 だからこそ唯一、足を引っ張るポジションなのは…。

 

「で、ミレディ?」

「ッ!!」

 

 ハジメが部屋の隅で縮こまっていたゴーレムに話しかける。すると肩を弾き、一層身を縮こまらせたミレディ。もはやダンゴムシレベルである。

 

「本気でお前…何も出来ないのか?」

「はぅ!?」

 

 胸に何かが刺さったかのように、胸を押さえて倒れた。

 

 そう、ミレディは現状のゴーレム状態では生命活動が危ういまでに魔力量が少ない。本来ならばミレディ・オルタが使用しているゴーレムに魔力を貯蓄しているためだ。

 

 そんなわけで迷宮探索中はハジメの宝物庫に放り込むこととなった。ただえさえお荷物なので、という判断だ。解放者でもあまりお荷物扱いはされてこなかったミレディ的には割とショック案件なのだ。

 

「ごめんなさ〜〜い! 役立たずでごめんなさい! メル姉、どこ〜〜! 早く会いたいよ〜〜!」

「メル…ごめん、誰か分からないんだけど?」

「メイル・メルジーネ。“再生魔法”の使い手さ。…彼女は生粋のお姉さん気質でね。人を甘えさせるのが上手なんだよ」

 

 こちらの世界の知識に浅い立香に、オスカーが遙か遠くを見つめながらメイルについて説明を始める。オスカーの反応からやはり只者ではないことが分かる。…様々な面から。

 

 一行はこれ以上、ミレディが誰かに甘えるとダメになりそうな予感しかない為、絶対に合わせないことを決意する。

 

 そうして会議は滞りなく進む。会議がほぼ終わる頃には全員の皿から食材は無くなっていた。オスカーはそれら一つ一つを取りながら、食洗機(アーティファクト)に突っ込んでいく。

 

「シア、それでお前用のアーティファクトの調子はどうだ?」

「は、はい! 絶好調ですぅ! ええっと名前が…」

「戦鎚がドリュッケン、籠手がブレッヒェン。そんでブーツがゲシュヴィントな」

(ハジメも大概、厨二だよな)

(ああ。ネーミングセンスが、ね?)

「おいこら、立香にオスカー。聞こえてるからな。ドイツ語引用してるだけだ。ドイツ語はゲーマーには一般ステータスだろうが。あとオスカー、テメェにはネーミングセンスのことは絶対に言われたくねぇよ」

 

 つまりはオンラインゲーでドイツ語が必要になるレベルまでコイツは行ってたのか…と即刻理解する立香。なお立香は立香でカルデアによりドイツ語などとうの昔に習得しているので、人の話はあまり言えない。

 

 一方でどうやら己のネーミングセンスに誇りを持っているらしいオスカーが断固たる意志で抗議する。

 

「僕のネーミングセンスの何処が悪いっていうんだい!?」

「じゃあ、今テメェが使ってる食洗機の名前言ってみろ」

「『汚れ死すべし卿』がどうかしたのかい?」

 

 この際、オスカーの顔はドヤ顔である。顔には「君の武器の名前も付けてあげようかい?」と書いてある。死んでもお断りである。

 

 そして現実はオスカーに非情である。

 

「……ハジメの勝ち」

「それはねぇですぅ〜」

「オスカー、認めよう。ハジメも許してくれるって」

「流石にオスカーさんのネーミングセンスは異常でして…」

「…母の包丁の名前は死んでも付けないでください」

「…我が聖槍には『ロンゴミニアド』という名があるからな」

「オーくん。流石にこればかりは…」

「な、何故!?」

 

 オスカーが膝から崩れ落ちる。全員の「名付けヤメロ」的な視線が堪えたようだ。

 

 そうやって割とのんびりと時間を過ごしたハジメ達。

 

 

 ーー迷宮突入まであと…




次回から遂に迷宮突入です!
ワクワクドキドキ、ミレディ大迷宮始まるよ!
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