ありふれた錬成士は最期のマスターと共に   作:見た目は子供、素顔は厨二

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そういや忘れてたのですが、ハジメが偶に『白崎』ではなく『香織』と呼んでいることがありますが、ミスです。
今後、合流するまではハジメは名前で呼ぶことなどないのでご注意。
なのでもし、そんなことがあったらご報告ヨロ。

…にしてもジャルタガチャなんて無かった。
いいね?


過去の神話・新たな予兆

 ──ハジメside

 

 そうやって冒頭のシーンに辿り着いていたのである。有言実行と言うべきか、文章に見事に沿って、迷宮は形を変形させていた。マッピングも完全に無意味と化しており、ユエ達が慰めてくれなければ、今頃宝物庫のミレディを殴殺し、塵へと還していたことだろう。

 

 ハジメ達が、ライセンの迷宮に入ってから今日でちょうど二週間である。その間も数々のトラップとウザイ文に体よりも精神を削られ続けた。スタート地点に戻されること十九回、致死性のトラップに襲われること百六十六回、全く意味のない唯の嫌がらせ四百十二回。最初こそ、心の内をWミレディへの怒りで満たしていたハジメ達だが、三日を過ぎた辺りから何かもうどうでもいいやぁ~みたいな投げやりな心境になっていた。

 

 食料は潤沢にあるし、身体スペック的に早々死にはしないのが不幸中の幸いだ。今のように休息を取りながら少しずつ探索を進めている。その結果、どうやら構造変化には一定のパターンがあることがわかった。“マーキング”を利用して、どのブロックがどの位置に移動したのかを確かめていったのだ。

 

「先ずは寝るべし! 苛ついたまま探索してたら足元掬われるぞ!」

 

 それでも一刻も早くミレディ・オルタを破壊し、宝物庫に眠っているミレディを叩きのめしたかった一行ではあったので、殆どの者が不眠不休で迷宮を突破していったのであったが、十四日目にしてようやく立香のセーブが掛かったのである。

 

 そうして今の状況に辿り着いたわけである。…そう!

 

「すぅ、すぅ……」

「(コク、コク)」

「むみゃむみゃ、ハジメさ〜ん」

 

 ハジメを中心に右側にユエ、左側にシアが座り込んで肩にもたれ掛かり、首にマフラーが甘えるような状況となっているのだ!

 

 要はユエとシアは、その肩を枕替わりに睡眠をとっているのだ、二人はハジメの腕に抱きつこうとしたが、そこの辺りはハジメ的にNOした。実にヘタレである。

 

 マフラーの方は睡眠は要らないのだろうが、コールドモードということであろうか。先程から動く様子はない。

 

「…何で、こうなったんだ」

 

 思わずハジメは嘆きながらも、かつての己を思い返しながら、少し視線を遠くに飛ばした。とはいえ、伝わってくる温もりは離し難いものであり、何だかんだで受け入れてしまっている。

 

 その輪の中にシアがいる時点で何だかんだで受け入れてしまっているのだろう。我ながら甘いことだ、とシアのウサミミを指先で撫でながらふと、そう思った。

 

 前に視線を飛ばすと先には立香がいて、マシュが右腕を抱く形で寝ており、獅子王が左腕、頼光が背中を抱き寄せ、枕として寄りかかり寝ていた。ハジメと似ている感じがあるが、密着度が明らかに違う。流石はリア充である。思わず宝物庫から手榴弾を取り出しそうになったが、己も似たようなモノだと自覚し、やめておくこととした。

 

「ハジメ、こっちにちょくちょく殺意吹き出すのやめてくれ。起きるだろ?」

「…起きてたのか」

「起こされたんだよ。殺意当てられて起きるぐらいじゃなきゃ、カルデアのマスターは務まらないんだよ」

 

 本気で立香から聞くハジメのカルデアのイメージはただの魔境。実物は知らないが似たようなものだろうとしている。

 

 いつもの如く立香にニヤニヤされ、それにハジメがジト目を返すというやり取りが行われ、やがて話はミレディの話に移った。

 

「そろそろオルタの位置も判明しそうだな。…たく、面倒臭さだけならこの迷宮がダントツだろうな」

「そうと考えたいけど…アレと同じくらいウザさを内包した人間が他に『解放者』の中にいるとか考えたくないんだけど…」

「それな。Gと同レベルで増えて欲しくねぇな」

 

 きっとミレディが聞けば不本意と叫ぶだろうが、生憎反論の余地はない。ある種、冒涜的な生命体なのだから。

 

 当然、立香もこれに頷く。

 

「うん。ラフムと同じくらい冒涜感が凄い」

「ラフム? 何だ、ソイツ」

「あ〜、これは俺が人理修復してた頃の話なんだけど…聞く?」

「ああ。聞くっての。相棒なんだ。相方の過去を知らぬ存ぜぬとか…カッコ悪いだろ?」

「あはは。りょーかい! それじゃ…アレは七つ目の大きな特異点での話なんだけど…」

 

 第七の特異点、バビロニア。

 

 それは今までの人理修復とは異なり、神が未だ現世に降り立っている時代の探索。

 

 味方陣営は英雄王と名高いギルガメッシュやグランドキャスターたるマーリンが率いるサーヴァントの軍団が仲間となってくれたが、その分敵側も今までとは比にならないほど強大な敵だった。何故ならば相手は神々であったのだから。

 

 敵側は太陽の化身、ケツァルコアトル、冥府の女神、エレシュキガル、ウルクの原初の母の名を騙る、ゴルゴーン等が同盟を結んだ『三女神同盟』。人理を乱すが為に、ウルクを滅ぼそうと画策してい──

 

「待て」

「変なところでもあった?」

「あったっての! 敵側にテメェの嫁、二人もいるじゃねーか! どうなってんだ、テメェの男女関係!?」

「そんな事言われても、俺の彼女って大体元々敵だった人が大凡半分なんだけど…」

「…ジゴロが過ぎんだろ」

 

 思わずハジメがジト目を行うが、立香は意に返さず。話を続けた。

 

 更にはゴルゴーン側にはギルガメッシュのかつての親友であるエルキドゥの霊基を使った神の僕、キングゥがおり、それはもうスンゴイ死闘を繰り広げた。

 

 例えばティアマトとしての権能を扱い、ゴルゴーンが産み出した魔物の数々と戦ったり、タイガーな着ぐるみを被ったジャガーマンと死闘を──

 

「待て!」

「今度は何だ!?」

「虎の着ぐるみを着てるジャガーマンって何だ!? ジャガーじゃねーのかよ!? そんでもってジャガーマンってケツァルコアトルの天敵のアレだろうが!? どうなってんだ、お前の敵!?」

「大丈夫だ、ハジメ。カルデアではよくある事だ」

「テメェは一度、カルデアを常識とするのはやめろ!」

「そして更には──」

「その話やめろ! 俺の脳みそが狂う!」

 

 ところがどっこい、立香の耳には届かない。

 

 ケツァルコアトルにピラミッド(?)の頂点からドロップキックをかましたり──

 

「ストップだ! バカヤロウ!」

「…あっ、実際はピラミッドじゃなくて祭殿だぞ」

「そこじゃねぇえええええ!! お前何やってんの!? 相手神だぞ!? しかも避けられたら死だぞ!? その頃のお前、戦闘は完全に一般人だよな!? 何やってんの!?」

「大丈夫! ケツァルコアトルは避けるような性格はしてないから!」

「万が一があるだろうがぁああああ!!」

「そして更に更に──」

「もう本気で黙れ! 頼むから!」

 

 されど立香はやめられない! 止まらない!

 

 三女神とは別にイシュタルという女神がおり、その女神を買収したり──

 

(落ち着け、俺! この程度ならばまだ…)

 

 何とか舌を噛み、ツッコミを堪えるハジメ。あまりにも話が進まないので、少し小刻みに震えながらも、耐え凌ぐ。そして立香の言葉の続きを聞く。

 

 衰弱死したギルガメッシュを追って、冥府に行ってみたり──

 

「死んでんじゃねーか!?」

「大丈夫だ。俺は何回か冥府行ったり、地獄行ったり、ヴァルハラ行ったり、アヴァロン行ったりしてるから。問題は何も…」

「大有りだ! 馬鹿野郎!」

 

 もう嫌だ! とばかりにハジメは耳を閉じる。一切本題に入らないどころか、その過程があまりにも不可思議過ぎる。

 

 一方で立香はその反応を見てニヤついていた。さてはからかっていたのだろう。…会話の内容は事実だろうが。兎も角立香はようやく、話をまともに続けた。

 

 取り敢えずライダーキックかましたり、冥府で誤解を生むセリフをエレシュキガルに連発し、後の修羅場への布石を打ちまくっていたら、三女神同盟は残る一体、ゴルゴーンのみとなった。

 

 そしてゴルゴーンとの戦いも終え、人理修復が完了したかと、そう思われた時。本来ならば眠ったままであるはずの(ビースト)が目覚めた。

 

『回帰』のビーストⅡ、ティアマト。

 

 古代、存在自体が厄災とされ、人類の手により世界から追放された存在。本来ならばマーリンにより、眠りの淵へと追いやられていたはずだった。しかしゴルゴーンの死をティアマトの死として置き換え、マーリンの術から逃れ、復活を起こしたのだ。

 

 そして目覚めたティアマトは己を裏切った人類へと刃を向けた。それは他ならぬティアマトの意思。同時に創世神の力は正しくこれまでの戦いとは一線を超えていた。

 

 あらゆる生命を作り変え、己の配下へと下す『混沌の海(ケイオスタイド)』。神霊の一撃でも無傷とする理を超えた耐久。指を振るった程度の攻撃でさえ水爆級であり、更には悍ましい新たなる生命、ラフムを解き放った。

 

 故にウルクの民は一人とも諦めず抵抗したものの、敗北。キャスターのギルガメッシュさえも胸を撃ち抜かれ、頼りにしていた神霊達や改心したキングゥの命懸けの一撃でさえも、足止めにしかなり得なかった。

 

 だがここでイシュタルの全力により冥府へと叩き落とし、エレシュキガルの刑罰の権能により、ティアマトの力の一部を剥奪。またアヴァロンから歩いて来たマーリンによる『混沌の海(ケイオスタイド)』の封殺。山の翁による翼の切断と『死の概念』の付与。そして冥府により、一時的に本来の英雄王としての力を取り戻したギルガメッシュ。

 

冠位(グランド)』クラスの英霊や神霊が出揃った上での戦闘により、ようやくティアマトの討伐は叶った。結果的に彼女は奈落へと落ち、その体を余すことなく砕き散ったという。

 

 立香はバビロニアでの出来事を一通り話すと、やがて悔しそうに拳を握った。

 

「…本当は、ティアマトにも手を差し伸べたかったんだ。最後、ティアマトが消える時、聞こえたんだ。幻想だったかもしれない。都合の良い思い違いだったのかもしれない。でも…『──ありがとう──』って」

 

 それはティアマトが奈落の底へと落ちて行く時、ウルクの人理修復を完了した時のこと。立香が踵を返し、レイシフトによりカルデアへと戻ろうとしていた時のこと。

 

 たしかに立香の耳に、ティアマトの声が聞こえたのだ。

 

 果たして立香の心がどんな風に形を成しているのか。それをハジメに測ることはできない。ただ話を聞くことしか出来なかった。

 

「その時、やっと分かった。(ビースト)って言っても人みたいなもので、感情があるってことを」

「立香…」

「大丈夫、ハジメ。もう割り切ったことだ。俺が踏みにじったのに、俺が同情するなんて一番の侮辱。思うことはあっても、後悔じゃないんだから」

 

 その立香の顔は何とも悲しいものだった。

 

 確かにハジメと立香の原点は似ている。

 

 互いに極一般的な生活から無理矢理強く成らざるを得なかったこと。無力を嘆いてなお立ち上がる強さ。自然と誰かの琴線に触れる在り方。

 

 どれも二人には共通していて、そういった面で二人は『親友』であれるのだろう。

 

 ただし立香はハジメの様に狂う事が許されなかった。

 

 ハジメは魔物の力を取り込み、その過程でツギハギにするかの如く己を再構成し直した。孤独、暗闇、弱さ、激痛、命の消耗。それら全てが生への執着を強まらせ、現在の『南雲ハジメ』へと成り立った。

 

 されど立香にはそれが無い。狂う暇すら彼には無かった。凡人であり続けた。

 

 凡人のまま沢山の死を見て、多側面の正義のあり方を見て、人の醜さも欲へ走った末路も見届けて、己の手で世界を壊すことを強いられ、コンマの合間に決断をせざるを得なかった。

 

 努力をしてもなお、誰かに手を伸ばすことは出来ず、誰かに頼るしか無い。誰かを守る為の力が、立香の元に訪れたのはあまりにも遅く、その頃にはとうに己が守りたかった者の多くは立香の目の前から姿を消していた。

 

 瞼を閉じる間も油断を許されることはなく、弱音を吐く暇すら無く、ただひたすらに己の心をより硬く、より強く打ち続けた。それだけだった。

 

 故に立香は旅の合間、変わらずに『藤丸立香』であり続けた。

 

 それにより立香は並ではあり得ないまでの精神の強さを手に入れたが、それと同時に己の本音を覆い隠す様になった。

 

 故に変わり果ててなお覚悟が変わることの無いハジメと変わることの出来なかった立香とでは全くもって意識が違う。ハジメは殺すことに忌避感を覚えることはないが、立香は一般人の如く誰にも感情移入をし、悲しむ。その上で覚悟を決めて闘うのだ。

 

 もうそういった感情は捨てたハジメには、同情することはできない。だがかつて帝国兵を殺した時にも、確かに立香は哀れみ、悲しんでいた。

 

 今になってもなお、立香は変わることなく全てを救いたいのだろう。勇者である光輝と違うのはそこにある過程を知っていること。犠牲を覚悟していること。

 

(…難儀な奴だな。ま、そこが立香の良いところなんだろうが)

 

 立香が誰かを助けようとし続ける覚悟は永遠に変わることはないのだろう。奈落の時、ハジメは立香の中に不変の覚悟を見たから。己の親友が世界で一番の頑固者であることは百の承知だ。

 

 如何したものか、とハジメが悩んでいると、静かな吐息の音が一つ増えた。

 

 正面を見ると立香が瞼を閉じて、眠っている姿がそこにはあった。どうやら言いたいことだけ言って、眠ってしまったらしい。

 

「勝手な奴だな。…たくっ」

 

 そうやって悪態をつきながら、ハジメも再び目を瞑る。今は一刻も早く、精神状態を安静させ、疲れを取るかが重要なのだからそうするのも当然の話だ。

 

 やがて眠気が訪れ、ハジメの意識があやふやになる。やがて意識は混沌へと飲み込まれて行く。

 

 その時、彼の耳に幻聴の如く響いたのは、己がオスカーとの戦いで誓った約束。

 

『もう、『大切』を死なせたりはしない』

『俺の『大切』を何も奪わせたりはしない』

 

 ただ、今のハジメにはその決意の何処かが釈然としなかった。とはいえ、そのような意識はすぐに霧散し、眠りに付くのであったが。

 

 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

 夢を見た。

 

 恐らくは僅かな時間しか眠っていなかったのだろう。

 

 されど目の前にあるのは不可思議な光景。夢想と思わざるを得ない世界。

 

 世界の空は曇り一点もなき夜空。その鮮やかな紺の色に光を添えるように月と星が瞬き、鳥居の数々が空に浮かび上がっている。

 

 己を取り囲むのは桜の木々。桜の幹に突き刺さる刀の一本一本に月光が煌めき、歪にも清い光景を生み出していた。

 

 南雲ハジメはその中心で佇んでいた。いつからここにいたかも分からず、ぼうっと月を見上げている。夜風に体の熱を奪われて、少し肌が震えた。

 

「客人ですか。珍しいこともあったものですね」

 

 不意に誰かが呼んだ気がした。背後からだ。引っ張られるかのようにハジメは躊躇もなく背後を向いた。

 

 そこにあったのは陰。目の前にあるはずなのに蜃気楼の如く、歪んでは消えて、認識はできるというのに曖昧だ。近くにいるはずなのに、遠近法が成り立っていない。人のようで、獣にも思え、生命の息吹が感じられながらも、無機質にも感じられた。

 

 矛盾を抱えた生命。しかし不思議と戦う気にはならず、宝物庫からは光が放たれることはない。

 

 幾度か視線を交え、風が吹いては止んでを繰り返す。桜の花びらが飛び、花の香りが鼻腔をくすぐった。

 

「御安心を。まだ貴方も私も出逢う運命では御座いません。故にこの記憶はこの世界の中だけのもの。現実と夢の境界線たる私の固有結界のみにて御座います。恐らくは夢から覚めて仕舞えば、私の事も忘れておられるでしょう」

 

 やがて陽炎のような陰は己の真横で木の根に座り込んでいた。顔もモザイクがかかったように、口の形も見えないが、見上げられていることだけは不思議と理解した。

 

「ですがいずれ貴方と私は出逢うでしょう。藤丸立香と『カルマ』が切れぬ宿命の中あるように。貴方と私、『夜刃(やと)』も交わるのでしょう」

 

 夜特有の紺のコントラストは段々と赤みがかっていく。その度に世界は霧に紛れたかのように輪郭を失っていく。

 

「私は『夜刃(やと)』。『選民』の(ビースト)へと成れ果てし者。同時に『カルマ』と並ぶ者」

 

 ハジメの記憶も夢から覚めるように、夢の記憶を漂白していく。確かにあった出来事を、ペンキをブチ撒けて白く潰していった。

 

 だがそんな中、『夜刃(やと)』の最期の声はやけに明瞭に響いた。

 

 

 ──そして、きっと。貴方に殺される者。殺されねばならない者。

 

 

 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

「──ジメ。ーハ──」

 

 途切れ途切れに呼ぶ声が聞こえた。肩が揺らされて、刺激がハジメの脳に伝わる。鼓膜の振動が確かに脳を刺激し、刻一刻とハジメの瞼を開けさせる。

 

 寝足りないと思いつつも、クリアな思考に違和感を持ちながら、ハジメはようやく目を覚ました。

 

 目に光が差し込むと、金の髪を揺らし、己の瞳を覗く少女の姿を知覚することができた。

 

「…ユエか」

「……ん」

「体勢的に色々アウトだと思うんだ、俺は」

「……知らない」

 

 ──ただし馬乗りという状況で。

 

 一応、脱がされてもいないのでセーフだろう。見れば首元のマフラーが多少ながらやつれていた。ハジメが寝ている合間にも色々頑張ってくれたらしい。

 

「おー、起きたか。ハジメ。寝坊助だなー、全く」

「本当ですよー。あ、立香さん。そっちのフライパン取ってもらえますぅ?」

「いいよ。はいっ、どうぞ」

「どうもありがとうございますぅ〜」

「おはようございます、南雲さん。よく眠れましたか?」

 

 今日の飯当番は立香とシア、マシュの豪華メンバーらしい。恐らくはストレス発散も兼ねて、料理を豪華にしようとしているのだろう。

 

 その光景を少し微笑ましく感じながらも、昨日の立香の顔を少し思い出し、目を立香から逸らしてしまう。何となく心がモヤつく。

 

「ハジメ。ご飯の準備に行こう」

「…ああ、そうしよう」

 

 立香の問題もあるが、その前に迷宮攻略だと心を入れ替えるハジメ。そしてユエに引かれながら、ハジメは一行の元へと歩む。

 

 長い夜が開ける。

 

 そして遂に迷宮での戦いは終幕へと誘われる。

 

 反転した人形との再会は、もう近い。




久し振りにフラグを乱立させる今話。
さあ、何処かお分かりか?
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