「アイツって……何なのかしら」
ティナがそう呟く。
勝てない相手、それは強大な力の持ち主であるという事が伺えた。
「ねえ、アンタ達。アイツって何だと思う?」
知識豊富なクリオとキレの鋭いユキヒコに問う。
一応は答えが合致していた様で、見解を二人でいう。
「アダーという者は甲虫を操っていると言っていた。そして、 スペキオシスが言い残した『オレより強い奴』やアイツというのもアダーの手の者だと考えられる」
「そして、その発言から考えるにアイツとは……とても強い甲虫だと考えられますね。具体的に言えばSSR級の」
ユキヒコとクリオが出した結論に、全員顔をしかめる。
SSR級と言えば彼等のムシバトルにおける最高クラスのスペックを持つムシであり、高い水準で能力が纏まっていたり突出した能力を持っていたりと……まさに強さの象徴であった。
「何だ何だ、それで怯えてたのか?俺等だって、あの3人組に負けない様に特訓してきたんだ。負けはしないよ」
ジョーは勝気な笑顔を見せてチームのムードを上げる。
そしてクリオに向けてこう言った。
「それに、どんな虫が来たってクリオとユキヒコのサポートがあれば分からない事なんてないさ!」
全員ホッとした様な顔つきになり……ポポが口を開く
「君達は……強い絆で結ばれてるんだね」
「当たり前だろ?みんな同じ街で育った親友だよ」
ジョーはポポにも笑い掛けると……ゴウスケが何かに反応した。
「……何かが飛んで来る。さっきのよりも大きい奴が」
ゴウスケが空を見る。
すると見上げた方向から大きな羽音と黒とオレンジ色の巨体が現れる。
そう、オドントラビス種でも有名な……
「ラコダールツヤクワガタ!」
クリオが叫ぶ。
「バランスのいい能力を持っているね!特に低い能力もないから気を付けて!」
クリオの解説を耳にして、ジョーは行動に移す。
「あいつの必殺技はハサミだ!ダンガン!」
「はっ……!待て、ジョー!アイツの動きが変だ!」
クリオは慌ててアドバイスをするが時既に遅し。
ラコダールツヤクワガタはミツバチとアオスジアゲハを呼びゴホンヅノカブトを投げ飛ばした。
ダメージは大した事は無かったが……必殺封じとあせらせを受けてかなりのプレッシャーを負っていた。
考える時間も短く必殺技も使えない状況、ジョーは焦り手を間違えてしまう。
投げ技を決めようとしたゴホンヅノの攻撃を見切られて横にいなされ打撃を喰らい、首を挟まれる。
そして超必殺、デビルスリーパーが炸裂してしまった。
「あ……あ……」
ジョーはそのショックから何も手を出せなくなってしまう。
そしてまた、ラコダールツヤクワガタが超必殺を出そうと近寄ってくる。
絶体絶命な状況、そこにクリオの檄が飛んだ。
「あ、諦めるなジョー!相手の動きをよく見るんだ!また必殺技を出そうとしてるぞ!キミの超必殺技のチャンスじゃないか!」
ハッとしたジョーは超必殺技の名前を口にする。
「ダンガン!」
高速で回転突進を放ったゴホンヅノの攻撃をラコダールはかわせなかった。
そのまま後方へと吹き飛びふらふらしながら起き上がる。
「隙を見せましたね?ジョーさん、今です!もう一度必殺技を!」
「ああ!行くぜゴホンヅノ!DGトリガー!」
ラコダールを掴んでは投げ飛ばし、翼を広げ飛びながら後方へ。
そしてそのまま一気に加速してラコダールをもう一度掴み、そのまま大きく投げ飛ばした!
木に叩きつけられたラコダールツヤクワガタは体力が尽きて捨て台詞を残す。
「これで終わりじゃないぞ……一番強いムシが来る……覚悟しろ……」
警告を言って気を失ったラコダールツヤクワガタ、しかしその覚悟はとうにできていた。
「ジョー、アンタのムシ結構傷付いてるから回復してあげるわよ」
そう言うとティナはアレクサンドラアゲハを召喚、ゴホンヅノカブトを回復させた。
「ありがとう。さて……」
五十嵐ジョーは鳴り響く地響きの方へと体を向ける。
一番強いムシとの決戦はすぐそこまで来ていた