なっている『シェル』からは女性の声が流れて来た。
「ねぇ、まだ近くにいるよね?折角だから朝倉さんを寮に案内しちゃって。」
「学園長…。お言葉ですが寮は女子に案内させた方が良いかと思います。」
男子は女子寮に入れない。だから部屋まで案内する事はできない。ならば最初から女子に任せるのが一番である。
「えー?いいじゃんいいじゃん」
「面倒は遠慮したいのですが…」
向こうも何か思惑があるのかもしれない。ひとまず引き受けておくとするか。
「分かりましたよ。引き受けますから。」
「流石だ!使いやすい生徒会長!新入生が早く学校に馴染めるよう頼むよ。」
「使いやすいってどういう事ですか…。じゃあ学校のエントランスで待ってますので。」
「ほいほい〜。じゃね〜」
プツッ。『シェル』の会話機能が落ちた。昔は地上でも『シェル』を使うことがあったらしいが、いまは科学の結晶、携帯電話を使う。なので有り難みが圧倒的に無い代物だ。魔法を使うため小さく出来る機能をつけた事があったらしいが紛失者が増えたためにやめたらしい。
そんな事を思い返していたらエントランスについた。もうすぐ朝倉さんも来るだろう。ベンチに座ろうとすると先客が居た。
「やぁ、ミツル。元気そうだね。」
「元気?学園長に面倒事を任されて元気そうに見えるか?カノン。」
「見えるよ。久しぶりにいい事があったみたいじゃないか。これは…日本人の女の子が来たんだね。良かったじゃないか。」
「勝手に記憶を読むな。それに日本には…何も思い出が無いのだがな。」
「あぁ、悪い。あの事件で記憶を喪ったんだったね。いつか君に記憶を戻してみせるよ。カテゴリー4の魔法使いのこのカノンちゃんがね!」
「楽しみにしてるよ。カノン。」
「あー、信じてないな!」
「お前が魔法を使ったのなんか見た事が無いからな。本当に魔法使いなのかを疑うレベルだぞ。」
「あ、後ろにいる少女を待たせてしまったみたいだね。じゃあね!ミツル。」
「お、おう。あ、朝倉さん悪かった。友達との話に夢中になってしまってね。」
「もしかして彼女さんですか?」
「いや、俺はフリーだよ。」
「これが外国の人の付き合い方なんですかね…」
「いや、そんな事は無い。あいつが人懐っこいだけだ。ちなみにあいつの名前はカノン・メロルド。本科一年生だ。」
「で、なんでこのエントランスには大黒様がいるんでしょう?」
「なんでも百年近く前に杉並という日本人が作ったらしい。まったく凄いもんだよ。」
「いつ何処でも杉並という人は変な事しかしないんですね…」
「ん?どうかしたかい?」
「いえ、なんでもないです。それより早く外を案内してください。」
「そうだね。」