「お昼ご飯を持ってきました」
「ありがとう、ここまで持ってくるの大変だろうに」
「そんなことはありません!貴方に会うために毎日ほかの看守たちと争っているくらいですから」
「それは嬉しい、けれど私のことで仲間同士で争うのはやめてほしいな」
「以後気をつけます!」
「ふふ…それは良かった」
ここはインペルダウン
脱獄不可能な世界最大の監獄、私ははその中でもとりわけ重罪人が入れられるLv6にいる。こんなところに捕まるくらいすごい大罪を犯したと思われるだろうが、そんなことはない。
私の経歴を見ても百人中百人が“白”だと答えるだろう。
生まれは世界政府加盟国のとある国の一般家庭に生まれ両親が海賊というわけでもなく父は造船業、母は工場で働いている。このご時世海賊が闊歩し一般人が怯え暮らす国もあるが、私の国はそんなことはなく恵まれていた。
他の国と違うことを上げるなら、とても歴史のある国だろうか。
昔から伝わる言い伝えとして少々面白いものがある。“国民は神の末裔であり、王はその末裔を護る事が役割”というものだ。
王の一族は元々は他所からやって来た一族であったが、神の御心に触れこの国を発展させると誓った。だから立場的には我々国民の方が上なのだが、国民はこの国を護る王族に敬意を払っていた。
そんな国に生まれた私はなんとその神の生まれ変わりらしい。両親によると幼い頃からその片鱗が現れていたそうだ。幼い私は海が好きでよく浜辺に通っていた。
ある日帰りが遅いので母が私を迎えに浜辺へ行くと、なんとそこには海が私を避けるように波打っていたのだ。その断面では色々な魚たちが楽しませるようにキラキラと鱗をかがやかせていた。その姿を見た母は私を神の生まれ変わりだと確信し、国中の人々にこう伝えた
“我らが神が蘇りたまえた”と
それから私はあれよあれよという間に私は着飾られ神殿に入り生き神として奉られた。このままこの生活が続くと思っていたが、私をよく思わないものもいた。
それは王だった
新しく王となった先王の息子、新しいものが好きでこの国の古い伝統が気に食わなかった。しかも自分より崇められる存在、無条件で奉仕することに怒りを覚えた。
そして王は神殿に火を放った、轟々たる音を立て火は勢いを増していく。火は神殿だけでなく飛び火した家々に燃え広がる。
私は命からがら神殿より逃げ出す事ができたが、ここまで誘導してくれた人々の姿は見えない。
「島を出なさい」「ここより遠い場所へ」「さあ早く」
見えない人物の言葉と共に強い風が吹き浜辺へと押されて行く。決して振り返るなまっすぐ突き進めと強い意志を受け止め、私は海に歩み始める。
邪魔になるであろう靴は脱ぎ浜辺に揃えておく。そして恐る恐る素足で踏み出すと足は水に沈む事なく、驚くことに地面のように立つ事ができた。
私はそれに気づくと無我夢中で走り出した。
無事故郷の島から離れ、途中走り疲れ歩いていると通りがかりの船を見つけたので助けを求めたが自分の格好や海に立っていることで“生贄にされた子供の霊があの世へ招こうとこちらを手招いている”と誤解を受けてしまった。その誤解は船乗り全体に伝わったのか、私のことを見るや否や反対側に舵を切ってしまう。島を見つけようにもこの海域は霧が深く、船が自分に近くまでわからない。このままでは救出されるよりも自分が飢え死にする方が早そうだ。
くうくうと鳴る腹を抑えながら、霧に消えていった船の方角へ歩いていく。一人海を歩く音が響く、足がふらつきだんだんと歩幅が狭くなっていく。今まで神殿で暮らしてきたせいか長距離を歩くには体力が無さすぎた。
倒れたら海に沈んでしまうのだろうか
海を歩くことなんて始めてだから、歩みを止めるとこのまま深海に誘われてしまうのではないか恐怖で実行する事が出来なかった。
けど、もういいや
ここまで頑張ったんだから、いいよね?
自分で許可を求め自分で承諾したあと、眠るように気を失った。
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柔らかな感触で目が覚めた
体を起こし辺りを見渡すと、治療器具が乗っている机やよくわからない薬品が入った棚が見えた。どうやら自分は無事救出され、船医室に運ばれたようだ。
「患者が起きたことを中将に報告しろ、そこの一等兵料理長に頼んでお粥を作ってもらってくれないか」
白衣を着た老人はテキパキと指示を出していた。そんな姿に圧倒されていると、老人はグルっとすごい勢いでこちらを見るとズカズカと近づいてきた!
「君を救出してから3日たった。体調はどうだ?どこか痛むところはないかい?食欲は?」
「た、体調は大丈夫です。どこも痛くないです。食欲は…お腹空きました」
「それは良かった、今お粥を持ってこさせている。君の状態を見る限り何日もご飯を食べてないようだから消化の良いものから始めよう。味気ないものだが、なに体調が良くなったら普通の食事に変わるさ」
「助けていただいたありがとうございます…それにご飯までいただいて、でもお金が…」
「海軍が一般人を助けるのは当たり前のことだ、お金のことなんて子供が心配することじゃない」
なんとも優しい人たちに救われたようだ。生きる希望を捨てようとした自分にはもったいない恩情だ。
「そんな病人の君に鞭打つようで悪いが、このあとこの船の中将から取り調べを受けてもらう」
「取り調べ、ですか」
「近くの国で反乱が起こったんだよ。その国の王から通報を受けて向かっている最中でね…君はそこの国民だろ?救出した時に、着ていた服が伝統行事のさい着るものだと資料で見たが…」
「失礼しますドクター!!まもなく島に到着いたします、下船の準備を!!」
「了解した。君立てるかい、君も親御さんのことが心配だろう。私と一緒に下船して探しに行こう」
軽々と抱きかかえられた私は、医者と共に下船した。
焼かれた神殿は跡形もなかった
近隣の家も焼けてしまったようだが、奇跡的に死者はいなかったようだ。
しかしドクターの話を聞く限りなんと反乱の首謀者が自分になっていたことに驚いた。
「教祖…神が神殿を放火したらしい。国民が信仰深いところを狙い王の仕業に見せかけ反乱を決行、なんとも非人道的だ」
本当は王が兵士に火矢を放てと指示をしたのに…
あんな王にこの国を任せていると思うと悔しくてたまらなかった
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船から降りると、そこには王がいた
「やあやあ海軍諸君、こんな辺境の国まで来てくれるとは思いもしなかった!!しかし困ったものだよ!我が国の信仰深い国民を利用し、神を自称する悪徳司祭が反乱を起こしたからね!!ははははは!!!!」
「おいおいあの国王おかしくないか?」「反乱が起こったって言うのになんだか機嫌がよすぎるだろ?」
コソコソと話す海兵たちなど目もくれず、王は高笑いしている。
「イレド王、到着が遅れ申し訳ございません。私、この船を預かります海軍本部中将ホシと申します。この度は首謀者ね捕獲並びに王の国民を保護したことを報告いたします」
「ん?我が国民を保護してくれたと、それはそれはありがた……!?!?そいつだ!!!そいつが首謀者だ!!!!」
「このような幼子が首謀者ですと!?」
「ああそうさ、こいつはこの国を裏から巣食う化け物だ!!何百年もこの化け物に国を荒らされてきた!もうこんな生活たくさんだ!早くそいつを国家反逆罪で逮捕しろ!!今すぐに!!」
その後私は王に逆らう機会なく、護送された。
インペルダウンへと
オリ主
だいたい5〜8歳
海歩けちゃうぞ主人公、決して波紋とかそんなんじゃないから、なんか神秘的な力だから。
神秘的な雰囲気作りたかったんだけど、どうだった?
この後の流れはインペルダウンに行って、そこから監獄で成長していって18歳に、その中で色々やらかしてLv6に移動。インペルダウン編でエースと会ったりルフィと会ったりジンベイと話したり…このまま頂上戦争へ????
後々水を操っちゃうかも……????
イレド王
ボンボン臭溢れる王様、イレドを反対から読むと…?
ホシ中将
オリジナル中将、出番あんまなかったね…
ドクター
大のベテラン