赤龍帝と青年〜真なる赤龍の魂を持ちし者〜 作:大熊猫シャンシャン
「ここ…どこだよ」
誠二から出る言葉はもっともだろう。
目が覚めたら自分の部屋ではなく全く知らないところに居たのだから。
思い出せるもっとも新しい記憶は、先ほどの夢を除けば化け物に体を貫かれたことだけだった。
その化け物に体を貫かれたことも夢だと思いたいが、それを夢ではないと物語る証拠が誠二の体にあった。
「包帯巻いてあるし少し痛むし、やっぱり夢じゃなかったのか」
胸には真新しい白い包帯が巻かれており完璧に傷口が塞がっていないのか少し痛むため動き過ぎると多分傷口が開くだろうと考えを巡らせていると、部屋にある唯一の扉が開いた。
「おう。目覚めたのか坊主」
「えっと…はい…目覚めました」
とっさのことでテンパってしまい変な言い方になってしまった誠二だった。
入ってきた人物を改めて見てみると黒髪で前だけが金髪の不思議な髪型をしており、顔もそれなりに整っており、ちょいワル系おやじと行ったところだ。
「そりゃあ良かった。俺はアザゼルだ、よろしくな兵藤誠二君」
「誠二でいいですよ…って、なんで俺の名前知ってるんですか?」
誠二は突然自分の名前を呼ばれたことに対して驚いていた。
「そんじゃ誠二って呼ばせてもうわ。やっぱり君付けは性に合わないな。なんで名前を知っているかって質問の答えだが、簡単なことだ調べた」
「へぇー」
随分あっさりとした答えに間の抜けた返事しかできなかった。
「そういえばアザゼル…さん」
呼び捨てで呼んでしまいそうになり慌てて訂正するが、何故か違和感があるように感じてしまう誠二。この少しの間をどう受け取ったのかはわからないがアザゼルは
「俺のことはアザゼルって呼び捨てでいいぜ」
と誠二に言った。
「じゃあ改めて…アザゼルここはどこなの?」
目が覚めたら知らない場所に居たのだ当然湧いてくる疑問である。
「ここはだな…まあ…その…なんだ…これから言うことは、到底信じられるようなことでは無いと思うんだが、それでも聞きたいか?」
「…聞きたい」
少し間を置き聞くと言う意思を示した。
「そうか…それじゃあここの説明をする前に俺のことについて話そう」
アザゼルは、誠二がいるベッドから少しだけ離れ
「よく見とけよー」
と一言いい翼を出した。翼は黒く6枚あり、それぞれが禍々しいが、どこか惹きつけられる魅力を発していた。
「どうだびびったか。この羽を見てわかると思うが俺は堕天使だ」
「堕天使…」
アザゼルの言う通り普通の人なら驚くだろう。しかし誠二は思ったほど驚いていない。まあそんなことは御構い無しというようにアザゼルは喋り続ける。
「しかもただの堕天使じゃねえぞ。堕天使陣営の中枢である組織「グリゴリ…」の総督なんだ…ってなんで知ってんだよ!?」
「あれ?俺…なんで…グリゴリ…正式名称【神の子を見張るもの】堕天使陣営の中枢組織であり総督はアザゼル、副総督はシェムハザ、幹部がアルマロス、タミエル、ベネムネ、バラキエル、サハリエル、コカビエル…こんなこと知らないはずなのに知っている?なんなんだよ。俺はどうしちまったんだよ」
「おい!大丈夫か!」
誠二はあるはずのない記憶、知識に混乱し頭を抱えてしまった。
「頭が痛い…晴美…兄さん…ごめん…ごめん」
そして、急に泣き出し暴れ始めた。
「落ち着け!」
「ごめんなさい…約束守れず死んじゃって…ごめんなさい」
「クソ!すまねえ少し痛いが我慢してくれ」
「ごめんn…」
なんとか落ち着かせようと押さえつけるが、暴れ続けるため仕方なくアザゼルは誠二の首に手刀を入れ意識を刈り取った。
そしてまた誠二の意識はまた闇に落ちた。
皆さん久しぶりの投稿です。
今回は短く訳のわからないことがたくさんあったと思います。この記憶の謎が解けるのは多分一年後かそれ以降になると思います。気長に待ってくれたら嬉しいです。
それではまた次回お会いしましょう。