ブラック・ジャックをよろしく   作:ぱちぱち

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ここ最近、何だかこの作品がシリアスに見えるんじゃないかと思うことがあったので、原点に返るつもりでちょっとコメディよりに書いてみました。
ちょっとアムロの説明に追記。マゼランとかが出発前のヤマトみたいに地表に突き立ってると思ってください。

誤字修正。五武蓮様、不死蓬莱様、オカムー様、亜蘭作務村様、Leni様ありがとうございます!


本編に出てこない人たちの話3

 その封筒を受け取った時、弦之介の心にある予感が走った。これを見れば、今までのままではいられない。これは決して開けてはならないものだ、と。この封筒を彼に渡した彼の部下の1人、筑摩小四郎は久方ぶりの恋人との逢瀬で英気を養ったのか、やる気十分といった表情で脇に控えている。怪しい点は特に見られない。

 さて、どうしたものか。己の直感を頼るならばこの封筒を開ける事はありえない。だが、里の近況が書かれているというこの封筒をこの場で開けないのもおかしな話だ。暫く里に戻れていない者の中には、この近況を聞く為にこの場に集まった人間も居るのだから。少し目を閉じて考えた後、弦之介はつぃ、と自身の左手に座る男に目を向けた。

 

「天膳殿。すまぬが皆に聞こえるように読み上げてくれぬか」

「……私が、でございますか」

「弦之介様?」

 

 突然の指名に天膳と数名の甲賀出身の者が驚きの声を上げる。予想していた反応に弦之介は何でもない事のように笑った。

 

「うむ。この書状の書き手は伊賀出身の朱絹と聞く。勿論後で内容は検めるが、個々人宛の報告等で余人が知らない方が良い事も書かれているかも知れぬ。言葉にする内容を吟味して話して欲しいのだ」

「……はぁ。仰せとあらば」

 

 怪訝そうな顔を隠さずに天膳は頷き、弦之介の手から封筒を受け取った。周囲の困惑した空気に弦之介は言葉を続ける。

 

「ああ、勿論盛大に祝うべき事柄ならそのまま言って貰って構わぬ。小四郎の結納等の話であれば特にな」

「げ、弦之介様!」

「そういう話であれば否やはありませぬな」

「天膳様まで!」

 

 弦之介の言葉に天膳が頷き、慌てた小四郎の様子に周囲を笑いが包む。この純朴な青年の中々進まぬ恋は伊賀・甲賀問わず話のネタにされている。場の空気が穏やかになった事を感じ、弦之介は密かに右拳をグッと握る。勿論、彼の右側に座っていた地虫十兵衛には全ての動きが見えていたのだが、彼は自身の主の行動に呆れたようにため息を吐くに留め、余計な言葉を挟む事は無かった。

 弦之介から封筒を受け取った天膳は封筒の封を四苦八苦しながら丁寧に剥がし、中身をチラリと検め数枚の紙切れが入っている事に気づいた。大きな物は文章だろう。残りの小さな紙は……なんだというのか。

 念の為に手ぬぐいで右手を覆い、天膳は封筒を逆さにして中身を取り出した。

 

「おっと」

 

 文章が書かれているだろう大きな紙は首尾よく右手で押さえる事ができた。しかし、残りの数枚、小さな紙は封筒の中から右手の上に落ちてくる時にひらり、と風に舞い、天膳の手元から弦之介の足元まで流されていった。

 

「申し訳ありませぬ」

「いや、構わ……」

 

 思わずといった様子で足元の紙を拾い、そして弦之介の時間はそこで止まる。その紙には天女のように愛らしい朧の姿が映し出されていた。

 写真、という技術があるのは知っている。その場の風景や情景、物や文字。それらをそのままの姿で写し取る写真の技術は彼ら忍びにとってもかなり有用な技術であり、現在里から外に出ている忍び全てが様々な形態のカメラやビデオを扱えるように訓練を受けている。当然、弦之介もカメラを扱う技術に精通している。

 

 だが、これは。この写真の中に映し出されている朧の姿は違う。カメラとはそのままの姿を写し取る為の道具。そう弦之介は思っていたし事実そうだ。しかし、この写真の中の朧は獣の耳を頭につけ、西洋の割烹着のような物を見に纏っている。割烹着にしては露出が大きいがそれが尚良い。仮装、という言葉が頭に浮かんだ。そうか、これは仮装なのか!

 他の写真を見る。こちらも同じように、ただ服装が少し違っている。先ほどの西洋風割烹着が黒で統一されているのに対しこちらは白。まるで穢れを知らないかのような純白の色合いで統一された服を纏った朧のはにかむ様な笑顔は、弦之介の心を鷲掴みにして放さない。何だこれは。何ゆえだ。もっと見たい!

 心を吹きすさぶ感情の嵐に弦之介は思わず立ち上がり、その弦之介のわき腹を地虫十兵衛がどすん、と舌で突いた。

 

「ぐふっ」

「何をやっておられるか。全く……」

「じ、十兵衛。何ゆえ」

 

 信頼を置く腹心からの一撃に弦之介は戸惑いの声を上げる。その様子に深いため息をついた後、十兵衛は舌で弦之介の後ろを指差した。

 弦之介が振り向くと、そこには自身の脇差で喉を突き、自害した天膳の姿があった。その姿に弦之介は見覚えがあった。自身の瞳術を受けた者がこのような状態になるのだ。

 

「不覚……!」

 

 自身が瞳術を暴走させていたという事実に思い至り、弦之介は歯噛みする。其の様子と周囲の戸惑いに事態を察したのか、弦之介の師であった室賀豹馬が立ち上がった。

 

「何を見られたか分かりませぬが、興奮して術を暴走させるなど言語道断!」

「……すまぬ」

 

 豹馬の叱責に弦之介が肩を落とす。彼の手からはらりと落ちた写真はひらひらと風に乗って空中を舞い、末席の方まで流れて行き、筑摩小四郎の前で落ちた。一連の事態の原因。警戒しながらその写真を拾い上げようとした小四郎の動きが、不意に止まる。

 

「これ、は……」

 

 落ちた写真を拾い上げた姿勢のまま、筑摩小四郎は弦之介のように全てを忘れて写真の中の朧の姿に見入った。小四郎はかつて、朧に叶わぬ恋を抱いていた事がある。いかに才があれど天膳の抱える従僕にしか過ぎない彼には身分違いの恋だった。故に彼は早々にその思いを捨て去り、そして里が壊滅した後は自身の働きによって正式に中忍の1人となり、朱絹と恋仲になった。それは良い。彼はもう朧より朱絹を愛していると胸を張って言える。

 だが、この朧のあられもない姿は、それらのガードを全て貫通してこの童貞に致命的な一撃を与えた。

 

「ん、どうした小四……小四郎ぉ!?」

「こ、これは朧様! ありがたやありがたや」

 

 仲間達の声をぼんやりと聞きながら、小四郎は幸せそうな表情を浮かべていた。その鼻からは噴水のように血が噴出し彼の体を赤く染めていっていたが、それすらも気にはならなくなっていた。頭の片隅で小四郎は思う。これは、朱絹殿への土産にせねばならぬ、と。その様子を頭に浮かべて更に出血が加速し、血を失いすぎた小四郎の体はゆっくりと傾いていき、血の海の中に倒れ伏した。

 こうしてこの下らない一幕は二人の青年の心に致命的な皹を入れて幕を閉じた。彼らの心に特大の傷をつけてしまった今回の一件はその場にいた全員に緘口令が敷かれ、外部には詳細は伝わらず、ただ『猫の変』として里の歴史に名を刻む事になる。

 

「ところで天膳殿はどうした?」

「まだあそこで死んでおるよ」

 

 なお天膳は数分後に復活し、血の海に倒れ伏した小四郎の姿に弦之介の術を受けた為と解釈。逆上し弦之介に襲いかかろうとして周囲の伊賀忍を含む忍びから集中攻撃を受ける事になる。恐らくこの日一番不幸だったのは彼だろう。

 

 

『とても下らない甲賀忍法帖 完』

 

 

 

「すまない、はやて。僕らの関係を終わりにしよう」

「……な、なんや冗談きついわ」

 

 見詰め合う二人。その間にはきっと愛があると思っていた。だが、それは幻でしかなかった。ゆっくりと首を横に振る男の姿にはやては顔を青ざめ、縋る様に抱き着こうとして、拒まれる。

 愛があるなんて、彼女の中の幻想でしかなかったのだ。

 

「君は、僕には眩し過ぎる。すまない、そしてさようなら」

「ま、まって。お願い! いかないでぇ!」

 

 歩み去る男の背中に手を伸ばし、八神はやては叫ぶ。そして、悪夢はそこで終わりを告げた。

 

 

「し、史上最悪の夢見や……」

 

 久方ぶりのベッドでの睡眠。就寝前のルンルン気分は泡と消え、気落ちする体を引きずるようにはやては寝室から出る。

 

「主。顔色が悪いが……」

「ああ、ザフィーラ。ちょっと夢身が悪くてな――ちょっと、じゃないか。は、はは……」

 

 引きつるように笑うはやてにザフィーラは心配そうに彼女を見る。その頭を撫でて、はやては気分を入れ替えた。主である自分が落ち込んでいれば騎士達に心配をかけてしまう。それは彼女にとって望ましい事ではない。

 

「主失格やな……しっかりせな」

 

 自分に言い聞かせるようにボソリと呟いて、はやては洗面所へと向かう。その後ろを少し心配そうな顔を浮かべながらザフィーラが付き従う。

 

 

 顔を洗った後、軽く髪だけを整えてはやては食堂へと向かう。昨日は久方ぶりの料理でつい張り切って作り過ぎてしまい、冷蔵庫の中には昨夜の余り物がやや残っている。ヴィータが頑張ってはくれたが、流石に家族全員分の余り物を処理する事は出来なかった。

 

「んー、朝やから軽目に……ポテトサラダも良さそうやな」

 

 残り物を処理するといっても朝から重い料理ばかりでは食も進まない。温め直すついでに味付けをひと工夫し、さっぱりとした品も添えて食卓に並べる。

 

「主、おはようございます」

「おはようさん。ご飯出来とるで」

 

 シャワーを浴びてきたのだろう、濡れた髪を束ねたシグナムが食堂に入ってくる。この時間帯はいつもトレーニングを行っていたはずだが、はやてが家に居る為早めに切り上げてくれたのだろう。彼女の入室を皮切りに、続々と家族達が食卓に集まってくる。

 八神はやての大好きな、八神家の団欒の時間が始まった。

 

「ンー、ギガうめぇ!」

「ヴィータ、余り慌てて食べるな。みっともないぞ」

「あら、これ昨日とちょっと味付けが違う……?」

「お、気付いてくれた? そこはちょい気ぃつこてな」

「……けふっ」

 

 ここ数年、嵐のような忙しさのせいで各々が各自で食事を済ませる事が多かった。そんな状況を、八神はやては歯噛みしながら見続けていた。ようやく収まってきた仕事量。自身が整えた組織が順調に動いていく姿は、これまでの苦労が報われたようで彼女の心に強い達成感をもたらしてくれたが、そんな達成感すらも霞むほどに今この場の光景は彼女に癒しを与えている。

 彼女は家事が好きで、そして家族が大好きだった。だから、自分の料理を食べて嬉しそうに笑ってくれる家族の笑顔こそが彼女にとって最大の力になる。それを今、八神はやては痛感していた。

 そしてその為に今日から。時間的余裕という何よりも大きな武器を手に、彼女は今日この時から行動を開始するのだ。その為の第一歩はすでに整っている。リサーチは完璧。自身の経歴とアピールポイントもばっちり暗記している。勝敗は行動を起こす前に決まっているのだ。

 

「なぁはやて。纏まった休みが取れたんだろ? 海にでも行こーぜ!」

「あー、うん。今日はちょい忙しいからまた明日やなぁ」

「あら。はやてちゃん、今日は何か用事あったの?」

 

 初耳だ、と驚くシャマルにはやては少し頬をかいて目を逸らす。恥ずかしくて家族には言っていなかったのだ。このままゆっくりと用事の体で出かけようと思っていた為、少し言葉にするのが戸惑われる。だが、言わない方が流石におかしい、か。

 覚悟を決めて、はやてはその言葉を口にした。

 

「うん……そのー、な。ちょっと街コンってのに行ってみようかなーって」

 

 言った。言ってしまった。顔を朱に染めてはやては俯いた。視界の隅では困惑したような顔のヴィータの表情が見える。向かいに座るシャマルやシグナムも同じような表情を浮かべているのだろう。どう言おうか。彼らは応援してくれるだろうか。いや、きっと応援してくれる。頭の中をグルグルと色々な願望や希望が回っていく。

 

「……それはこの間、貴方は参加出来ませんといきなり連絡があったイベントの事でしょうか?」

「誰宛なのかわからなくてそのままにしてた奴、よね?」

「ちょぉ待てぃ」

 

 ヴィータがひぃっと小さく呻いたが、気にする余裕が無くなったはやては立ち上がってシグナムとシャマルを見る。困惑から若干表情を青ざめた二人に詰め寄るようにはやては尋ねた。

 

「え。何やそれわたし聞いとらんていうか参加できんってなんやねんわたしがこの為に何泊執務室に居た思とるん15やぞ15日!」

「は、はやてちゃん落ち着いて。ヴィータちゃんが怖がってるから」

「わたしは落ち着いとるわ! あ、ちょい待って。落ち着く。ごめんなヴィータ」

 

 荒くなった鼻息を大きく息を吸って無理やり落ち着かせ、はやては数回深呼吸を行った。そして両手を顔の前で組み、肘をテーブルにつけて目を瞑ると、事情を知るであろうシャマルとシグナムを見る。

 

「で、わたしが参加する予定やった街角コンパvol.12カフェで楽コンに何でわたしが弾かれたのか教えてくれんか」

「下限年齢が25歳だそうです」

「どこにも書いてなかったやないか!」

「HPの方では記載されてたみたいよ。あと、普通25歳以下で応募してくる人はサクラとかしか居ないから審査の段階で弾いてるらしいの」

 

 あと、流石に未成年は、という担当者の言葉をシャマルは飲み込んだ。むしろ貴方が参加してはどうですかと言われて少しムカっ腹が立ったのも、この事実を伝えたくない理由の一つだった。

 

「というか、あれは主が申し込んだのですか?」

「……そうや。今の職場では、出会いがまるで見込めん。良いなって思った人は大体嫁付きかコブ付きや」

「あたしらが居るはやても、言ってみればそうだしな」

「……もしかしてそれでツキエリアに配属されたんか? もしかして」

 

 その疑問に彼女の家族は答える手段を持ち合わせていなかった。ただ、目を逸らされたはやては絶望のような表情を浮かべて食卓に突っ伏した。彼女のその様子に隣に座るヴィータが慌てて声をかける。

 

「だ、大丈夫だ! はやてみたいな可愛くて、料理上手で、仕事も出来るなんて三拍子揃ったのを、良い男なら見逃さないって!」

「……そ、そうやな! わたしもまだまだ捨てたもんじゃないよな!」

「そうそう。それに、ツキエリアの職場が駄目なら他のエリアに目を向けようぜ。チキュウエリアとかモクセイエリアとか」

 

 ヴィータの言葉にはやては希望を見出したのか、チキュウかー、そう言えば結構かわいい子もカッコいい人もおったなーと仕事の関係で出会った人々を思い浮かべる。あそこは確かに色々問題があったが、エリアが広い為か人材が揃っている。モクセイもそうだ。あそこは曲者も多いが、その分有能だったり魅力的な者も多いエリアだ。後はやっぱりカセイだろう。男女比が場所によって1対9位になっている場合もあり女余りが激しいというが、その分頭に思い浮かぶ男達は粒ぞろいだ。なのはが住むBJの集落がある常春の国のように住みやすい場所もあるし、長期休みのたびにバカンスがてら愛を育むというのも大いにアリだろう。少し遠いのが難点といえば難点か。

 

「しかし、他のエリアにってなると今度はツテがなぁ。仕事上の付き合い以上の、なんて……やっぱりフェイトちゃんの居るカセイがええんかなぁ」

「ああ、それならこの間、ヴィータがチキュウエリアのMS部隊総司令と食事に行っていましたからそこから」

「あ、ちょ、シグナム!?」

 

 ヴィータの制止の声は間に合わなかった。

 この後、本当にただ食事に誘われただけで特に何事も無く連絡先を交換しただけで終わった、という事をはやてが理解するまで、ヴィータは半日もの間涙ながらに暴れ回るはやてを宥め続ける羽目になる。

 尚相手側は割りと乗り気だった事が判明し、更なる一波乱が待っているのだが、それはまた別の話。

 

 

『八神家の団欒 完』

 

 

 

「じゃあな、後は上手く合わせてくれや」

「ああ。バスク大佐に伝えてくれ。『勝利の栄光を貴方に』と」

「キレるのが目に見えてらぁな」

 

 そうゲラゲラと笑いながら、制服にまるで合わないヘルメットを被った男は去っていった。あの姿でこの場所に来たと言う事は、我々が通じていると相手に悟らせる必要があるのだろう。相変わらず悪意に対しては非常に気の回る男だ。惜しむらくは服のセンスが壊滅的な事か。あれで身奇麗にしていれば誤解されることもないだろうに。

 

「あれはあれで良いのさ。姿形で相手を見くびるような奴は、彼にとっては鴨なんだから」

「そうは言うがな、アムロ」

 

 ソファに座ってコーヒーを啜っていたアムロ・レイ少尉は、ジャギが持ってきた資料を分別しながらそう言った。一応彼はシャアの副官になるのだが、彼らの間に上下関係は存在しない。

 防衛機構という組織は、その発足の仕方から分かるように非常に歪な組織だ。必要だから役職を振り、必要だから戦力を整え、必要だからエリアを統治する。全てがその場しのぎで整えられた状況。階級もどれだけ人を率いる事に慣れているかの目安でしかない。だから、シャアとバスクは同じ階級であるのにまるで権限が違うのだ。自身がMS部隊に限定されているのに対し、彼は行政にまで口出しをする権限を得ている。

 これでも発足当初より大分マシになったのだから笑いが止まらない。内戦が終結し、野比がエリア代表になった時は過労で死ぬかと思うほどに組織の改変で働かされたが、今になってあれは本当に必要な事だったのだと実感する事になった。部隊ごとに将軍がいるような不思議な状態は、やはり可笑しかったのだ。

 

「へぇ。面白い人間の名前が結構あるぜ」

「ほう、誰だ」

「ハルバートン提督とかかな」

 

 にやり、と笑うアムロにシャアはため息を吐いてコーヒーを呷る。アズラエルとの不仲は知っていたし、彼らの原作を見た後は彼の危険性を重々シャアたちも認識している。しかし、これは。流石に軽挙としか言えない。シャアも名前の書かれたリストを見るが、誰も彼も現状の体制に不満があるような様子を見せない外面を持った人間ばかりだった。成る程、バスクが自分を囮にしたのも頷ける。こいつらを一気に引っ張れるチャンスはそうそう無いだろう。

 

「ふふっ、面白くなってきたぜ」

「おいおい、今は静かに機会を待ってくれよ」

「ちぇっ、分かってるよ。ぼくだってもう何も分からなかった小僧じゃないんだ」

「どうだか」

 

 シャアの知るアムロ・レイという少年は敵を見つけるやいきなり出撃して相手を縦横無尽に叩きのめし、ついでとばかりに戦艦を落としていく鬼神のような存在だ。ここ1、2年の間に色々な経験や出会い、別れを積んで大分男を磨いているが、その根底にある血の気の多さは少しも衰えていない。何せ、自分の嫌いな指揮官の画像がPCの画面に出てきたら殴って画面を破損させてしまうような奴なのだから。

 

「今回の戦いは静かな戦いだ。いつものようにただお前がガンダムで出て相手を叩きのめせば済む話じゃない……抑えてくれ」

「わかってるよ。ブライトにも話は通しておく」

「ああ。アルテイシアにもよろしくな」

 

 連邦軍最強のニュータイプ、白い悪魔と呼ばれた少年はシャアの言葉に上機嫌そうに頷くと、コーヒーカップをテーブルの上に置いて部屋から出て行った。兄としては、いい加減アルテイシアとフラウ君、両方の間で揺れるのはやめてほしいものだがな。

 

「……そう言えば近々ツキエリアにいく予定があったな。うぅむ、この状況で私がチキュウを離れるのは難しい、か」

 

 断腸の思いであるが、彼女には少し動けないと連絡を入れておこう。

 この連絡がまさか彼女の首を絞める事になるとは露知らず、シャアは通信機を手に取った。

 

 

『白赤コンビの話』




甲賀弦之介:出展・バジリスク 〜甲賀忍法帖〜
 新しい世界の扉を開いたカセイエリア防衛機構所属のエリート()忍者の長。敵意を持って攻撃する相手に敵意を跳ね返し自害させるという目が見える相手には割りと無双できる瞳術を持っているが今回は暴走した形になる。

薬師寺天膳:出展・バジリスク 〜甲賀忍法帖〜
 天膳殿がまた死んでおられるぞ! 
 今回は本当にひたすらとばっちりだった人。瞳術に反応してしまったのは様子の可笑しい弦之介を押さえる為に動こうとした所、心の隅でまだ残っていた害意が反応してしまった為。

筑摩小四郎:出展・バジリスク 〜甲賀忍法帖〜
 新しい世界の扉を開いたカセイエリア防衛機構所属のエリート()忍者の1人。1年付き合っている恋人が居るが未だ童貞。

地虫十兵衛:出展・バジリスク 〜甲賀忍法帖〜
 四肢が無い異形の忍者。普段は籠を使って移動しているが、腹の蛇腹のようなものを利用し素早く移動する事も可能。舌も自在に動かし鞭の様に扱う事もできる。
戦闘面だけではなく占い等も得意で、その思慮深い性格と様々な知識を持っている事から知恵袋として活躍している。

室賀豹馬:出展・バジリスク 〜甲賀忍法帖〜
 盲目の忍者。弦之介の叔父で彼の瞳術の師でもある。夜の間だけ弦之介と同じ瞳術を扱う事もできるのだが、今後その設定に出番があるかは不明。

八神はやて:出展・魔法少女リリカルなのはシリーズ
 おかしい。こんな事は許されてはならない。

シグナム:出展・魔法少女リリカルなのはシリーズ
 八神はやての騎士、ヴォルケンリッターのリーダー。普段は彼女の指揮下の部隊で隊長を務めている。

ヴィータ:出展・魔法少女リリカルなのはシリーズ
 八神はやての騎士、ヴォルケンリッターの1人。エターナルロリ。普段はシグナムを補佐して副隊長の任についている。その一切変わらない容姿に惹かれたのかはわからないがとある3倍の人に食事に誘われた事がある。

シャマル:出展・魔法少女リリカルなのはシリーズ
 八神はやての騎士、ヴォルケンリッターの1人。街コンに参加しては? と言われたのが地味にショックだったらしい。

ザフィーラ:出展・魔法少女リリカルなのはシリーズ
 八神はやての騎士、ヴォルケンリッターの1人。ペット枠。

ジャギ様:出展・北斗の拳
 俺の名を言ってみろ。ケンシロウ? あのニートと一緒にするんじゃねぇ!

シャア・アズナブル:出展・機動戦士ガンダム
 チキュウエリアのMS部隊を総括している人物。実はアムロが自身の知っているアムロじゃない事に気づいていない。

アムロ・レイ:出展・機動戦士ガンダム(冒険王)
 機動戦士ガンダムをマジンガーZのノリでやった作品の主人公。「ええい、このスイッチだ!」でパンチが飛び出し「ガンダム、ゴー!!」と叫ぶと鉄腕アトムのように空を飛べる便利仕様のすさまじい内容だが、一番の違いはアムロ・レイの性格がGガンのキャラにでも出てきそうなくらいの熱血漢になっている所だろう。
 シャアと決着をつけてめぐりあい宇宙をした後にホワイトベースクルーと合流しようとして1人だけ統合に巻き込まれ、性格の豹変に周りから酸素欠乏症だと思われている。統合に巻き込まれた際、周囲の連邦軍やジオン軍ごと統合世界の地表にめり込んでいたのでそれ所の混乱じゃなかったのも原因。


因みに本来日曜日に上がるはずだったこの作品が遅れたのはサンライズ・ロボット漫画コレクションvol.1が中々届かなかったから。お恥ずかしい事に修正された大都コミックス版しか持ってなかったんですよね。本当に恥ずかしい。テレビ画面をぶち破る所を見ないでこの話は書けないと思ってました。
遅くなって申し訳ありません。修正とかは夜に纏めてやります。

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