ブラック・ジャックをよろしく   作:ぱちぱち

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さらっと作るはずが凄い時間かかってしまった。非情に難産でした。
道中の話のため起承転結は無く、こんな事があったんだなぁ、位の話です。

この頃は彼も友人の兄位の立ち位置だったので、彼の視点ではBJという呼び名で統一されています。
また、最後の没ネタは掲示板の時のノリを最大限使ったので捨て難かったんですがその後の展開がこじれそうなのでやむなく封印。

活動報告のほうに入れなおしました。作品の中に入れるこっちゃなかったですね。申し訳ない!


誤字修正。亜蘭作務村様、名無しの通りすがり様、五武蓮様、不死蓬莱様、torin様、蓬月 瞠様、名無しの通りすがり様ありがとうございます!
後、手弱女をちょっと違うんじゃないかと声があったんですがら少し古いセンスの言葉としてこのままにしてあります。ご了承下さい


カセイへの道中

『背を撃たれここで朽ちるもまた我が道。後悔などはない……』

『兄者、何故!』

『これは我が不覚のツケよ……臓腑をえぐられたか』

 

 トキを庇う様に両の腕を広げ、血反吐を吐きながらラオウは吠えた。

 

『生きよトキ! 生きて、生きて生き抜いて……この混沌とした世に北斗の名を刻むのだ! 達者で暮らせ、弟よ――』

 

 

 

「……チキュウが、あんなにも遠く」

 

 眼下の景色を眺めながら無意識に紡がれたトキの言葉に返事は無い。この場にはトキとBJしか居らず、BJは何も言わずにただ過ぎ去っていく景色をその瞳に映しているだけだった。旅慣れている彼にとって、このような別離は珍しくは無いのだろう。

 

 彼はトキにとってなんとも形容のしがたい人物だった。まず間違いないことは命の恩人である事。自身が一度は諦めていた命を永らえる事が出来たのは彼のおかげであるし、先ほどまで見送ってくれた義弟にとっては最愛の妻の命の恩人だ。末弟は彼のあり方に情を持つという事の辛さと厳しさを教わった。まだまだ未熟な男であるがすでに拳士としての自身を超えた末弟であればジャギと協力して北斗の名を守ってくれるだろう。後に憂いは、ない。

 

「先生」

「……何か?」

「いえ。何か、お飲みになりますか?」

 

 つい声をかけてしまい、何と言えば良いのかが不意に言葉に出来ずトキはそう尋ねた。ああ、と考える素振りを見せた先生は少し考えた後コーヒーをと言ったが、流石にコーヒーメーカーは備え付けられていないようだ。少し部屋を確認し冷蔵庫を見つけた為、中に入っていた黄色い缶のコーヒーをテーブルに置く。BJは缶コーヒーに少し驚いたような様子を見せ、そして苦笑してそれを受け取った。トキは同じ冷蔵庫に入っていたお茶の缶を取り出し、ピンっと指で弾いて蓋を飛ばす。おお、と感嘆の声を上げるBJにトキは少し恥ずかしそうに笑った。

 

「北斗の寺院には缶切りが無かったもので、鉄製の缶だとつい」

「なるほど。地域によって違いがあるのかもしれん」

 

 トキの言葉に思わずBJがクスリと笑って自身はプルタブを使って缶を開ける。そのままゴクリと一口飲み、テーブルの上に缶コーヒーを置く。

 

「それで、何を尋ねたいんだ?」

「……お分かりになりますか」

「そりゃあそれだけ何か言いたそうな顔をされればね。レオリオも雁夜も暫くは戻らんでしょう」

 

 そう言ってBJは足を組み、頬杖をついてこちらに目を向ける。真剣に聞くという態度ではない。あくまでも世間話で、という無言のメッセージにトキは頷く事で返事を返し、そして手を組んで少し考え込む。

 さて、どう切り出したらいいだろうか。どういう形でも答えは返ってくるだろうが、こちらを気遣ってくれた向こうの意図を無下にしたくは無い。しかし、余り的から外れた質問を投げかけてもそれはそれで失礼になってしまうだろう。数例ほど頭に思い浮かべた後、トキは単純に最も大きな疑問から尋ねる事に決めた。

 

「そうですね……何故、貴方は私について来てくれたのですか」

「一秒でも早くチキュウから離れる為ですね」

「……あ、はい」

 

 余りにも余りな物言いに、トキはそう返す事しかできなかった。むしろなぜそんな事を聞くのか、というもの問いたげな様子にもしかしたら自分がおかしいのだろうかと考え直し、トキは義弟から聞いていた彼の人となり……率直な物言いを好み、情に厚い性格をまず計算に入れ、自身が治療された時に感じた医師としての使命感に燃える人格をベースにして再度先ほどの質問の答えについて考える。

 何度考えてもただチキュウエリアが嫌だから離れたと言う答えに行き着き、トキは質問を重ねる事に決めた。

 

「その、何か、嫌な事でも」

「そうですね……まず、チキュウエリアに降りて数日で核戦争が勃発して焼け野原に放り出され、たまたま見つけた少女を暴行犯から助け出したら少女の恋人に暴行犯と間違えられて殺されかけ、何とか誤解を解いて一息つけるかと思ったら、また何故か自ら王とか名乗る巨漢に見込まれたのか何なのかひたすら追い回される生活に陥りまして、そこから一先ず逃げ出せたと思ったら」

「大変ご迷惑をお掛けしました」

「まだ最初の一月も終わっていませんが」

「いえ、そこで勘弁してください」

 

 その先を聞くことが怖くなり、トキは彼の言葉を遮った。自身と出会う前の出来事は軽くジャギから聞かされていたが、改めて本人から実感の篭った口調で話されると申し訳なさが先に立ちまともに話を聞くことが出来なくなってしまう。この後にはまだ末弟との合流の話もあるのだ。そこまで聞いた時、自分が平静を保てているかの自信がトキには無かった。

 

 少なくとも、今の口調を聞く限り彼がチキュウエリアから離れたいと思うのも致し方ないことだろう。自身が合流した後も苦難の連続であり、その合間合間に彼は様々な場面でそのメスを光らせてきた。そのメスの輝きに目が眩んだ俗物達が更に騒ぎ立てて、彼の居場所を奪っているのだ。あの地は、彼にとって生き辛い場所なのだろう。

 

「俺の移動に関しては完全に俺の都合です。トキ先生が気に病む事ではありませんよ」

「……クロオ先生」

「いや、こいつは少し自惚れが過ぎましたかな? もし別の意味で質問をされていたならお恥ずかしい限りですが」

 

 そう言ってニヤリと笑うBJに、図星をつかれた気恥ずかしさをトキは苦笑で隠す事しか出来なかった。

 

 

 プシュン、と音を立ててドアが開く。トキとBJがそちらに目を向けると、先ほど部屋を出た間桐雁夜の姿があった。旧知の艦のクルーに挨拶に行って来ると出て行ったにしては早い戻りだ。その表情は硬く、何事かがあったという事を如実に表している。共に出かけたレオリオの姿は無い。

 

「間桐さん、どうなされました」

「慌しくて申し訳ありません。クロオ先生、そしてトキ先生、急いで来て頂きたい」

「雁夜。何だ今度は。俺は何が来てももう驚かんぞ」

 

 間桐雁夜の硬い表情にトキは訝しげに声をかけるが、その問いに雁夜は一言謝罪を入れると二人に付いて来いと言った。諦めたようなBJの言葉に雁夜は言い辛そうに一度視線を宙に向け、意を決したように口を開く。

 

「カセイエリアが敵性存在から大規模な侵略を受けているそうです。この艦は緊急事態として通常任務から離脱。最大速度でカセイに向かう事になりました」

「……今度は到着すらしてないな」

「最短記録おめでとうございます。今度お祓いを受けると良いんじゃないですか? 今丁度そちらに強そうな方が来ているから、相談してみるのも手かもしれませんよ」

 

 嘆くように手で目を覆うBJに開き直ったのかにこやかに笑いかけて間桐雁夜は、促すように手でドアの外を示す。

 

「……誰が来ている」

「八雲紫」

「あの巫女に肉体言語以外の技能があるのか?」

 

 苦々しい表情を浮かべてわき腹をさするBJの表情に、何事か問題のある人物なのだろうとトキは考えた。その表情を見た雁夜は、ああ。と一言呟き、「歩きながら話そう」と言ってドアの外に消えた。追いかけるように立ち上がったBJと共にトキはドアを開けて外へ出る。

 

 艦内は先ほどこの部屋に通された時と大きな変化はないように思えた。先を歩いていた雁夜はこちらが追いかけてきたのを確認し、そのまま歩き始めた。その歩みにトキが急ぎ足で追いつくと、雁夜は話を始めた。

 

「八雲紫というのはチキュウエリアではなく、別の地域にあるゲンソウエリアという場所の代表者です。別名スキマ妖怪。別の場所に瞬時に移動できる能力を持っているみたいですが詳しい事は誰にも分かりません」

「妖怪、なのですか?」

「ええ。彼女は人間ではありません。見目麗しい女性の姿をしていますが、接するときは気をつけてください。人とは比べ物にならない力を持った存在です。そして非常に胡散臭い」

 

 最後の文字を付け加える時、間桐雁夜の姿が割れ目のような何かに飲まれて消えた。咄嗟に反応できなかったトキは自身が何かに飲まれ掛けている事に気付き、身を翻そうとするもその肩をBJが掴む。先生、と声を上げようとしたトキにBJは首を横に振る。そのまま割れ目に飲まれたと思った彼らは不可思議な空間に身を落としていた。周囲全てから見られていると言えばいいのか。視線を感じキョロキョロと周囲を見回すトキに、BJが声をかける。

 

「これがスキマですよ、トキ先生」

「これが、先ほどの」

「そら、出口です。放り出されますから気をつけて」

 

 言われて自分たちが何かに向かって進んでいる事に気付いたトキは、先に見える割れ目を見る。光に包まれたその割れ目にまっすぐトキとBJは飛び込み、急に視界が開けた先には間桐雁夜と、彼をにこにこと笑いながら詰問する女性。そしてレオリオに、この艦の艦長と言われていた人物の姿があった。

 

「こんなか弱い手弱女を捕まえて胡散臭いなんて……酷い言い草ですわね」

「美しい女性だとは思いますがね。貴方の雰囲気はそれ以外に形容する言葉がありませんよ、八雲代表。なぁ、レオリオ君」

「雁夜さん、その度胸は本当に凄いと思いますが俺を巻き込まないで下さい」

 

 BJを支えながら地面に降り立つと、彼らの視線はこちらに集まる。ありがとう、とBJは礼を言って彼の肩から手を離した。美しい女性だった。年の頃は20……30にはいっていないように思える。もしかしたら同年代なのではないかとすら思えるほどの若さを持った、端正な顔立ちをしている。服装は洋服なのだろうか。飾りの多い可愛らしい衣装だった。

 彼女は愛用のものなのか、扇子を取り出して口元を隠しながら話し始める。

 

「あら先生。お久しぶりですわね?」

「お久しぶりです、八雲代表。チキュウエリアに飛ばして貰って以来ですな」

 

 にこやかな様子を崩さない八雲と呼ばれた女に、BJは常と変わらない表情で接する。彼女の周囲に居る他の面々が硬い表情でいる中、にこやかに話す二人の様子はそこだけ別の空間に居るかのように流れる空気が違っている。雁夜やレオリオ、艦長からは確かに感じる怒りや恐怖といった悪感情がBJからは感じられない。先ほど、脇腹をさすっていた時の表情は何だったのだろうか。

 

「八雲代表。こちらはトキ先生という方です。優秀な医術の持ち主でもあります」

「あら、初めまして。八雲紫と申します。間先生がそう仰られると言う事はとても優秀な方なのですね」

「……トキと申します」

 

 隣に立つ自分を紹介するBJの言葉にようやくこちらに気付いた、とばかりに八雲紫は扇子を閉じてトキを見る。こちらを見定めようとしているのが視線から感じられる。成る程、確かに見た目どおりの人物ではないらしい。視線に対してまっすぐ見つめる事で返すと、口元をにまぁ、と開いて嬉しそうに彼女は笑った。

 

「結構なことですわ。先生も優秀な護衛を見つけられたのですね……レオリオ君だけだと少し心配だったけれど、これなら大丈夫かしら?」

「……カセイの状況はそれほど悪いので?」

「タイミングが悪いのでしょうねぇ。ほら、あのチキュウエリアから流れてきていたアレ。アレが丁度行動を起こしたタイミングで変な物がちょっかいを出してきたみたいで」

 

 BJの問いに嘆くように八雲紫は首を振りながら応える。その中のチキュウから流れてきた、という単語にトキの体が一瞬強張りを見せ、そんな彼の様子に八雲紫はキョトンとした目で見ると、すぐに面白そうな物を見つけたとばかりに幼子のような微笑を浮かべて口を開こうとした。

 だが、トキを庇うように前に出たBJの姿に意外なモノを見るような表情に変わり、手に持った扇子で彼女は自身の口元を隠した。

 

「随分と過保護だこと」

「八雲代表。余り若者をイジメるような真似は止して頂きたい」

「まぁ。イジメるだなんて……ただ私は彼の知りたがっていそうな(・・・・)事を教えてあげようとしただけですわ」

 

 そう口にした後、八雲紫は彼女の背後に現れた不気味な目が浮かぶ空間に腰掛ける。その光景に思わず身構えそうになったトキをBJが手で制す。振り返ったBJは一度だけトキを振り返って首を横に振る。聞かないほうが良い。何も言わないが彼からのメッセージを受け取り、トキはただ頷くしかなかった。

 二人のやり取りを眺めて、八雲紫は一息ため息を漏らすと扇子を閉じる。戯れは終わったとばかりに彼女は本題を切り出した。

 

「今からこの艦はカセイに直行します。私手ずから移動を行わせていただきますわ。先生、貴方は形はどうあれ部外者。ここで降りる事も出来ますけれど」

「魅力的な案だが辞退させて頂こう。降りた先が地獄ではない保証もないしな……それにまだチキュウが近過ぎる」

 

 最後だけやけに情感が籠もったBJの言葉にぱちぱちと目を瞬かせ八雲紫が周囲を見回すが、誰一人その視線に答えようとする者は居なかった。

 居たたまれなくなったトキがごほん、と咳払いをする。

 

「随分と面白い事になっているみたいねぇ。モモちゃんと遊んでないでこちらも見ておくべきだったかしら」

「勘弁して下さい。超越者の玩具になるのもされるのももう沢山だ」

「あら、男を弄ぶのは良い女の特権ですわ」

「……弄ぶ、ねぇ」

 

 雁夜が何か言いたそうに口を開く。しかし、彼が次の言葉を吐く前にスキマが彼の背後に現れ、雁夜は諦めたような表情を浮かべてスキマの中に消えた。

 

「……八雲代表。雁夜と遊ぶのも程々にして頂きたい」

「ほ、ほほほ。少しお灸をすえてお返ししますわ。では、また後ほど」

 

 ため息混じりのBJの言葉に頬をひくつかせながら、八雲紫は腰掛けていたスキマの中に身を沈め消えていった。そして彼女の姿が消えると共にそこに開かれていたスキマが閉じられ、まるで誰も居なかったかのように場は静寂を取り戻した。BJは気が抜けた様子の艦長に目を向ける。

 

「艦長、早めに準備をした方が良い。彼女の事だ、戦場のど真ん中に放り出されていてもおかしくはない」

「う、む。さようですな。少しあてられていたようだ。みっともない所をお見せしました。それでは先生、申し訳ありませんが」

「私とトキ先生はこのまま医務室に詰めさせて頂きます。運賃分の働きは約束しましょう」

 

 慣れを感じさせるBJの言葉に艦長はペコリと頭を下げ、部屋を後にした。これから指揮所へと戻るのだろう。

 

「レオリオ、医務室の場所はわかるか?」

「この艦の構造は頭に入ってます。こちらへ!」

「頼む。トキ先生、行きましょう」

「はい」

 

 レオリオの先導に従い歩き始めると、廊下に出た辺りで艦内放送が流れ始めた。非戦闘員の避難勧告が繰り返し流され、バタバタと周囲が騒がしくなる。中に入った時は気付かなかったが、随分と若い乗員が多く感じる。自身と同年代か、それ以下の者もいるようだ。

 彼らの移動の邪魔にならないよう道を開けたり、或いは譲ってもらったりとするうちに彼らは医務室だろう十字のマークを名札の下にぶら下げた部屋にたどり着く。室内に入ると、数名の医師や看護師らしき人物たちが居り、彼らはBJの姿を認めるとすぐに席を立ち頭を下げた。その姿にBJはぺこり、と頭を下げると、この部屋の長だろう医師に歩み寄り、何事かを話し始める。

 話が付いたのか、BJは数名の医師に声掛けをして部屋の間取りを弄り始めた。この状態では急患の数に恐らくパンクするとの事で、近隣の区画を今のうちにあけて緊急時に野戦病院代わりに運用するとの事だ。この艦内で緊急時? と頭に疑問符が浮かぶが、間違いなく必要になるとゴリ押ししたらしい。

 

「クロオ先生」

「はい?」

「随分と、その。手慣れているのですね」

「……まぁ、片手で足りない位には経験を積んでいるものでして」

 

 トキの問いに、苦笑を浮かべながらBJはそう答えた。

 

「俺は、軍属では無いんですがねぇ。まぁ、安心してくださいトキ先生。2日過ぎれば貴方なら体が慣れますよ。ああ、今のうちにたっぷり食べておくことをお勧めします。どこで食べても上手い料理の備蓄もありますしね」

 

 不吉な言葉を笑顔で語りながら、BJはトキの肩をぽん、と叩いた。

 

 

 

 この時のBJの言葉は現実の物となる。完全な消耗戦となったBETAとの戦いは、BETAの侵入口にされた東端から近い各地のセカイが丸ごと滅ぼされる騒動になり、崩壊した戦線の穴埋めと救助に借り出された彼らはほぼ1週間を休む暇無く転戦する羽目になる。その間、BJの指揮の元各地の軍属、難民問わず人員を治療し続けた彼ら医師隊はほぼ不眠不休で戦い続ける事になり、栄養ドリンクと北斗の秘術とボンカレーが彼らの心の拠り所となるのにさして時間は掛からなかった。

 

そして、この転戦はある出会いを彼らにもたらす事になる。

 

 

「あら」

 

 海の上にぽつんと浮かぶ小さな島。父の流刑地である不承島の海辺で、1人の少女が空を見上げていた。

 

「お空を飛ぶ、船? 父さんなら何か、知っているかしら」

 

 背を向け島の中へと消えていく彼女はこの時思いもしなかった。

 この数時間後、自分の人生を真逆に狂わせるような、劇的で唐突な出会いがあると言う事を。




間黒夫:主人公
 まだバリバリトラウマが残ってる頃。ここから一年かけてチキュウ怖い病を癒やす事になる。描写にないが鉄華団は先にカセイに向かっている。八雲紫の名前に反応したのは彼女のエリアにいるとある巫女さんに肋骨をへし折り内臓まで抉るレバーブローを貰った事があるため。彼女本人には特に思うところは無い。
 この話だと終始落ち着いた話し方だが、これはコーヒーを頼んだらマッ缶が出てきたことに感性の違いを感じ、トキとどう喋って良いのか分からずとりあえず無難にこなそうと思っていたため。マッ缶が分からない人はマックスコーヒーという名前を調べてみて欲しい。恐らく日本の缶コーヒーで一番甘いコーヒーのような何かが出てくる。
 トキを庇ったように見えたあたりは悪い大人に好青年が弄ばれそうなのを見ていられなかったのと、そのまま会話が進むと雁夜とゆかりんが互いに傷を抉りあって面倒くさそうになりそうだった為。
 最初の魔神との戦い以外軍属だった事はないはずだが何故かこういう事態に対して経験豊富らしい。


トキ:出展・北斗の拳(原作)
 まだ後書きの魔力に囚われる前のトキ先生。彼のフィーバータイムはカセイ移動後。カセイへの移動は実は彼の仇討ちの為で、勿論クロオ自身にはまた別の理由が会ったが移動のタイミングと行き先が決まったのは彼に合わせたから。場合によってはモクセイに行っていたかもしれない。
 この頃はまだ人外と殆ど接した事が無い為話中かなり縮こまっていたが、以後彼の強者ボーダーは八雲紫に設定されてしまうので大抵の相手に飲まれる事は無くなった。そしてこのBETA戦を乗り越え、兄の仇を討った時後書きの魔力が彼を変質させる事になる。

間桐雁夜:出展・Fate/Zero
 この頃まではクロオの旅路に同行していた。自身のフラグを乗り越えた後から急に怪談やら妖怪やらに好かれている男。
 ゆかりんにやたらと突っかかっているのは初めて遭遇した時、鬼の酒を飲まされてグデングデンになっていた雁夜が誤ってゆかりんに「おかあさん」と言ってしまい情状酌量抜きで半殺しにされ、気恥ずかしいのと恐怖感の混じった複雑な感情を抱いている為。
 この後藍に救出されるまでスキマを漂う事になるが、慣れているらしく至って健康だったらしい。

レオリオ=パラディナイト:出展・HUNTER×HUNTER
 今回は完全に居るだけの男。

艦長:出展・マクロスシリーズ
 ちょい役として登場。何グローバル艦長なのかはまた後日別の話で。

八雲紫:出展・東方シリーズ
 ゲンソウエリアの代表、というよりはそこに所属する幻想郷の代表兼管理人。雁夜の一件以降掲示板等から新しい知識を(主に骨とカエルから)得ては使ってみて感性の若さをアピールするようになり藍と橙を困惑させている。
 ちなみにこの後は他のエリアを回って戦力の運び屋のような事を(藍が)行い、久方ぶりにたっぷり(藍が)働いて良く眠れると布団に入った所で宇宙怪獣がエントリー。彼女について行ってもクロオは結局地獄絵図の中に飛び込む事になっていた。

とっても可愛いとある島の女の子:出展・不明
 不承島という小さな島で父と弟との3名で暮らしている。何者なのかはまた別の話で明らかになるであろう。



没ネタ

「今からこの艦はカセイに直行します。移動は私手ずから行わせていただきますわ。伏羲様に直接お願いされちゃったもんねー」
「……成る程」

 キャピっと両手で頬を包むようにポーズを決める八雲紫の言葉にBJはただ一言そう返した。すぐに真顔に変わった八雲紫は助けを求めるように周囲に視線を向けるも雁夜もレオリオも艦長もそっと目を逸らすだけに留まる。余りにも哀れなその様子に見ていられなかったトキはつい口を開いてしまった。

「ず、随分とハイカラな言葉遣いですね。八雲代表はそういった文化にも詳しいので?」
「そ、そうですわね。決して嫌いではありませんわ。最近はモモちゃんみたいに随分若い子とも親しくお喋りしているし、決して、決して時代に乗り遅れてるわけではないのよ?」
「うわキツ」

 雁夜が言葉を言い切る前に彼の姿はスキマの中に消えていった。あ、と声を出す間もないその一連の動きに周りの人間が固まる中、BJはため息を一つつく。

「八雲代表。トキ先生は80年代の知識はお持ちですが修行漬けで余り世俗に詳しくはありません。そう言った話し方では混乱してしまいますよ」
「しゅみましぇん」

 消え入りそうな声で八雲紫はそう答えた。

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