順番はどちらでもよかったのですが、バラバラに更新されるのだと言うシステムを分かり易くお伝えしたかったのです。
尚、作者の事を知らない人たちには意味不明な事ばかりで申し訳ございません。
ニッチ好みな作風なため内輪以外の方と初対面なのが慣れていないものでして・・・(恥)
それとですが、1話目とは世界観を共有するだけで別作品です。お間違えの無いように。
宇宙世紀0079年に地球連邦とジオン公国との間でおこなわれた全人類規模での戦いは、戦争が終わった後も大きな禍根を残していた。
『勝利のために必要だった出費による経済危機』である。
・・・特に莫大な額の軍事費供出を求められた各種地球企業は戦後、軍からの受注を『宇宙に本社を置く』アナハイム・エレクトロニクスに握られたことに深刻な不満を覚えており、期待していた見返りもほとんどなかったことも手伝い急速に反連邦組織に対する協力の度合いを高めていった。
皮肉なことに連邦が経済復興と戦争の再開を防ぐためにおこなっていた『スペースコロニー再生計画』を始めとする各種復興事業が、地上のジオン残党に武器物資その他を供与する地上企業の誕生を促していたのである。
連邦は、これらの不満に対して軍縮を決定し大規模なリストラを敢行する。
人件費削減という名目のもと、総力戦のゴタゴタで民間企業から半ば強制的に徴用した技術者たちを民間に復帰させることを主眼に据えた政策だったのだが、これもまた裏目に出てしまう。
復員しようにも、彼らの働いていた会社は戦争の中で多くが破産し、生き残っていた企業は戦時期の窮乏を少ない人材をフル活用することで補ってきたため今更連邦で『いい飯を食っていた特権階級』に戻ってくる場所など残しておく余裕は存在しなかったのである。
さらには彼らの多くが家族を養うために綱紀の緩んだ地上へ降りてきていた、戦争で職場と家とを同時に失った出稼ぎ不法居住者たちだったことも大きく影響していただろう。
彼らに取ってみれば給料をくれる相手と、使っている偽の身分証明書の出生地の欄に『宇宙』と『地上』とが書き変わるだけであり、家族を養う金に連邦ジオンの違いはなかったのだから鞍替えすることに精神的抵抗は皆無ではなくても許容できる範囲だったのだ。
斯くして現在、宇宙世紀0081の地上は、地球企業からの援助を受けて力を取り戻し始めたジオン残党を相手に軍縮で人材が不足気味な連邦が局所的に戦力不足に陥り、ゲリラ掃討を主眼に据えた少数精鋭の特殊遊撃隊を多数組織して数の不利を補いながら戦いを進めるという逆転現象が生じてしまう悲惨で滑稽な結果を招いていた。
さらに滑稽で悲劇的なのは、連邦は『ファントム・スイープ隊』を始めとする各種遊撃隊の活躍で大きな犠牲を払いながらも苦労の末、大規模な残党組織を壊滅させることには成功したのだが。
これは地上では補充の利きづらいジオン純正品が必要なガウ等の大型機材を扱う部隊を壊滅したに過ぎず、ザクなどの戦時中に大量生産された兵器を主力にせざるを得ない弱小残党組織は地球製の部品で事足りるため、地球企業からの支援として受け取った物資および元連邦のリストラ兵兼不法居住者によって数の上では回復し、数年の後には熟練兵として再び連邦の脅威として立ちはだかる結果を招いてしまうだけだったと言う事実であろう。
・・・敗れたジオン側に人材を選り好みしている余裕は無く、勝利した連邦側には国内での治安維持活動で得られる戦利品に自分たちを養う金が含まれているはずがなかったから・・・。
こうして連邦は戦いに勝利する都度、勝利のために必要となった経費が敵に力を与えて、生き残りを復活させる矛盾を発生させ続けてしまい、『ジオン残党軍の生き残り敗残軍』と戦い続ける負の連鎖に気付かぬまま自らを縛り付けてしまっていたのだった。
この事実に気付いている者は少数ながら存在していたが、そのほとんどは連邦からもジオン残党からも煙たがられ、中枢から遠ざけられた。
『自分たちがしていることに何の意味も無い』等という事実に心楽しくなれる人間は存在せず、その苦みと痛みから目を逸らさずに戦争を続けられる者は彼ら以上に極少数人数しか実在しているはずもなく。・・・・・・やがて誰もが口を噤むようになっていく。
このような情勢の中、宇宙世紀0083。
オーストラリア大陸に残存していたジオン残党軍全部隊に宇宙からの檄文が届けられた。
「ジオンの戦士たちに告ぐ。時は来た。生きてこそ得ることの出来る栄光を掴むため『星の屑』に協力せよ」
純粋なジオン人はこれを読み、歓喜の涙を流す。
偽りのジオン国籍人もまた、これを読んで涙する。
・・・これでまた子供たちに飢えを凌がせてやれる。危険手当と特別手当は安くない・・・。
安堵のあまり涙する者と、興奮のため涙する者。
見ているものは違ったが、同じ目的のため奮励し努力し喜びを分かち合おうとする者達は『仲間』であり『同士』だった。
普段は感情的な疑惑の目を向けてくる生粋なジオニストまで加わって遅くまで先勝パーティーを賑やかに執り行う小規模なジオン残党組織が活発化する中。
『星の屑作戦』第一段階、トリントン基地襲撃が実行に移された。
その時のメンバーに、後方撹乱要員として『コルベット隊』の名がある。
『ミデアハンター』と讃えられる敵の補給攻撃の専門家部隊の来援を残党軍一同は歓迎し、星の屑立案者エギーユ・デラーズ中将も彼らの隊長宛てに直々の感謝状と激励文が届けられていたのだが、彼らは知らない。
コルベット隊の隊長であり責任者であるカール・ロベルト・アイゼナッハ大佐が、作戦に先立ち『星の屑』について、こう述べていたと言う事実を――――。
「やれやれ、迷惑なことだ。
ロマンチストの無理心中に付き合わされる、こちらの身にもなって欲しいものだなぁー」
つづく