ガンダム二次作   作:ひきがやもとまち

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*2:今話は原作でヒイロが宇宙へ戻る手段としてロケットを奪取するため基地を一人で占拠してしまったシーンを見て違和感を覚えたことから生まれています。
 また、現時点でゼクスたちは写真を見て被害報告を聞いただけですのでガンダムたちが歩兵を保有しているかどうか知る由がありません。
 その前提で書いていますので、ご注意ください。説明遅れてすみませんでした。


ガンダムW戦記~クロスボーン・バンガードの旗のもとに~3章

「海中捜索隊はまだなのか?」

 

 オットー特尉が隣に座るブルーノ特士に尋ねかけていた。

 

「後二時間で到着すると言っています」

「何をのんびりとやっているんだ!」

 

 オットーの苛立たしい声を聞きながら、トレーズとの通信を終えてプリントアウトして送られてきたモノを眺めていたゼクスは苦笑いを浮かべる。

 OZという組織よりもゼクス個人への忠誠心が強いオットーは、尊敬し信服している上官が落とせなかった初めての敵を前に気が急いているのだということを気づけるほどにはゼクスも上に立つ者として尊大にはなれない人物だったが、常は沈着な部下が珍しく気を荒げているのを察せられないほどに無能でもない。なだめてやる必要を感じて声をかけた。

 

「そう慌てるな。あれはどこにも逃げはせんさ。それに、ここの海溝は深い。海軍の空母も捜索にはかなりの時間がかかるはずだ。

 ――それより、面白いものを見せてやろう」

 

 そう言って先ほどまで自分が見ていた写真を示してやると、二人はそろって声を失った。

 そこに映っていたのは、巡洋艦の甲板に立つ白いモビルスーツの姿であった。どうやらブリッジを攻撃しているらしく、炎と爆炎が辺りを包んでいる。

 だが、それだけではない。そのモビルスーツはゼクス本人が八時間ほど前に戦ったものとよく似ていた。

 ディテールや武装には固有の物とおぼしき特徴がいくつも見られるが、全体的なイメージとして、その造りは基となった機体が同一の物であることを匂わせる類似点がかなり多い。

 

「これは・・・」

「OZの偵察機が揚子江付近で撮影したものらしいな。どうだ? 我々が戦ったあの機種と似ているだろう?」

「では、あの機種が二機も?」

「いや、それだけではないらしい。OZが掌握していたモビルスーツ工場や宇宙港、それに我々と同じように落下したカプセル調査に向かった部隊が壊滅されたという報告があった」

「では、四機も・・・」

「海に沈んだ、あの一機を加えれば五機だ」

 

 二人のOZ士官は声もない。

 モビルスーツはロームフェラ財団が開発して、世界を席巻した既存の兵器群とは一線を画する新機軸の兵器であり、連合の躍進と武断的な支配権存続を可能たらしめてきた原動力にもなっている存在。

 そのモビルスーツ数機を、たった一機で事実上の全滅に追い込んだ機体が、まだ残り四機も存在する・・・敵としてこれほど恐ろしい事実も他にあるまい。

 

「M作戦で落下した五つすべてがガンダムだったと、言うことでしょうか・・・?」

 

 オットーの言葉にゼクスが頷く。

 

「どうやら敵の目標は連合ではなく、OZらしいな。我々は運がいい。ガンダムを目撃して生き残っていられたのだから」

 

 ゼクスが一人、コクピットの外に広がる雲海を見ながらつぶやいた時。ブルーノ特士が点滅している計器の一つに気付いて報告してくる。

 

「ゼクス特尉、潜水モビルスーツ空母が到着したようです。上部ヘリポートより乗艦するよう言ってきております」

「よし、降りろ。捜索用の水中モビルスーツは積んできているだろうな?」

「OZの最新型である【キャンサー】一機と、【パイシーズ】二機を搭載してきたとの事であります」

「よし! では早速捜索を始めるとしよう」

 

 そう命令した直後、ゼクスは珍しく前言を撤回して別の指示を出すことにした。

 なるべく連合に無用の刺激を与えないようにと言う、トレーズの指示を思い出したのである。

 別に忘れていたわけではなく、OZ基準での『無用な刺激』というのは連合士官には高すぎたなと反省したからだ。

 

「今はまだ、名前よりも実を取るべきか・・・連合空母の艦長が自己顕示欲の塊のような男だと節を曲げる数も少なく済んでありがたいのだがな」

 

 自分がこれから乗る船にエンジントラブルが起きた事にして、名目上は連合海軍の深海調査に協力するという体を取るのである。

 

 

 

 

「ならばゼクス特尉。その新型機、いっそのこと連合の空母にくれてやるとよいでしょう。

 それがこの場合、名よりも実を取る一番の方法だ」

 

 

 

 背後からハッチが開く音と共に聞こえてきた部外者の声に二人の士官はやや驚いて顔を振り向かせ、ゼクスは苦笑気味に曖昧な表情を顔に浮かばせながらも驚いた様子は見せようとせず、只静かに冷静に彼のクロスボーン青年士官の提案について問いを投げかける。

 

「そこまで連合に謙るのは、流石にやり過ぎではないかな? ドレル大尉。我々は前線の雇われ軍人と言えども軍人である事に変わりはなく、慈善事業の経営者ではないのだがね?」

 

 名前だけなら実を得ることで倍になって取り戻せるが、実までくれてやったのでは損をするだけで意味はない。

 手持ちの全てをベットしてやったところで恩を感じてくれそうな相手でもない以上、互いに化かし合いをする狸とキツネになるのが一番ではないのか?

 彼は背後から現れた貴公子的風貌をしたクロスボーン・バンガード青年パイロットからの提案に対して、そう懸念を示したのだ。

 

 

 ――彼の名は、ドレル・ロナ。その名から知れるとおり、クロスボーン総帥であるマイッツァー・ロナの孫に当たる人物だ。

 その彼は、先ほどゼクスがガンダムを相手に一騎打ちを挑む際に便宜を図ってくれたクロスボーンMS隊の大隊長でもあった。

 

 彼は血筋によらず、実力でその地位を手に入れている。

 それ故にプライドと功名心が高すぎる嫌いがあって、かつてそれが基で多くの部下を一度に失うという失態を犯した苦い経験を持つ青年でもあり、外見年齢からくる険の強い印象とはかけ離れた慎重さと大胆さを兼備する優秀なパイロットに彼を育て上げる切っ掛けにもなってくれたのだとゼクスは初対面で意気投合したときに思い出話として聞かせてもらっている。

 

 ゼクスも若いが、ドレルはそれよりさらに若く、まだティーンエイジャーでしかない。

 ガンダムの攻撃によって指揮系統が混乱しているからと言う大義名分により、自由行動権を手にしていた彼は、自分の乗ってきた輸送機をゼクスの機体に随伴させたまま付いてきてしまっており、現在はゼクスの乗るOZの極超音速輸送機に便乗までしてしまっていたのであった。

 

 そんな年若く穏やかな物腰と切れ長の瞳を持つ青年士官は、連合の古株共からは「お坊ちゃん」と揶揄されている長い前髪をかき上げる仕草をやってみせてから酷薄な口調で断言する。

 

 

「構いません。どうせ彼らは死にます。ガンダムの手にかかって一人残らず全員がね。

 戦う前から負け戦になると解りきっている戦いに功を焦って出るのは部下を無駄に死なせるだけのこと。傲慢は綻びを生むものです」

 

 

 この言葉に、今度はゼクスを含めた三人いずれもが言葉を失い沈黙させられてしまった。

 

「我が軍の偵察機が撮影した映像です。先ほどトレーズ閣下にお送りさせていただいたものと同じものですが、追加の補足にはなるのではと」

 

 そう言って差し出してきた三枚の写真を目にして、彼らは呻くように声を押し出す。

 

 

 頭部から胴体までが黒で固められた、死神のように不気味なフォルムをした機体。

 ガトリングガンを右手に装備し、胸部にもガトリング砲を、肩口にはミサイルポッドを内蔵した火力戦重視の機体。

 砂地迷彩カラーで塗りつぶされた数十の機体の中央で指揮を執っている、頭部にたてがみのような飾りを持つ貴族的なデザインの指揮官機とおぼしき機体。

 

 

 ・・・その全てが、ゼクスたちの戦った機体と細かい部分に違いがあるだけで、全体としては似たような印象を受けさせられる機体で占められていた。

 むしろ四機全ての写真を並べ見ることにより、明らかに基となった素体が存在することを確信させられるほど酷似していると言っていい。

 

「ドレル大尉、これは一体どうやって・・・」

 

 連合の数世代先を行くOZの輸送機でさえ、撃墜されながらも一機の映像を送ってくるのが精一杯だった敵を相手に、ここまで鮮明な写真を複数入手してこれるのは尋常な偵察能力ではない。一体どの様なトリックを使って不可能を可能にしたのものなのか・・・?

 

 だが、これに対してドレルはむしろ憮然となって「自分たちの手柄ではないことで褒められるのは不本意である」旨をアピールしてきてから、こう付け足した。

 

「敵の機体はガンダニウム製であり、ガンダニウムは金属反応はかすかにしないためレーダーが役に立ちづらく、目視による偵察が基本となるであろうことはトレーズ閣下より以前に教えてもらったことがありましてね。

 ・・・失礼ながら、私のいた世界ではレーダーやセンサー類が役に立たない戦場など当たり前のことでしかなく、目視で敵機を索敵する技術に関しては我々が以前に支援してやっていたゲリラ組織に供給するための輸送機を量産してやっていたため十分に対応が可能だったと言うだけのことです。

 この技術に関しては我々の世界にあってさえ100年近く前の技術をそのまま流用しているだけですので、褒められてしまうと少々座り心地の悪い気がしてなりません」

 

 彼はそう言って苦々しげな表情を浮かべるが、だとしたら百年近く前の技術に先を越された自分たちOZの技術力は何なのか、と言いたくなるゼクスたちである。

 

 

 オールズモビル。

 彼らクロスボーン・バンガードがかつて支援してやっていたゲリラ組織の名が、それであった。

 宇宙世紀0079にジオン公国を名乗り、地球連邦に独立戦争を仕掛けて敗北した国の敗残兵、その生き残りの子孫たちが寄せ集まって形成されたジオン最後の抵抗勢力を彼らは数で劣る自分たちのためにも支援してやっていた。

 自前の開発拠点など望むべくもないゲリラ組織に、旧式とはいえ兵器を供給してやっていたのは彼らロナ家であり、その際には当然のごとく開発技術のノウハウは取得済みである。

 

 あくまで宇宙で健軍されたスペースノイドの軍隊クロスボーン・バンガードにとって、旧ジオン軍が持っていた有視界戦闘での光学機器類は羨望の的と呼ぶに相応しい性能を誇っており、後に連邦軍がこれらモノアイテクノロジーを積極的に吸収していった史実にも納得せざるを得なくなったものである。

 

 ミノフスキー粒子によってセンサー類の有効範囲が中世期における太平洋戦争期レベルにまで封殺された世界で当時の連邦軍からも羨望の的となっていた、旧ジオン軍が誇る『三連式多目的カメラモジュール』を搭載させた偵察機によって得られた情報に、時差や距離的要素を加算して敵の大凡の現在地を予測して戦況を考えたとき。

 

 今現在、この場所にいること自体が決して安全なわけではないとドレルは気付いていた。

 

「ゼクス特尉が敵モビルスーツを落とした地点から二〇〇〇キロ離れた太平洋上のグアム島に、連合の宇宙港がある。そこがガンダムの一機に襲撃を受けて壊滅させられている。

 捜索が短時間で終わらせられるならいざ知らず、そうならなかった場合には移動時間を加味しても敵機にはここを襲撃してくることが可能なだけが与えられることになるだろう・・・」

「バカな!? 二〇〇〇キロを九時間でですよ! 海上移動可能な艦艇があれば別としても、モビルスーツ単独での到着はさすがに無理なのではありませんか?」

 

 ブルーノ特士が一般的な常識に基づいて、そう言った。

 確かに彼の言うことには一理ある。連合とOZ海上戦力の主力である水中用可変MSパイシーズでさえ水中巡航モードであるMA形態に変形しなければ難しい距離と時間。

 写された写真を見る限り、変形機構を有しているとは思えない太平洋に落ちた機体、ガンダム。先ほどの奴と違って空を飛ぶ飛行性能があるようにも見えないところから歩いて海を渡るつもりでいるのだろう。

 そんな奴が海の底で詳しい位置情報もわからぬままサルベージに勤しんでいる自分たちの潜水空母と連合海軍の空母を襲うためにわざわざ陸地から遠ざかってまで襲撃してくるものだろうか?

 

 彼らはそう考えたのだが、ドレルの考えは違っていた。

 彼は連合から選抜されたエリートたちの集団であるOZ士官が頭を悩ませる問題に、簡単な答えを出してきたのである。

 

「グアム島にある宇宙港は、コロニーに駐留している宇宙軍に物資を運ぶための施設だったのだろう?

 ならば破壊された跡だろうとも、海上輸送用ボートの一隻ぐらい残っていても不思議ではあるまい」

「「あっ!」」

 

 オットーとブルーノが同時に叫んで、ゼクスは真一文字に唇を引き結んで不快さを現した。

 別にドレルが気付いて、自分がわからなかったことを怒っているのではない。

 “ガンダムパイロットによる蛮行”が許せなく感じて怒りを募らせたのである。

 

(宣戦布告もなしに基地へ攻撃を襲撃して、降伏勧告もおこなわぬまま壊滅させる。

 挙げ句の果てには自分たちが壊した基地から物資を強奪する・・・敵に抵抗を許さぬほど圧倒的力を持っていると言うだけを理由として!)

 

 野盗か盗賊のような蛮行をおこなうガンダムパイロットたちに、彼は初めて敬意でも恐怖でもない感情、強い『怒り』を感じて拳を震わせていた。

 

 戦争とは非常なものだと言うことなど百も承知。OZが清廉潔白な組織でないこともわかってはいる。

 

 ――だが、それでも!

『戦争は非情だから』で、やっていい事といけない事があることぐらい判るだろう!

 

 OZが許せないからと、OZに関わる者にはすべて容赦無用。OZは時代を逆行させる愚か者の集団だから、力持つ者である自分たちが淀みを正すために粛正するとでも、傲慢で下等な思い上がりでもしているのだろうか!?

 

(驕り高ぶった連合がつくった時代が狂わせたのか・・・っ?

 ――いや! そのような横暴を我々が間違っているからと行う頭の悪すぎる者たちに世界を変えうる力を持つ資格などない!)

 

 ゼクスの本質は戦士である。それ故に自分と同じものを感じさせた先ほどのガンダムパイロットに対して深い敬意と共感を抱き、それと似た形状を持つ機体に乗る彼らにも同じものを求めていたのだという事を今さらになって彼は思い知っていた。

 

 だからこそ彼は敵の取ってくる可能性のある、火付け強盗となにも変わるところがない火事場泥棒のような手を予測する事が出来ず、ドレルから言われるまで発想さえ頭に沸くことはなかった。

 

 だが、一度考えついてしまえば彼の優秀な頭脳は次々と相手の矛盾を見いだすことが出来るようになっていく。

 軍事施設とはいえ、兵器工廠は非戦闘員が多く働いている場所であり、通常であるなら攻撃対象に指定してはならないことになっている。旧時代から続く軍隊にとっては当たり前の常識であり、遵守できない場合が多いからこそ守るべく努力しなければならない課題でもあるだろう。

 

 だが、この敵。所属どころか警告も無しにいきなり攻撃を始めて、降伏勧告すらおこなった気配があるのは写真を見る限りでは一機だけ。

 完全にテロリストによるルール無用のテロ攻撃である。其れ以外の何物でもない。

 旧世紀でさえ許されざる蛮行だった所業を、宇宙に人類が進出した時代になってから模倣する気だというのか、このバカ者たちは!

 

 

「・・・私の世界にも似たような団体はあったと、祖父から聞かされたことがあります・・・」

 

 ドレルが静かな声で言うのが聞こえた。制御の聞いた声音が、却って彼の内心にある怒りを現しているようでブルーノとオットーは揃って唾を飲み込まされる。

 

「長年腐敗の続いていた地球圏統一政府の要職にある人々を暗殺したあとで『地球をクリーンにするため人類のすべては地球から出なければならない』とする政策を実施しろ、と要求してきた反政府組織です」

「・・・それはまた・・・なんと言うべきなのかロマンチストな夢を語る人々ですな・・・」

「実際、夢はあっても実はない組織だったのだそうです。世間で言われているような巨大組織などではまったくなく、裏方のスタッフまで合わせて三千人になるかならないかというのが彼らの実体だったことが私の時代には知られていましたからね。

 そんな人々の集まりだったからこそ、やることには限界がある。政府要人を暗殺するためモビルスーツを用いてしまっては民間人の巻き添えによる被害は避けようがない」

 

「――ですが、それでも彼らは最大限可能な限り被害を限定しようと努力しました。たった三千人の軍隊とも言えない階級さえ必要としなかった有志の集団が地球圏全体を支配して数十年を閲した最高権力に喧嘩を売りながら、それでも無関係な人たちを巻き込まないよう努力はしたのです」

 

「我々クロスボーン・バンガードが元いた世界で最初に奇襲をかけたとき、市民には一切手を出させませんでした。私もそうです。

 敵モビルスーツ三機を落とせるチャンスよりも、市民が巻き添えになる危険性を選んで見逃す道を選択しました。

 ――だが、彼らには其れすらも無い! OZという許されざる敵を倒すためなら、どんな非道な手段でもやってのける。まるで、どれほどの血を流させようとも自らが死ぬことで償うことが出来ると思い上がってでもいるかの如く・・・!」

 

「クロスボーンが新しい時代を築くために大量虐殺を是としたのは、前衛だからです! 旧時代を壊した後、我々破壊者たちが新しい世を生きる人々に、高貴なる人としての生き方を説き、世界に広めていくため実践していく覚悟があったからだ! 殺戮そのものが目的だったからでは断じて無い!

 己の血を流し! 人の血を見たら泣け! 死に行く者には満腔をこめて哀悼の意をしめせ!

 それが人として自然な生き方のはずだ! 人々にその生き方を思い出して欲しかったから我々は自らの血を流すことを恐れず先陣に立ち、敵に血を流させた! それが大量殺戮を行う者たちにとって最低限の守るべき節度であると信じていたから!

 だと言うのに、姿も晒さず影から忍び寄り、一方的に自分より弱い敵を虐殺して回るこの者たちの傲慢を私は断じて許すことが出来ない! 断じてです!

 傲慢が綻びを生むということを思い知らせてやるためにも、我々はここで無駄死にするわけにはいかない! そうでしょう!? ゼクス上級特尉!!」

 

 有無を言わさぬ熱い口調に気圧されながらも、気持ちの上ではゼクスも彼と同意見だった。

 こんな所で自分たちは死ぬわけには行かない。自分たちは今を壊すだけで終わるのではなく、壊した後にこそやるべき事が始まる者たちなのだから・・・・・・。

 

 

 だからこそゼクスは、距離が近づいて通信が可能になった連合軍の空母に通信を入れたとき、こう言うのだ。

 

 

「実は我々は今、新型の潜水空母で航行中エンジンのトラブルで困っているのです。そこで我々の潜水母艦を貴官の船で修理させていただきたいのです。

 無論、タダでとは申しません。代わりと言っては何ですが、我々OZが開発した最新鋭水中モビルスーツである【キャンサー】と【パイシーズ】を貴軍に譲渡させていただきましょう。如何ですかな?

 たとえ未確認敵機が発見できなくとも、OZの最新鋭モビルスーツを持ち帰りさえすれば艦長殿に対する能力査定に響くことはありえないと確信しているのですが・・・」

 

 

 こうして後日、連合軍内部に一つの噂が盛大に蔓延して悪いジンクスを生むことになる。

 

 

『ガンダムを一目見た者は生きて戦場から戻れない』

 

 

 ――と言うジンクスが。

 そして同時に、OZ内部にあっても密やかに一つの噂が語られ初め、悪いスラングが蔓延する結果を生んだ。

 

 

『【ガンダムを一目見た者は生きて戦場から戻れない】

 ――そういうジンクスを負け続けの連合は面子のために作りたがっているそうだぞwww』

 

 

つづく




*補足:
デュオが基地にあるボートを使ったかどうかは完全に未知数です。現在のゼクスたちではデスサイズの性能がどれほどか想像できなかったので、ひとまずは妥当な予測を信じてみたというだけですね。

単なる決めつけじゃねーかと言われる方もいらっしゃるでしょうけど、そもそも敵を決めつけるのは普通のことですし、正体どころか宣戦布告もしない敵を決めつけて何が悪いのかと私なんかは思っております。

無礼には無礼で応じるのが私の礼儀作法ですのでね。
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