ガンダム二次作   作:ひきがやもとまち

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シロッコSEED第10話を更新です。
頭がいまいち回らない中で書いてますので、文章が荒いのはご容赦ください。正直今の私にはこれがせいいっぱい…(ルパ~ン)

*最後のセリフを修正しました


転生した私はコズミック・イラの立会人になろう。10話

『バルトフェルドさん! もう止めて下さい! 勝負はつきました! 降伏を!』

『言ったはずだぞ! 戦争には明確な終わりのルールなどないと!

 戦うしかなかろう・・・互いに敵である限り。どちらかが滅びるまでなぁっ!!』

『僕は・・・僕は・・・殺したくなんかないのに―――――ッ!!!!』

 

 ――地球上においてキラがバルトフェルドとの出会いが、戦いという悲劇に発展していた頃。

 アークエンジェル隊の勝敗は戦局になんら影響を与えることなく、彼らの予測は大きく裏切られ、膠着状態が続いたままプラント評議会議長シーゲル・クラインの任期切れの時期を迎える。

 

 それに連動し、プラント本国では戦争終結に向けた市民レベルでの活動が活発化していた。 クライン政権に代わる新たなる新体制の構築前準備。

 即ち、選挙である。

 

 

 

 

『――私はなにも「地球を占領しよう」「まだまだ戦争をしよう」と申し上げているわけではない! しかし、状況がこの様に動いている以上、こちらも相応の措置を執らねばならないのは確かです』

 

 私は久しぶりに帰ってきた帰るべき場所、ザフト軍士官用の官舎でテレビを見ながら、食後の一杯を優雅に楽しんでいた。

 時間軸で見るならば、キラ・ヤマトがアンドリュー・バルトフェルドと劇的な原作バトルを繰り広げている頃合いだ。個人的にはバルトフェルドは嫌いではないので手助けしてやりたい気持ちがないわけでもない。せめてアイシャが死なずに済むような装備なりを送ってやりたい気持ちはあるが、立場的にどうすることも出来ない。

 せいぜい『可能性という名の人だけが持つ神』に祈ってやるぐらいが関の山だ。吉報を待ちながらテレビを視聴するのが今の私に出来る全てである。

 

『中立を公言しているオーブの裏切り、先日のラクス嬢人質事件・・・彼らを信じ、対話を続けるべきだと言われても、これでは信じる方が無理です』

 

 画面の中では次期政権首座が確実視されている現国防委員長のパトリック・ザラが猛々しい口調で、平和的解決と戦力拡充の両方を同時に唱える器用な詭弁を駆使して熱弁を振るっていると、

 

 ぴりりりり♪

 

 テーブルの上に投げ出されていた携帯が鳴り響き、着信があったことを私に知らせる。

 携帯に手を伸ばし、遺伝子改造された自称新人類コーディネーターが造り出したにしては前世の日本製の物と似すぎた形状を持つソレに苦笑しながら、私は通話ボタンを押した。

 

「シロッコです」

『クルーゼだ。今、時間はあるかね? 我が盟友よ』

「これは我らが敬愛するクルーゼ隊長殿。この御時間では、まだザラ新評議会議長閣下と密談の最中では?』

 

 軽く皮肉を言って電話の向こう側の相手を苦笑させてやりながら、私はテレビを消さずにリモコン操作で音量のボリュームだけを下げてやる。

 

『皮肉を言ってやるなよシロッコ。議長ではなく、ザラ国防委員長閣下だろう? “今はまだ”、な』

「失礼した。つい本音が出てしまったのでね。ククク・・・」

 

 やる前から結果が確定しているプラント評議会選挙。前世の日本もかくやと言うレベルで無意味な投票だが、『総意』という名の大義名分を得るためには確かに有効なのは事実でもあるだろう。

 

『あちらの案件は通ったそうだ。オペレーション・スピットブレイクは有効票の三分の二以上の賛成を得て、評議会により決定された』

「それはそれは、ザラ議長・・・いや、国防委員長も不幸なことだな」

『ほう?』

 

 クルーゼが私の用いた表現に面白そうな顔をして、その真意について問うてくる。

 

『その理由は?』

「官舎に帰ってくる直前に個人的ツテをたどって得た最新情報なのだが・・・負けたそうだぞ。バルトフェルド隊長が、足付きにな。

 半数以下にまで打ち減らされた残存部隊が副官のマーチン・ダコスタに率いられ、ジブラルタルへ尻尾を巻いて逃げてくる最中だそうだ」

『ハハ、それは確かに国防委員長殿にとって幸先悪く不幸な出来事だな』

 

 画面越しに笑い合う私と友人。

 長引く戦争が穏健派のシーゲル・クラインから支持を失わせ、代わって力を増した主戦派のパトリック・ザラは、軍備増強による戦争の早期解決をマニフェストに選挙戦での勝利を確実にしたばかりなのだ。

 評議会議長に就任して最初にこなす仕事が、敗報の隠蔽工作と箝口令の指示なのだから、これほど不幸なプラント最高評議会議長も歴史上に希なことだろう。

 善し悪しは別として、彼は今コーディネーターの歴史に不滅の名を刻んだことになる。それを喜ぶかどうかは彼の自由であり、権利となるだろうがね。

 

『近々それに伴い、ザフト全軍に地球上への大規模な攻撃準備命令が発令されるだろうとのお達しも、国防委員長閣下からのお話には含まれていた。

 “目標をパナマと偽った上での”偽の攻撃命令がな』

 

 我が友クルーゼの言葉も皮肉な色彩で彩られている。

 表向きは別の場所を攻めることになっている攻撃計画の、真の準備を任された国防委員長の信任厚い謀臣である彼から見れば、この計画の長所も欠点もお見通しと言うことだ。無論、私にもな。

 

 

『オペレーション・スピットブレイク』

 

 それはパナマ・ポートを落とすと見せかけて、本命であるアラスカの連合本部JOSH-Aを奇襲するという斬首戦術であり、原作でのクルーゼがアズラエルと組んで味方を大量虐殺するため、蛻の空になった連合軍本部をサイクロプスで自爆させて奇襲してきたザフト軍全員を一人残らず殺させてしまった作戦の名称である。

 

 言うなれば、ジャブロー降下作戦と、アクシズをゼダンの門にぶつける作戦とを攻守ところを変えて再現したようなもの、と言えばわかりやすいかもしれないな。

 

 見た目は派手な作戦内容ではあるが実のところ、言うほど上手い作戦というわけではないのが、この真オペレーション・スピットブレイクの正体だった。

 

 作戦開始直後になってから、いきなり攻撃対象を変更してパナマを落とす分にクルーゼが補填してやっただけの量の軍需物資でアラスカを落とすことを求められてしまう。

 それも、地球に降下するためカウントダウンに入っている船の中で、だ。判断に迷っている余裕すらも与えられていない。

 

 原作では『敵の本部に奇襲をかける』という軍事ロマンチシズムと、『この戦いに勝てば戦争はそこで終われる』という希望的観測に基づきはしても言ってることは概ね正しい発言で困惑する兵士たちの統制を取り戻していたようだったが・・・さて。

 

「敵の拠点を占拠するため、陽動作戦を囮につかって敵本体を誘引。しかる後に空き家になったアラスカを奪取する・・・確かに壮大で、戦略的には間違っていない作戦ではある。

 が、そう上手くいくものかな? 連合も遊んでいるばかりではないと思うのだがね」

 

 私が宇宙世紀の歴史で、似たような作戦案のほとんどが失敗してきた過去の実例を思い出しながら言ってみたところ、友曰く。

 

『上手くいく、と信じたからこそ選んだのだろう? 彼も。その先に自分が願ったものがあると信じた道を。その先には無いのだということなど知りたくもないために』

「フッ・・・」

『選ばなかった道など無かったと同じ。いくら振り返ってみても戻れはしない。過去は何も変えることは出来ない。

“もしもあの時、選びえなかった道を選んでいたら求めていた未来があったかもしれない”――そう思いたくないからこそ、人は誰も今を必死に足掻くのだろう? 人は見えぬ未来という可能性を信じて進むしかないのだから』

「・・・・・・」

『未来の可能性を恐れ、信じて。今この時に血の道を選んで進む・・・不運な男だな、パトリック・ザラも。その道を舗装するのに使われる血が、自分のものではないという保証もないというのに』

「どちらにせよ、それは彼が悩み迷って考えるべき道だ。我々が思い煩って議論してやる価値のない道だよ。

 我々は、我々の歩むべく選んだ道のことだけ気にしていればそれでいい」

 

 私はバッサリと切り捨てて、少々思うところがあった自分の気持ちに割り切りを付けるように、敢えて強い言葉で断言して見せた。

 

「彼に事情があると言うことは、彼以外の他人にも事情があると言うことだ。利害が一致する限りにおいては快く協力関係を維持していく道を考えよう。それが一番生産性があって、ステキだ」

『・・・確かにな。私としたことが、少々感傷的な気分になっていたようだ。疲れているのかもしれないな。連絡事項を伝えたら、久しぶりにゆっくり休むのも悪くないかもしれない・・・』

 

 マスクを外して、目元をほぐすような仕草をするクルーゼ。

 ・・・やはり彼も疲れていたらしい。ただでさえ通常業務にザラから頼まれた真スピットブレイクの準備とを両立させなくてはならない激務なのだ。到底常人に耐えられるものではない。

 彼だからこそ出来ていることとは言え、やはり健康的生活を心がけて欲しい相手には送って欲しくない生活環境に今の彼は置かれていたようだ。

 

『宇宙で出来る準備は完了したので、明日にでも最終調整のため地球に降りられるよう船の出航準備を進めさせている。君も出立準備をはじめておいてくれ。出航は明朝12:08を予定している』

「了解したが、それらの手続きは私が引き継いでおく。君はもう休め。隊長相手に失礼とは思うが、明朝10:00までの絶対安静を命じさせて頂く」

『おいおい、シロッコ・・・?』

「俗人の目は誤魔化せても、私には通じんよクルーゼ。君が今、相当な無理をしていることぐらい一目見れば解って然るべきところだ。むしろ今の今まで確信が持てなかった私の落ち度と断言できる。友人として薄情な限りだ。反省している。悔いるばかりだよ、クルーゼ」

『・・・・・・』

「朝にでも君の部屋に行き、専用に調合した薬を数錠渡しておこう。あまり量は飲んで欲しくない薬だが、少量であれば今の状態を改善するのに役立つはずだ。悪いがそれまでは寝ていてくれ。何か適当に美味いものでも手土産として持って行ってやるから」

『・・・・・・ありがとう、シロッコ。悪いが君の言葉に甘えさせてもらうとする。

 ――正直、とにかく疲れた・・・もう歳なのかもしれないな。なにしろ私は普通の人間よりも年を取るのが数倍早いバケモノなのだから』

「なにを言う」

 

 ハハハと笑い合い、我々は電話を終えてそれぞれの役割を全うするため、望んだ未来へと続く道を選んで歩み始める。

 

 クルーゼは、おそらく自室のベットへ。

 そして私は、ヴェサリウスを停泊している軍港の一角へと歩を進めいく。

 

 彼は、その先に続く道を少しでも長引かせられると信じるために。

 私は、やはり彼にもナニカ信ずるものが出来て欲しいと思うために。

 

 

 

 

 

 

 ――それは、クルーゼが下車して帰宅してから数十分後が経過した、プラントのひとつマイウス市にある公園に停車中のパトリック・ザラが所有する黒塗りの高級車の車内にて。

 

 

「・・・遅れました、申し訳ありません。ザラ議長閣下」

「おいおい、君らしくもないな。いささか気が早過ぎるのではないかね? まだ国防委員長だよ私は」

「失礼しました。つい本音が出てしまいまして」

「ははは、上手いな君も」

「・・・・・・」

 

「例の物は予定までに間に合いそうかね?」

「はい。完成の目処は立ちました。オペレーション・スピットブレイクが成功した暁には、無力化した地球はナチュラル共もろとも核エネルギーの光で焼き尽くされることでしょう」

「ハハハ、我らが力を合わせればナチュラル如きだな」

「・・・・・・」

「いや、なに。正直に白状するが最初はこの仕事、シロッコに任せようと思っていたのだがね。だが今では君に任せて正解だったと、自分の人を見る目を自画自賛したい気分になっているのだよ。二人とも、そしてクルーゼも良くやってくれている。私のためにな」

「・・・すべてはコーディネーター全体のため。我らは総意に従って動くのみです、閣下。私たち友人一同が閣下に協力するのは、ザラ国防委員長閣下の唱える道こそ真にコーディネーターが歩むべき道だと信じるが故です。どうか我らの献身、お受け取り下さい」

「うむ! 期待しているよ、“ギルバート”・・・」

 

 バタン。ブオォォォォ・・・・・・

 

 

 

「・・・そうだとも。彼に出来るのだ、私にも出来ぬはずがない。

 己の出来ること、己のすべきこと。それは自分自身が一番よく知っているのだから・・・」

 

 つぶやいて思い出すのは、過去の思い出。

 友人たち三人で語り合い、チェスをしながら、致命的に食い違った“あの時の会話”を・・・

 

 

 

『――願いは叶わぬものと知ったとき、我らはどうすればいい? それが定めと知ったときに』

『――ならば私が変える。全てを! 戻れぬと言うなら始めから正しき道を。

 己の出来ること、己のすべきこと。それは自分自身が一番よく知っているのだから・・・』

 

 

 

『ははは、力だけでは時代の流れに逆らっても勝つことはできんよ。

 それに戦い終わった世界を導いてゆく新たな指導者は“女”だと、私は考えている――』

 

 

つづく

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