ガンダム二次作   作:ひきがやもとまち

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エロ作書いてたところ煮詰まってしまって息抜きに書いた作品を投稿させていただきました。
種死でロゴスメンバーの屋敷が暴徒たちに襲撃されてるシーンで、セレニアっぽい女の子がロゴス側に居たらのIF話。
胸糞ストーリーですので、苦手な方は絶対お控えくださいませ。本気で反吐が出るかもしれませんのでね。


機動戦士ガンダム 死のデスティニー(読み切り)

 

 屋敷が火に包まれている。夜空の漆黒が血と炎と憎しみの赤で染め上げられている。

 

《こんなことは、もう本当に終わりにしましょう! 我々は殺し合いたいわけではない! こんな大量の兵器など持たずとも、人は生きていけます! 戦い続けなくとも、生きていけるはずなのです!》

 

 街頭に設置されたモニターから、プラントのデュランダル議長による演説の映像が垂れ流されて、地球の各所では市民たちによる暴動が多発していた。

 

“ロゴスを倒せ! ロゴスを殺せ!

 奴らこそ平和と俺たち市民すべてにとっての敵なんだ!”

 

 ――と、皆一様に目を血走らせて手近にあった凶器を携えて、デュランダルが『対話に応じて頂くため』『やむを得ず公開した』彼らの素性と住所にあった屋敷を襲撃するため、自分たちを勝手な理由で死なせてきたバカな連中を皆殺しにしてやるために屋敷を包囲して数の力で押し潰しにいく。

 少数の警備兵は銃で武装しているが、構うことはない。多少の犠牲なんて奴らに殺された人々の数と、これからも殺され続けていたかもしれない死体の数を思えば今このときだけは端数として割り切れる。

 悼むのも悲しむのも、敵討ちと復讐を終えた後でいい。

 

 今はただ・・・・・・殺しまくりたい。

 それだけが暴徒と化した群衆たちの嘘偽らざる本心だったから・・・・・・。

 

「た、助けてく――ぎゃぁぁぁっ!?」

「死ね! ロゴスの悪魔め! 死んで地獄に落ちて後悔しやがれ!」

 

 また一つ、ロゴスのメンバーが所有する屋敷が落ちて、本人が暴徒たちに手で射殺される。

 彼の家族もまた同様だ。自分たちの家族を殺して得ていた金で肥え太った豚のようなガキと女など殺されて当然。いや、むしろ殺して敵を討つことだけが自分たちに奪われることなく残されていた、たった一つの権利なのだと彼らは信じて疑わずに、また一つ。また一つとロゴスの屋敷を血の海に変え、地獄の業火で焼き尽くしてから去って行く。

 

 ・・・そんな地獄を創りに来た者たちが、ここにもまた一団。

 

「オラァッ! ここがロゴスの屋敷かぁ!? 殺してやるから隠れてないで出てきやがれ悪魔共!」

 

 扉を蹴破り、建物の中へと突入する群衆。

 そこは他のメンバーの屋敷と違い、比較的近代建築様式が用いられたペンションのような外観を持つ、ロゴスメンバーが住むには異色の建物だったが暴徒たちは気にもしなかった。

 

 どうせ燃やして、殺して、壊しまくるためだけに訪れた場所なのだ。跡形もなく消え去ることが確定しているモノがどの様なモノであろうと意味はない。どうせこれから自分たちの手で壊し尽くされ殺し尽くされるだけのガラクタに変わってしまうのだから。――そう思っていた。

 

「え・・・?」

 

 しかし彼らは屋敷に突入した瞬間、意外すぎる光景に騒ぐのも叫ぶのもやめて、虚を突かれたように黙り込まされてしまっていた。

 明かされたロゴスの真実と、目の前に広がる現実の風景があまりにも懸け離れすぎたモノだったから―――

 

「ようこそ、皆さん。歓迎いたします。ご馳走を用意しておきましたので、ごゆるりとどうぞ」

 

 そう言って、ゲストを迎えるパーティー主催者のごとき丁重な態度で両手を広げて指し示してくる先にあった物は――ホール全体を敷き詰められるように並べられている、ご馳走の山。

 テーブルの上に載せられている出来たてホヤホヤの湯気を立てている、テレビでしか見たことがない酒池肉林の数々。

 その芳しい匂いに鼻腔をくすぐられ、屋敷を襲いに来た暴徒の一人が思わず「ゴクリ」と喉を鳴らす。

 

「安心して下さい。毒などは入っていません。これは所謂、賄賂という奴ですから」

「ワイロ?」

「はい」

 

 その人物――写真付きで公開された、年寄りばかりのロゴスメンバーの中で唯一の“子供”だった少女。

 銀髪と青い瞳と古風な軍服が印象的な小さな女の子は、暴徒たちの代表格をジッと見つめ返しながら自分からの要求を突きつける。

 

「こちらが求める条件はただ一つです。・・・私を見逃して頂けませんかね? もちろん無傷で。

 代わりと言っては何ですが屋敷にあるモノはすべてあなた方に差し上げますし、警備兵には拳銃一発撃たせないことをお約束させて頂きます。謝れと言うんでしたら、いくらでも謝罪いたしましょう。

 どうです? 悪くない条件だと思われませんかね? そうすればお互い誰一人死ぬことなくここから逃げ出せます。私は無駄な人死にがとてもとても嫌いなんですよ」

 

 平然と宣うロゴス最年少メンバーの言葉に、暴徒たちの代表格は言うべき言葉を見失い――次いで激高した。

 

「ふ、ふ、ふざけるなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!!!!!」

 

 あまりにも身勝手でバカな言い分。自分たちを無駄に殺しまくってきたくせに、今更になって主張する言葉ではなかったし、自分たちの怒りが物と金で収まるなら警察はいらない!

 

「あれだけ殺しておきながら、自分が殺されそうになったら命乞いだと!? ふざけるな!

 ベルリンでお前たちに殺された人たちの家族にも、同じ言葉を言うつもりなのかテメェらは!?」

「ええ、もちろんです。アレの担当はロード・ジブリールさんで、私には一切知らされぬまま進められていた作戦でしたからね。

 あんな馬鹿げた作戦をもし知っていたなら間違いなく止めていたでしょうし、そう思ったからこそ彼も私に内緒で事を進めてたんでしょうから、軍事部門の作戦立案が担当だった私にはどうすることもできない事案でしたからねぇ。

 可哀想だとは思いますし、愚行に巻き込んでしまって申し訳ないとは思いますけど、死人を生き返らせられる訳でもありませんのでね。ゲームと違ってお金で人は甦りませんから、どうしようもありません。

 私が遺族に言えることは一つだけ『これ以上無駄な被害を出さないようご協力下さい』と、頭を下げてお願いをする。その程度ですよ、ロゴスの持つ力なんてものはね」

 

 被っていた軍帽を脱いで顔を煽ぎながら平然とした口調で宣う、民衆にとっては勝って極まりない理屈。

 自分は知らなかったから、どうしようもなかったから、だから仕方がなかったんだ、諦めろ? ――ふざけるなっ!

 それをどうにかするのが政治家たちだろうがよ! そのために俺たちは税金を払ってお前らを養ってやってんだ! 給料分は働け税金泥棒共! できなけりゃ俺たちに金返せ!

 命を返せ! 家族を返せ! 返せないならせめて―――俺たちの手で殺されてしまえぇぇぇぇっ!!!!

 

 

「死んで地獄へ降りやがれぇぇぇぇぇっ!!!!!」

「交渉決裂ですか。残念ですよ、本当に・・・。――と言う訳なので、撃ってよし」

 

 

 自分に向かって迫り来る群衆のことなど気にもせず、軽く指を振り下ろして誰かに対して少女が何かを命令した次の瞬間。

 

 破砕音が響くとともに暴徒たちは、少女の背後にあったマジックミラーの壁が打ち砕かれて、中から現れた数十名の完全武装した兵士たちによって次々と蜂の巣に変えられていき、訳もわからないまま殺されていく哀れな殺人被害者の群れと成り果てていく。

 

 数十秒後、その場で生き残っているものが無傷の加害者たちだけになっていた頃。屋敷の周囲から喧噪の叫び声は途絶えていた。

 変わって響いてくるのは、悲鳴と絶叫と命乞いの金切り声と、そして銃声。

 

 伏せていた兵たちが合図と共に一斉に立ち上がり、屋敷を取り囲んでいた暴徒たちの背後から半包囲して退路を断ち、完全包囲の輪の中に閉じ込めてから『自ら銃を持ち敵を殺すため戦場に赴いてきた“敵”』として殲滅させていく。

 

 

「ひぃぃぃっ!? 助けて! 助けて! 殺さないでブジャ!?」

「お、お願い! 私はどうなってもいいけど、この子だけはオギャッ!?」

「わ、私は自分の意思でここに来たわけじゃないんだ! ただデュランダルに乗せられグベハァッ!?」

「お、お、お、お金! お金あげます! いくらでもお金あげますから殺さないでお願いします! 死にたくなギニャァッ!?」

 

 

 ・・・つい先ほど、自分たちのリーダー格が命乞いしてきた敵に対して、どのような返事を返したかなど彼らは知らない。知ろうとも思わないし、知る必要性すらないと確信しきってこの場所に来たのだろう。

 それが仇となり、自らの死刑執行所にリーダー格が舌でサインしてしまったことなど知る由もないまま殺されていく群衆。

 

 やがて偽装されたシャッターが開いて、屋内から装甲車まで出てくる光景を目撃させられた彼らに、抵抗する意思や勇気など残っているはずもない。 

 敵討ちの復讐という名目の元、一方的な虐殺をおこなう加害者となれることを想定して、それ以外には想定しないまま襲撃に参加してしまった感情任せの群衆たちに、数の上でも装備の面でも上を行かれた完全武装の軍隊相手に完全包囲まで敷かれた体制下で「権利と自由を守るために戦え!」と言う方が無理なのである。

 

 一人、また一人と殺されていく暴徒たち。

 安全に距離を保ったまま反撃を許さぬ統制射撃で殺し尽くしていく兵士たちのヘルメットで隠された心境は、殺されていく被害者たちが思っている以上に苦々しい。

 

 彼らとてロゴスのやり方に心から賛同しているわけではなかったのだ。直属の上司は冷徹非情だが公正であり、軍人としては非常に正しく責任感にもあふれている。

 やらされる作戦内容がたしょう血生臭すぎることは問題であっても、殺されていく連中がクズばかりなので然程の問題とは思ってこなかった者たち。

 

 だが今回のこれは余りにも―――見苦しすぎる・・・・・・。

 

「死にたくねぇよぉ――っ!! 母ちゃぁぁぁぁぁぁっんブベバァッ!?」

 

 また一人、暴徒が叫び、暴徒が射殺されていく。

 その断末魔の叫び声が彼らの不快さを一層刺激させられる。――ふざけるな、と。

 

 自分たちだって死にたくはない。愉しみで人を殺す変態になった覚えもない。

 軍人だから、命令だからやっているだけだ。

 それなのに何故、ロゴスの悪魔と同類呼ばわりされて、まとめてリンチで殺されるのが当然だと決めつけられなけりゃならないのか?

 

「畜生! お前らは悪魔だ! ロゴスに飼われて尻尾を振る飼い犬共! 地獄に落ちやがベグギャッ!?」

 

 仲間を蹴飛ばし、自分だけでも逃げ延びようとした暴徒の一人が足を撃ち抜かれ、逃げられないと悟って最期に放った恨み言を言い終わる前に頭部を吹き飛ばして射殺した兵士の一人がつぶやき捨てる。

 

「・・・俺たちが悪魔なら、お前たちは餓鬼だ。いるべき場所へ帰れ。地獄へな・・・」

 

 彼はジブリールが電源すら切らずに放置したまま避難していった屋敷の映像から、自分の同僚が民衆に殺され、死体に唾を吐きかけられる様を目撃していた一人だったのである。

 

 彼らに言わせれば、今になって殺せ殺せと喚き立てるぐらいなら、何故もっと早く殺してしまったのかと思わざるを得ない。

 戦争で儲けようなんて考えている碌でなしの集まりが、ロゴスのメンバーなのだ。普段から表の顔だけでも十分すぎるほど黒い噂は立っていた。それらを糾弾する声も当然ながら複数あったのだ。

 

 それら全てに眉をひそめながらも、結局は「どうしようもない」で終わらせてきたのは何処の何奴だ? 不平不満をため込んでも金で矛を収めてやってきたのは何処の誰様たちだった? 隣の家の家に住む反戦主義者の隣人が非道な報復を受けているのを知りながら、見て見ぬフリをして今まで放置し続けてきたのは、何処の誰で何奴らだったのか?

 

 ――答えたくないか? なら言ってやる。教えてやる。

 他の誰でもない、お前たち自身だ!! お前たちこそ殺人者の仲間たちだ!

 俺たちに地獄へ落ちろというなら、お前たちも一緒に落ちろ! それが筋ってもんだし、人の道だろうがクソ野郎共!!

 

 

 ・・・やがて残った最期の一人が、友人なのか他人なのか下半身を失った血まみれの上半身だけを抱きしめながら瞳一杯に血涙を湛えて自分を囲んで銃を突きつける兵士たちを睨み据え、この世全ての不公平と理不尽を恨む呪詛をロゴスと彼らの仲間たちへの非難の形を借りて顕現させる。

 

「――貴様ら権力者はいつもそうだ! 多数を救うために少数の犠牲が必要だったんだと自己正当化して、俺たち民衆を政治の道具として使い捨てる! だが、貴様らの親兄弟が犠牲となった少数の中に含まれてたことが一度でもあったと言えるのか!?」

「・・・・・・」

「構いません、言わせてお上げなさい」

 

 糾弾し、弾劾する彼に向けて引き金を引こうとする兵士たちをやんわりと制し、近くの兵士の腰に差してた軍用ナイフを一本借りてノンビリとした歩調で近づいてくる軍服の少女。

 

「世の中は不公平だ! 理屈に合わない! 戦争で何万人殺そうと勝ちさえすれば英雄と称えられる!

 都市を燃やして住人を虐殺しても『国家のために、平和のためには必要だった』と言えば正当化されて裁判にかけられることもない!

 なのに俺たち民衆が家族を殺された復讐したら殺人鬼扱いか! 反逆者呼ばわりか! お前らの方がよっぽど人殺しじゃないか! 殺人鬼じゃないか! 戦争犯罪人と呼ばれるべきなのはお前たちの側じゃないのか!

 どれだけ俺たち民衆を殺しまくって犠牲をだそうと、勝ちさえすれば英雄と呼ばれる世の中全部が間違っている!!!」

 

「なら、あなたが世の中の誤りを正して見せなさい」

 

 スパッと、刃物が肉を切る音が聞こえて、ブシャー!と噴水のように水分が吹き出す音が響き、頸動脈を切られて事切れた男の死体を軽く蹴飛ばすと、持っていた上半身だけの死体がゴロリと横に転がり落ちる。

 

 ――そして出てくるのは、死体で隠して見えなくしていた、男の腹に巻かれた大量のTNT火薬。

 ライフルで死体ごと撃ち抜いていたら今頃どうなっていたかと怯える兵士たちに向かって、軍服姿の少女は軽く肩をすくめて見せる。

 

「夜中に子供のいる家を囲んで「正義正義」と騒ぎたて、社会批判をしたがる大人のやる事なんて、この程度のものです。

 世の中が間違っていると思うなら、自分が正しいと信じる在り方に変えてしまえばいいだけのこと。

 やるべきことも成そうともせず、他人にされたことばかりを批判して、自分が今やっているのがテロでしかないと言う現実を見ようともしない口先だけの詭弁家が唱える正しい世の中なんてご都合主義社会に決まっているのですからね・・・バカバカしいですよ、こんな人の自己陶酔にまじめに取り合って心中させられるなんて言うのはね」

「・・・・・・」

 

 無言のまま、気持ち悪いものでも見るかのように男の死体を距離を置いて見下ろしていた兵士たちの元に、やがて数機の軍用ヘリが到着する。

 

「セレニア様、お迎えに上がりました。遅れて申し訳ございません、離陸を邪魔しようとする暴徒どもの駆除に手間取ってしまったものですから・・・」

「構いませんよ、多少の遅れは想定の内です。――皆様方は?」

「全員、ヘブンズ・ベースを目指して逃走中とのことであります。ジブリール様からも、一刻も早く合流して欲しいとの嘆願と言いますか、悲鳴が届けられておりました。詳細はこちらに」

「結構です。では行きましょうか。今のところ他に行ける場所もなさそうですからね」

『ハッ! 承知しました!!』

 

 それぞれが分かれて所定の移動用ヘリに搭乗し、南極にある地球連合軍の一大拠点ヘブンズ・ベースを目指して機を浮上させていく。

 ロゴスを見捨てるにしろ何にしろ、今のままでは部下たちを降伏させてあげても報復の対象として生け贄代わりに殺されかねない。なんとか彼らの今後の生活保障と命の安全を確保してあげるのが上に立つ者、指揮官としての義務と責任というものだろう。

 

 やがて機が一定の高度まで浮上すると警告が発せられてくる。この屋敷がある国の政府がプラントに寝返るため、手土産となるロゴスメンバーの身柄を要求してきたのである。

 

『――プラント側に引き渡されるまでの間、貴殿と部下の方々の安全は我が国が責任を持って保証する。

 貴官らにも人として良心があるはず。自らに非なしと主張するならば尚のこと、国際法廷の場で自らの潔白を主張し、正義と真実の名の下、公平な裁きにより無罪を勝ち取るべ――』

「対艦ミサイルを発射してください。目標はこの国の国防拠点です。位置は事前に入力しておいたデータがあるはずですから、Nジャマーは障害になりませんよ」

「了解。発射します。ファイヤ」

 

 黙々と命令を実行し、政府所有の建造物を破壊させた軍服の少女はマイクを手に取り、途中から沈黙したままの相手に返事を返してやる。

 

「黙って私たちが逃げるのを見て見ぬフリしなさい。今まで通りと変わらず最期のお勤めです。そうすればこれ以上は撃ちません。言い訳も用意してあげますよ」

『・・・・・・』

「はぁ・・・、判りました。じゃあ――私の言うこと聞かないと自暴自棄になって市街地を無差別爆撃しちゃうぞー。無辜の市民に大勢の戦争被害者を発生させたくないなら、無駄な抵抗はやめて私たちを通しなさーい。本当に撃っちゃいますからね~? なんならもう一発いきますか~?」

『市民を人質にするとは何と非道な連中だ! ロゴスとはやはりそう言う奴らだったと言うことだな! やむを得ん! 市民を守る義務がある我々としては諸君らの逃亡を見逃してやらざるをえんだろう! だが、心得ておけ!

 非道な手段で自らの過ちを正当化しようとする者たちは、いずれ必ず正義の刃で裁かれる運命にあるのだということを! この屈辱は忘れない! いずれまた戦場で決着を付け――』

 

 ブチンッ。

 

「失礼、セレニア様。周波数を間違えて、ラジオが放送していたバラエティー番組に合わせてしまっていたようです。調整し直しますので、この国の制空権を出るまで今しばらくお待ちくださいませ」

「・・・別にいいですよ、消しておいたままで。どうせバラエティー以外に放送してても茶番でしょ? 同じようなもんですから聞かなくていいです。あと適当にどうぞ」

「了解。適当に任務を遂行いたします」

 

 適当な指示だけを出して横になり、低い天井を見上げる軍服の少女。

 目をつむって考えてみるのは、この戦争の行く末のみ。

 

 

 一体、このバーレスクはどのような三文芝居で幕を閉じるよう脚本には書かれているのだろう・・・? もうすぐ地球に降りてきそうな脚本家殿に訊ねてみたい・・・。

 

 そんなことを考えながら、彼女の乗った軍用ヘリの一団は市街地上空を平然と通過していきながら、政府所有の建物だけを攻撃して治安機関を黙らせていく。

 

 国民を守るための軍隊が政府しか守らなくなった世界の末路を眼下に見下ろしながらヘリは飛んでいく。

 

 何が正義で、誰が悪なのか?

 その答えを知るものは誰もいない。

 

 ただ、それを知りたいと望み希求する群衆たちだけが、満天の星空の下でひしめき合いながら怒号と悲鳴を叫び合い続けている・・・・・・。

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