ガンダム二次作   作:ひきがやもとまち

35 / 91
バケモノの続きを書きたいのですが、執筆環境が悪くなりすぎていて集中して書ける時間がバラバラになりすぎてしまい、腰を据えて書けない状態にあります。バラバラに書いてヒドイことになった前科のある作品ですので環境が落ち着くまで今しばらくお待ちくださいませ。

代わりとして、短時間でパパッと書けた『死のデスティニー』3話目を投稿させていただきましたので、場繋ぎにでもどうぞ


機動戦士ガンダム 死のデスティニー PHASE-3

「――時間だッ!!」

 

 ミネルバの艦橋でデュランダルは座席から立ち上がって宣言した。

 彼が指定して敵が受け入れた開戦時間がようやく訪れ、両軍からの攻撃が開始されたのである。

 

 ――敵の手で秘匿していたウソを暴かれた彼は、ここに至るまで味方してくれた同盟軍各位に対して『今はロゴスを討つことが何よりも優先』『戦い終わった後に正式な説明と謝罪を約束する』・・・という論法で不承不承ながらも納得させて引き下がらせていた。

 そのお陰で同盟軍から今のところ脱落者は出ていなかったが、デュランダルを見る彼らの視線に厳しいものが混じってしまうのは仕方のないことであっただろう。

 

 刻限を迎えたヘブンズベースから、一秒の狂いもなく撃ち出されるミサイルの雨を目視した瞬間に、ザフト、対ロゴス同盟軍も敵の動きに呼応して動き出す。

 

「我らもただちに攻撃を開始する! ミサイル発射! 降下揚陸隊を発進準備させろ!」

「――コンディションレッド発令! 総対戦用意!!」

 

 グラディス艦長が事務的な表情の仮面で、言いたいこと聞きたいことの山にフタをしてから、議長の攻撃開始命令に従い同盟全軍に個別の指示を下し出す。

 

 ――誰が間違っていて悪いにせよ、とにかくは勝って生きて帰ることが先決だ!

 

 艦長として部下たちの命を預かる者の立場が言わせた攻撃命令。それに従って同盟軍先頭集団からモビルスーツ隊が発進されていき、敵部隊と正面からぶつかり合う。

 刻限を守って正面からぶつかり合うオーソドックスな始まり方をした戦闘は、両軍共に有利でも不利でもない形での開戦だったが、すぐにザフト軍モビルスーツ隊の方が優位に立ち始めた。

 

 当然だ。個人の能力がものを言う戦い方で、コーディネーターがナチュラルに後れを取るわけがない。不意打ちでもされない限り、正面決戦でザフト軍が連合側に圧勝するのは必然的帰結と言っていい。

 敵も遅まきながら事実を認識できたのか、次々と機首を翻して元来た道を尻尾を巻いて逃げ帰り始める。

 ある意味では、潔く良い退き方と言えないこともなかったが、威勢よく掛かってきた割には「口ほどにもない」感は拭えない。ザフト軍のパイロットたちも、やはりそう思った。

 

「よぉし、今だ! 撤退する敵の背後から食らいつき、敵要塞に肉薄しろ! 追撃戦だ! 急げ!」

 

 議長からの命令に、今度はグラディスは即応せずに振り返る。

 

「議長、それでは作戦が――」

 

 成り立たなくなる――そう続けようとした彼女の言葉を議長は穏やかな笑顔で手を上げることで制止させる。

 

「わかっているよ、艦長。私もこの攻撃で敵要塞すべてを攻略させようなどとは考えていない。

 だが、降下揚陸部隊が軌道上から降りてきたときに挟撃できるよう、敵要塞の一角を橋頭堡として確保しておくことは無駄にならないだろう?」

「・・・・・・」

 

 グラディス艦長は用心深く沈黙を保ち、軍帽をかぶり直すフリをしながら敵要塞の見える窓の方に身体ごと視線を戻す。

 ・・・議長の言ってることも間違いではない。たしかに敵の砲手も逃げてくる味方ごと敵を撃つのはためらわざるを得ないはずだ。

 あるいはロゴスやブルー・コスモスなら躊躇うことなく撃ってくる可能性もあるが、それを言い出したら切りがない。何でも有りになってしまう。それでは作戦もクソもない。

 

 ――それに・・・だ。

 

(・・・何より議長の求心力が低下してしまっているのが大問題だわ。ここは何も言わずに彼の命令に従って作戦を成功に導くことに貢献する以外にないわね・・・)

 

 そう思い、彼女は自分の不満を納得させた。・・・と言うよりも、納得させざるをえない状況に置かれていた。

 デュランダルが嘘をついていたのは事実だし、彼女も彼には言いたいことや聞きたいことが山のようにあるが、それでも彼が失脚してもらっては困ると言うのが同盟全軍にとっての素直な本音だったからである。

 ――彼が抜けた穴を埋められる人材が他にいないからだ。同格の第三人者はいくらでもいるが、第一人者は彼しかおらず、第二人者にいたっては一人もいない。彼が責任を取って引責辞任をした後に、せっかく築いた連合からの脱退組とプラント本国とを結びつけられる存在は残念ながら今のプラントには皆無だ。今までの状態に戻すことなら可能だが、今の友好関係は維持できない。

 

 どれほど怪しく疑問に思える部分が数多かろうとも、デュランダルはザフト軍と対ロゴス同盟軍を纏め上げたカリスマなのは事実だったから・・・・・・

 

 

 

 

 一方その頃、ヘブンズベース司令室。

 

「味方の第一陣が、敵の追撃部隊を引き連れて全速力で撤退してくるのを確認しました。背後の敵部隊、イエロー・ゾーンを突破」

「予定通りだな・・・。よし、セレニア司令の作戦案に従って避難口に指定されたMSハッチを開け。各モビルスーツ隊は所定のハッチから到着した順番に逃げ込んでくるよう命令を伝達しろ。余計な色気は出さずまっすぐ逃げ帰ってくればそれでいいとな」

「ハッ、了解しました。伝えます」

 

 オペレーターからの返事を聞きながら、司令官は軍帽を脱いで顔を煽ぐと、何かを諦めたような表情でポツリとつぶやきを発していた。

 

「・・・偽装銃座による十字砲火の火線上に敵を呼び込む誘い水役、ごくろーさん・・・」

 

 

 

 斯くして戦況は一変させられる・・・・・・。

 

 逃げる敵を追って追撃していたザフト軍の水陸両用モビルスーツ隊は、正面から撃たれないよう細長い列に並んで敵要塞に肉薄していたのだが、ヘブンズベースの砲手たちは作戦通り、敵の細長い脇腹めがけて集中砲火を浴びせ損害を与えた。

 

 さしものザフト軍パイロットたちも、柔らかい脇腹を突かれるとは思っておらず体勢を立て直すため前進を止めて集結し直したところ、今度は基地の地上部分から対潜ミサイルが雨のように撃ち出され、爆発深度を設定されていたそれの被害から逃れるため『コンピューターで予測しやすい正確な回避機動』を取ってしまい更なるダメージを追加で受けさせられてしまう。

 

 モビルスーツが従来の既存兵器を圧倒したのは、敵の攻撃をかいくぐり急速接近してくる複雑な機動を可能ならしめた圧倒的な機動力あってこそのものであり、狙った場所に自分から突っ込んでくるだけでは単なる鉄の的に等しい。

 

 傷だらけになりながらも何とか戦場を離脱して、敵要塞の射程距離外まで逃げ延びてきた彼らは死者数こそ少なかったが、無傷で生き延びれた者の数は更に少なくなっており、そこへ偽りの後退を止めて反転し総反撃するため自分たちの方へ向かってくる連合軍の水中用モビルスーツ部隊を目にしたことで自分たちが罠に誘い込まれたという事実に気づかされ唇を噛みしめながら全速力で元来た道を引き返し始める。

 

 そんな彼らの左右から、来るときには岩場に隠れてエンジンを切り、黙って通してやった連合軍モビルスーツ隊が次々と機体を再起動させて逃げるザフト軍に左右から中距離射撃用の魚雷をつかった挟撃を開始する。

 

 近づいてくればまだしも、水中戦で中距離では当てずっぽうで魚雷を撃ちまくり牽制するぐらいしか出来ることがないザフト軍水中部隊は、『今は敵を倒すよりも逃げる方が先決だ』と判断して攻撃される中をまっすぐ突っ切る道を選択した。

 

 やがて味方の窮地に慌てて駆けつけてきた援軍と合流して安全を確保した頃には、敵軍は既に要塞内へと逃げ帰ってしまった後であり、ピエロを演じさせられるだけで終わったザフト軍パイロットたちはヘルメットを床に叩きつけて怒りに身を震わせた。

 

 

 その頃、同盟軍臨時総旗艦ミネルバの艦橋では。

 

「何ということだ、ジブリールめ!」

 

 デュランダルが語気荒く敵将を罵る声を響かせていたが、誤解である。

 今おこなわれた作戦に於いてジブリールは何もしていない。ただ敵の無様さを眺めながら笑い転げていただけである。

 だが、そんなロゴス側の人事事情など知るはずもないデュランダル配下のザフト軍将校が、焦った声で口を挟む。

 

「議長、これでは・・・!」

「ああ、わかっている――やむを得ん! 彼らにもただちに戦闘を開始してもらおう! デスティニー、レジェンド、インパルスを発進させろ!」

「・・・!! 議長! それでは作戦が・・・っ」

「わかっている・・・っ」

 

 苛立たしげに艦長の声を遮ると、彼は立ち上がってミネルバの窓に歩み寄りながら諭すような声で言ってくる。

 

「君の言いたいことは分かっている。確かにそれが道理だろう・・・。だが、このまま我らが負けてしまったら世界はどうなる?

 今ここでヤツらを討たねば戦争はなくならない。この世界がロゴスの物になる前に我々の手で終わらない負の連鎖を断ち切らなければならないのだよタリア・・・っ!!」

「・・・・・・」

「糾弾もいい、理想もいい。――だが、すべては勝たなければ意味がない。“古から全ては勝者のものと決まっている”・・・そんな歪んだ信念の持ち主たちをここで撃ち逃す訳にはいかないのだよ、タリア・・・っ。どうか分かって欲しい・・・」

 

 返答に窮するグラディス艦長。そんな彼女に決断を促したのは、意外なことに議長でもシン・アスカたちエースパイロットでもなく、単なるオペレーターの一人がもたらした報告によってであった。

 

「・・・!! ヘブンズベース地表部分に高熱源反応を確認しました! これは・・・まさか!?

 ベルリンの悪魔です! あの巨大モビルスーツが出現しました! 同型機を五機確認!」

「ええぇぇーっ!? アレが、五機も!?」

 

 ミネルバ副長のアーサー・トラインが、艦長の代わりに言いたかった言葉を叫んでくれた。

 まったく、何てことだろうか! たった一機でベルリンの町を壊滅させた悪魔が五機も同時に現れるだなんて悪夢としか言いようがない。

 このままでは降下部隊が来るまで持ちこたえることさえ危ういだろう。

 

 ――ならば・・・・・・っ。

 

「シン、準備できてる? 出撃よ! 無理を言って悪いけど、なんとかアレを足止めしないと戦線が崩壊してしまうわ! 急いで!」

『わかってます艦長! 行けます! 行かせてください! 早く発進をっ!』

 

 艦内モニターに映し出されたシンに呼びかけ、即答を得た艦長。最前の攻撃を自分の目でも見たのだろう。怒りに赤い瞳を燃やして逆に出撃許可を求めてくる。

 

 ・・・だが、彼ほどの怒りと憎しみをレイとルナマリアは共有できていなかったようである。

 彼女らも十分早い反応速度で機体に乗り込み、発進準備を進めていたのだが、スタッフの方が彼らの尋常ではなく素早い反応に対応しきれなかった。

 レジェンドとインパルスの発進には、まだわずかに時間が必要となる・・・っ。

 

(――どうするか・・・!? シンだけでも出撃させて敵を足止めできるなら、やらせてみる価値はあるかも知れない・・・っ、けど・・・っ!)

 

 悩む艦長。

 その悩みを議長が一言で一刀両断する。

 

「頼む」

 

 それで全てが決した。

 デスティニーがミネルバから発進していき、少し遅れてインパルスとレジェンドも大空へと飛び立ち出撃していく。

 

 

 ――この出撃順序の変更は、あきらかに敵の作戦立案者の計算を狂わせるものであり、未だデスティニーとレジェンドの存在を知りようもない“彼女”を倒すため議長の一言によって変更が決まった決断は大きな役割を果たすことが出来た可能性もあっただろう。

 

 

 ・・・ただし。それはデュランダルが事前に呼びかけて集まってもらっていたマスコミ船に、どこよりも早く真相と正確な情報をお届けする親切な名も知らぬ小国から派遣されてきた零細艦隊の同盟軍参加を拒否していた場合に限っての話である・・・・・・

 

 

「・・・二機の発艦を確認しました。作戦が始まる前に議長から渡されていた敵味方識別コードによれば、敵機体のコードは“インパルス”と、“レジェンド”だそうです」

「よし、随行してきているマスコミ船に今すぐリークしろ。大至急だ。急げよ」

「ハッ! 急いでチクリに行って参ります!」

 

「・・・・・・悪く思わないでいただきたい、議長・・・。我々はあなたを裏切る訳ではない・・・。あなたに言われたとおりの行動をしているだけです。

 その結果、全世界同時生放送されているテレビの映像と音声を受信した一人が、ロゴス最年少メンバーだったとして、どうして我々が責められねばならぬ道理がありましょうか・・・?

 我々の小国は、こういう風にして生き延びねばならぬのですよ・・・たとえ乞食と蔑まれようとも、正義の騎士として死ぬわけにはいかんのです。

 我々は何としても生き延びねばなりません・・・我々を乞食と呼んで蔑みながら死んでいった大国の勇者たちが死ぬ姿を見届けるためにね・・・・・・」

 

 

 

 

 

 そして、そんな小国から情報をリークされた、どこよりも早く新鮮な情報を視聴者に流すことで誰よりも多くの視聴率を得たいと願う人気テレビ局の生放送を受信した船の艦橋で、こんな会話が交わされていたことを世界はまだ知らない。

 

 

「インパルス発進を確認しました。情報通り・・・いえ、情報よりも二機多いようです」

「・・・ミネルバ隊のエースさんたちは三人だったはずですから、機体数だけは前と同じになったわけですか・・・。

 海軍の人たちは数さえそろっていると安心できるとかなんとか聞いたことありますけど、相手があの“ミネルバ”と“インパルス”じゃあ不安にしかなりませんね~。やっぱり新型機が与えられて乗り換えたってことなんでしょうか?

 だとすれば、図体がデカくてウスノロな分デストロイの方が不利・・・時間との勝負になりましたねぇ。こっちが片付く前にデストロイが全部倒されてしまったらゲームオーバーですよ。シンプルなゲームじゃないのは面倒くさいですよね・・・」

 

「ま、いいでしょう。どのみち私たちのやることは変わりませんからね。

 ――全艦浮上、アップトリム最大。浮上しながらミサイル発射管注水開始、海面に出る寸前に一斉射して、こちらに敵の目を向けさせなさい。

 それで光波防御帯技術を積んだ工作船の映し出す映像に意識を集中させなさい」

 

「・・・ああ、それから偽装艦が見た目だけ本物と同じくしただけで中身空っぽのガランドウ船だと敵にバレたら終わりですので、絶対に全艦同一速度で敵に近づいて心理的に圧迫させることを徹底しておくこと。突出したら全滅させられますからね、気をつけなさい。

 一定間隔ごとに配置した本物だけが、ウチの分艦隊がもつ全戦力なんて敵に知られたら一巻の終わりです。工作艦による映像でカモフラージュしながら近づいていき、内部崩壊を誘うのが主目的であることをくれぐれもお忘れなきように」

 

 

「さぁ・・・敵の皆さんにモビルスーツのない艦隊がどうなるか教えてあげに行くとしましょうか。攻撃開始です。ファイエル」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。