「久しぶりに感じる、地球の1G重力か・・・」
《オペレーション・スピットブレイク》実行の前準備であるパナマポート攻略のための戦力集中を偽装する一環として、我々クルーゼ隊を乗せた状態でローラシア級から射出された降下ポッドの中で、私はそう独りごちた。
「・・・不愉快だな、この感覚は・・・。
まるで年老いた母親の妄執が宇宙を汚す物の怪と成り果て、母の元を巣立っていった子供たちに忘れられまいと体内へ引きずり戻そうとしているように感じられる・・・」
私はこめかみの辺りに感じた頭痛に手を当てながら、そう慨嘆せずにはいられなかった。
コズミック・イラの世界にパプティマス・シロッコとして生まれ変わった私が転生特典として与えられていたニュータイプ能力が言わせる言葉である。
天才ニュータイプ青年、パプティマス・シロッコとして生まれかわった私は地球の自然から生まれたナチュラルであり、宇宙で生まれ育ったコーディネーターではない。
『Define』のシロッコと同じく、ザフト軍に入隊するため地球にいた頃の記録は抹消済みとは言え、せっかく里帰りした地球だ。何かしら思うところはないものかと期待していたのだが、一度も地球の土を踏むことなく嫌悪感から入らされるとは残念でならない。
ガンダムSEED世界特有の、地球を取り巻く自分より優れた者たちへ向けられる嫉妬と憎悪。
それら醜い負の感情は、私がいた頃より深みと暗さを増したように感じられた。
それが不快さとなって私のニュータイプ能力を悪い意味で刺激したのだろう。
「凡人が自分より優れた者の才能を妬むのは仕方がない、許せる。人がやることなど所詮そんなものだと、笑って流せるのが天才であるべきだからだ・・・。
だが、クズは必要あるまい? まして、天才の足を引っ張ることしかできず、優れた人の存在を冒涜する以外になんの存在価値もないクズ以下のムシケラは粛正される運命にあらねばならんのだよ・・・・・・」
私はそのような価値基準のもとでコズミック・イラの世界を今まで生きてきた。
どうやら原作シリーズにおいてエース級ニュータイプでありながら、一度たりとも地球に降りたシーンを描写されなかったシロッコの肉体と地球の相性は良くないらしい。
「所詮、『木星の重力によるプレッシャーでニュータイプ能力に開花した青年』パプティマス・シロッコに、地球の重力は必要なかったと言うことか・・・・・・」
そう結論づけると私は瞼を閉じ、機体が地上へ着陸するのを大人しく待つことを選択した。
大気層を抜ければ見えてくる、青く眠る太陽系唯一の水の星の情景に夢を抱く気持ちは、今の私から完全に消え去って遠い刻の果てに流されついた後だったから――。
「お願いします隊長! アイツを追わせてください!!」
・・・今日何度目になるか分からぬイザークの叫びが、室内に響き渡る。
隊長および副隊長に与えられている細やかな特権として、愛機の搬送作業は整備班にやらせ赤服のエースたちより先にブリーフィングルームへと赴くことを許されている私とクルーゼだったが、流石に今回だけは上位に立つ者としての義務と特権が相関関係にあるものなのだと基本的な認識を苦々しく再確認せざるをえない。
なにしろ、我々より先に到着して上官たちの着任を待ちわびていたらしい部下からの数ヶ月ぶりに聞かされた第一声が『ストライクおよびアークエンジェル追撃命令継続の嘆願』・・・と言うより『要求』だったのだからな。
傲慢なきらいがあると自覚している私たち二人でなくとも不愉快な再認識を余儀なくされざるをえんだろう。こういう時だけは連合の上意下達な軍隊のあり方が羨ましく感じられるのが二重の意味で腹立たしい。
「イザーク・・・、感情的になりすぎだぞ?」
「ですが・・・っ!!」
隊長であるクルーゼが、やんわりと窘めてやるが通じない。尚も自分の意見の正しさを信じて我を通そうとしてくるイザークには、さすがに我が性悪な友人も呆れ気味な態度になってきている。
・・・遺伝的に優れた能力を持って生まれたコーディネーターのみで構成された軍隊であるザフト軍には、厳密な階級というものが存在しておらず、隊長や艦長などといった役職のみが組織としての建前で特権を与えられているに留められている。
基本的に知的レベルの高い軍隊であるザフト軍は、上官の命令に従うだけでなく、兵士たちが現場で独自の判断を下すことが許されている・・・・・・そういう名目が、連合の階級社会に対抗するためにも平等を謳うコーディネーター国家プラントには存在しているからだ。
原作におけるこの後に展開、パトリック・ザラの暴走とジェネシス発射と、ギルバート・デュランダルへの盲信ぶり。
さらには『お国の命令だから』『勝つために必要だから』と免罪符を口にし続けるしか能がなくなった『能力は高いが自分で考える頭を持たない木偶の群れ』に成り下がった近未来のザフト軍を知る者としては失笑ものでしかない建前だがな。
表向きの意味しか無い規則だからこそ、表向き守ってやらなければならん義務が存在する。ワガママ放題で育った子供には、それが分からんらしい。
そろそろ私がヒール役を買って出て仲裁に入ってやろうかと考え出した頃、ちょうどいいタイミングでブザーが鳴り、部屋の外から「失礼します」と声がかかると扉が開かれる。
「アスラン・ザラ、ニコル・アマルフィ、入室いたしま・・・イザーク!? その傷・・・」
入ってきたのは、機体の搬送作業を終えたらしいアスランとニコルだった。
家柄自慢で、能力自慢でもあるイザークにとって両方共に自分より一段上に位置し続けてきた過去を持つアスランは意識せずにはいられぬ相手。
彼の顔を見た途端「・・・フンッ!」と鼻を鳴らしてそっぽを向くと、先ほどまで威勢良く吠えていたのが嘘のように黙りこくって静かになってくれた。
その光景を見て、私とクルーゼは同時に心の中だけで冷笑を閃かせていた。
――無能者めが・・・と。
フィクションではなく現実の人間がやることとして、イザークの愚考と愚行を目の当たりにしてしまえば、そう思えてくるもの致し方あるまい。
そもそも、コーディネーターが生まれつき能力面で優れている事実を認めようとしないナチュラルの頑迷さを口汚く罵っていたのは、他の誰でもない彼だったのではなかったか?
強がっているから、自分の言った言葉が行動を裏切ってしまっていることに気づけなくなるのだよ。俗人が、語るに足りん。
「傷はもういいそうだが、彼はストライクを討つまで痕を消すつもりはないと言うことでな」
クルーゼが事情を知らぬアスランとニコルに説明してやる。
さて、これで参加者全員がそろったと言うわけだ。ようやくクルーゼ隊として次の作戦を前に行動方針を決めるための会議が始められるな。やれやれだ。
アーガマを見ていても思ったことではあるが、子供のワガママに付き合わされる大人としては迷惑で仕方がない。これがイザークではなくカミーユであったなら、最強ニュータイプ能力に考慮して我慢もしてやれたのだがな。ストライク相手に常勝ならぬ常敗続きのイザークでは苦行にしかなれん。全くもってやれやれだよ。
「――『足つき』がデータを持ってアラスカに入るのは、なんとしても阻止せねばならん。
だが、それは既にカーペンタリア基地のモラシム隊長の任務になっている」
「我々の仕事です! 隊長! あいつは、最後まで我々の手で!」
「私も同じ気持ちです、隊長!」
「ディアッカ・・・」
「ふん! 俺もね、さんざん屈辱を味あわされたんだよ! あいつには!」
事務的なクルーゼの説明に対して、再び感情論で隊としての行動を決めさせようと論陣を展開してくるイザークとディアッカ。
常は皮肉屋なディアッカでさえ感情的になっている事実を前に、ニコルでさえ驚いて彼を見つめ、その視線に気づいた彼が顔をしかめる。
・・・敗北と失態続きで自らに科した冷静な皮肉屋という仮面すら維持できなくなったか・・・負の感情丸出しで喚くしかなくなったプライドだけは高い子供というのは哀れなモノだ。
「無論、私としても諸君らと気持ちは同じなのだがね・・・」
クルーゼが表向き血気にはやる若い部下たちの勇み足に同調して見せてから、私に対して配役を振って
「シロッコ、君はどう思うかな? 隊長として部下たち全員の意見を聞いておくためにも、副隊長である君の意見も拝聴しておきたい」
「無論、私も個人的感情としてはイザーク達と同様だ。一度補足した獲物を取り逃すことはプライドが許さない。
『足つき』追撃任務と言う名の役割は我々に与えれたものであり、一度ならず二度までも与えられた役割を演じきることなく途中退場させられるなど余りにも不快すぎるからな」
私が即答で断言して返すと、イザークとディアッカが「我が意を得たり」とばかりにニヤリと笑って、敵にキラがいる事を知っていてニコルがまだ殺されていないアスランは不満そうに顔を歪めながら沈黙を貫き、原作通りニコルは特に何も意見しない。基本的にイエスマンなのが彼だからな。求めるだけ無駄な役割というものもある。
「『足つき』を落とすのは我々の仕事だという信念には、私も固く確信しているところである。
――が、それを決めるのは我々の仕事ではなく、もっと権限を持つ軍上層部がやるべき仕事だとも思っているのでね。私情と公の立場に揺れて判断が難しいところだな」
即答に続く言葉で一瞬前まで良かった表情と機嫌を一気に急降下させるイザークとディアッカ。対照的にホッとしたように安堵の吐息を漏らすアスラン。
子供らしく素直な反応で、結構なことだ。
「我々軍人は組織の決めた命令に従う義務がある。国内最大最強の暴力機関としての側面を持つ我々が規範を超えて恣意的な行動を取ることは許されるべきでは決してない。個人的感情を理由として無名の師を起こし、無辜の民衆を傷つけてしまうなど許されざる蛮行だという認識は良識ある諸君らにとって言われるまでもない常識であると確信しているところだが如何に?」
「「・・・・・・」」
「とは言え、戦いというモノは非常なものであり、軍人は常に最悪のケースを想定して動かなければならない以上、二の手、三の手ぐらいは用意しておくのが当然の義務だと私は考えるが・・・どうかな? クルーゼ」
「ふむ?」
私からのわざとらしい反問に、友人もまたわざとらしく顎に手を当て考える素振りをして見せた後。
「つまり、モラシム隊長が敗退した場合に備えて後詰めの任を我々が担う・・・そういう解釈で合っているのかな? 我らが聡明なる天才参謀シロッコ副隊長殿」
「まさにご慧眼であります、クルーゼ隊長殿。小官としましても説明する手間が省けて助かりました」
わざとらしい小芝居を終えた私たちの見つめる先で、四者四様に打算と思惑と気遣いが入り交じった表情を浮かべ合っている四人の少年パイロット達。
今更過ぎると自分でも思うのだが、SEED以降のガンダムパイロット達は感情が顔にストレートに出過ぎなのではないだろうか? デュランダルやヒイロ・ユイ、刹那・F・セイエイなどは逆に表情が変わらないまま中身の感情が揺さぶられすぎていたしな。平成ガンダムの少年パイロット達はカミーユとは違った意味で情緒不安定な者が多いようだな。
「無論、私個人としても諸君らと同じ想いを共有している。だが、シロッコの言にも一理ある。
スピットブレイク準備もあるため私は動けんが、そうまで言うならモラシム隊長が敗退したのを確認するまでは攻撃をしない、という条件を守ってくれるのなら、君たちだけで後詰めの任務を許可されるよう上申しておくが、どうかね? やってみるかね?」
「はい!」
気負い込んでイザークが言うのを聞いて、私は唇を歪めたように笑いを浮かべて軽く揶揄しておく。この忙しいときに原作にない騒動でも起こされたら堪ったものではないのでね。
「“今度は”撃たれる前に撃つのは控えてくれよ、イザーク。さすがに私も現場にいなければ、非武装の脱出用シャトルを完全武装した軍隊が撃ち殺すなどという許されざる蛮行を止める術など持っていないのでね」
「・・・!! アレは! あの時はただ・・・っ」
「ただ、何かな? 弁明があれば聞かせてもらいたいな。混戦になったドサクサで民間人を虐殺し損ねてしまった決闘の名を持つモビルスーツのパイロット君」
「~~~っ!!!」
悔しげに歯がみするだけで言い返してこようとはしないイザーク・ジュール。
原作でキラのトラウマにもなった、あの折り紙で作った鶴の女の子のシャトルの事を引き合いに出して牽制に使わせてもらったのである。
折角助けてやった命なのだ。有効利用して他の人を無駄に死なせないよう役立たせないのは勿体ない。私に残った元日本人の“おもてなし精神”が魂の底からそう叫んでいるのだよ。
「フフ・・・そう虐めてやるなよ、シロッコ。――しかし、そうだな。イザークは勇敢で優秀だが前科もあることだし、今回の指揮はアスラン。君がとってみるかね? イザーク、ディアッカ、ニコル、アスランで結成された隊の指揮を」
「――え!?」
出し抜けの指名にアスランが動揺して二の句がつけなくなり、「い、いえあの、俺は――いえ私などではとても・・・」とどもった末に、咄嗟の判断によるものか一番妥当で無難な責任回避方法を選択して私の方へと向き直る。
「わ、我がクルーゼ隊には他の隊と違ってシロッコ副隊長がいらっしゃいます! クルーゼ隊長が不在の折には副隊長であるシロッコ副隊長こそが尤もその任に堪えうるものと愚考する次第であります!」
「ほう、そうかね? 私としては君にも十分すぎるほど将器と才幹を感じていたのだがね・・・。
まぁ無理強いするものではないし、言っている主張も道理ではある。どうかな、シロッコ? アスランもこう言ってくれていることだし君が再び隊の臨時指揮を執ってみるかね?
私としても君なら信頼して隊を任せられる。君がやるはずだった書類仕事の方は、多少キツくはなるが私一人で担ってしまっても構わんが?」
「尊敬し敬愛するクルーゼ隊長殿から直々のご指名を賜り恐悦至極に存じますが・・・辞退いたしましょう。今回ばかりは私にその任務は務まりそうにありませんからな」
私からの返答が意外だったのかアスランは表情を引きつらせ、逆にディアッカは面白いものを見つけたとでも言いそうな顔で傘にかかったように言ってくる。
「へぇ? クルーゼ隊では上官の命令に、部下が異議を唱えてもいい風に規則変わってたんだ? それともそれが、ザフト軍でただ一人の副隊長様特権ってヤツなわけ?」
からかうように言ってくる子供の悪口に、私は白い歯を見せて笑いながら少しだけ教育してやろうと答えを返す。
「当然の判断だよ、ディアッカ。なぜなら私には今回、オペレーション・スピットブレイクで使用するつもりで持ってきた、ハンドメイドの大気圏内飛行可能新型モビルスーツを地上でも性能テストをおこなうようザフト軍本部から直接通達が来ているのでね。
軍人たる者、直属の上官からの命令や親友からの頼みよりも上からの命令を優先して従わなければならんものなのだよ。それが宮仕えの悲しさと言うものだからな。やれやれさ」
「・・・っ!! へぇ・・・噂の天才技術者様が造った新型機ってヤツは、宇宙で散々テストした後でも地上に持ってきたらまたテストしなくちゃ危ないような代物なんだ。そんなので本当に大丈夫なのソレ?
現場のパイロットにとっては戦場でモビルスーツだけが頼りなんですけども~?」
「ああ、そうだな。だからこそテストには万全を期するに超したことはないのだよディアッカ。
宇宙で使いこなせていたからと、地上に戦場が変わった後でも問題なく使えると思い込みいきなり実戦投入させ、勢い込んで出撃してみたはよいものの、慣れない環境下でまともに動かすこともできずにノロマなだけの役立たずかお荷物になってしまったのでは格好がつくまい?
そういう赤っ恥を晒さぬ為にも、出撃前の入念なチェックと調整は技術者として基本中の基本なのだよディアッカ君。君たち現場のパイロットにも理解してもらえると助かる苦労なのだがね」
「・・・・・・っ!!!
――チッ!!」
今度はバルトフェルド隊長とキラが戦ったときにレセップス上で晒していた、彼ら二人の赤っ恥体験を引き合いに出して黙らせてやる。
プライドの高いこの二人が、あの様に無様な醜態を報告書に記すはずもなく、数少ない目撃者で生存者でもあるマーチン・ダコスタたちバルトフェルド隊の生き残りメンバーは、死んでいなかった彼らの隊長を守る形で本国へ帰国中。
斯くして彼らの犯した過ちは、誰にも知られぬことなく黒歴史として忘れ去られるはずだったわけだが・・・・・・生憎と原作を見ている私にとっては報告書の記述するかどうかなど関係ないのでね。利用させてもらった。
言われた相手にとっては「まさか知っているはずはないはずだが・・・っ」と思い悩みながらも聞くわけにもいかない自分自身の恥さらしな記憶だ。自分の口から直接聞き出せるわけがない。
ディアッカ、悪く思わんでくれ。そして恨むとしたら自分たち自身が無能なのがいけないのだよ、クククク・・・。
「他に意見はないようだな? よろしい、では満場一致での作戦案可決と言うことで軍上層部へ上申し、カーペンタリアで母艦を受領できるよう手配する。ただちに移動準備にかかってくれ。以上だ」
クルーゼが放った止めの一言が全てを決して、臨時のクルーゼ隊・・・いいや、アスラン隊が『足つき』を追って動き出す。
目指す場所は『オーブ首長国連邦』。
キラ達の祖国がどうこうと言うより、バルトフェルド隊が任されていた北アフリカ方面から大西洋連邦の支配領域である南北アメリカ大陸まで直線距離で一番近い道のど真ん中にある国だからな。遠回りをする理由も余裕もないアークエンジェルには他に選択肢と呼べるものが存在しない。
アラスカのパナマへ向かうためには必然的に通らざるをえない道の直近にある国なのだから。
「さて、私もそろそろ出るとしようか」
「行くのか? シロッコ」
「私に、あの経験不足な若者達を助けさせたいのならそうするべきだ。今の彼らでは『足つき』には勝てんよ」
「・・・上申書には、予定通り新型機の性能テストということで出しておこう。それで誤魔化せるだろうからな。
機能テストでしかないとして、ついでにディンの一個小隊でも護衛に付けさせるかね?」
「私が試作した新型機一機で済むなら、あんな旧式の空飛びカカシを使って敵に撃墜スコアを稼がせてやる必要はないだろう? まぁ、見ておけ。
負の感情を丸出しにする度胸もないくせに、理論武装して私情を正当化したがる子供達を死なせないでやるためにも出撃する」
「パプティマス・シロッコ、『プロトタイプ・メッサーラ』、出る!!!」
つづく
今作オリジナル設定
新MS『プロトタイプ・メッサーラ』
原作シロッコが使っていたメッサーラを大気圏内でも飛行可能にした可変MS。
MS誕生から三年と待たずに飛行可能MSが当たり前になる『SEED』および『デスティニー』世界の技術進歩速度を先回りして取り入れたため推力と出力が桁外れに向上している。
外観的には原作と全く同じ物だが、性能面では比べるべくもない。
要するにスパロボ世界のメッサーラみたいな機体ということ。
表向きはアラスカ基地攻略のためシロッコが試作した飛行可能な可変MSだが、実際には細かい位置がわからないキラとアスランたちとが戦う場所を空から探すためシロッコが造った機体の中で相応しいのを造っただけである。
ただし凝り性なので手は抜いていない。
天才のプライドが中途半端と妥協を許容しない性格の持ち主である・・・。
*今回はアスランとキラそれぞれに対するケジメを付けさせるため、あえて彼らだけで会わせる必要がありましたので原作展開に委ねましたが、ニコルを死なせることなくキラとアスランを全力で戦わせるため転生シロッコもまた知謀を巡らせております。
補足説明:
今話の中で転生シロッコが《ディン》のことを『旧式の空飛ぶカカシ』と呼んだ理由の補足説明です。
パナマ戦までザフト軍の専売特許だったMSが敵味方共に急激に進化して、SEEDにおいては唯一の飛行可能量産型MSだった《ディン》でさえ次の戦いで時代遅れと化してしまう、ガンダム世界におけるMS開発技術の発展速度の異常さを揶揄した表現。
それと同時にSEED時空では、単独飛行可能なザフト軍唯一の量産機でありながら戦闘面では碌な活躍も出来ずに、救出作業や搬送などの支援ばかりで活躍していた原作描写を指して『戦争用の兵器とは呼べない』との皮肉も込めたダブルニーミングとなっておりました。
*補足説明2
指摘を受けましたので追加解説をさせて頂きます。
今話内でカミーユのことを『最強のニュータイプ』と表記している部分に浮いてです。
どこかの設定資料に『ニュータイプ能力ではカミーユが最強、ニュータイプパイロットとしてはアムロが最強』と記されていた記憶がありましたので採用した次第です。
実際、終盤戦で強敵倒せたのは全部オカルトじみた超能力によってでしたからな…。金縛りとかバリアとかなんだよ、と。
――余談ですが、超能力なしでヤザンに勝てる手段はあるのかと昔から疑問に思い続けている作者のひきがやもとまちでした。