ガンダム二次作   作:ひきがやもとまち

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正規版『戦記好きが』を久方ぶりに書いてみました。最近どうにも頭の回転が鈍くなりすぎていますので少しでも趣向を変えてみた方がいいかなと思い、最初から思いついてた内容の最後ら辺に追加要素を付け足してあります。
楽しんで頂けたら嬉しいですけど、イヤだった場合は消してそこだけ書き直しますので言ってくださると助かります。正直今は頭のバランスが良くないです故に。


正規版・戦記好きがキラ・ヤマトに憑依転生 第2話

 キラ・ヤマトに生まれ変わった少年が、本来の彼と同じような経緯を経て同じ場所へ向かい始めていたのと同時刻。

 中立国オーブが保有する工業用コロニー『ヘリオポリス』の宇宙港から、一隻の老貨物船が管制に許可され入港してきていた。

 

『軸線修正。右6コンマ、51ポイント。進入ベクトル良好』

『制動噴射、停止。電磁バケットに制御を移換する』

『原則率、2コンマ56。停船する。待機せよ』

「・・・これで、この船の最後の任務も無事終了だ・・・」

 

 管制官が伝えてきた最後の一言をもって、船の入港作業と“この船の存在価値そのもの”が完了したことを知らされた年老いた船長は、大任を果たし終えた安堵感から思わずそう呟きながら帽子を脱いだ。

 彼がかぶっていた帽子は、貨物船の船長が被る物にしては妙に軍人臭さが感じられるデザインが施され、彼が着ているクルーたちと同じ白色の作業服とも微妙に色合いが異なっていた。

 然もあろう。事実として彼らは地球連合軍に所属する正規の軍人たちであり、中には国運をかけた重要な任務を果たすために実戦経験豊富な精鋭兵士さえ連れてきているのだから。

 

 ヘリオポリスに入港して、“適切な人材”を“物資”まで送り届ける・・・それまでの間だけ敵の目を欺ければ十分過ぎるとして用意された物品を纏っているのだ。多少の違和感ぐらいは許容範囲としてもらう他ない。

 

「貴様も護衛の任、ご苦労だったな。フラガ大尉」

「いえ・・・航路なにもなく、幸いでありました」

 

 船長――いや、“艦長”から話しかけられた相手である二十代後半のすらりとした金髪の優男が応えを返す。

 端正ともいえる顔立ちと飄々とした雰囲気を漂わせ、不敵な笑みを浮かべた男は真剣味を増した表情と声音で念のため気になる情報の確認を問う。

 

「周辺にザフト艦の動きは?」

「二隻トレースしておるが・・・なぁに、港に入ってしまえばザフトも手を出せんよ」

「・・・フッ」

 

 艦長からの返答に彼はかすかな嘲笑で応じたが、それは別に上官に向けて放ったという訳ではなかった。

 

「・・・中立国、でありますか。聞いて呆れますな」

 

 プラント・連合双方が争い合う状況の中で、敵対する双方のどちらにも与することなく中立を保ち、独立主権を維持している国『オーブ首長国連邦』

 その中立性を利用して、連合軍はこのコロニーを対ザフト軍への切り札となりうる兵器の開発を共同で押し進めていた。

 今回、彼らが入港してきたのは完成した兵器を操るパイロットたちを送り届けるのが目的であり、敵と体を張って戦っている前線に立ち続ける者としてオーブが掲げる『中立』というお題目を鼻で笑いたくなるのも無理からぬ状況ではあった。

 

 ――だが同時にそれらは彼らの欺瞞であり、傲慢でもあったとも言えるだろう。

 特にそれを言った発言者たる彼自身が『エンディミオンの鷹』の異名を取る地球連合軍のエースパイロット、ムゥ・ラ・フラガ大尉その人であったのだから尚更である。

 

 自分たちで始めた戦争に、自分たちだけでは勝てなくなったから安全な隠れ家を求めて中立国とはいえ、たかが一小国にまで頼らざるを得なくなった超大国のエースが言う言葉ではなかったし、だいたい中立を隠れ蓑として利用すると言うことは言い換えるなら中立国の民間人を自分たち『軍人の盾になって守ってもらおう』としていることと何ら変わる所はない。

 過去二度にわたって行われたWWでも局所的に発生していたことがある事態ではあったが、彼らがそれを知らないのか、知っていても自分たちに当てはめることを本能的に避けているだけなのか。それは解らない。わからないが―――

 

「はっはっは。だがそのお陰で計画もここまでこれたのだ。オーブとて地球の一国と言うことさ」

 

 そう言って、少々皮肉気な笑いを浮かべる艦長の姿からは『地球を守るために戦っている軍人』としての傲慢な考え方がわずかなりと感じられるものだったことは否定できない。

 戦時中にはよくあることではあっただろう。自分たちの勢力圏で暮らしていた者たちだったら侵略軍に対してレジスタンス活動なり、情報を流すなりして協力するのが当然であり、それをしないで敵にも協力している者たちは裏切り者も同然だ・・・そういう考え方は戦時国家ではよくある話だ。

 今回の任務にしたところで、仮にヘリオポリスが被害を受けたとしても『戦う気がないなら、せめて戦闘で受ける被害くらい我慢すべきだろう』という敵と戦場で殺し合っている自分たち軍人こそが民間人を守ってやっているのだと考えやすい軍上層部の思考法が影響していないとは言い切れない。

 

 そして往々にして、この手の軍人たちは開戦前に自分たちの属する国がおこなってきた政策や慰撫工作の不適切さが、中立国を同盟国にまで昇華させられなかったのだという政略次元の発想をすることができないタイプが多いのも戦史上の常識である。

 人類は戦争から何も学ばないほど愚かな生き物ではないが、だからといって今の自分たちに都合が悪い事実を事実として認められるほどには賢くもない。・・・そういうものだ。

 

「上陸は本当に彼らだけでよろしいので?」

「ヒヨッコでも“G”のパイロットに選ばれたトップガンたちだ。問題ない。貴様などの有名人がチョロチョロしてる方が却って目立つぞ」

 

 部下を安心させるためか、敢えて楽観論を語ってくれる上官に対して曖昧な笑みを浮かべるだけで無言を答えとして返し礼儀を守るフラガ大尉。

 ・・・理由は判然としないが、彼には任務の途中から不安があり、艦長の気遣いに応えることができない心地にされていたからである。

 

 そして、その不安は正しく的中する。

 いや、当たり前の結果が形となって訪れただけと言うべきなのかもしれない。

 

 なにしろ彼ら連合軍は、オーブの中立を尊重することなく事実上無視して軍事的に利用するため、軍隊の一部を国内に進駐させてしまっているのだから。

 ・・・なら敵も同じようなことを考えたところで不思議がる理由はどこにもあるまい・・・。自分たちが考えた奇策を、敵は考えつかないなど考えるのは傲慢と言うべき愚考でしかない。

 そして、それもまた戦時下の軍人が犯す過ちの代表例の一つでしかない。

 

 思いとは裏腹に彼らが果たそうとした重要任務は、人類の歴史上で無数に存在してきた同じような失敗例の一つに加えられるだけで終わることになり、彼らには自らの愚劣な選択の責任を自分たち自身の命で贖わされる未来が待っているであろうが―――それもまた“任務を無事終えた”と思い込んでいる今の彼ら自身の主観にとってはどうでもいい可能性上の事柄だった。

 

 

 

 

 

「――だからぁ~、そういうんじゃないんだってばーっ」

 

 カトー教授からの依頼追加要望を受け取って、教授のカレッジへと移動していた僕たちの視界に大学のレンタルエレカポードで騒いでいた華やかな少女たちの一団が映り込んできたのは、彼女からのそんな声が聞こえてきた時のことだった。

 

「あ・・・」

「ウフフ・・・あれ? ミリアリア!」

「ハーイ」

 

 フレイ・アルスター。長くつややかな燃えるような赤髪と、高貴さを感じさせる整った顔立ちの美少女だ。連合参事官の令嬢で生粋のお嬢様でもある。

 ガンダムSEEDの世界の中では数少ない、最期まで戦争に慣れることができずに死んでいった民間人側の女の子で、本来のキラ・ヤマトにとっては大切な人の一人でもあった少女。

 

「あ、ねぇミリアリアなら知ってるんじゃなーい?」

「え? なぁに?」

「やめてよってば、もう!」

「この子ったらサイ・アーガイルから手紙もらったの! なのに何でもないって話してくれないのよ」

「えー!?」

「アンタたち! もういい加減に・・・ッ」

 

 姦しく、平和に日常的な男女間の恋愛話で盛り上がっている彼女たち。

 その姿を、少し年寄り臭いと自覚しながら目を細めて、遠巻きに眺めていた僕の肩に顔を寄せながらトールの奴が訳知り顔で意味ありげな言葉を告げてくる。

 

「手紙だって、サイが? 意外だなぁ~♪ フレイ・アルスターとはぁ」

「・・・?? え・・・? えっと・・・な、何が?」

「けど! 強敵だよこれはぁー? キラ・ヤマトく~ん♪」

「え・・・? ――あっ! 違っ!? それは誤解だってトール! 僕は別にそんなつもりで彼女を見ていたわけじゃ・・・っ」

「いーから♪ いーから♪」

 

 ニヤニヤ笑って、僕を見上げてきながら彼女持ちとしての余裕を示してくるトール。

 それに対して彼女たち本人に聞こえないよう声量を抑えながらも、出せる範囲で最大限までボリュームを上げた小さくて大きな声で反論する僕。

 

「だから違う! 本当にそういうつもりで見てたんじゃない!」

「じゃあ、どういうつもりで見てたんだよ?」

「それは・・・、僕はただ・・・・・・」

 

 ―――可哀想だと思っていた。だから見ていた。

 ・・・そんな気持ちを正直に白状したところで相手に伝わるわけがないと知っている僕としては、それ以上言葉を続けようがなくて黙り込むしかなかった。

 

 フレイ・アルスターはSEEDにおける、キラ・ヤマトの日常を代表する人物だったと、今ではキラの中に存在している中の人になった僕は考えている。

 人間には不思議なところがあって、戦争を否定しながらも平時において有為な業績をなした人たちよりも、戦争という非常事態の中で有能な人間ほど優秀な人材だと高く評価してしまいたがる悪癖を多くの人たちが共通して持っている。

 たしかに敵が攻めてきている中で平和ボケしたままの女の子が兵士主人公の足を引っ張るシーンを見せられて「勝手だ」と思う気持ちは理解できるし、自分でもそういう思いを抱いてしまった記憶はある。

 だけど戦争に慣れることは、そんなに良いことなんだろうか? 多数を救うために少数を切り捨てるべきだ、見捨てるべきだと主張できるようになる女の子がそんなに魅力的に映るのだろうか? ・・・僕には解らない。

 

 少数はそういう人がいないと困る。だけど、そういう人たちが大多数派を占めてしまったとき、むしろ彼女を悪く言っている人たちにとって困る事態が到来するんじゃないかという気が僕にはしてならない。

 彼女のような『戦争という異常事態の中での異分子』は、必要だったんじゃないかと今の僕は思ってる。だから彼女の死と不遇な評価を、心から可哀想だと感じてもいる。

 

 だけどそれらは声に出すことができない思いだ。たとえ戦争に巻き込まれた後のキラ・ヤマトになってさえ彼女にこの思いを伝えることは多分できないんだと自分では思ってる。

 なぜなら彼女は『無自覚に戦争の中で平和ボケしているから』だ。自覚的にやってしまったら、彼女はおそらく彼女でいられなくなるだろうし、知ってしまっても結果は同じになると思う。

 

 正直、キラ・ヤマトの中身に別人が入ってしまっているだけの僕には、本来のキラほど彼女に対して憧れを抱くことはできないけど、それが逆に彼女の価値に気づかせてくれたのかもしれないと思うと悪い気持ちにはならないのが我ながら勝手だなと思わなくもない。

 

 

「――コホン。乗らないのなら、先によろしい?」

 

 そんな風にフレイたちが騒いで、僕が沈思黙考してしまっていた背後から落ち着いた声がかけられた。

 振り返ると、サングラスをかけた二人の男女と、ネクタイを締めてないけど勤め人風にも見える一人の男性が立っていた。

 

 声をかけてきたのは声質から、先頭の女性なのだろう。二十代前半から半ばぐらいの年齢で、だけど学生には見えない豪奢な服装をしている。

 言葉遣いは丁寧だけど、口調や声には妙な威圧感を感じさせられて若い女性らしさを柔らかさを拒絶したような堅く鋭い雰囲気を漂わせている。

 

(あるいは、そう見えるよう“演じているだけ”かもしれないけどね・・・)

 

 僕はそう思いながら彼女――地球連合軍の軍人ナタル・バジルール少尉にたいして原作のキラと同じように道を空ける。

 軍隊っていうのは、いつの時代も男社会だ。女性士官が軍人として成功するためには『舐められてはいけない』という不文律みたいなものがあるし、そういう人たちにとって見た目や印象は強力な武器であり、強固な盾にもなるのが一般的だ。

 映画なんかでも、女性兵士が一人で男所帯の基地に赴任するときなんかには頭を丸めてスキンヘッドにする演出はよく描かれている。

 

(ただ・・・本当に優秀な軍人っていうのは見た目がどうであろうと実績だけで相手を従わせてしまえる域に達した人のことを言うんだよなぁ・・・)

 

 やや堅苦しすぎて、気負いすぎているようにも見えなくもない彼女の姿に、同情的な視線を向けてしまっていたらしい。

 

「・・・何か?」

 

 と、原作にはたしかなかったはずの問いを投げかけられ僕は慌てて謝罪して、相手の方でもそれ以上は話題を続けることなくエレカを発進させていく。

 ホッと胸をなで下ろしている僕に向かって、またしてもトールがこんなことを言ってくる声が微妙に遠い・・・。

 

「なるほど、キツい印象ではあったけど美人だったからな・・・。キラの好みはアッチ系だったのか・・・」

 

 ――トール・・・・・・もう好きにして・・・・・・。

 

「はぁ・・・・・・それにしても――――」

 

 

 

 

 

「―――なんとも平和なことだな」

 

 幹線道路をエレカに乗って走りながら、後部座席に座ってサングラスを取った女、ナタル・バジルール少尉が、やや苛立ったように呟いていた。

 

「あれくらいの歳で、もう前線に出る者もいるというのに・・・・・・」

 

 彼女の声を聞き取って、隣に座るアーノルド・ノイマン曹長が視線を向ける。

 先ほどの学生たちのことを言っているのだろう。

 

 昨年三月から始まった、ザフト軍の地球侵攻作戦『オペレーション・ウロボロス』によって地球連合対プラントという図式で始まった戦争は、地球上の連合非加入国をも巻き込みながら長期化のきざしを見せてきている。

 にも関わらず、そんな地球の情勢が嘘であるかのように道路沿いを流れる風景は平和そのもの。立ち並ぶ商店には色とりどりの商品があふれて、買い物客がのどかに行き交う。

 

 戦火の中で窮乏する地球を見てきたナタルの目には、この平和が許しがたいものに思えてならないのだろう。ノイマンとて、なんとなく理不尽な思いを禁じえないのだから無理はない。

 

 

 ―――もっとも、彼女たち地球連合の軍人たちの視点と都合だけで世界が成り立つわけではないのと同様に、彼女たち以外の視点と都合で見つめた場合の同じ景色と違う見え方というものもきちんと存在してもいる。

 たとえば、今この場において彼女たち“外国人”を、オーブ国内に存在している極秘の場所へ案内するため派遣されていた運転手役を務めるオーブ軍の青年士官がそうだったように。

 

 

「であるなら、早期の和平交渉を始める方が得策でありましょうな。戦争などやめてしまえば地球上でも、ここと同じ平和と繁栄を謳歌できるようになりますよ」

 

 平然と言ってきた彼の言葉に、ナタルたち二人の連合軍人はそろってムッとさせられ顔をしかめざる得なかった。

 ヘリオポリスに到着した直後から彼女たちに当てられ、案内役として紹介された彼だったが、その本当の任務が彼女たち地球連合軍人たちが余計なことをしないよう、オーブの利権を損なわないよう監視することなのは明らか過ぎる態度だった。

 

「・・・たしか、レン・ユウキ二尉だったな。貴官に与えられた任務は我々の案内であって、連合の政策を云々することではないはずだと思っていたのだが・・・」

「あいにくと今の小官は、皆様方ゲストを招待させていただくため、書類上では非番となっておりましてね。

 一民間人として自国を戦争に巻き込んでおきながら偉そうな口を利いてくる他国人の軍人さんには文句の一つも言わないと任務中に事故でも起こしてしまいそうで安心できんのですよ。拝金主義者で日和見な中立国の下っ端軍人の戯れ言として聞き流していただけるとありがたいものです」

『・・・・・・』

 

 より不快感を刺激されて黙り込まされざるを得なくなるナタルたち。

 彼は遠回しに――と言うより、かなりハッキリと彼女たち連合軍を非難してきていたからである。『アンタらが無能だから自分たちが巻き込まれる羽目になったのだ』と。

 

 

「威勢よく『血のバレンタイン』を起こしてみたはいいものの、蓋を開けてみれば誰もが疑わなかった数で圧倒的に勝る地球軍勝利の対ザフト戦略はアッサリと裏切られ、戦局は疲弊したまま十一ヶ月が過ぎ、挙げ句の果てには勝つために中立国の手まで借りておきながら、その国の悪口ばかりを聞かされる始末です。

 皆様方の気持ちはお察ししますが、文句を言うぐらいの権利は認めていただきたいものですなぁ。愛する生まれ故郷の平和を罵倒された側にしてみたら、の話ではありますが」

『・・・・・・・・・』

 

 再び黙り込まされるナタルたちだったが、今度の沈黙には後ろめたさが微量に混入したものだった。

 自分たち、地球連合の内側ばかり見て判断していた自分たちの思考に気づかされ、多少は思うところがあったからである。

 彼女たちが愛国バカで単純思考なだけの軍人であったなら、その必要もなかったろうが、皮肉なことに今回の任務は国家の命運をかけたハルバートン提督肝いりの最重要任務だ。人事面でも優秀な人材を選りすぎって選び抜いてある。

 それが今この時においてのみ逆効果を招いてしまった、物事の両側面といえる結果なのだろう。よい結果を出すため最善を尽くした結果、別方向からの守りは脆弱になりやすい。それもまた軍事学情の常識である。

 

「――まっ、上の決定には従うしかない下っ端同士で悪口を言い合っても益がありませんので、この辺りで矛を収めるとさせていただきまして」

 

 そんな彼女たちの反応から、ナタルたちが決して脳味噌まで愛国心と筋肉で汚染され尽くした鬼軍曹タイプの無能なバカ軍人でないことを理解したユウキ二尉も矛を収めて任務に帰還することにして、目的に到着したことをゲストたちに告げて心労から解放してやりながら、

 

(それにしても――――)

 

 と思わずにはいられない。

 

 

 

 

 

『『やるべきことをやりもせず、他人に求めてばかりいる戦争だな・・・(だよね・・・)』』

 

 

 異なる場所で、異なる立場にある人物たちが、全く同じ感想を声には出さずに心の中で思っていたことは悪魔的偶然によるものだったのか、それとも戦争という歴史の必然故なのか。

 

 連合は『地球の一国家ならば全ての国は連合に協力すべきだ』と主張しながらも、大西洋連邦とユーラシア連邦とで軍事同盟を結んだだけで一つの勢力に統合することができていない。

 勢力を同じくする二つの大国、二つの軍隊、二つの指揮系統、一致しない二つの思惑と利害・・・・・・。

 同じ敵国と対峙する一つの勢力の中に二つの勢力が存在して主導権争いを行いながら侵略戦争に対処している姿には、まるで在りし日の大日本帝国陸軍と海軍との対立構造が連想されて“勝つために最善を尽くしている”とは到底評することができない無様さを示しており。

 

 まだしもプラントの方がマシに見えるが、最近では彼の国でもコーディネーターかナチュラルかで人を決める時代錯誤な民族主義が勢力を伸ばしてきていると言うし、『血のバレンタイン』以降は市民たちの間で正義正義と口やかましく騒ぎ立てる騎士道症候群が蔓延してきている風潮が目立つ。

 

 

 ・・・昔から童話では国のために戦う騎士が正義の味方で、金と利益のために国を動かす大臣が悪と相場が決まっている。

 だが、童話と同じレベルで政治と戦争を判断されたら困るんだけどなぁ・・・・・・

 

 

 奇しくも、戦記物好きな少年としての前世を持つ憑依転生者のスーパーコーディネーターと、現地人でナチュラルでしかない青年士官とが、全く同じ基準のもと全く同じ評価を連合ザフト、双方に向けて声には出さずに酷評していた事実がこの世界の未来に与える影響は如何に・・・?

 

 

つづく

 

 

おまけ『オリジナルキャラクターの簡易紹介』

 

【レン・ユウキ二尉】

 今作オリジナルの軍人キャラクター。オーブ軍に所属する青年士官。

 皮肉屋な若者で毒舌が絶えない性格の持ち主。

 参謀型の軍人で、軍内部における立場は軍官僚だが場合と状況によっては一人で勝手に動き出し事後承諾でことを収めるなど民主義国家の軍人としては些か問題が多く性格的にも上から嫌われやすい。

 「能力と才能だけで出世していくタイプ」の軍人キャラクターであり、嫌いな奴らに好かれようとする気持ちは微塵も持っていない問題児な不良軍人。

 

 無償奉仕な正義の味方みたいなキャラクターばかりが仲間になるSEED世界に、自分の利益のために闘う仲間も一人ぐらいいてもいいと思ったので作ってみました。

 あくまで試しに出してみただけのキャラクターのため、評価が悪いようなら彼の出てきた辺りから書き直すつもりでいますので今回の紹介はこれまでとしておきます。

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