大分前に頂いたことのある『シャアのネオ・ジオンが連邦と全面戦争してた場合の話』というアイデアを自分有りに再現してみたものです。
気分的に他の作品が書けなかったために書いた作品のため、物語と言うより作品に至るまでの状況説明回みたいなものですけど、それでもよろしかった場合にはお楽しみくださいませ。
宇宙世紀0093。ネオ・ジオン総帥となったシャア・アズナブルが計画した地球寒冷化作戦は、立ち塞がる地球連邦軍独立部隊ロンド・ベル隊との激闘の末、失敗に終わった。
だが、隕石落としは失敗したものの、両軍による戦闘自体は痛み分けと言っていい幕切れでもあった。
最終決戦場となった小惑星基地アクシズでの攻防戦が始まる直前に、ネオ・ジオン軍参謀ナナイ・ミゲルからの必死の説得によってシャアが折れ、ネオ・ジオン軍総帥として後方から全軍を指揮する役割に徹する道を選択していたからである。
これによって、ロンド・ベル隊のエースパイロット、アムロ・レイの予測と思惑は大きく外れることになる。
彼は両軍併せて随一の操縦技術と最新鋭高性能MS『νガンダム』を持った最強のパイロットではあったものの、敵軍の総帥を一騎打ちで討ち取る機会が消滅してしまった戦場においては、優れた技量と機体を持つ1個人としてしか戦局に影響を与える事はできなくなってしまったのだ。
司令官ブライト・ノア大佐の指揮のもと、ロンド・ベル艦隊は幾度もの突撃と波状攻撃を試みたが、ネオ・ジオン軍もシャア・アズナブルの沈着冷静な指揮によって的確に応戦する。
少ない戦力を有機的に運用する事で戦力消耗を抑え、持久戦に徹しようとするネオ・ジオン軍を前に苦戦を強いられながらも、ロンド・ベル隊パイロットたちは自らの命を司令官に捧げ、命を賭しての特攻によって活路を開き、遂には地球に落下しようとしていたアクシズへの旗艦上陸と内部からの爆破に成功。
これによって、地球の引力に捕まるより先にアクシズは分断され、地球寒冷化作戦失敗は確実なものとなったが・・・・・・ここで両軍共に予期し得なかった思わぬ事態が発生してしまう。
地球への落下コースに乗る前に分断されたアクシズの半分は、当初のコースを大きく外れていったのだが、残る半分が地球の重力に捕まって落下コースに乗ってしまったのである。
上陸に成功したラー・カイラムの艦長ブライト大佐自らの陣頭指揮によって行われていたアクシズ内部での爆破作業に使われていた爆薬の量が大すぎたのだ!
これによってブレーキがかけられてしまったアクシズの半分は地球への落下を続け、アムロ・レイの乗るνガンダムは単機でアクシズに取り付いて押し戻そうと試みたが、彼を援護するため駆けつけようとした各コロニーの駐留艦隊から発したMS隊がネオ・ジオン艦隊によって阻まれた事からパワー不足により力及ばず、彼を摩擦熱とオーバーロードで無駄死にさせてしまう事を恐れたブライト司令官からの必死の命令に従って、やむを得ず帰還。艦隊も戦場から撤退していった。
アクシズが地球に落下していく光景を、ただ見ている事しかできなくなったロンド・ベル隊であったが、彼の献身と犠牲は全くの無駄にはならなかった。
地球落着には成功したものの、半分に別たれた上に落下コースまで変えられてしまったアクシズ落としには、当初予定されていた地球全体を核の冬で覆い尽くし寒冷化まで至らしめるほどの威力は残されていなかったからである。
深刻な被害を受けはしたものの、主要都市の大部分が健在だった連邦政府軍は即座にネオ・ジオン軍との和平交渉を公式破棄を宣言して討伐に乗り出そうとしたが、隕石落着によるダメージは寒冷化を免れたとはいえ深刻なレベルであった事には変わりなく、地球各地で様々な諸問題を誘発させ、連邦軍はまず足下の火消しに専念せざるを得ない状況を押しつけられる事となる。
思わぬ幸運によって手に入れた時間をつかい、ネオ・ジオン軍は現時点での地球寒冷化を断念せざるを得なくなったシャア総帥主導のもと、連邦軍との全面戦争に向けて準備を進めていく方針に転換させ、各コロニー内での不満分子や不平派などを糾合して来たるべき決戦に備えていく事となる・・・・・・。
こうして、後に『シャアの反乱事件』を皮切りに『第二次ネオ・ジオン戦争』と呼ばれる大乱が再び幕を開けるため開幕のベルを鳴らす。
時に、宇宙世紀0093。
赤い彗星シャア・アズナブル、四度の復活と再起が今まさに始まろうとしていた・・・!!
今作のオリジナル設定説明:
登場MS:
長期戦になってしまったため、《ギラ・ドーガ重装型》や《ギラ・ドーガ改》など設定場に存在していた機体が登場する。と言うか出さざるを得ないだけだけれども(苦笑)
『MS戦機』などに出てくる機体が多く登場する。こちらも出さざるを得ないだけではあるが。
ロンド・ベル艦隊:
『痛み分けに終わった戦闘』とは言え、「敵の作戦を失敗させた」という戦果と、被った損害とを比較した場合での評価な為、残された残存戦力の実数としては動きたくても動けない状態にまで陥ってしまっている。νガンダムは健在だが、他の機体はほとんどが動かすことさえ難しいほど。
チーフ・メカニックだったアストナージ・メドッセの戦死も大きく影響しており、アムロ・レイという強大な力を持つエース・パイロット一人の力だけではどうする事もできない現状に歯がみしている現状ではあるが、このまま終わる彼らでもないだろう。
地球連邦軍:
隕石落としによる環境被害が、元地球の各国の間で格差を生じさせてしまったことから地球連邦政府は今までに輪をかけて纏まりに欠けている状態にある。
事態を甘く見ていたせいで被害を防ぎ得なかったことへの責任追及と軍部の無能怠惰を糾弾する声は官民問わず大きい。
一方で、ジョン・バウアーなど一部実戦派の将校たちに大きな期待と権限が寄せられてきてもいる。
・・・が、彼らの台頭で軍内部での主導権を奪われつつある守旧派精力との間で反目が激しさを増してきてもいる。
ロンド・ベル隊しか戦わせなかった戦争による被害だったため、今までとは別種の混乱と利害対立が勃発してしまったことが原因になっている。
アナハイム・エレクトロニクス:
元々シャアが勝った時のためにも融資していた会社だが、半端な結果に終わってしまったため今後の方針について多少の意見対立が見られる。
現時点では連邦とネオ・ジオン双方に協力しながら時勢と戦局に変化を見極めようという意見が大勢を占めているが、地球に与えられた環境被害が経済的損害となって自社の利益に降りかかってきているため、『連邦への経済的・技術的協力を強める事で大きな貸しを作り、社の損害を補填させるべき』とする意見と、『清新なネオ・ジオンへの融資を強めて、古くさい上に再建までにかかる時間と費用が長くなりすぎた地球と連邦政府は切り捨てるべきだ』と主張する意見の二つが台頭して社内に小さな分裂の火種をもたらしている。
主な内訳は、前者が『材料開発部』を中心とした親ロンド・ベル派の現場責任者たちで、後者は『MS開発部』などを中心としたジオニック社からの引き抜き組などが多い。
ネオ・ジオン軍:
色々あった末に主だった人材たちは全員が健在のまま。・・・もともと大して多くない勢力だから長期戦やるなら生き残らせるしかなかっただけだけれども・・・。
ただし、もともとが貧乏所帯なうえにアクシズの買い取り金でも相当に支払ってしまって、そのアクシズも手に入らず全面戦争も視野に入れないといけないなどと市民たちに言い出せる立場では到底ない勢力でもあるため、基本的には新たな参加希望者たちにはMS持参を期待しているなど内政面ではかなり情けない軍事勢力。
今作主人公であるシャア・アズナブルは、シリーズを通して珍しい役所として政治面での仕事を多く担当する事になる。(と言うか人手不足なので、せざるを得ない)
それでいて戦力面でも人手不足なので、パイロットとしても陣頭に立って戦わなければいけない時が多いなど意外に働き者な指導者キャラクターになってしまっていたりもする。
ネオ・ジオン軍が最終的な勝利国となる物語を書くからには、シャアに頑張りまくってもらう以外に手はない以上、やむを得ないので頑張れとしか言い様がない。変なところで薄幸な主人公。
・・・いっつも肝心なところで勝てない人だったから仕方がないです、本当に・・・。