ガンダム二次作   作:ひきがやもとまち

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最近うまく頭が働いてくれないのと体力的に疲れ易すぎることから長文を書くのが辛く、小出しになる感じになっちゃいましたがシロッコSEEDです。中途半端な所までですが今の体調だとこれが精一杯。

次回、色々あった末にSEED版メッサーラ登場!…させたいなーとは思っております。


転生した私はコズミック・イラの立会人になろう。14話

「足つきはオーブにいる。間違いない、出てくれば北上するはずだ。だから、ここで網を張る」

「ああ?」

 

 アスランが今後におけるザラ隊の方針について断定口調で決定を告げたとき、イザークは思わず虚を突かれ、秀麗な面立ちを歪めながらチンピラのような反問の言葉を口に出してしまっていた。

 

 相手の言いだした言葉が唐突すぎて、理解できなかったからである。

 彼としては当然の疑問だった、なにしろ自分たちは先ほど帰艦してくるまで『足つきはオーブに“いない”』という証拠しか見つけ出してこれなかった身なのだから・・・・・・。

 

「オイ、ちょっと待てよ。なにを根拠に言ってる話だそりゃ?」

 

 食い下がると言うより、噛み付いてくるかのような声と態度で理由説明を求めてくるイザーク・ジュール。

 それもそのはずで、彼らは昨日、予定通りオーブ国内へと侵入を果たしたものの、これと言った成果らしい成果はあげることが出来ずに収穫もなく、足つきはオーブに居るのかもしれないし居ないかもしれないという当たり前の結果だけを持ち帰ってきて、虚しく手ぶらの帰参をしてきた身なのだから、アスラン臨時隊長の決定と命令には唯々諾々と従えるだけの根拠も自信も到底持つことができない心境に今のイザークは立っていた。

 

「・・・一度、カーペンタリアに戻って情報を洗い直した方がいいのではありませんか? 確証がないのでしたら・・・」

 

 ニコルもまた、取りなすようにアスランに向かって妥協案を提示してくる。

 もともと彼は慎重派の人間で、『自分たちが見てきた場所に足つきが居なかっただけ』という可能性も十分高いことは承知していたのだが、一方で他の地域の戦略状況などにも気を回せる人物でもあったことから、アスラン臨時隊長に気を回してそう言ったのだった。

 

 現在、ザフト軍はパトリック・ザラ新議長の下《オペレーション・ウロボロス》実行に向けて戦力を集中させつつある。その中でアスランが臨時で隊長代行を任された部隊だけが本体を離れて中立国に隠れ潜んだかもしれないし、いないかもしれない連合艦一隻に拘り続けて、補給まで要求することは彼の将来のためにもならないのではと気を回した故での発言だった。

 

「・・・いや・・・、いるんだ・・・・・・」

 

 一方でアスランは、彼の気遣いに感謝こそすれ提案まで受け入れる訳にはいかない事情を抱えていた。

 それは彼が、友人であるキラ・ヤマト少年とオーブ国内で再会を果たしているからであり、彼だけはアークエンジェルがオーブ内に必ず留まり続けていると確信――というよりも事実として知っていたからである。

 

 だがアスランはニコルに対してすら、自身が決定を下した理由について一切の説明を行おうとしなかった。

 それは彼が強くこだわりを持っている相手、友人であるキラ・ヤマトを未だに『倒すべき敵』と認識しきれずにいる曖昧さが・・・・・・ハッキリ言ってしまうなら『撃たなければならない敵と認めたくない願望』が彼の中では根強く残り続けていたことが理由の一因になっているものだった。

 彼は、敵となった親友キラ・ヤマトを討つことに対して、どこかしら私事のように考えていた節があり、『友人を討つことは自分が果たさなければならない義務』として捕らえている一方で、ザフト軍の一員として連合軍のエースパイロットを討たんとする集団としての意識には欠けていた。

 

 キラ・ヤマトとストライクの追撃任務は『自分とキラだけの問題』であり、他人を巻き込むことも、他人の手を借りることも拒絶していたように見えるのである。

 

 有り体に言ってしまうなら、それは単なる『子供同士の意地の張り合いによる喧嘩』に似ている心理によるものだったのかもしれないが、そこまで考え至れるほどアスランもキラも大人ではなかったし、自己客観視することも出来ていなかった。

 そして、自分の本心を詭弁で取り繕い周囲を欺けるほどには、子供らしい狡猾さも持ち合わせることが出来ていなかったことが今の状況悪化を結果的に招いてしまうことになる。

 

 彼は、嘘で本心を偽るぐらいなら沈黙する。

 そういう道を選びやすい性格の持ち主であり、そのことが今までもこれからも誤解と不平不満をしばしば周囲の者に与えてしまいやすい悪癖となっていく運命を背負った少年でもあったわけだが、今回ばかりは間が悪かったと言わざるを得ない。

 

「・・・これまでにもう二日近く費やしているんだぞ!? 違ってたら足つきはもう追いつけないほど遙か彼方まで逃げ延びてしまうかもしれないんだ! もしそうなった時、お前は責任が取れるのかアスラン! ええ!?」

 

 イザークが小刻みに身体を震わせるほどの怒りを堪えきれなくなって、思わず感情の赴くまま怒鳴り声を上げ、当たり散らしてしまったことが破滅の一弾に繋がっていた。

 普段の彼ならば、ここまで単純な頭の持ち主ではなかったし、アスランもまたキラのことで頭がいっぱいになりイザークの感情論に付き合おうという気持ちにはなれなかったかもしれない。

 

 だが、やはりタイミングが悪かった。

 イザークは当初、足つきはオーブ国内にいると考え、そう主張してアスランの慎重論には皮肉と嫌みを交えた反対の論陣を張っていた男だったはずだ。

 そんな彼の意見に、臨時隊長として持論を曲げて妥協案を示した結果がオーブへの侵入であり、自分たち自身による情報収集だったはずなのだ。

 無論そこには自分自身の個人的思惑も無関係ではなかったが、少なくともイザークとて賛成したし、国内に足つきはもういないというオーブの声明を誰よりも否定的に見ていた彼の意向には叶うはずのものでもあったはずなのである。

 

 結果的に思うような成果が得られなかったことでイラ立つ彼の気持ちは分からないでもない。

 だが、こうも意見を手の平返しされた挙げ句、常に怒鳴られて非難されるのが自分ばかりとあっては、アスランとて時には苛立ちを返したくもなる。

 

 あるいは、軍内部でも1位と2位を2トップで独走している口の悪さを誇る毒舌家の上官二人に悪いところが似てしまっていたのかもしれない。

 このとき彼は、彼らしくもなく痛烈な皮肉をイザークに向かって「ポツリ」と呟くような囁き声で口にする。してしまう・・・。

 

「・・・最初は、足つきは必ずオーブが匿っていると強硬に主張する。

 潜入して足つきが発見できなければ、逃げ出した可能性が高いと非難する。

 足つきは一体、どのように動いたときにイザークから褒めてもらえるのだろう・・・」

 

 この一言に、イザークはおろか室内にいた全員が言葉を失って唖然とした表情で、生真面目そうな臨時隊長を務めている少年の顔に視線を集中させられてしまう。

 ディアッカでさえ、普段の軽口を忘れて何を言っていいのか分からなくなり、視線をさまよわせるようにして友人の顔を見つめ――そしてギョッとさせられる。

 

「・・・・・・~~~~ッ」

 

 イザークの、斜めに傷跡が走った後でさえ美しいと表現できていた顔が、赤から青へ、そしてドス黒く染まった憎しみの色へと一瞬ごとに明度を変えながら変色していき、色が変わるごとに顔面筋肉筋が配置を大きく変えていった末に出来た形相は、たしかニコルが呼んでた美術関連の雑誌の中で『トーヨーのシュラ』とか書かれていた絵に描かれていた妙な仮面と酷似して見えるほど人間離れした憎しみだけに染まり尽くしたナニカを見ているかのような、そんな印象を受けさせられるほどのものがそこにはあった。

 

「―――あ」

「これは決定だ、臨時とはいえ隊長としてのな。クルーゼ隊ではそうではなかったが、通常の軍人なら一時的な代行だろうと上官の命令に兵が異議を唱えることは許されない。弁えてくれ、イザーク・・・」

「・・・・・・ッ!!!」

 

 反論の言葉を口に仕掛けたイザークの口が開ききる寸前に、アスランは敢えて言葉を遮るようにして形式論を口にして相手を黙り困らせる。

 彼としては、思わず口をついて出てしまった感情論にばつが悪くなり、この会話を早々に途切れさせるつもりで使った形式論に過ぎない言葉でしかないものだったが・・・・・・イザークにとっては嫌な記憶を思い出させられる屈辱の言葉でもあったことを、この時の彼が知らない言い方でもあったのだった。

 

 その言葉を聞いた瞬間、一瞬にしてイザークの顔色が変わる。――より悪い方向に。

 

「アンドリュー・・・・・・バルトフェルド・・・・・・ッ!!!」

「・・・・・・??」

 

 何故この場で、先日の戦闘で戦死していたことが発表されたばかりの南アフリカ方面軍司令官だった男の名前が出てきたのか理解できずにアスランは柳眉をしかめる。

 たしかにイザークとディアッカは、足つき追撃任務の一環として一時的に彼の旗艦レセップスに同乗していたと聞いてはいたが、その時に彼らと足つきと故バルトフェルド隊長との間に個人的諍いでもあったのだろうか?

 あいにくと報告書には記載されておらず、バルトフェルド隊の生き残り達とカーペンタリアで会うこともできぬまま次の任務を与えられて今ここに来ていたアスランには諍いの内容を予測することさえ難しいが、今までのことを鑑みるならイザークが感情論でバルトフェルド隊長に噛みついてしまって、年長の相手に窘められて悔しかったとか、そういう類いのものなのだろうと大して深く考えることもなく、アスランは作戦会議の閉会と命令は決定事項であることを告げて甲板上へ向かっていく。

 

 ニコルがその後を小走りで追いすがり、同席していた潜水艦クルーが敬礼と共に去って行き、残されたのは立ったまま震え続けているイザークと、どうにも手持ち無沙汰になってしまってバカバカしい気分になっていたディアッカ・エルスマンの友人コンビ二人だけとなってしまう。

 

「・・・・・・いうつもりだ、・・・命令だと・・・? ・・・ざけるなぁ・・・ッ!!!」

「伸しちゃう気なら、手ェ貸すよー?」

 

 友人のつぶやきを聞き取って、ディアッカは露悪的な表情で、気持ちだけは本気でそう言ってやる。

 実際、そうなってくれた方が面白いと思っているのは確かだが、だからと言って友人がそこまで感情を行動に直結させるほどの低脳ではないことも熟知してもいる。

 相手が悪感情を持て余しているとき、敢えてあくどさを強調したセリフを吐いて怒りの方向性を逸らしてやるのは、彼の昔から続くイザークと付き合っていく手段の一つだったからだ。・・・しかし―――

 

「どーする? クーデターやる? ククッ、ハハ・・・・・・」

「・・・・・・・・・ふざけるなッ!!」

「あ――?」

 

 いつにも増して感情的になりすぎている友人からの返答を耳にして、ディアッカは多少の不快感を込めて友人の顔へと視線を向け直す。

 そしてイザークは、そんなディアッカの顔を見てこようとはせず。・・・それどころか最初から彼の言葉など“聞こえていた部分は一言もなかった”のだ・・・・・・

 

 

「命令・・・? 決定・・・? 隊長と兵だと・・・? ――いいだろう、従ってやろうじゃないかアスラン・・・。

 だが、このままでは終わらない。終わらせない・・・必ず出し抜いてやる・・・・・・ストライクを倒すのは、この俺だってことを思い知らせてやるぞアスラァァァァァッン!!!!!」

 

 

 一人の少年パイロットが乗った、ガンダムタイプの白いMSによって人生を狂わされたエリートパイロットが、この世界でも一人生まれようとしていた事実を今という刻はまだ、誰も知らない・・・・・・。

 

つづく

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