ガンダム二次作   作:ひきがやもとまち

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少し前に考えついて書きたいと思っていた『コルベット×ガンダム』のZガンダム版、そのプロットです。
プロットでしかないので清書する際には書き直したり足さなくちゃいけないところが多すぎる代物であり、本来なら完成してから投稿すべきだと思ったのですけど、最近更新できてないまま時間が経ちすぎてましたので、何かしらの続きだけでも出しておきたくなった次第。
…中途半端で申し訳ございません…。他のも含めて完成を急ぎまする…(謝罪)


コルベット×Zガンダム二次外伝「プロット」

―――ダカール演説によって地上での支持と権力を完全に失ったティターンズは、エゥーゴとの決戦に備えるため残る戦力の宇宙への引き上げを急がせていたが、地上戦力の全てを宇宙に上げられる訳もない。

 ティターンズ地上部隊の多くが地球上へ取り残されることとなる。

 それは、かつて一年戦争でジオン軍がオデッサ作戦終了後の姿と酷似していた。

 事実上グリプス本部からも見捨てられた彼らは、半ば自暴自棄となって必死の抵抗を示し、その勢いはすさまじく局所的にはエゥーゴの部隊が劣勢に立たされる戦区すら生じていたほど激しいものだった・

 

 ……これは、そんな局地戦で敗北し“運悪く”逃げ延びることが出来てしまった、二機のミデア輸送機たちが紡ぐ誰も知ることのなかった物語である―――。

 

 

 

「くそっ! 諦めの悪いティターンズの奴らめ! 大人しく降伏すりゃいいものを見苦しく足掻きやがって! おかげでコッチはいい迷惑だクソッたれ!!」

 

 副操縦士席に座るコ・パイロットの若手士官が、口汚く罵る声が年嵩のメインパイロットの鼓膜を振るわせがなり立てる。

 この時期、ティターンズの敗亡は既に決定事項となっており、仮に宇宙での決戦で彼らがエゥーゴを破ったとしても地球上に住むすべての人々は彼らにした事された事を許していない。彼らが往時の権力を取り戻すことは、ほぼ不可能だろう。

 それならば、勝ち目のなくなった勢力への義理立てなどすることなく、潔く降伏して今後の歴史と人類全体への貢献する道こそ人として正しき選ぶべき道だ。残党軍となって戦後世界の再建を阻害することにしかならない抵抗運動など取るべきではない。

 

 そう考えているであろう若い子パイロットの気持ちも解かるが、メインパイロットを務める古参兵の機長には年齢の荷重に伴う苦い経験と、しがらみで縛られ続けてきた長い人生がある。世の中がそう簡単に進んで行くものではない事を彼は熟知させられ過ぎていた。

 

「…向こうさんには向こうさんなりの守りたいもんや、捨てられねぇもんがあるんだろうよ。全滅しなくて済んだだけでもマシってもんさ……」

「ですがねぇ…っ」

 

 達観した、というより諦めの混じった声で呟かれた上司の言葉にコパイロットが反論しようとした、まさにその時。

 ―――敵接近を知らせる警報が、二機のミデア輸送機内に鳴り響いた。

 敵に敗れて逃げてきたのとは逆の方向の……“斜め上”からである。

迫りくる機体にロックオンされたことを告げる緊急回避を訴える機械音声が、狭苦しいミデアのコクピット内を赤と無彩色の闇とに塗り分けてきて視神経を刺激して苛立ちと危機感とを同時に煽り立てられまくってくる。

 

「上っ!? 敵機識別急ぎます!」

 

 有り得ない方向からの敵機襲来に慌てながらも、若いながらエゥーゴに参加してからの経験は豊富なコパイロットが慌てて計器に飛び付き操作し始める横で、一年戦争時代からミデアを操縦し続けてきたベテランのメインパイロットの老兵は、その知識と経験によって敵機の正体と所属を既に知っていた。

 

 眼を見開いてその名を叫ぶ。

小声で呟くように、震えが止まらぬ唇を無理やり動かしながら出せる精一杯の大声で…!

 

「あれはまさか……コルベット…? ミデアハンターかッ!!」

 

 それは一年戦争に参加した連邦地上軍の兵士たちにとって悪夢と同義語の名前だった。

 ミデア輸送機を専門に狙う、ジオン軍飛行部隊の特殊艦。

後方輸送と補給路の攻撃のみに特化した異形のハゲタカたちの群れ……。

 

 ―――だが、しかし。

 

「馬鹿な! コルベットは今、味方のはずです! そのコルベットが何故オレたちを襲うんですか!?」

 

 そう、今は一年戦争の最中ではない。あと少しで終わりを迎えようとしているグリプス戦役の最終局面へと時代と状況は変化した後なのだ。

 ジオン弾圧部隊であるティターンズの脅威に対抗するため、地上に残るジオン残党軍の多くがエゥーゴに参戦し、コルベットも彼らの中の一部隊としてエゥーゴ地上部隊の面々には知られていた時代に今ではなっている……そのはずだ。

 

 そんな過去の敵で、今は味方となっているはずのコルベットに襲われるべき理由が若きコパイロットには想像することが出来なかった。

 

「…ティターンズの敗北は決定し、もうすぐ戦争は終わる……そういうことなんだろうよ……」

「え…?」

「忘れたのか? エゥーゴだなんだと言ったところで俺たちは所詮、連邦で、奴らはジオンだってことに変わりはねぇ。奴さんとしては、“用済み”となって捨てられる前に奪えるだけ奪って逃げ延びたいんだろうよ」

「なっ!? そんな…!!」

 

 コパイロットは信じられない想いを声と表情の全てに現して悲鳴を叫ぶ。

 その気持ちもメインパイロットは理解できたが、コルベットクルーの判断も分からなくはないのだ。――苦々しさと忌々しさを込めた“正しい判断”にハラワタを煮え繰り返しそうな思いを味あわされながら……っ。

 

 創設時の中心メンバーだったブレックス准将の遺志はともかく、エゥーゴという組織そのものは所詮【アンチ・ティターンズ】でしかない「憎しみを絆として繋がった脱走兵の集団」に過ぎなかった。

 出来合いの私設軍隊でしかなかったエゥーゴには、開戦当初の時点では大兵力を有する正規軍のティターンズに対抗するため早急に兵数を集める必要が絶対的に存在し、『敵の敵は味方』という論法によって経験豊富なジオン残党兵をもスカウトして味方に加えたことで戦力差をどうにか補ってきただけの反乱軍。その程度の勢力に過ぎないのが自分たちの実情だったのだ。……今までは。

 

 だが今や状況は変わった。

既に連邦政府と地球上の人々からの支持を取り付けた後のエゥーゴには、彼らの戦力が必須ではなくなってきつつある。

スペースノイドにも地球市民と同様の人権を与えて、同じ人間同士として認め合うことで対立を取り除く……今でこそ掲げ続けている理想が、果たしてティターンズの脅威が排除された後の世界で順守してくれるかどうか。

それは老練な機長の彼にも、そして敵となった元戦友で元敵でもある者たちにも誰一人として保証できはしない。

 

 全体の幸せのため、平和のための“イケニエ”にされないため。

逃げ出せるときに逃げ出すという選択肢は、忌々しいほど正しさに満ち満ちたクソッたれな選ぶべき道だった。敵に戻った今も賞賛してやっていいほどにである。

 

 ただし。あくまで、“今の自分たち自身が正しさの犠牲にならなくて済むのならの話”でしかなかったが……っ

 

 

「ミデア501、聞こえるか? 雲の中に逃げろ。俺たちがコルベットを抑えて時間を稼ぐ。その隙に少しでも戦場から離れるんだ。以上、通信終わり」

「機長っ!?」

 

 驚いたように若いコパイロットは、普段は優柔不断な態度が鼻につくことのあった老練の上司の顔を見直す。

 

「…あっちの機には負傷兵を満載している。俺たちの方は物資だ。どっちの方が逃げ延びれねぇか、どっちの方が狙われやすいか。今さら考えるまでもねぇだろうよ」

「…っ」

 

 自分たちに未来が閉ざされていた事実を知らされたコパイロットの身体に震えが走り、恐怖に怯える体で拳を握りしめ、ガチガチと歯を鳴らし始めた口元に無理やり歪な笑みを浮かべさせると「…了解しました、キャプテン」と、人生最後になるであろう命令復唱と実行とを同時に行い、載せてきた歩兵たちも含めてありったけの武器弾薬をぶちまける支持を機内に通達する。

 

 自分たちが襲い甲斐のあるオイシイ獲物であることを敵に教えてやるために。

 自分たちの犠牲で確実に味方が逃げ延びれるようにと……そう祈りながら下した命令は――――しかし。

 

 

「なにっ!? 奴らミデア501の方を……何故だ!?」

 

 予想に反して、敵は自分たちがこれ見よがしに見せつけてやった弾幕の御馳走に見向きもせぬまま高度を取って弾幕を逃れると、雲の中に入って行った負傷兵たちだけを満載しているはずのミデアにだけ狙いを定めて雲の上を旋回し始める。

 

「雲から出てきたところを襲うつもりか! 機長、今すぐ反転して奴らを追いましょう! そうすれば―――」

 

 使命感と仲間を思う気持ちから訴えかけようとしたコパイロットの口は途中で閉ざされる。

 彼は見たのだ。機長の目に浮かんだものを。

先ほどまでは浮かんでいなかった、ある感情の灯を。

 

―――それは、“死ぬのが怖い”“生きたい”…という、人として当たり前すぎて平凡すぎる正しい感情……。

 

「…敵がミデア501にへばりついている間に距離を取る」

「機長!」

「どっちみち、あの高度まで飛ばれたんじゃミデアからの攻撃は届かねぇ。食われる獲物が二機になるだけだ。二機死ぬより一機生き残る……簡単な計算だよ…」

「……っ」

 

 

 唇を震わせ、憎しみに満ちた瞳で年老いた機長の「正しい判断」を睨み返し、無言のまま時間を過ごした彼。

 やがて―――

 

「……了解しました、機長殿」

 

 先ほどまで満ちていた感情の一部と、どこかしら若さのなくなったような声で復唱すると、ミデアハンターに襲われる未来から逃げられなくなってしまった味方機を残して自機を空域から離脱させていく彼。

 

 その後、戦争が終わった後の平和な世界では銃弾やミサイルよりも【負傷兵に使われる医薬品】の方が不足しやすく手に入り難くなり、有り余って放出された兵器類よりも時に高く値の付く時代になることを彼が知るのは、グリプス戦役が終わって大分経った後のことでなる。

 

 

 その後、彼がコルベット隊と出会うことは二度となかった。

 出会わない方が良いと、彼は思った。

 

 再会した時の自分に対して、自分自身が何を思うようになっているのか……年老いた今の彼には、もう分からなくなってしまった後だったから……。

 

 

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