ガンダム二次作   作:ひきがやもとまち

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気持ち的な理由で色々書きまくりたい次第。
なので久しぶりに続きを書いてみました。突発的だったので終わりが自分でも微妙です。反省。


機動戦士ガンダムSEED-生まれる刻を間違えた野獣-3話

 ヘリオポリス内に侵入を果たしたミゲル・アイマンのジンは倒され、戦闘に巻き込まれた子供たちは僅かながらでも休息の時間と、偶然にも乗り込むことになった新型モビルスーツ『ガンダム』の補給を受けられるだけの余裕を手にすることが出来ていた。

 

 ――だが、彼らの立つ大地の裏側では戦闘は未だ続いており、それは徐々に彼らを追い込む方へと推移しつつあったのである。

 

 

「――信号弾!? 敵が引き上げる? この戦況でッ!?」

 

 漆黒の宇宙を背景に、一つの小さな線が天高く登り弾け飛び、その光の消滅と共にヘリオポリス襲撃部隊から発したモビルスーツ・ジンが退いていく姿を見て地球連合軍のムゥ・ラ・フラガ大尉は、愛機のコクピットの中で疑問の叫び声を上げていた。

 

 既にヘリオポリス防衛のため配備されていた部隊は壊滅させられ、フラガ自身の母艦でもあった連合軍の偽装輸送艦も艦長と運命を共にさせられた。

 事実上、コロニーを守る兵は自分の愛機《メビウス・ゼロ》1機だけしか残っていない不利すぎる戦況に追い詰められていたのが彼である。

 

 にも関わらず、信号弾の光と共に潔く退いていく敵モビルスーツ。

 2機のモビルスーツを、モビルアーマー1機だけで相手取って1機を大破させ、限定的ながらも戦術的優位を確立できたとは言え、こちらも相応に消耗を強いられていた。

 母艦を失って補給もままならなくなった1機だけの敗残兵に、コロニー内の味方と合流して補給を受けられる隙を与えてくれるほど、お人好しな敵司令官が中立コロニーに攻撃を命じるとは考えにくい。

 

「・・・まだ、何かあるということなのか? なにか別の敵が・・・」

 

 何かが来る。ムウの勘が、そう告げていた。

 目を皿のようにして、レーダーを睨み付けたまま周囲の索敵に全神経を集中させる。

 

 

 ――ヘリオポリスで補給を受けてからでは遅い、間に合わない。

 もし、今ここで“何か”を見過ごしてしまったなら、その代価は自分たち全員の命で支払わされる事になる。そんな気がする―――っ

 

 

 そう思い、通常であればヘリオポリス内にあるオーブ軍施設へと合流して物資を分けてもらい補給を受けるべきところを、彼は敢えて戦場に留まり機体を停止させ、ただ周囲の空間に気を配った。

 

 その瞬間、ムゥの脳裏は“その男の声”をイメージとして確かに聞いたのだ。

 

 

 ――私がお前を感じるように、お前も私を感じるのか? ムウ・ラ・フラガッ!!――

 

 

「これはっ!? ・・・・・・まさかッ!!」

 

 頭の中に閃光が瞬いたかのようなイメージが走り、メビウスの機体を回頭させ、何かに引き寄せられたかのように“コチラ”へと向かってくる姿を目撃し、仮面の下にある素顔の唇を愉悦と憎悪に滴らせながら、その男はコクピットの中で独りごちる。

 

「ほう? 私の接近に気付いたか・・・・・・不幸な宿縁だな、ムウ・ラ・フラガ」

 

 パールグレイの機体『シグー』の中で、ヘリオポリス攻撃を命じたザフト軍の指揮官ラウ・ル・クルーゼは奇妙な愉悦と滴るような憎悪がない混ざった口調で、自分にとって因縁について自嘲するように呟き捨てる。

 

 そして機体を一端ヘリオポリス付近の突き出たシャフトの背後に隠してエンジンを切ると、自分を探して微速前進していたムウのメビウス・ゼロの頭上から、突如として姿を現し襲いかかる!

 

「お前はいつでも邪魔だな、ムウ・ラ・フラガ! もっとも、お前にも私がご同様かな!?」

『貴様! やはりラウ・ル・クルーゼか!?』

 

 ライフルを乱射しながら自機へと攻撃を掛けてくる、ザフトの量産機ジンの次世代型モビルスーツ《シグー》を操るパイロットの名を叫びながら、ムウ・ラ・フラガも愛機メビウス・ゼロで射撃を全弾回避して反撃を撃ち込む!

 

 因縁の相手との、会いたくもない再会だった。

 かつて月面に建設されていた連合軍の重要な資源供給基地『エンディミオン・クレーター』を巡る攻防戦の渦中ではじめて遭遇し、以来いくどかの戦場で出会っては死闘を繰り広げてきた因縁浅からぬザフト軍のエースパイロットにして有能な戦術指揮官としても名高い男!

 その男に、よりにもよって今次大戦の趨勢を分けるであろう重要な任務を嗅ぎつけられ邪魔されるとは!!

 

 ムウとしては完全な冷静さを保ちかねる条件は満たしすぎるほどに満たしている相手だったが、一方のクルーゼは彼とは対極的に冷静だった。

 

「この辺で消えてくれると嬉しいのだが・・・・・・しかし、残念なことに今回の私の獲物は貴様ではないのでね、ムウ!!」

『なっ!? なに!!』

 

 隠れ場所に潜んでいた敵からの攻撃に対して、回避しながらも反撃したムウであったが、最初からクルーゼの狙いが自分をコロニー内へ通じるハッチから距離を取らせることにあったと気付いた時には遅かった。

 

 シグーは軽くライフルで再反撃しようという素振りを見せた直後に反転し、コロニー内へ続く通路へと最大速度で突入させていく。

 

「しまった! あの野郎、ヘリオポリスの中に・・・! くそッ!!」

 

 慌てて後を追い、メビウス・ゼロで追撃をかけさせる。

 だが、コロニーを内部から支えているシャフトが幾本もひしめき合う狭い人工物の内部は、機動性で劣って速力で勝るモビルアーマー乗りのフラガ大尉の方が不利な戦場だった。

 

 工場施設を遮蔽物として利用しながら戦ってはいるものの、逆に遮蔽物が邪魔になり直線軌道のモビルアーマーでは最高速度を出すわけにも行かず、速さでは上回っているにも関わらず付かず離れずの距離を保たされたままで縮めることが出来ぬまま、遂にコロニー内の都市部まで敵機の侵入を許してしまうことになる。

 

「ほう? アレか・・・・・・新たなる戦火と我らに死をもたらす災厄の使者は」

『最後の一機が残っていてくれたか!?』

 

 コロニー内の戦場跡を始めて目にした二人が、それぞれに異なる視点で状況を評する言葉を吐く。

 ムウは、敵から突然の攻撃を受けた直後から迎撃のため全戦で戦い続けていたため、後方の状況はほとんど分からぬまま、ただ識別信号の位置によって味方機の《G》が4機まで敵艦へと走って、1機だけがヘリオポリス内から反応し続けているという事実から推測して、おそらく4機が敵に奪取されて1機だけが味方の手に残ったのだろうと予測していた。

 

 一方のクルーゼは敵将ながら指揮官として、パイロットだけをやっていれば良いムウより多くの情報を入手できる立場にあった。

 それによって奪取しようとした敵モビルスーツの内、最後の1機は敵の手に残り、援護のために派遣させたミゲルは倒され、乗っていたジンは敵に鹵獲された可能性が高いと予測するまでに至っている。

 

 そのクルーゼの視界には今、地面に片膝を突いた姿勢で跪く、見慣れぬモビルスーツの姿が映っていた。

 出撃前に僅かだけ見た、イザークたちが奪取した機体と幾つかの特徴で酷似している。おそらく同じ1つのベース機を基にして幾種類かのバリエーションを開発したのだろう。

 

 ・・・・・・只一つ気になったのは、ミゲルの乗っていたジンの姿が見られないことだった。

 敵に鹵獲されたことまでは予測できたが、その後に戦場から移動させたと言うことだろうか? あるいは伏兵か、補給物資を取りに行かせて戻ってくるより速く自分の方が突入したという可能性もある。

 

 だが、どれが正解の答えだったにしろ、今やるべき事が一つだけであることをクルーゼは正しく理解している男だ。

 

「今の内に沈んでもらう!!」

 

 腰部にジョイントしてある斬艦刀を抜き放ち、右手にライフルを構えて、左手に巨大な剣を掲げた鬼神の如き姿で、キラが乗る残された最後の《G》X-105ストライクに向かって情け容赦なく斬りかかろうとする!

 

 少なくとも、ムウ・ラ・フラガの目には、そう見えた。

 

『させるかぁぁぁぁッ!!』

「フッ・・・掛かったな、ムウ!!」

『な、なにぃッ!?』

 

 残された希望を守るため、身を盾にしてでも敵の前に立ちはだかろうとしたムウのメビウス・ゼロだったが、その動きは既に敵パイロットによって読まれていた。

 ここまでの戦闘で、オールレンジ攻撃を可能とする有線ガンバレルを全て壊され、超銃身のリニアカノンしか武装が残っていなかったことが、彼から選択肢の自由度を奪い尽くした後だったからである。

 

 本命を確実に始末するため、目障りな護衛の騎士から排除しようと網を張り、敵に残された最後の武器を柄だけ残して斬り捨てると、後は障害物が何もなくなった標的へと続く道を真っ直ぐ駆け抜けるだけのこと!

 

『う、うわぁぁぁぁぁッ!?』

 

 迫り来る敵機を前にして、恐慌に駆られたキラはスイッチを押してフェイズシフト装甲を展開しながら、思わず装着されたばかりの武装の発射レバーを押してしまいそうになりながら、

 

 

 ―――思わぬ予想外の事態を目の当たりにして、二度目の驚愕を経験することになる。

 

 

 

「外装衝撃ダンパー、最大出力でホールド」

「主動力コンタクト、エンジン異常なし」

「アークエンジェル全システム、オンライン。発進準備完了!」

 

「気密隔壁閉鎖。総員、衝撃及び突発的な艦体の破壊に備えよ。前進微速。

 艦起動と同時に特装砲発射した後、最大船速ッ!

 アークエンジェル発進!!」

 

 

 

 ―――たかが時代遅れの大艦巨砲主義と、ザフト軍側の誰からも侮られていた白き巨艦が今、コロニー内へ続く隔壁を艦砲によってブチ破り、その姿をクルーゼとキラ、二つの白いモビルスーツパイロットたちが見ている前に始めて偉容を現したのだ!!

 

 

 その瞬間、誰もの視線と意識は天高く現れた白い船の巨体に集中していた。

 だが、その状況の中で只一人だけ。予定したものとは違う理由によってではあったが、とにかく敵の注意を完全に引きつけてくれる“良い的”が自分から飛び込んできてくれたことを好機として、クルーゼの機体に急速接近してきた存在が、この世界で只一人だけ存在していたのである。

 

 本来なら居るべきはずのない野獣が。

 生まれてくる刻を間違えて誕生したナチュラルの少女が。

 

 ただ心躍る、戦い甲斐のある強敵を求めて、只それだけを目的として。

 ラウ・ル・クルーゼ個人の【命】を求めて舞い降りるッ!!!

 

 

「アッハハハハハ!!! 落ちろ落ちろ落ちろーッ!!!

 このまま串刺しにしてあげるわ―――ッ!!!」

 

 アークエンジェルより更に高くにある位置から急降下しながら、斬艦刀を引き抜いて振りかぶり、クルーゼのシグーを真っ二つにしてやるため少女が強奪したモビル・ジンは猛スピードで敵指揮官機に襲いかかってきたのである!

 

 彼女は、敵がいつどこから侵入してきても即応できる位置である、コロニー中央のシャフトに陣取って、只ひたすらに敵の侵入を待ち続けていた。

 そして侵入してきた敵が、狙っている獲物らしいキラの乗る新型を奪おうと襲いかかってきたところを直上から襲撃する。

 

『むっ!? ミゲルから奪ったジンか!! あんな位置に隠れていたとは・・・チィッ!!』

「もらったぁぁぁぁぁぁぁぁッッ!!!!」

 

 味方を餌にして敵をおびき寄せ、必勝のタイミングで攻撃を仕掛ける狩りの手法。

 その罠にまんまと掛かってしまったクルーゼは、だが敵の思惑通りに乗ってやる親切さを持ち合わせている善良な人物では断じてない。

 

『それのパイロットが誰かは知らんが・・・・・・その装備ではな!!』

「なんっ!?」

 

 直上からの落下速度も追加させたジンの出せる最大速度での突進斬撃。

 だがそれをクルーゼは、シグーの出せる最高速度で機体を『そのまま直進させ』てギリギリの間合いで回避させてしまう。

 

 背中に追加されているスラスターの端を、かろうじて斬りつけただけで終わってしまった必殺の斬撃に、少女はコクピットの中で犬歯を牙のように向いて滾り狂う。

 

「クソッ! スピードはあっちの方が上みたいね! だったらぁぁぁぁッ!!」

 

 再度の攻撃を仕掛けるため、再び敵機と相対した彼女であったが・・・・・・ここでは皮肉な運命がクルーゼに味方して、彼女に背を向けることになってしまう。

 

 

「なんだ? ジンとシグーが戦っているだと・・・・・・仲間割れか?」

「分かりません。ですが我が方にとっては、どちらにしろ好機です。攻撃命令を!」

「そうだな・・・よし! スレッジハマー装填! バリアント撃てぇぇぇッ!!!」

 

 

 先の戦闘を知らず、目撃してもいないナタル・バジルール少尉たちからの攻撃によって、結果的にクルーゼは離脱を支援され、少女は戦闘を中断して背後からの攻撃を避けるしかなく、キラたちとクルーゼ隊との戦いは第3ラウンドへと状況と戦力配置を換えて仕切り直しという形にされてしまったからである。

 

 

「邪魔するなぁぁぁぁぁぁッッ!!!!」

 

 

 改めて味方としてマリューからナタルたちに紹介されることになる少女は、現時点ではコクピットの中で一人、欲求不満の怒りを叫び暴れるだけの野獣のようなナチュラルにしかなれていなかった。

 

 だが彼女の力を、自分たちに必須の『三つ目の刃』として認識する近い未来の刻を、この世界における『永遠の厄介者』に乗るクルーたちは今はまだ知らない――。

 

 

 

つづく




オマケ【女オリ主の名前決定】
原作展開上、次話で自己紹介することになるため主人公の名前がやっと決定(遅)


【サヤ・ナガト】


「ヤザン」だから「ヤサ」
TSして性別逆だから「サヤ」単純ですね。


ちなみに漢字で書く場合は、【砂夜・長門】

小説版ZZで、ゲモンと共に夜の砂漠へ消えていって心を癒す旅に出た設定を思い出したので、語呂合わせに採用。
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