作者は基本的に、ジオンが正しいとか良いとかの発想を持っておらず、作品内容も同様で書いてます。
単に、【連邦政府のヤラカシが敵に力を与えてしまっている】という前提で書いているだけです。言うなれば【ジオンが良い】ではなく【連邦“も”悪くなったから】で、相対的な善悪にさせてしまった結果です。
内乱とか反乱って、そんなものだろうな、と…。
これは『本当にあったかもしれない』歴史の幕間劇として解釈された新説の一つでしかない人々の物語である。
新説の登場によって、従来の定説が覆されていくことが人類の進歩であるとするならば、定説を覆した新説がやがて従来の定説となった時代に、自分を踏み台として完成度を高めた今までの説の誕生に貢献することもまた、進歩としての在り方の一つであるだろう。
宇宙世紀0100のジオン共和国解体と連邦宇宙軍の再編計画達成によって、一年戦争に端を発し続けた【ジオン戦争】の正式な終了を宣言していた。
0079末にジオン公国のギレン・ザビが暗殺され、ジオン共和国へと名を変えた臨時政権からの降伏を認め、ジオン独立戦争の完全勝利と終戦を宣言してから20年近くが過ぎた末に、ようやく宣言することが出来る域に現実を追いつかせることが出来たのである。
この宣言以降ジオン残党が政治結社レベルの活動が行えるだけの力を回復することは二度となかったのは事実である。
それを阻止するため動き出した【袖付き】と名乗るジオン残党を称する者たちも、所詮は流浪の食い詰め集団が野合しただけで、ジオニズムもザビ家もなく、ただ『連邦政府に抗った唯一の敵国』という過去の栄光に縋って寄せ集まった模倣犯に過ぎず、その残党達が蠢いたとされる『不死鳥にまつわる事件』においても彼らのバックに『ジオン共和国次期新首相の関与』が疑われただけで、もはや旧ジオン公国軍と関連付けるものは何一つとして残っていない“騙り”に過ぎぬ名ばかり達による「無駄な足掻き」にしかなることは不可能だった。
地球連邦政府は遂に、ジオン・ダイクンによる独立宣言から数十年ぶりに一年戦争以前の一極支配体制へと回帰するという宿願を果たし、地球圏全土に広がった全人類社会を支配する絶対者の地位へと舞い戻ることに成功したのだ。
・・・・・・だが、一つの問題が片付けば別の問題が浮上してくるのもまた、人類が遂に変えることの出来なかった宿命でもある。
『戦争が終われば、内乱が起きるだけ』という、夢も希望ももたらさない皮肉な見解こそ、恐らく最も正しいものの見方ではあったのだろう。
『ジオン』という外部勢力との戦いが終結した後、連邦政府の敵となって台頭してきたのは【マフティー・ナビーユ・エリン】と名乗る、連邦内部から生じた反連邦政府運動の団体だった。
『外敵との戦争』が無くなったはずの世界で起きる、地球の内側で行われる身内同士の殺し合い・・・・・・その醜悪極まる悲喜劇さえ、多くの死傷者を出す死闘の末に逮捕した主犯格の処刑によって事を納めようとし、却って新たなる禍根の源を生み出してしまうのだから連邦政府の『学ばない精神』は呆れるしかない。
だが、それら血生臭い悲喜劇さえ終わってしまえば元の木阿弥でしかない。
『自分たちの敵』がいなくなり、地球圏全土を統一支配する『王』の地位へと復権した彼らは、かつて取りこぼした成果を取り戻そうと再び動き出す。
【地球保全地区についての連邦調査権の修正】
かつて議会で可決されながらも、マフティー動乱の決着に失敗したことから事後処理の中で実際の実地が遅れていた法案を、より強力にした法案として生まれ変わらせ、連邦議会での承認と実行を求めたのである。
これに対する反動が、マフティー・ナビーユ・エリンに再び力と命を与え、再起を促す。
かつて自分たちが阻止しようとした悪夢の再現が、かつての敵の復活を促し、第二次マフティー動乱の幕が上がる。
それは同時に、互いの勢力を率いるものとして戦い合ったライバル達の後継者が、再び雌雄を決してぶつかり合う『意志を継ぐ者同士』の戦いでもあった。
人類は幾度もの奇跡を見せられて尚、未だに何も学ぶことは出来ていない・・・・・・。
「ちょっと、失礼・・・」
「え? あ、はい。いいですよ」
アーヴィン・ブリック中佐は、あくびを三回ほど噛み殺してから我慢できずに、一つ向かいの席に座って二十代中盤という感じの若い女性に声をかける。
時代遅れのペーパーバックで読書を楽しんでいた彼女は、イヤな顔ひとつすることなく屈託ない笑顔で本を閉じ、ブリックが通るための道を空けてくれる。
礼を言って立ち上がり、通路を足で歩いてトイレへと向かうアーヴィン中佐。
無重力空間を航行中だからと、シートの上を流れるという行動をするのは、他の乗客に嫌われるだけというマナーは、宇宙世紀初期の頃から今なお変わることなく続いている。
そして、それを見せて嫌われるのが連邦政府の特権階級だったならば、一軍人の昇進など簡単にストップしてしまうという伝統もまた変わり様はない。
・・・・・・いや、後者の方はより悪化したと言うべきなのかも知れない。
いつの世でも、ルールを守らせる側の人々が、他者のマナー違反を叱責することは好んでも、自らのルール違反を注意されることを歓迎する一流の権力者という存在は希であり、大方の二流権力者達は報復措置としての厳罰を以てしたがるのが関の山なのは歴史が証明している。
そして今の地球連邦政府の権力者達は、明らかに二流以下である。
それはこの、数年ぶりに運行を再開された特別便《ハウンゼンⅡ》の乗客として地球までの短い旅路を同行する身となったことで、あらためて連中のゲスさが思い知らされた中佐には嫌味なほどに理解できていた。
「マフティー・エリンにブッ殺されちまえ、薄汚い糞共が」
トイレで用を足し、鏡の前に立って背広の整えながらブリック中佐は口汚く自分の上司たちを罵倒した。
それは彼の経歴が言わせる言葉であり、思いであったことが起因している。
彼は9年前の動乱のときに、マフティー・エリンと名乗る過激な反地球連邦政府活動の団体を掃討するための作戦で責任者を務めていたケネス・スレッグ大佐の元で部下だった経験のある人物で、旧上司のことを心より尊敬し信服していた崇拝者の一人とも呼ぶべき過去を持つ人物でもあったのだ。
それが動乱の終結時にテロリスト共を殲滅し損ねたことと、政府の見え透いた三文悲劇プロパガンダによる反感の増大で事態収束の機会を失わせた責任を纏めて引き受ける形で辞職願を受理されたことを後で知らされ、本気で腹を立てさせられて以来、連邦軍人でありながらも政府嫌いの最右翼として皮肉気な態度でしか彼らを見ようとしない反骨精神の塊のような人物になっていた。
それが今、連邦軍上層部から急な呼び出しを受けて、『新たなるリーダーの元で復活したマフティー殲滅』のため『テロリスト達のリーダーが素性を隠して密航に利用していたことが発覚したことから安全性確保のために運行停止』を言い渡されていながら再開された、地球直行の特別便を使っての移動を強要されているのだから、不平不満や愚痴の一つや二つぐらい陰口で言ったところで罰は当たるまい。
「あのとき政府のアホ共が、ケネス准将の支援をちゃんとやっていたら、俺なんかに慌ててお呼びをかける必要もなかったってのにな」
フンと、鼻を鳴らしながら彼は鏡に映った、かつて上官について行くことも許されなかったケツの青い新米士官が多少は男前に成長した姿を見て、唾でも吐きかけたくなる思いに駆られる。
――見た目さえ怖くなって、デカい声が出せるようにりゃいいってもんでもなかろうに・・・。
そう思うのだ。それが旧師と崇めるケネス大佐の教えでもあった。
ときに強攻策をとる恐ろしい上官ではあったものの、彼は決して不必要な凶暴性を発揮しない人物であり、そこまでやらなければ『解ることが出来なくなった連中』に現実の立場を一瞬にして思い出せる術を知っている人物の一人でもあった。
その尊敬すべき上官と、今の自分の“見た目だけ”が近くなると言うのは彼にとって愉快なものではなかった。なんとなく自分が虚仮威しのように感じてしまい見窄らしく思えるのである。
「何になさいますか?」
「アップルジュースを果汁抜きで」
カウンターに入っていた四十前後のバーテンダーは、カウンター席に取り付いてきた客を値踏みしながら聞いた質問への返答に、思わず目を軽く見開いて凝視した。
一見すると文学趣味の令嬢のようにも見えた相手からの返事は、余りにもラフすぎて即座に反応を返すことができなくなってしまったのである。
相手の女性はそんな彼に、穏やかに笑いかける。
「・・・と言ったら、怒られてしまうのかしらね?」
「いえ・・・・・・いいですよ。ですが本当に?」
「出来るなら、お願い。好きなのよ、子供っぽいと自分でも分かっているんだけど・・・」
相手の表情が微笑から苦笑に変わり、バーテンダーは破顔する。
そして、記憶にある“例の客”とも同じような会話を交わしたんだったかと、少し昔を懐かしみながら現実の現在の業務であるアップルジュース作りに取りかかる。
本来の役職はパーサーをやっているバーテンダーの仕事ぶりを拝見しながら、アーヴィンの一つ隣に座って読書をしていた女性は、彼が出て行った後に移動していった先のラウンジで連邦政府閣僚のお偉方が一人の少女にお愛想を言っている光景を遠巻きに眺めながら、特になにかを思うこともなくバーテンダーがストロー付きのグラスを前に置くのを大人しく待っていた。
「ありがと。大変そうですね、こういう船の勤務って」
「そりゃね。偉すぎる人ばっかりで肩がこります。たまに危ない目に会う時もありますしね」
「連邦政府の特別便なのに?」
「連邦政府の特別便だからでしょう?」
もっともな答えを返され、女性の方でも納得したのかストローに口をつける姿を見ながら、バーテンダーは自分も随分と神経が図太くなったものだと思わなくもなかった。
“あの事件”に巻き込まれた時には、自分は全く上手く動くことが出来ていなかった。
あれから別の機に移って同じ業務をこなしながら、今日再び同じ機体の後継機内で同じような仕事をこなしている自分に、感慨じみた感情を抱かずにはいられない。
あの事件を共にしたキャビンアテンダントの女性スタッフ・・・メイスと言ったか? とは再会することはなく、今の機体に勤務しているスタッフも別の女性ではあるが、どこか運命じみたものをこの期待は持っているような気がしてならないのだ。
・・・・・・もっとも、再会して欲しい思い出ばかりではないのが人間にとっての過去であり記憶というものでもあるのだろう。
【パターン2の書き方バージョン】
『真に解脱した宗教の創始者たちでも、きわめて個人的な体験を他人に伝達することは決してできなかった』
――その言葉を言い出した人が誰であったか、歴史は黙して語ることはない。
創始者の思いは、刻の流れと共に変質させられながら、積み重ねられた歴史の出来事ひとつひとつへの感情によって正しく理解される道が閉ざされていく。
だからこそ人は、多重性と曖昧さをもって真実を伝えることはない言葉を使って、後進に想いを伝えようと努力しながらも、失敗と誤解と曲解による争いの歴史を繰り返し続けていくしかないのだろう。
シャカも、マホメットでも、キリストでも、アラーだって出来なかった。
――新たなる人の形である新人類『ニュータイプ』と呼ばれる人たちでさえ、それは変わることはない。
変えることが出来なかったからこそ、この戦いは言葉によって語られる今がある――。
刻は宇宙世紀0113に至り、幾度かの世代と戦乱を重ねた人類は、戦乱の始まりとなったジオン共和国の自治権返還をもって、月軌道圏までを支配領域とする全地球人類の支配者として、名実ともに地球連邦政府を一年戦争前の姿で復活させる時代になっていた。
だが、自らと対等なものは誰もおらず、何を犯そうとも自らを裁けるものは自分自身の良心だけという立場となり、冷静さと自制心を維持し続けられる人間は多くない。
必然的な流れとして、全人類の盟主国に返り咲いた地球連邦政府は急速に腐敗の度を増し始め、かつての失敗を取り戻そうと“ある法案”の復活が叫ばれるようになる。
それが自らの敵対者である、“ある敵対組織”に復活の力を与えることになるとは夢にも思わぬままに――。
こうして外敵のいなくなった地球圏は、傷癒えた『魔女』と『予言者』の戦いに再び包まれることになる。
そしてそれは、『魔女と予言者の後継者たち』による戦いでもあった。
既存の人類は、何一つ過去から学べることは出来ていない―――
連邦軍スレッグ・エーム大佐は、眼前にある顔に向かって不愉快そうに吐き捨てていた。
「ぶっさいくな面だ」
用を済ませた後、トイレの鏡に映った自分の顔は面立ちこそ悪くなかったものの、深く刻まれた眉根と目付きに、性格の悪さが滲み出ている。
地球勤務用に新調した背広の前を窮屈そうに締め直しながら、ここ数年の生活ですっかり擦れた性格が顔に出ているのを見て、これでは当分セックスフレンド以上の関係を異性に望むべくもないだろうなと、自分自身の男としての肖像を鼻で笑い飛ばす。
そして呟く。
「連邦政府のお偉方が、大佐の功績にちゃんと報いていれば、俺なんかが出てくる必要はなかったんだよな・・・」
それが彼の思いだった。
『マフティー動乱』の後、軍を追われるように姿を消した『キルケー部隊』の司令官だったケネス・スレッグ准将は、新任士官時代の彼にとって上官だった人物で、連邦軍内で唯一尊敬できる人でもあったが、8年前に引責辞任で退役している。
当時の配属先であるロンド・ベル隊の司令官は一年戦争の英雄ブライト・ノア大佐だったが、自分がケツの青い新兵であったことや、ブライト自身がケネスの退役後しばらくして軍を去っていることもあり、人柄を深く知るだけの時間を与えられることはなかった彼にとって、尊敬する唯一の上官の貢献に報いることなく保身を図ったお偉方の住まう地球勤務は趣味ではなかった。
たとえそれが、久しぶりに復活した仇敵への仇討ち合戦だとしても、だ。
かつて『マフティー動乱』と呼ばれる戦いがあった。宇宙世紀0105年のことである。
《マフティー・エリン》と名乗る反地球連邦運動が過激化して、連邦首都アデレートの議会を強襲し、鎮圧に当たった連邦軍《キルケー部隊》と戦闘になり多数の死傷者を出した事件のことだ。
事件そのものは、マフティーの指導者ハサウェイ・ノアの逮捕と実働戦力の壊滅によって、マフティー側の敗北という形で終結を見たが、事件直後に身内を多く殺された政府閣僚の復讐心から首謀者の略式裁判すら省略した処刑という、安直な見せしめを強行させたことで世論を煽る結果となってしまい、組織そのものは壊滅したものの逃げ延びた工作員たちの宣伝工作もありマフティーの思想そのものは長く連邦政府首脳の頭の痛いところとなり続ける羽目になる。
だが、そのマフティーが近年、再び復活し始めている兆しが現れるようになっていた。
切っ掛けとなったのは、【地球保全地区についての連邦政府調査権の修正案】を本格施行する意思を地球連邦が政府決定したことだった。
これは法案そのものはマフティー動乱のさなかに敵MSの強襲を受けながらも議会を続行させ、多数の犠牲者を払いながらも戦闘のドサクサに紛れる形で承認させるまで漕ぎ着けたものだったが、その直後におこなったハサウェイの処刑とプロパガンダ報復により市民たちからの悪評を多く買うこととなったため、これ以上の被害拡大を防ぐため悪感情を助長すべきではないとして、半端にしか実地されぬまま棚上げにされてきた代物だったのだが。
近年、発足した連邦政府の新政権がこれを復活させ、より強化したものを施行すると発表したのである。
「如何な理由のものであれ、総意によって決した法案をテロの脅威に覆されてはならない」
というのが彼らの主張だ。正論ではあろう。
だが、それを口にしたのが2世議員や3世たち『マフティー動乱』をテレビの向こう側としか認識しなかった世代とあっては、閣僚たちの高齢化に伴い世代交代がおこなわれた新政権の本心は明らかだった。
自分たちに逆らえる者は誰もいないという驕りが、そこにあった。
世襲議員である自分たちを侮る世間に対して、力を誇示したいという欲もあったのだろう。
だが結果として、この行動は市民たちの反政府感情を大きく刺激し、ある一つの組織に再度の復活を促す力を与えてしまう結果を招くことになる。
『マフティー・エリン』
かつて新型ガンダムと共に連邦首都アデレートを瓦礫の山にするまでやってのけながらも、スレイの上司だったケネス・スレッグ大佐によって指導者が捕縛され、実戦部隊も壊滅したことから衰退していたはずの組織が復活し、近年は再び力をつけてきているのに対処するため、昔の上官と同じ立場をこなすために昇進し、急きょ地球へ下りることとなったのが彼だったのだ。
「マフティー・エリンにブッ殺された連中は、あの世で後継者共の行動を何と評するのかね?」
皮肉気に唇の端を歪ませながら、自らの所属する組織への悪態を吐くスレイ大佐。
地球勤務用に新調した背広の前を窮屈そうに締め直しながら、ここ数年の生活ですっかり擦れて締まった性格が顔に出ている鏡を見て、これでは当分セックスフレンド以上の関係性を女性に求めるのは無理であるばかりか失礼だなと、独身主義を標榜している彼は肩をすくめる。
書き途中の代物なので、ここまでです。
先が進めなくなって久しいのが、頭ダメな証。