主に主人公目線です。2025年3月3日にかなり修正しました。
ちなみに主人公の世界には『転生したらスライムだった件』がありません。なので『転生したらスライムだった件』関係の歌はないという設定です。
◯
私は歌声が聞こえる方向に真っ直ぐに足を進めた。見慣れない場所への恐怖よりも湧き上がる感情があり、私は歌声の主に会いたいという気持ちでいっぱいになった。歌声が大きくなると、私は応えるかのように口を開けた。
『ユニークスキル『詠歌者』を使用しますか』
(...発動してもいいけど、その『詠歌者』って何ですか。あと、他に『同調者』とか...痛覚無効とか色々ありませんでしたか)
『ユニークスキル『詠歌者』は歌うことによって、自身や仲間の身体能力を上げたり消耗した魔力や魔素を回復させたりといった鼓舞や傷の回復や安らぎを促す効果のあるものです。相手に自分の場所を周知させられることも可能です』
歌詞が合っているか合っていないか分からないが、私が夢中で声を上げ出すと、指導者さんから声をかけられた。私は指導者さんの声を聞き、心臓が跳ね、歌声が途切れそうになった。だが、歌声が聞こえるまでは気になったことだと思い出し、聞き返した。指導者さんは『詠歌者』から順に説明し始めた。
ちなみに他のユニークスキル『同調者』は相手との承諾があれば同調することができ、念話がしやすくなったり相手とスキルや身体能力、魔力などを共有したり相手の状況を把握したりすることができる能力であり、同調した相手同士を同調させることもできるらしい。痛覚無効は痛みを感じなくなる状態であり、熱変動耐性は暑さや寒さへの耐性を持っていることらしい。
主に補助することに良さそうなスキルみたいね。痛覚無効と熱変動耐性も便利と言ったら便利だけど、自分の身に何が起きているのか気づきにくそうで自己再生の能力が欲しいな......。怪我をしても怪我だと気づかず、いつの間にか怪我が治っているっていう感じも.....マズいかな。
(とりあえずユニークスキル『詠歌者』を使用させてください)
『了。ユニークスキル『詠歌者』を使用します』
指導者さんの声を聞いた後、私は歩くスピードを遅くした。口を大きく開けると、先程よりも歌声が洞窟中に響き渡るように感じた。歌声が反響し、私の耳に届き、歌声の主の方が上手であることを実感した。私の高揚していた心が少し沈み、冷静になった。
(そういえばこんなに反響しているけど、周りに誰かいないのかな?そもそも私はどうしてここにいるのですか?.....それと、どうして見た目も変わっているのですか?)
『分かりません。認識阻害がかけられていて、解析不可能です。しかし、魔人の一種であることは確かです』
........指導者さんも分からないのですか。私が何者なのかも凄く謎ですが、転生者だし、謎のままでいいのかも...。....うん?すみません。魔人とは何ですか?
『.....解析不可能ですが、見た目は人間であり、体が魔物の生命の元となる魔素で生きているため、魔物であると思われます。かつ知性もあるため、魔人、もしくはユニークモンスターであると考えられます。魔人とは魔物の中で知性がある者、ユニークモンスターとは突然変異したような異常な能力を持つ個体のことです』
......つまり私は魔人(ユニークモンスター)ということになるの?
『その可能性はあります。ですが、はっきりとしたことは不明です』
(.........分からないことだらけということですね。指導者さん。この世界で生きるためにもっと知識が必要だと思います。なのでもう少し色々と教えてほしいのですが....後で聞きますね)
私が詠歌者の効果で歌い続けているが、頭の中では指導者さんとの会話をしている。どうやらこの『詠歌者』のスキルは別のことを考えていても歌い続けることができるらしい。歌っている私は不思議な気持ちになっていて、歌っている実感が全くない。今は歌に集中することにした。
私は歩きながら歌声に合わせ、歌い続けた。そうしているうちに歌詞を理解し、洞窟の中で吹く風の音も認識していった。私は一体感を覚え、歌うのを止めなかった。目を閉じても周りを認識できるようになり、空気の流れが煙のように流れていっているように感じた。
(いや。何か煙みたいなものが実際にありませんか)
『確認しました。エキストラスキル『魔力感知』を獲得......成功しました。...エキストラスキル『魔力感知』を使用しますか?』
私から後で聞くと伝えたが、明らかに何かがあると分かり、指導者さんに話しかける。すると、指導者さんからはスキルの獲得を告げられた。
......何だか分からないけど、スキルを獲得したみたい。.....『魔力感知』...うん。魔力とか聞きたいことがあるけど、感知ってついているし、何かに使えるかもしれない...。もしかしたら現在地とかが分かる可能性があるし、使用してみよう。
(使用する、でお願いします。魔力感知については聞きたいことがあるので説明もしてほしいです)
『了解しました。エクストラスキル『魔力感知』を使用します』
指導者さんの声が聞こえると同時に私の頭の中にたくさんの情報が入ってきた。先程まで煙のように思っていたものがあちこちに浮かび、塊になっていた。それは上にも壁にも地面にもあり、私は好奇心でその塊の上に足を乗せると、草を踏む感触がした。目を閉じていて、視界が真っ暗になっていた私は歌うのを止めるくらいに混乱した。
目を開けると、地面は草原のように草があちこちに生い茂っていた。壁や天井から七色にも見える不思議な色の鉱石が出ていて、周りの暗さもあり、洞窟だということは分かる。私は周りを見渡しながら忍び足で進み出した。
(.....指導者さん。魔素について聞いてもいいですか。目を閉じた時に感じた塊みたいなものの説明もお願いします)
『解答します。魔素とはこの世界の法則に干渉できるエネルギー物質であり、魔物にとっては生命力の元になるもののことです。先程の魔素の塊というのはおそらく魔素の濃度が高いが故に塊のように見えたと考えられます』
私は指導者さんの説明を聞き、足を止め、掌を上に向けた。目を閉じ、もう一度魔素の流れを意識すると、草の生えている地面や近くの鉱石があった場所に渦のような流れがあった。集まっているというよりも放出しているように思えて、私は目を開けた。目に入ったのはただの草や鉱石である。私は足元にある草の葉を指で触れた。感触からして、間違いなく草だった。
(魔素の濃度の高い草...ということですよね。この草はどういうものなのか分かりますか?)
『解答します。これはヒポクテ草です。魔素の濃厚な場所にしか繁殖しない貴重な薬草になっています』
指導者さんに聞くと、詳しい説明してくれた。魔素の濃厚な場所に生えている草だと言っていて、これは間違いなく魔素の濃度の高いものだと分かる。
魔素はエネルギー物質であり、それが薬草になるのなら魔素は自分達の体を作るのに大切な栄養みたいなものなのかな。説明からして、人間に対しての薬草にもなるみたいだろうけど、今の私はその魔物の一種だ。他にも聞きたいことがあるし、詳しく考えるのは後にしよう。
(次は魔素の濃度が高い鉱石について教えてください。この石に触れれば分かりますか?)
『...解答します。ユニークスキル『指導者』は見聞きしたことでも解析が可能です。しかし、実際に触れることで詳細が分かることもあります』
私は指導者さんへ聞くと、指導者さんは少し悩むような素振りを見せたが、すぐに答えた。指導者さんの様子で私はスマートフォンの検索画面みたいだなという感想を抱きながら魔素を発していると思われる鉱石に触れた。
『解答します。この鉱石は魔鉱石です。魔素の濃度の高い場所にある鉱石が長い年月をかけて魔素を取り込んで変異した石であり、とても貴重なものです』
(この魔鉱石にはどのような効果があるのですか?)
『解答します。硬い柔軟な金属の素材となり、魔法との相性がいい金属にもなります』
私は指導者さんに魔鉱石のことを聞き、さらに魔素のことが気になってしまった。私は立ち止まり、ヒポクテ草と魔鉱石を見つめた。
魔素の濃度が高いと、草の場合は傷を癒やすようなことができ、鉱石の場合は良い金属の素材になり、それは魔法との相性が良いものである。草と鉱石で違いがあるが、共通しているのはどちらも貴重なものであり、傷薬になったり魔法との相性が良かったりといった普通ではない効果があることだ。魔素について分からないことがあるが、魔素の濃度の高いものは特別な力があり、それは貴重なものだと認識しよう。
そう認識すると、...気になることが.......。
(指導者さん。こういった貴重なものはここ以外で手に入れられないものなのですか。貴重なものならいくつか持っておきたいけど、ヒポクテ草や魔鉱石を入れる鞄なんてないし...この服はポケットもないから手で持つしかないのだよね。それと、薬草を持っていても薬としての使い方が分からないし....)
私はヒポクテ草や魔鉱石がどれほど貴重なものであるかを聞いた。ヒポクテ草と魔鉱石の話を聞いた時から私は自分の服装を調べていたのだ。しかし、期待していたものはなかった。
貴重なものだと分かっても手でしか持ち運べない。魔鉱石は今の私の身長よりも大きいものばかりだ。運ぶことは無理だ。ヒポクテ草なら少し持てるが、薬草としての使い方が分からないなら宝の持ち腐れだ。
私は腕を組み、指導者さんの返答を待った。近くの魔鉱石にはこちらを睨む私の姿が映っていた。
『解答します。この辺りは大量の魔素が充満しているため、ヒポクテ草や魔鉱石があります。大量の魔素が充満している場所でなら入手は可能です。また、傷薬として使用するのなら傷薬の製法を知った後、ヒポクテ草の解析結果からユニークスキル『
(そうですか...。.....えっ?)
私は指導者さんの説明を聞き、息を大きく吐いたが、最後の方の言葉の意味を理解し、体が固まった。もう一度指導者さんの言葉を振り返っていくうちに魔鉱石に映る私の目は少し吊り上がっていたものから大きく見開いたものに変わっていった。
(えっ!?そのユニークスキルは聞いたような気がするものだけど、その名前からして、何かを作ることに特化したものですよね!)
『解答します。解析結果を元にし、ヒポクテ草を使用した傷薬の製造は製法を知れば可能です。それと、魔鉱石の製造も可能です。また、ユニークスキル『同調者』を使用し、『指導者』と『生造者』を連携すれば効率が良くなります』
私が叫ぶように聞くが、指導者さんは動揺せず、私の質問に答え、助言までしてくれた。私は指導者さんに聞きたいことがあったが、ユニークスキルの使用についても考えたくなった。
連携することで効率が良くなると考えると、『指導者』と『生造者』だけでなく、他のスキルとも連携すればいいかもしれないと。
(指導者さん。私の持っているスキルを全て『同調者』で連携することは可能ですか。それをした時のデメリットはありますか)
『解答します。スキルを全て連携することは可能です。連携時に少し体内の魔素を消費しますが、ユニークスキル『同調者』を使用しますか』
(連携時なら継続的に魔素を消費することはないということですよね。今はどのくらい魔素を消費していますか。それと、連携時の魔素の消費はどの程度ですか)
『その通りです。魔素の消費は全体の1割程度です。連携時の魔素の消費も1割ですが、実行しますか』
指導者さんは何か考えるような姿勢を見せた後、私の質問に答えた。私は魔素の消費について考える。
ここに来てからの私は『詠歌者』や『魔力感知』といったスキルを使っている。スキルの使用時に疲れがなかったことを考慮し、全体の1割くらいの消費はあまり疲労を感じない。そこにスキルの連携も加わってもまだ8割程度が残っている。それなら大丈夫だろう。この先で何が起こるか分からないし、今やってみよう。
(『同調者』のスキルを使用してください)
『了解しました。これより、ユニークスキル『同調者』でスキル同士を連携します。...成功しました』
(...ありがとうございます)
私が指導者さんに頼むと、指導者さんは数秒で完了したと告げた。私はあまりの速さに動揺しながらも魔鉱石に触れた。すると、魔鉱石の魔素の濃度の高さといった内部の情報が頭の中に入るうえに図形みたいなものも浮かんできた。おそらく構築方法だろう。スキルの連携により、できることが増えたようだ。
「......もうスキルを使えるようになったの」
私は連携したスキルを確認し、指導者さんに感謝を告げていると、声が聞こえた。頭の中ではなく、耳から直接聞こえてきたものだった。突然聞こえた声で私は誰かがいることに気づき、警戒した。その声は上品な女性のような声だった。私は辺りを見渡したが、誰もいなかった。
(指導者さん。誰が何処にいるか分かる?)
『解答します。あの道を進んだ先にここよりも高い魔素が集まっています』
指導者さんに声をかけると、指導者さんは解析結果を伝えてくれた。同時に魔力感知を発動させたらしく、ここ以上の魔素が集まっていることを肌で感じ取ることになった。声が聞こえてきた方向もまさにそこからだった。私は息を呑み、その場から動けなくなっていた。そんな私の様子に気づいたのか声の主はため息を吐いた。
「やはり記憶が混雑しているのか」
声が何処か悲し気に思え、私は一歩前に出た。それを察したのか声の主が再び息を吐いた。今度は微笑みを浮かべたように感じた。しばらくすると、声の主は息を大きく吸い、歌い始めた。それは私の追っていた歌声だった。私は歌詞が頭の中に入らないように動揺しつつ、走り出した。警戒することを忘れ、私は何も考えず、胸の暖かさに背中を押されていた。歌声が大きくなり、近づいていると実感した時、私は大きな部屋のような空間に辿り着いた。近くには魔鉱石よりも大きく、鏡のような透明な石が多くあった。私はその透明な石に触れ、目を閉じた。そして、石から魔鉱石以上の量の魔素が発せられ、魔素に押されるかのように手を離した。
『解答します。魔鉱石よりも遥かに上の魔素量を感知しました。この鉱石は魔鋼塊以上のものだと思われます』
(すみません。魔鋼塊とは何ですか?)
『解答します。魔鋼塊とは魔鉱石を精錬した魔鋼の塊のことです。この鉱石はそのレベルかもしくはそれ以上のレベルに達するものです』
私は周辺を見渡すだけで見惚れてしまいそうな光景を見て、立ち尽くしていた。頬を赤くした状態で立ち尽くした私の姿をはっきり見せてしまうくらいに透明であるが、発する魔素の量は多く、私は減った魔素をあっという間に回復させられるくらいに浴びた。まるでのぼせたかのような感覚になり、私は目を閉じ、深呼吸をした。
(指導者さん。魔素が高い場所はここならあの歌声の人もここですか?)
『解答します。魔素の反応からこの辺りです』
頭が少し冷え、私は歌声の人を探すことにした。指導者さんに確認し、私は魔素の量が最も多い場所まで歩いた。自分の姿が視界の端で何度も映るが、それよりも大きな魔素の多さに私は息を呑んだ。辿り着くと、私は近くの石に触れ、指導者さんに解析してもらおうと考えた。だが、触れた瞬間に巨大な透明な岩が光り出し、揺れ始めた。私はすぐに手を離すが、他の透明な石も地面もそれに反応するかのように光り出した。周りの透明な石が点滅している中、巨大な透明な岩の光がさらに強くなっていき、私はあまりの眩しさに目を閉じた。光が一層強くなり、吹き飛ばされるような感じがし、私は尻もちをついた。しばらくすると、光が弱まり、私はおそるおそる目を開けた。そして、目の前と視線が合い、絶句した。そこにいたのは竜だった。鱗が水晶のようにとても透き通っているが、光を放っていた。角もこの空間にある透明な石のように大きく、細長いものだ。その竜は宝石のように輝く金色の瞳に私を映していた。
「とうとう私のところまで自力で来られるようになったか。ならそろそろか」
「...あの。誰ですか?とても綺麗な方であるのは間違いないでしょうが」
目を細める竜は私の姿に安堵しているように見え、私は聞いてしまった。縄張りらしきところに入っても怒る様子がなく、むしろ私を知っている様子を見せている。しかし、記憶にない。言及しないで放置するわけにいかないと思い、意を決して尋ねてみた。
「....そうだな。こうした方が分かりやすいか」
竜は何か呟き、体を光らせた。それを見て、私は身構え、竜から視線を逸らさず、凝視した。すると、竜の体がだんだん小さくなり、人間の姿に変わった。私は目を大きく見張った。竜の姿は消え、その位置にいたのは女性であった。その女性は腰まである水色の髪と足首まで丈のある白色のワンピースを揺らしながら私の方へと歩いていた。腕や裾から見える裸足はとても白く、儚い印象を与えている。
私は近づく女性を見て、息をするのを止めた。女性の瞳は金色だった。竜と同じ瞳である。だが、それ以上に衝撃を受けたのは女性の顔立ちだ。私は斜め前にある透明な石に視線を向けた。そこに映るのは目の前の女性を小さくした姿だった。視線を戻すと、竜の女性は既に私の前まで来ていて、私の目に視線を向けた。
「私と似ているのが分かるか」
「...はい。髪色が違うだけで貴女を小さくしたような姿だと思いました。......これが...私の姿.....ですよね」
竜の女性の質問に私は動揺がまだ隠せていない状態で答える。私はもう一度自分の姿を映す石を見た。
目元は大きい方であるが、少し垂れ目のようになっている。竜の女性が私を見ようとし、視線を下の方へ向けているが、目元はおそらく似ているのだろう。それと、私も竜も金色の瞳を持っている。顔を全体的に見ても似ているのは間違いないと言える。はっきりとした違いは髪色だろう。竜の女性の方は水色だというのが眉毛やまつ毛からもそう見えるくらいに分かりやすい。だが、私は竜の女性よりも薄い色素の髪である。眉毛やまつ毛も白色に見えてしまうくらいだ。
「まあ。そうだな。お前の色は私と父親の色が混ざっているからな」
竜の女性は微笑みを浮かべ、私の頭を撫でた。私は竜の女性の言葉で色々納得した。
私はこの竜の女性の娘であるらしい。つまり、転生しているということだ。さらに竜の女性は私を転生者というように認識しているのだと思う。.....一度聞いてみる必要があるね...。
「....私に何が起きているのか知っているのですか。それからここは何処ですか?」
「ここはジュラの大森林にある洞窟だ。お前の体が安定しなくて、今はここにいる」
「ジュラの......大森林?」
私は竜の女性に質問した。母親であるらしいが、私にその実感があまりなく、敬語になってしまった。竜の女性は無表情で私に教えてくれた。
......うん。聞いたことのない森だ。日本にも他の国にもない場所だろう。そして、魔法があり、伝説やおとぎ話にしか存在していない竜がいる。......現実逃避したいけど......大人しく現実を受け入れよう。ここは前世の私がいた世界ではない。
「...第二の人生は異世界ですか」
「第二の人生?」
心の中で呟いたはずの言葉が漏れてしまった。その上、母親である竜の女性にそれを聞かれてしまった。私は顔を合わせないように下を向き、目を閉じた。
どうしよう。終わったかもしれない。娘が転生者でしたとか前世の記憶持ちだとか知って、異分子のように捉えられる可能性がある。その場合は目の前の竜の女性に敵認定され、即座に殺されるだろう。今の私は生まれてからすぐであり、スキルとかも良く分かっていない。圧倒的な雰囲気を出す竜に勝てるわけがない。二度目はとても短いな...。
「...なるほどな。そういうことだな。漸く合点がいった」
「ふえっ。何がですか」
すぐに死ぬことを覚悟していた私は竜の女性が息を大きく吐いたことに反応し、目を開けた。竜の女性は弱りきった表情をしていて、存在感との違いに私は竜の女性に近づき、見つめた。爪すらも光っているように見えるくらいの美しさがありながら風で散ってしまいそうにも見える。
「大丈夫ですか。色々光っていて、綺麗ですけど、何か壊れそうな雰囲気もあって、とても心配です」
「......この状況でそんなことを言うとは可笑しな子だな。...まあ。大丈夫だ。心当たりがあってな。それを考えていた」
竜の女性は見上げている私の頭を撫でてくれた。私はその行動に安心感を抱くが、不安は消えなかった。それが表情に出ていたらしく、竜の女性は私の頬に触れた。冷たい手に見えたが、私の心を落ち着かせるほどの温もりがあった。
「思うところがあるだろうが、それよりも優先することがある。...自分の姿は確認しているな。お前は小さいが、強力な魔力を持っている。本来この領域は普通の魔物では入れないようになっている。それでも入ることが可能な力がある。だから知っておくことがあるのだ」
竜の女性は私の目を見つめながら告げた。私は竜の女性の真剣な表情が見えた瞬間、声を出すことができず、頷くだけだった。
私は何か強い力を持っているらしいが、スキルの効果とかで?いや。竜の血を引いているから?....よく分からないけど、この世界で生きていくためには必要な情報だろう。
「お前は転生者だったな。少し異世界人の話とかをした方が良さそうだ」
「異世界人ですか?」
「ああ。異世界人とは異世界からこちら側にたまに落ちてくる人間のことを異世界人と呼んでいる。その中には稀に転生者という者が現れることがあるのだ。異世界人と転生者の共通点は特殊な知識を持ち、世界を渡る際に特殊な能力を獲得することがあるのだ」
竜の女性は考える素振りを見せた後、異世界人のことを話し始めた。私は異世界人という言葉が気になり、背筋が伸びた。異世界人の話を聞き、私は心の中で不思議な感情が渦巻いた。
他にもこの世界に転生した人っているの。しかも落ちてくることもあるのね。......私達の世界からきた人もいるのかな?...神隠しでいなくなる人って異世界に落ちてきたとかだったり。......まさかね。
それより、特殊な知識はおそらく落ちる前にいた世界の知識のことだと思うな。特殊な能力は今持っている私のスキルである『指導者』や『同調者』、『詠歌者』、『痛覚無効』、『熱変動耐性』かな。後は『生造者』もかな。
声が聞こえて、スキルを獲得した時にはあっちの世界にいるように見えて、既に異世界を渡っている最中だったのかな。今では確かめようがないけど。
「....前世では何という名だったか?」
「前世の名前は
「そういえば言っていなかったな。....ヴェルエールだ」
私は母親である竜の女性の名前のヴェルエールを声に出さず、口の中だけで復唱した。
これが私と母親であるヴェルエールとの会話だった。当時の私はヴェルエールのことをよく知らず、これから先で様々なことに関係し、巻き込まれていくとは思わなかったのだ。その時の私は不安を抱きながらもヴェルエールの話を聞いていた。
ちなみに、主人公の特徴は可愛いらしい(シズとクロエを混ぜ合わせたような感じ)顔立ちであり、リムルと同じ金色の瞳だけど、主人公の方がほんの少したれ目(大体シズくらい。)という感じです。リムルより少し薄い水色と銀色を混ぜたような色(天色)の髪であり、肩につくくらいの長さです。3歳くらいの少女.........いや幼女?であり、『転ちゅら!転生したらスライムだった件』のリムルのような感じです。