異なる世界で妹として楽しんでいます   作:日々草

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誤字・脱字がありましたら、報告してくれるとありがたいです。今回は前回より長めです。拙い文章ですが、よろしくお願いします。




ドワルゴンにて

...........................

 

 

私達は、アメルド大河に沿って北上していた。ゴブリン達の家や服を作るための技術者を探しにドワーフの王国、ドワルゴンに向かっています。同行者はリグルと他ニ名のゴブリン、そして、一度ドワルゴンに行ったことがあるというゴブタが道案内です。

 

「ゴブタ、大丈夫?」

 

「だ、だ、大丈夫っすーーーー!」

 

牙狼族からテンペストウルフに進化した狼達の移動速度は風のように速かった。ゴブタの顔が風圧で色々とおかしかったので、心配になって聞いてみた。ゴブタの返事を聞いたが、全然大丈夫そうではなかった。嵐牙達も疲れてないかな?

 

「おい。あんまり無理をしなくていいぞ。」

 

「はっ!」

 

兄様が見かねてそう言ったが、嵐牙達は、さらに加速した。

 

「いやぁぁああああ!何故加速するー⁉︎」

 

「もしかしたら、これでもスピードを遅くしていたのかもしれませんーーー!」

 

兄様と私は叫び声を上げながらそう話し、しばらくすると、日が暮れ始めてきて、野宿することになった。

よかったー。嵐牙達の上に乗るの、結構大変なのよね....。

 

「お風呂に入りたくなってきましたけど、ないですよね...。もしかしたら、この世界にはないのかも....。」

 

「そうだな....。この世界にもあるか探してみるか....。」

 

私が一人言を呟いていると、兄様がそれを聞いてそう言ってくれた。

 

「あ。そういえば前から思ったんだけど、リグル君、君のお兄さんは、誰に名前を付けてもらったんだ?」

 

「兄は、通りすがりの魔族のゲルミュッド様に付けてもらったそうです。見どころがあるからと。」

 

「ゲル.....?」

 

「ゲルミュッドですよ。ゲルミュッド。」

 

兄様はリグルに疑問に思っていたことを聞いた。リグルから聞いた名前がうまく聞き取れなかったらしく、私は、復唱して伝えた。

 

「その方は、魔王軍の幹部です。」

 

「ほう.....。」

 

リグルの話に、兄様は頷き......

 

(っていうか魔王軍⁉︎魔王がいるのか⁉︎)

 

(ヴェルドラが勇者もいると言っていたし、勇者がいるのなら、魔王もいるかもしれませんね。......あれ?でも、魔王軍の幹部が通りすがり、って、何か少しおかしいような........。)

 

(まあ。大変そうだから、関わり合いにならないようにしなくちゃな。)

 

(今は、普通に生活できるようにする方が大事ですからね。)

 

兄様が少し興奮したように心の中で言い、私は、兄様を落ち着かせながらそう念話で言い、疑問に思ったことを念話で呟いた。兄様が少し落ち着いてそう念話で話し、私もそれに同意した。

 

(......せっかくだし、前から気になっていたことを聞くか。)

 

兄様が突然話題を変え、私は疑問に思っていたが、兄様の視線が嵐牙の方を向いていることに気づき、察した。

 

「なあ嵐牙。俺達ってお前の親父さんの仇ってことになるよな?その辺、気にしなくていいの?」

 

「思うところはあります。しかし、我が主達は、戦いに負けた我々を許すのみならず、名前まで授けてくださりました。感謝こそすれども、恨むようなことはありません。我らの忠義は、我が主達、ただお二人のものでございます。」

 

兄様の質問に、嵐牙はそう答えた。

....かっこいいです...。ただ、そこまで忠誠を誓われると恥ずかしいです......。

私達は一晩野宿で過ごし、朝になると嵐牙達に乗って、日が暮れると、また野宿した。

 

「ゴブタ、俺達が向かっている街は、どんなところなんだ?」

 

ドワルゴンまでだいぶ近づいてきたところで、兄様がゴブタに聞いた。

 

「えっとっすね....正式には、武装国家ドワルゴンという名称っす。天然の洞窟を改造した美しい都で、ドワーフだけじゃなくてエルフとか人間もいっぱいいるっす。」

 

(エルフもいるのか!...エルフか......。)

 

ゴブタの話の中のエルフという言葉に、兄様は反応した。

 

「ドワーフの王のガゼル・ドワルゴは、英雄王と呼ばれる人物で国民に物凄く慕われているっす。」

 

(エルフ.....!)

 

(.......兄様。ゴブタが話してくれているのですから、ちゃんと話を聞いてください!)

 

 

ゴブタが話してくれているが、兄様はエルフのことで頭がいっぱいで話を聞いていなかったため、私はそう言って、兄様の体を引っ張った。

 

「リムル様?リンネ様?どうしたんっすか?」

 

「あ、いや、なんでもない。そのドワルゴンって、俺みたいな魔物が入っても大丈夫なのか?リンネは大丈夫だと思うが......。」

 

「心配いりません。ドワルゴンは中立の自由貿易都市。あの地での争いは、王の名において禁じられているのです。それを可能とするのが、武装国家ドワルゴンの強大な軍事力です。この1000年、ドワーフ軍は不敗を誇るのだとか。」

 

「1000年⁉︎そりゃあすごい。」

 

私と兄様の様子に、ゴブタが疑問に思って聞き、私が引っ張ったこととゴブタの声で、兄様の意識が現実に戻ってきた。兄様の質問に、リグルが笑って答えた。リグルの話には、私も兄様も驚いた。

 

(そんな無敵の王を敵に回すような奴はいないわな。)

 

(そうですね....。私達も気をつけましょう。)

 

兄様と私は、念話でそう話し合い、ドワルゴンと敵対しないと心に決めた。

 

「前に言った時は門の前で絡まれたっすけど....」

 

「トラブルなんて起こりませんよ!」

 

ゴブタが言いづらそうに言った言葉を遮るかのように、リグルが言った。

 

(ん?何か今、盛大にフラグが立ったような気がしないでもないが.......)

 

(...と、とにかく、気をつけましょう。)

 

兄様も私も嫌な予感がしたが、気のせいということにしながらも、気をつけようと考えた。

 

 

 

 

 

ドワーフの王国へは、ゴブリンの足では、歩くと2ヶ月かかると言われている。その距離を嵐牙達の頑張りのおかげで、私達は3日で走破した。

 

(あそこにエルフが...じゃなくてドワーフ達がいるんだな。)

 

ドワルゴンへの入口が見え、兄様がそう思った。

本音が出てますよー。

 

(素敵なエルフに....じゃなくて腕利きの職人に会えるといいな。)

 

(兄様、目的を勝手に変えないでくださいね?)

 

兄様の言葉に、目的が変わるかもしれないと思い、苦笑いをしながらそう念を押した。

 

「本当にリムル様とリンネ様とゴブタだけで行かれるのですか?」

 

「うん。大勢で行ったら、目立ちますからね。」

 

「ゴブタは、案内役で連れて行く。」

 

私達は森の出口まで来て、大勢で行かない方がいいと思い、リグルと嵐牙達を残し、兄様と私、案内役が必要ということでゴブタで、ドワルゴンに行くことにした。

 

「しかし...!」

 

「大丈夫っすよ。」

 

「我が主.....。」

 

ゴブタが大丈夫だと言うが、リグルと嵐牙は心配している。

ちょっと過保護かも.......。

 

「心配いらない。じゃあ行って来るから、ここで待っているように。」

 

「お気をつけて。」

 

「ワォォーーン。」

 

兄様の言葉で、リグルも嵐牙も渋々説得を諦め、見送った。私達は、リグルと嵐牙達を後に、ドワルゴンの入口で並ぶ列に並んだ。

 

「すごい列ですね...。」

 

「チェックも厳しそうだ。」

 

並んでとかいる長い列を見て、私と兄様は感想を述べた。

 

「中に入れば自由に行動できるんっすけどね。」

 

(自由かぁ........。)

 

(兄様。お願いですから、目的を変えないでください。)

 

ゴブタの何気ない言葉で、兄様がまたエルフのことを考え始め、私は、ため息を吐きながら兄様の体を引っ張った。

まったく.....そんなにエルフが好きなのですか.....。

ちなみに、今、私が兄様を頭に乗せ、隣にゴブタがいるという状態です。

 

「おいおいおいおい!魔物がこんなところにいるぜ。それに、ちっちゃな嬢ちゃんまでいるしよー。」

 

「まだ中じゃねえし、ここなら殺してもいいじゃね?おい!嬢ちゃん、離れてな。」

 

私達が並んでいると、いきなり大声で私達を見て何か言う声が聞こえた。声が聞こえて、私達が振り返ると、人相の悪い男の人が二人立っていた。

 

(はい、早速絡まれました!フラグ回収です!)

 

(....兄様、ここは私が何とかします。反応を見るかぎり、私を小さい子どもと見ているので、子どもらしくして、諦めてもらえるようにします!)

 

(でも、子どもだと思って、ナメてくるんじゃねえ?)

 

(大丈夫です。うまくいかなかった場合も考えていますから。)

 

兄様と私は念話で話し合った。私に任せてと言ったら、兄様が渋っていたので、私が説得して、渋々頷いた。

よし!.......えっと、子どもらしく、子どもらしく.........。

 

「おじさん達、何か用?そっちのおじさん、頭に釘が刺さっているけど、痛くないの?」

 

私にとっては、精一杯子どもらしく言ったけど........

 

「ああ!別にどうってことないさ!」

 

チンピラのような男が怪しそうな笑みを浮かべて、そう言った。

よし!これで、小さな女の子だと思ってくれている......。

 

「おいおいゴブタ君。なんか聞こえないかね?」

 

「はい、聞こえるっすね......。前来た時も、ここでボコボコにされたっす.....。弱い魔物の宿命みたいなんすよ.....。」

 

兄様とゴブタが小声でそう話していた。

やっぱり魔素を感じないから、魔力を持ってないみたい.....。兄様には見えてないから...。兄様は魔力感知で見ているけど、私は半分人間だから、目で見ているので、この人達を見ることがあるできるんだよね.......。

 

「おい。ザコい魔物、こっち無視してんじゃねえよ!」

 

「ザコいとか言わないでください!私にとって、大切な家族ですから!」

 

男の人の言葉に、子どもらしくしていようっていう思っていたことを忘れ、そう言ってしまった。

......少々怒ってしまったけど、大丈夫かな?

 

(なあ、リンネ。家族って.....)

 

(兄様と私は兄妹ですし、ゴブタとも、これから一緒に過ごすんですし、家族みたいなものです。)

 

(そ、そうだな!)

 

兄様が聞いたので、私は、当たり前という感じで言った。私がそう言うと、兄様が照れたように、顔が真っ赤になっていた。

 

「ほほう。その魔物達は、嬢ちゃんの使い魔か...。っていうか、喋るスライムってレアじゃね?見世物として売れるんじゃね?」

 

「おお!確かにな。それに、この歳で使い魔を持てる嬢ちゃんも珍しくねえか?この嬢ちゃんも、思ったより高く売れるんじゃね?」

 

男達は、下品な笑みを浮かべて、大声で笑いながら話していた。

....って、私を売る気だったんですか⁉︎この人達、人身売買とかそういう系の関係者なの⁉︎

 

(...なあ。リンネ....)

 

(兄様、我慢してください。)

 

(でも、説得は無理だと思うけどな。)

 

(私も同じこと思いましたよ。だから、もう無視しようと思っています。)

 

兄様が我慢できず、飛び出しそうになっていたが、私がそれを止め、兄様の言葉に頷きながら手を前に出した。

 

(記憶者さん、全方位に結界を張ってくれる?何回、何十回も攻撃を受けても大丈夫なくらい。あと、注文が多くて申し訳ありませんが、私が動いたら、一緒に動く結界ってありますか?)

 

『かしこまりました。』

 

私が記憶者さんに聞いてみると、記憶者さんは動揺もなく、そう返事した。すると、目の前に、いや全方位に壁のようなものができたような感覚がした。

 

(...もしかして、私が言ったこと、全て実現したの?)

 

『はい。常に張ることができますが、そうしますか?』

 

(じゃあ、そうしてもらいましょう。)

 

私が聞くと、記憶者は返事し、そう提案してきた。便利そうなので、結界を常に張ることを許可した。

 

(兄様、関わらない方がいいと思うので、無視しましょう。結界を張ったので、攻撃とかしてきても大丈夫です。ここは、大人の対応です。)

 

(........そうだな。)

 

私が兄様にと、思念を送ると、兄様は少し考え、納得した。

うん。うん。関わらずに無視する方がいい。

 

 

 

 

 

 

「.......ん?何かあったのか?」

 

「えっ?」

 

私が男達のことを無視して、兄様とゴブタと話していると、兄様が何かに気がついた。周りを見ると、何やら騒がしい様子だ。

 

「隊長、大変だ!鉱山にアーマーサウルスが!」

 

「なんだと⁉︎討伐隊は⁉︎」

 

「既に向かっています。それより、魔鉱石の採掘に奥まで潜っていたガルム達が大怪我を!」

 

どうやら緊急事態のようね。

 

「回復薬は⁉︎」

 

「それが戦争の準備だがで足りてないんですよ!」

 

本当に緊急事態ね.......。

 

(リンネ、なんか入れ物ないか?)

 

(回復薬を入れるための物ですね。すぐに造りますね。)

 

兄様の言葉に、すぐに何をしたいか察し、私は頷いて、すぐに行動した。あと、ついでに周りを見渡してみると、絡んできた男達は仲間を呼んできたみたいだが、私の結界に傷一つ付けられず、攻撃してきたあっちがバテたようで、地面に横たわっていて、息遣いも激しかった。

 

「あいつらは、俺の兄弟みたいなもんなんだ....。とにかく回復薬を探せ!何としてもかき集めろ!」

 

「旦那、旦那。」

 

焦りながら部下に命令するドワーフさんの肩を、兄様は、自身の身体を伸ばして、軽く叩いた。

 

「なんだ?スライムに嬢ちゃん、何か用か?今それどころじゃ.....。」

 

「まあまあ。」

 

「知っています。だからこそ、あれが必要ではないですか?」

 

ドワーフさんの言葉を途中で遮り、兄様がドワーフさんを落ち着かせ、続けて私が後ろの物を指差し、そう言った。私が指差したのは、

ガラスで作られたような透明なタルだった。タルには、兄様の作った回復薬が溢れそうなくらい入っていた。

ガラスではなく、結晶操作で作ったんだけど、うまくいって良かったよ........。

 

「これは.....」

 

「回復薬です。飲んでもかけても効果を発揮するものです。」

 

「とりあえず試してみちゃどうです?」

 

ドワーフさんが聞き、私が回復薬の話をして、兄様がドワーフさんにそう言った。

 

「隊長!魔物と子どもの言うこと信じるんですか⁉︎」

 

「魔物と子どもだからという理由で信じないのですか?中立国家と聞いていますが、そういう態度をとるのですね...。」

 

部下のドワーフさんの言葉に、私はカッとなって、そう言った。部下のドワーフさんは私の言葉を聞き、口を閉じた。すると、すまないと隊長のドワーフさんが謝罪する声が聞こえた。隊長のドワーフさんは、私に一度礼をすると、肩に回復薬が入った結晶のタルを担ぎ、部下のドワーフさんの方を見て、

 

「時間がない。行くぞ。」

 

「はい!カイドウ隊長!」

 

「お前達、ちょっと待ってろ。」

 

そう言って部下を連れ、途中で私達に声をかけてから行った。隊長のドワーフさんの名前は、カイドウさんっていうらしいですね。

 

「あんなに部下の心配をして....いい奴のようだな。」

 

「ですね。」

 

カイドウさんの様子を見て、兄様はカイドウさんのことをそう思い、私も、それに同意した。

 

 

 

.........................

 

 

「初歩的に、まずは川です!」

 

「それなら、ゆりかご!」

 

これはスキルではなく、暇つぶしです。あの後、私達は部屋に案内された。その部屋の中には、あまり物もなく、とても暇です。だから、

 

「橋!」

 

「ダイヤモンド!船!」

 

粘糸と鋼糸のスキルの練習にもなりそうなので、あやとりして、互いに見せ合っています。

 

「からのー!東京タワー!」

 

「完成度が高いですね!それなら、こっちはスカイツリー!」

 

兄様の立体の東京タワー(しかも、完成度が高い)を見て、私は少し対抗心を抱き、立体のスカイツリーを見せた。

 

「くー....。」

 

「それにしても、こいつ、本当によく寝るな......。」

 

「ですね....。」

兄様が暇つぶしもといお仕置きということで、暇過ぎて寝たゴブタを宙に吊るしていた。しかし、そんなことになっても、ゴブタは寝たままだった。それを見て、兄様が呆れた様子で言い、私もその言葉に同意し、苦笑いした。

 

「助かった。ありがとう!」

 

そんなことをしていると、カイドウさんが戻ってきた。その言葉からして、回復薬は効いたようだ。後ろには、三人のドワーフがいた。

 

「あんた達が薬をくれたんだってな!ありがとよ!」

 

「いえいえ。」

 

「腕が千切れかかってて、生き残れても仕事がなくなるところだった。ありがとう。」

 

「どういたしまして。」

 

「うー、うー。」

 

「何か言えよ!」

 

兄様と私は二人のドワーフさんのお礼に答え、頷いてばかりいるドワーフさんに、兄様がツッコミをいれた。

 

「ホントにありがとよ!」

 

「恩に着るぜ!」

 

「うーうー。」

 

二人のドワーフさんは何度もお礼を言い、頷いていたドワーフさんも何度も頷いていた。

 

「それにしても、あんな凄い薬は初めて見たぜ。礼と言っちゃなんだが、俺にできることなら何でも言ってくれ。」

 

「それなら......」

 

三人のドワーフさん達と別れ、カイドウさんが笑顔で気前良く、そう言った。兄様は、カイドウさんにここに来た目的を話した。

よかった。腕のいい鍛冶師さんを探しているって、ちゃんと言っていた。目的を覚えてくれてよかった。

 

「なるほど。そういうことなら、腕のいい鍛冶師を紹介しよう。」

 

「それは助かります!」

 

「ありがとうございます!」

 

「礼なぞ不要だ。任せとけ!」

 

カイドウさんがそう言い、兄様と私はお礼を言った。カイドウさんは、気前良く言った。

 

「さすがはドワーフの国ですね!」

 

「うん。ゴブリンの国に比べて随分文明的だ!」

 

カイドウさんに案内され、外に出た私と兄様は、周りを見渡してそう言った。

 

「こっちだ。迷子になるなよ。」

 

「分かっています!」

 

カイドウさんの声が聞こえ、私は、カイドウさんの後を追いかけた。ドワーフの国は人通りが多く、私は、はぐれないように兄様を頭にのせ、カイドウさんの後ろを歩いた。

だいぶ兄様も私もバランスをとるのがうまくなってきましたよ。

しばらくすると、お店が見えてきて、私達は、その店の中に入った。

 

「すげぇ!あの装飾細工が細けぇ!」

 

「なんでしょうかあの剣⁉︎うっすら光っています⁉︎魔力でしょうか⁉︎」

 

お店にある物は完成度が高く、兄様も私もテンションが上がった。

やっぱりドワーフの国はさすがです。

 

「ああ、あれを作ったやつだよ。」

 

「「えっ?」」

 

「これから会う鍛治師。」

 

「「おお!」」

 

カイドウさんがうっすらと光っている剣を指差した。

これは期待できますね。

 

「ここだ。腕は保証するぜ。」

 

私達はお店からまた歩き、こじんまりとした小さな家の前に来た。

 

「おい兄貴!いるかい!?」

 

「兄貴?」

 

「兄弟ですか?」

 

カイドウさんがそう言いながら家のドアを叩いた。兄様と私は、その言葉に首を傾げた。

 

「カイドウか、少し待ってくれ。」

 

「ああ。」

 

「お邪魔しまーす。」

 

「お邪魔します。」

 

家の中から声が聞こえ、私達は家の中に入った。

 

「カイジン、俺の兄貴だ。」

 

(おお......頑固一徹の職人って感じ....。)

 

(確かに....。)

 

カイドウさんは、ゴーグルのような物をかけ、上半身裸で剣を作るドワーフ、カイジンさんを紹介した。カイジンさんを見て、兄様が感想を心の中で呟き、私はそれに同意した。

 

「「「「あっ!」」」」

 

「スライム?それにちっちゃな嬢ちゃん?お前達、知り合いか?」

 

すると、部屋の奥から見覚えのあるドワーフの三人が来て、あちらも兄様も私も思わず声を上げ、カイジンさんは、兄様と私、ドワーフの三人の様子を疑問に思い、聞いた。

 

「カイジンさん、このスライムと嬢ちゃんですよ。」

 

「昨日大怪我をした俺達を助けてくれたのは。」

 

「うーうー。」

 

ドワーフの三人は、カイジンさんに説明した。

いや、二人かな?一人は前と同じように頷いているだけだし...。

 

「そうだったのか、ありがとう。感謝する。」

 

カイジンさんはあぐらをかき、私達に頭を下げた。

 

「いやいや、それほどでもあるようなないような?へへへ!ははは.........」

 

「いえいえ。私達がやりたくてやっただけですから、頭を上げてください。」

 

兄様は少し照れ、調子に乗って笑い、私は、兄様の体を引っ張って強制的に止め、カイジンさんに頭を上げるように言った。

 

「リンネ.....。」

 

「兄様はすぐに調子に乗るから、あまり調子に乗りすぎないでくださいよ。」

 

兄様が何か言いたそうにしていたが、私は先に言った。

 

「ん?兄様?兄妹か?」

 

「ああ。見た感じ違うが、同じ魔素から生まれたんだ。」

 

「一様、私も魔物なんです。」

 

カイジンさんの質問に、兄様と私は頷いた。

見た感じスライムと人間ですから、兄妹に見えないんですよね....。

 

「それで何の用で?」

 

カイジンさんに聞かれたので、私達はこれまでのことと鍛治師を探していることを話した。

 

「なるほど。話は分かった。だがすまん。今ちょっと立て込んでてな。どこぞのバカ大臣が無茶な注文をしてきてなあ。」

 

「「無茶な注文?」」

 

カイジンさんは難しい顔をしながらそう言い、兄様と私は、その言葉にまた首を傾げた。

 

「戦争があるかもしれないってロングソード20本、今週中に作れってな。まだ一本しかできてないんだよ。材料がなくて。」

 

「だったら無理だと言って、断ったらいいじゃねえか。」

 

「もっともだ。」

 

「うんうん。」

 

カイジンさんの話に、カイドウさんがそう言い、兄様と私はそれに同意し、頷いた。

 

「バカ野郎!俺だって無理だって最初に言ったんだよ!そしたら、クソ大臣のベスターの奴が.....『おやおや王国でも名高い鍛治師のカイジン様ともあろうお人が、この程度の仕事もできないのですかな?』なんぞとほざきやがったんだよ!許せるか!あのクソ野郎が!」

 

「なんで挑発に乗っているのですか!」

 

カイジンさんの話に、私は思わずツッコミを入れた。

だって、明らかに煽っていますよ!それ!

 

(部長もそんな感じだったな......どこの世界も、人間関係は面倒くさいんだな.....。)

 

(大人ってプライド高いんですね...。)

 

兄様の心の中の呟きを聞き、私はどの世界も同じなのねと思いながらこっそりため息を吐いた。

 

「材料が無いって?」

 

「ああ。魔鉱石という特殊な鉱石が必要でな。」

 

「昨日俺達が掘りに行ったんだが.....。」

 

「アーマーサウルスが出てな.....。」

 

「なるほど。」

 

それで、この前のことにつながるということね.....。うん?魔鉱石?

 

「どちらにせよ。あの鉱山はほとんど掘り尽くしていて.......。」

 

「もう残っていないようだ。」

 

「しかもな。例え材料があっても、20本打つのに2週間はかかるんだよ。なのに、あと5日で王に届けなければならない。国で請け負い、各職人に割り当てが行われた仕事だ。できなければ職人の資格の剥奪もあり得る。」

 

「兄貴.....。」

 

「困ったもんだな.....。」

 

話が進んでいるけど、ちょっと待ってください!魔鉱石って私が記憶して、兄様がいっぱい食べたあの鉱石じゃ........

 

(兄様!兄様!)

 

(なんだ?リンネ?)

 

(魔鉱石って、ヴェルドラの洞窟で兄様がたくさん食べたあの鉱石なのでは?)

 

(.....魔鉱石って、俺持っていたのか⁉︎)

 

私は兄様に念話で呼びかけ、兄様が魔鉱石を食べていたことを言った。兄様は私の話を聞き、驚きの声を上げた。

 

「フッ.........」

 

危ない。危ない。何か変な笑いをしようとしたけど、ぎりぎり兄様の体を引っ張って止められたよ.....。

 

(リンネ!何するんだ!)

 

(普通にやってください!)

 

兄様の反論に、私は強く言い返した。すると、兄様が引いてくれて、胃袋から出し、カイジンさんの前に落ちた。

 

「親父、これ使えるかい?」

 

「おいおいおいおいおい、魔鉱石じゃねえか!しかも、純度がありえないほど高いぞ!」

 

「おいおい親父、あんたの目は節穴かい?」

 

「よく見てください。」

 

カイジンさんが兄様の吐き出した鉱石を見て驚き、カイジンさんの言葉に、兄様が得意げな顔をして言い、私はその鉱石を指差して言った。兄様と私の言葉を聞いてその鉱石に顔を近づけた。

 

「魔鉱石じゃない!既に加工された魔鉱塊だ!」

 

「「正解!」」

 

カイジンさんの答えに、兄様と私は丸のサインを出して言った。

 

「さらに強力な剣を作ることができる!そんな....この塊全てが....!これは譲ってくれるのか⁉︎もちろん、金はいい値で払うぞ!」

 

「さて、どうしたもんかねー。」

「何が望みだ!できることなら何でもする!」

 

「その言葉が聞きたかった。誰か親父さんの知り合いで、技術指導として村まで来てくれる人がいないか探してほしい。」

 

兄様とカイジンさんが交渉していた。私は兄様の交渉には何も言わず聞いていた。

 

「......そんなことでいいのか.....?」

 

「俺達にとって最優先が衣食住の衣と住なんだよ。まあそれと、今後の衣類の調達や武具なんかも頼みたい。」

 

カイジンさんの問いに、兄様が答えた。私も兄様の話に頷いた。

 

「お安い御用だ。」

 

「だけど......。」

 

「間に合いますか?」

 

カイジンさんは胸を手で叩いて頷いたが、ドワーフの三人は不安そうな顔をし、私は間に合うのか聞いた。

 

「まあ、やるだけやってみるさ。さあ、すぐ始めるぞ!」

 

「「「へい!」」」

 

カイジンさんがそう言い、ドワーフの三人は返事をして、行動した。

 

(記憶者さん、私のスキルを使ってなんとかすることはできるでしょうか?)

 

『はい。『結晶操作』には、記憶した鉱物を作ることができますので、魔鉱石は既に記憶してますから、作り方を記憶できれば作ることは可能です。』

 

(ありがとう。兄様!実は.....)

 

私は記憶者さんに質問し、記憶者さんが説明した。記憶者さんの説明を聞き、私はお礼を言って兄様にそのことを話した。

 

「なあ、親父さん。さっき一本作ったって言ってたな。その剣を見せてくれ。」

 

「あ?別に構わないが...。」

 

兄様がカイジンさんに声をかけ、カイジンさんが首を傾げながら許可し、完成した剣を見せてくれた。

 

(これは見事だ。)

 

(確かに。素人の私にだって、カイジンさんの腕が確かなのは分かります。)

 

兄様と私は剣を見つめ、そう思った。

 

「ん?この剣も光って見えるな。」

 

「魔鉱石を芯に使っているからな。簡単に言うと、使用者のイメージに沿って成長する剣ってわけだ。」

 

「すげえ!」

 

兄様がカイジンさんに質問し、カイジンさんは、私達にも分かるように説明し、兄様は思わず感嘆の声を上げた。

 

(すげえな、この親父さんが村に来てくんないかな?)

 

兄様の心の声が聞こえ、私も静かに同意した。

ですが、そのためにも....

 

「ちょっと触っていいですか?」

 

私はそう言いながら剣に触れた。すると、頭の中に情報が入ってきた。

 

『ロングソードの解析、完了しました。』

 

記憶者さんの声を聞き、私は兄様を下に降ろし、ロングソードから離れ、少しスペースのあるところに立った。

 

(記憶者さん、魔鉱塊を造って、それを加工して!)

 

私が記憶者さんに頼みながら手を前に出した。すると、私の周りに19の光が宙に浮き、それから形が見えてきて魔鉱塊ができた後、形が変わり、どんどん細長くなっていくのと同時に光が強くなっていき、見えなくなっていった。光が修まると、そこには19本のロングソードがあった。

 

「魔鉱塊のロングソード19本完成!」

 

「親父さんのも足して20本だ!」

 

私は思った以上にうまくいって嬉しそうに言い、兄様はカイジンさんのロングソードを見て、そう言った。

 

「「「「「ええええぇぇーーーー⁉︎」

 

それを見て、カイジンさん達が驚きの声を上げた。

 

「「お祝い?」」

 

「ああ、おかげさまで無事に納品が終わったんでな。」

 

カイジンさん達はロングソード20本をお城に届けてそう言った。

 

「別にそんなことしなくてもいいですよ....。」

 

私がカイジンさんにそう言っていると、ドワーフの三人が兄様に近づいていた。

 

「まあまあ。エルフの綺麗なお姉ちゃんがいっぱいいる店があるから。」

 

「エルフ!」

 

「そうそう。夜の蝶って店でな。若い子から熟女まで紳士御用達の店なんだよ。」

 

「蝶.....。」

 

「うーうー!」

 

「喋れよ!」

 

ドワーフの三人の話に、兄様がすごい反応していた。

うーん........まあ、鍛治師は見つかりそうだし、息抜きさせましょうか。

 

「でもな....。リンネが..........」

 

「私のことはいいですから、行っていいですよ。」

 

「えっ?」

 

兄様が行きたそうにしながら断ろうとしたので、私がそう言った。兄様は、驚いて私の方を向いた。

 

「もう一回言いますよ。私のことはいいですから、行ってください。その間、私はここを掃除していますので。」

 

「....いいのか?」

 

「いいです。職人さんも見つかりそうだし、エルフに会いたがっていたんだから、楽しんできてください。」

 

私がもう一回言うと、兄様が遠慮しながら聞き、私が笑顔でそう言った。

 

「本当にいいのか?」

 

「本当にいいですよ!」

 

何度も何度も同じことを繰り返し、そして、やっと兄様達は家から出た。

やっと行ってくれたよ...。

 

(.....記憶者さん、とりあえずここにある技術をコピーしましょう。)

 

『かしこまりました。』

 

私は兄様達が行ったことを確認してから、記憶者さんに頼んだ。

カイジンさんの紹介した職人さんが引き受けてくれるか分からないからね。技術だけでもあった方がいいし、念のためにコピーしても、損することにはならないからね....。さてと、始めますか!

.........あ!掃除すると言ったので、もちろん掃除もしますよ!

 

 

 

 





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